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日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(半均質臨界実験装置施設の変更)について(答申)


55原委第56号
昭和55年5月6日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長

 昭和55年3月22日付け55安(原規)第52号で諮問のあった標設の件に関する核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項で準用する同法第24条第1項第1号、第2号及び第3号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する許可の基準の適用については、妥当なものと認める。


(解説)

1 高温ガス炉の核的模擬炉心における反応度温度係数を測定するため、半均質臨界実験装置(SHE)の炉心集合体を約100℃に昇温して炉物理の実験を行う。

 炉心集合体を昇温するため黒鉛マトリクス管周辺間隙にニクロム線ヒータ40本を挿入し、集合体周囲を耐熱保温材で覆う。なお集合体温度が設定値を超過したときはスクラムするよう原子炉停止回路を変更する。実験中は集合体テーブルへの伝熱を抑えるため、集合体下部の黒鉛棒周辺間隙部に送風機で空気を送り冷却する。炉心集合体の温度監視と加熱制御はSHE制御室において行う。本設置変更申請についてはヒータ系統、冷却系統、保温系統および温度監視系統の新設または変更工事を予定している。

 設計上の安全性としては、主に、核的設計および熱的設計について検討し、更に原子炉停止装置の機能に障害の生じないことを確かめている。

2 高温ガス炉の反応度温度係数を精度よく測定するため、SHEのサンプル昇温装置の使用温度を変更する。

 本装置はサンプルを約900℃(従来は700℃)まで昇温する多重管構造の昇温管と測温系、制御系及び冷却系より構成され、昇温管は黒鉛マトリクス管1本を引抜きその後へ挿入されている。本設置変更申請についてはサンプル昇温装置の構造には何ら変更がなく、ヒータ供給電力を増加させることによりサンプル温度を900℃に上昇させるが、アルミニウム管温度の上昇を抑え、更に周辺黒鉛への熱漏洩を小さく保つため冷却空気の送風量を増加させる。

 設計上の安全性としては伝熱流動計算を行い、本装置及びSHE本体に障害の生じないことを確かめている。


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