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米国スリー・マイル・アイルランド原子力発電所の事故について(抜粋) 〈科学技術庁原子力安全局通商産業省資源エネルギー庁〉
〈我が国の対応〉
(1)3月30日、原子力安全委員会は、
① 今回の事故は加圧水型炉の安全性を考える上で重要な意味をもつものと受けとめ、正確な情報の入手に努め、詳細な検討を進めること。 ② 本事故は、二次給水系の故障を発端として生じた事故とNRCが発表しているところから、我が国の原子力発電所では、基本設計に関する安全審査及び使用前検査、定期検査等において、この種の事象が本件に類する事故に発展することはほとんどないことを確認しているが、安全確保に万全を期するため、このような検査を十分に実施させるほか、保安体制の再点検を実施させること。 ③ 原子炉安全専門審査会において調査審議を開始させるとともに、専門家派遣の準備を早急に進めることを内容とする委員長談話を発表。 (2)3月31日、通商産業省資源エネルギー庁長官及び科学技術庁原子力安全局長は、電力会社等の原子炉設置者に対し、保安規定及び運転要領の遵守状況とその見直し、異常時における処置についての教育、訓練と異常時の連絡体制について総合的に再検討し、その結果を速やかに報告するよう指示。 (3)4月2日、原子力安全委員会は、とりあえず、原子炉安全専門審査会審査委員佐藤一男(日本原子力研究所)を米国に派遣することを決定。 (4)4月3日、原子炉安全専門審査会は、スリー・マイル・アイランド原子力発電所の事故(TMI事故)に関する調査検討を行うため、「TMI事故調査特別部会」の設置を決定。(4月6日第1回会合)
(5)4月3日の閣議における内閣総理大臣の指示に基づき、我が国の原子力発電所に係わる防災対制を早急に再再点検することとし、翌日、総理府において関係省庁がこのための第一回会合を開催。 (6)4月5日、原子力安全委員会は、原子力安全委員会委員内田秀雄及び原子炉安全専門審査会審査委員村主進(日本原子力研究所)ほか5名の専門家を米国に派遣することを決定。(科学技術庁及び通商産業省は職員を派遣)
(7)4月6日、通商産業省は科学技術庁と原子力発電所関連15道県との連絡会議を開催。TMI事故の概要の説明と意見交換。 (8)4月14日、原子力安全委員会は、
① NRC及びWH社の指摘した加圧器水位計の問題に関し、ECCSの機能及び性能に及ぼす影響について判断するにはなお若干の時間を要すること。 ② 通商産業省は、この判断に必要な解析を至急行い、その結果を原子力安全委員会に提出すること、又、大飯1号機の運転は、解析結果に基づく措置がとられるまでの間、通商産業省の指導により停止されることを内容とする委員長談話を発表。 (9)4月14日、通商産業省はPWR関係3社(関西電力、四国電力、九州電力)の副社長を招集し、上記(8)の解析を各社において至急実施し、早急に報告することを求める。関西電力に対しては、大飯1号機の一時停止を要請。 (10)4月16日・大飯1号機 午前10時解列。 (11)4月16日・通商産業大臣は、電気事業連合会会長及び関係3社(関西電力、四国電力、九州電力)の社長を招集し、4月14日の措置の趣旨を徹底。 (12)4月19日・原子力安全委員会はTMI事故について「TMI事故調査特別部会」を発展的に解消し、「米国原子力発電所事故調査特別委員会」を設置することを決定。(5月1日第1回会合)
(13)4月23日・原子力安全委員会はTMI事故にかんがみ、原子力発電所等周辺防災活動のより円滑な実施を図るため必要な専門的事項について調査審議する「原子力発電所等周辺防災対策専門部会」の設置を決定。 (14)4月23日・通商産業省は稼動中の4発電所(東海、東海第二、福島第一、浜岡)に対し、特別保安監査チームを派遣。 (15)4月24日・通商産業省大飯1号機の解析結果及び原子力発電所の管理体制の点検結果について原子力安全委員会に中間報告。 (16)4月24日・通商産業省は、科学技術庁と原子力発電所関連15道県との第2回連絡会議を開催。 (17)4月27日・総理府において、関係省庁が集まり、原子力発電所等に係る施災対策に関して、
① 当面の措置として、災害応急対策を実施する地方公共団体等に対し、国が直ちに的確な助言、協力を行うための体制を整備する等の諸措置を講ずること。 ② 原子力安全委員会における専門的事項の検討を踏まえ、各機関の防災対策を一層充実整備すること。 ③ 関係地方公共団体との密接な意思疎通を図ることとし、以後原子力発電所等に係る防災対策について、中央防災会議の枠組の中で、関係省庁が密接な連絡調整を図り推進して行くことを申し合せ。 |
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