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原子力モニターの声 昭和55年3月
科学技術庁
昭和54年度原子力モニターについて
原子力モニターは、原子力開発利用に関して、広く一般国民から率直な意見等を聴収、原子力行政に反映させることを目的とした制度であり、昭和52年度に開始された。昭和54年度のモニターは、各都道府県知事より推薦を受けた候補者のうち、本人の同意を得た509名に委嘱を行っている。 昭和54年9月から12月までの4ヶ月間にモニターから寄せられた随時報告の概要は、以下のとおりである。 1 意見の内容
全国509名の原子力モニターから、昭和54年9月、10月、11月、12月中に寄せられた随時報告の件数は92件であり、これを事項別にみると、原子力広報についての意見が27件と最も多く、次いで安全性・事故についての意見が17件、原子力行政についての意見が16件などとなっている(表1参照)。 職業別にみると、主婦等が32件と最も多く、次いで商工・サービス業が17件となっている(表2参照)。また、年代別にみると、60代が23件と最も多く、次いで50代が20件、30代が19件などとなっている(表3参照)。男女別にみると、男性が57件、女性が35件となっている(表4参照)。 2 意見の概要
寄せられた意見の中で、原子力広報についての意見では、「原子力開発が、生活の上で如何に重要な意味を持っているのか。テレビや新聞の上で、もっとわかりやすくPRして、国民の理解を得るべきである。」とした意見や、「テレビを利用した原子力の広報啓発に重点を置くことが必要ではなかろうか。印刷物では、読んでもわかりにくく、読む気がしない。」
また、「国が国民に正しい原子力の知識を得させるためには、たび重ねての説明会の開催を行うべきである。」とした意見や、「原子力展を各地方で開催しては。」等の意見が寄せられた。 安全性・事故についての意見では、
「あわてず、じっくりと原発の安全対策に本腰を入れるべきである。」とした意見や、「安全装置を幾重にも設置することは結構であり望ましいが、運転操作が、それによりあまり複雑にならない配慮が必要である。」
また、「今までの事故の原因等を見ると、発電所そのものの故障よりも人為的ミスによる事故が多い。」等の意見が寄せられた。 原子力行政についての意見では、
「住民の不安を解消することが、原子力行政の行うべき最も重要なことである。」とした意見や、「原子力開発の推進に賛成する者と反対する者が対等に議論する場が必要である。」
また、「地元との対話、広報活動、そして何にもまして安全実績の積み重ねによって、原発について理解を得るべきである。」とした意見等が寄せられた。 開発利用についての意見では、「原子力開発にも、10年単位、20年単位の地道な努力が大切である。」とした意見があった。 原子力教育についての意見では、「原子力の安全性・有効性についての勉強を一冊の本にして、義務教育の9年間に理解できるよう早期に考えるべきである。」とした意見が寄せられた。 廃棄物処理についての意見では、「原子力発電所から出る低レベル廃棄物の処分方法が、はっきり決っていないのではないか。」という疑問を指摘した意見があった。 代替エネルギー・省エネルギーについての意見では、「それぞれのエネルギーには一長一短があり、“エネルギーの最適組合せ”こそが重要な問題である。」とした意見や、「エネルギーの無駄な浪費をなくすためには、手近にあるエネルギー、すなわち自然エネルギーを利用すべきである。」等の意見が寄せられた。 その他の意見としては、「石油が足りないからといって、すぐに原子力と結びつけず、石油を浪費しすぎる今の日本の経済を見直すべきである。」とした意見等が寄せられた。 参考Ⅰ 報告(92件)の内訳
表1. 事項別の内訳 ![]() 表2. 職業別の内訳 ![]() 表3. 年代別の内訳 ![]() 表4. 男女別の内訳 ![]() 参考Ⅱ 昭和54年度原子力モニター構成
1. 職業別 ![]() 2. 年代別 ![]() 3. 男女別 ![]() 4. 都道府県別 ![]() |
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