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医療機関のRI廃棄物処理対策について



厚生省医務局

 近年、放射性医薬品の使用量が著しく増大し、それに伴い医療機関におけるRI廃棄物の適切かつ円滑な処理に対する要請も強まりつつある。このRI廃棄物の処理は、発生者たる医療機関の責任においてなされるのが原則であるが、厚生省としても、RI廃棄物の処理が適切に行われるよう医療機関を指導するとともに、そのための環境条件の整備に努める必要があると考えている。

 こうした観点から、厚生省は、当面の対策として、下記1により医療機関においてRI廃棄物の処理が適正に行われるよう努めるとともに、今後の対策として、下記2によりRI廃棄物の処理態勢を含むRI管理のあり方について検討することとする。

 なお、専門的立場からの検討を必要とする事項については厚生省医務局内に関係者及び学識経験者から成る検討会を設け、昭和55年度末を目途として、所要の結論が得られるよう努めて参りたい。


1 当面の対策

1) 現行制度の適正な実施を図るための指導

 RI廃棄物の処理について、現行法令の遵守に努めるよう放射性医薬品を使用している医療機関に対して指導の徹底を図る。

2) 医療機関のRI管理者に対する教育・研修の実施

 医療法ではRIを含め医療機関における管理は「管理者」たる医師が行うことになっており、また現実の実務管理は管理者の指示の下に放射線医師等に委ねられている場合が多いと考えられるので、これらの者を対象とする講習会を活用することにより、RI管理についての自覚を促し、知識の向上を図る。

3) 医療監視の強化

 医療監視の実施に際しては、医療機関におけるRI管理を重点項目とするとともに、特にRI使用量の多い医療機関について監視、指導を強化するよう都道府県を指導し、医療機関における適正なRI管理の確保を図る。

 また、従来から実施している医療監視員に対する講習会の充実を図り、医療監視員の資質の向上に努める。

4) 医療法施行規則の改正

 RI廃棄物の処理に関する現行医療法施行規則の規定については、処理方法等についての障害防止法との斉合性を考慮しつつ、所要の改正を行う。


2 今後の対策

1) RI廃棄物の処理態勢

 医療機関において使用された放射性医薬品によるRI廃棄物の適切な処理態勢を整備するために、RI廃棄物の排出量の推移、廃棄物処理施設の処理能力、その地域的配置などの諸要素を勘案して、土地の確保並びに保営施設及び処理施設の整備の計画的な推進について所要の検討を行う。

 なお in vivoによるRI廃棄物の処理、RIによる治療患者の管理などの問題及び極低レベルのRI廃棄物の合理的処理の問題等その対応に慎重な検討を要する諸問題についても、そのあり方についての検討を行う。

2) 医療機関におけるRI管理態勢
 RI管理をより適切に行うためには、作業従事者と実務管理者とを分離する方向が望ましいと考えられるので、医療の特殊性を念頭におきつつ、その方策について今後慎重に検討する。(昭和55年5月19日)


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