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関西電力株式会社大飯発電所の原子炉の設置変更(1号及び2号原子炉施設の変更)について(答申) 53原委第439号
昭和53年8月8日
内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
昭和53年6月19日付け53安(原規)第198号(昭和53年7月17日付け53安(原規)第223号で一部補正)で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。 記 ① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号および第3号については適合しているものと認める。 ② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。 (別添)
昭和53年7月21日
原子力委員会
委員長 熊谷太三郎 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄
関西電力株式会社大飯発電所の原子炉の設置変更(1号及び2号原子炉施設の変更)に係る安全性について
当審査会は、昭和53年6月20日付け53原委第358号(昭和53年7月17日付け、53原委第421号をもって一部補正)をもって審査を求められた標記の件について、結論を得たので報告する。 Ⅰ 審査結果 関西電力株式会社大飯発電所の原子炉設置変更(1号及び2号原子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「大飯発電所原子炉設置変更許可申請書(昭和53年6月8日付け、申請及び昭和53年7月13日付け、一部補正)」に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。 Ⅱ 変更内容 1 主要な熱的制限値の変更
燃料棒最大線出力密度を約40.2kw/mに変更する。(変更前は約41.4kw/m)
2 非常用炉心冷却設備の変更
炉心上部注入系蓄圧タンクの加圧ガス圧力を約97㎏/㎝2Gに変更する。(変更前は約83㎏/㎝2G)
Ⅲ 審査内容 1 主要な熱的制限値の変更
本変更は、非常用炉心冷却設備(以下「ECCS」という。)の性能評価モデルの変更に伴い、燃料棒最大線出力密度を変更するものである。 本変更は、熱的制限値を従来よりも厳しくするものであり、炉心の熱水力設計上問題はない。また、後述のECCS性能評価結果から本変更は妥当であると判断する。 2 非常用炉心冷却設備の変更
本変更は、炉心上部注入系蓄圧タンクの加圧ガス圧力を83㎏/㎝2Gから97㎏/㎝2Gに増加させるものであるが、蓄圧タンクの最高使用圧力(106㎏/㎝2G)に対して余裕があり、構造上問題はない。 本変更は、上部ヘッドの流体温度との関連で炉心上部注入系の圧力を従来よりも高くして、注入開始時の上部ヘッドの流体温度を飽和温度以下に抑えるものであり、後述のECCS性能評価結果から本変更は妥当であると判断する。 3 事故解析
ECCS性能評価モデルの変更に伴い、1次冷却材喪失事故を想定してECCSの機能及び性能の評価について検討を行った。 評価に当たっては、「軽水型動力炉の非常用炉心冷却系の安全評価指針」(以下「ECCS評価指針」という。)が満足されることを条件としている。 解析に用いられた手法は、従来からウェスチングハウス社の加圧水型動力炉のECCSの機能及び性能の解析に用いられてきたものと基本的に同じであるが、炉心上部注入系のモデル変更等解析手法に修正が加えられている。 これらの修正モデルを組み込んだ解析コードは、原研で実施されたROSA-Ⅱ/UHI実験の解析に適用され、良好な予測能力を有することが確認されている。 ECCSの機能及び性能の評価に当たっては、1次冷却系配管の両端完全破断から小口径配管破断までを検討し、解析条件として重要な因子であるピーキング係数は2.25として解析がなされている。 解析結果から、1次冷却系低温側配管の両端完全破断の0.6倍の破断面積を想定した場合において、燃料被覆管の温度上昇及びジルコニウム-水反応量が最大であり、燃料被覆管の最高温度は1186℃、局所的最大ジルコニウム-水反応量及び全炉心平均ジルコニウム-水反応量はそれぞれ約6.1%及び0.3%以下となる。 ECCSの作動により、燃料被覆管温度はピーク値をすぎた後低下し続け、その後は再循環モードの確立によって、長期にわたる炉心の冷却が可能である。 これらの結果から、本原子炉施設のECCSの機能及び性能は「ECCS評価指針」に示す基準を満足するものと判断する。 Ⅳ 審査経過 本審査会は、昭和53年6月21日第171回審査会において審査を開始し、昭和58年7月21日第172回審査会において審査を行った結果、本報告書を決定した。 |
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