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IEA核融合協力について



 IEA東京理事会開催期間中の4月13日、我が国はOECD-IEA核融合協力協定(2項目)に加盟調印した。この結果、IEA核融合協力については、我が国は、従来から協力を進めてきている2項目に加えて、IEAの下部審議機関「核融合調整委員会(EPCC)」がこれまでに採択した4項目のすべてに参加することとなった。

 今回調印した2項目は、
  1 プラズマ壁面相互作用に関する実施協定(TEXTOR協定)
  2 超電導マグネットに関する実施協定(LCT協定)
である。TEXTOR協定については、外務大臣が、LCT協定については、日本原子力研究所理事長が締約者として、署名調印を行った。

 なお、上記以外の2項目は
  3 大型実験装置計画
  4 強力中性子源計画
である。

 今回、調印した研究協力協定の梗概は、次のとおりである。


1 TEXTOR協定

(1) 協定の名称

Implementing Agreement for a Programm of Research and Development on Plasma Wall Interaction in TEXTOR

(2) 協定の概要

 本協定は、西独ユーリッヒ研究所に建設予定のトカマク型核融合実験装置TEXTOR(Torus Experiment for Technology Oriented Research)を用いて共同実験を行うものであり、有効期間は9年、加盟図は日本、米国、EC、カナダ、トルコである。

① 研究目的

 TEXTOR装置を用いて、プラズマとプラズマ壁面の相互作用に関する実験を行い、
  a プラズマ壁面からの不純物生成
  b 壁の材料、構造
  c プラズマ境界の制御方向
を解明することを目的とする。

② 協力の内容

 昭和56年度、装置完成を目標とし、装置の設計、建設、材料の開発等について研究者派遣等の研究協力を行う。56年以降は、TEXTOR装置を用いた共同実験、研究者派遣等の国際協力を行う。必要資金のうち建設・通常運転経費はユーラトム、研究者派遣に伴う経費及び共同実験に伴って追加の必要な経費は参加国が各々負担する。

③ TEXTOR装置の概要

 トカマク型装置であり、仕様は下記のとおり。

主半径 175㎝
副半径 50㎝
トロイダル磁場 2T
プラズマ電流 480KA

2 LCT協定

(1) 協定の名称

 Implementing Agreement for a Programm of Research and Development on Superconducting Magnets for Fusion Power

(2) 協定の概要

 本協定は、米国エネルギー省がオークリッジ国立研究所において実施する、トーラス状超電導コイルシステム計画に加盟国がテストコイルを持寄り、大型超電導コイルの共同実験を行うものである。加盟国は日本、米国及びECである。

① 研究目的

 JT-60の次の世代のトカマク型核融合実験装置に必要な超電導磁石技術を確立することを目的とする。

② 協力内容

 具体的協力内容は次のとおり、
  a テストコイルの設計・製作(米国3ヶ、日本1ヶ、EC1ヶ、スイス1ヶ(予定))
  b 超電導コイルシステムの建設・運転
  c 情報交換及び研究者派遣

③ 資金負担

 6ヶのテストコイルからなる超電導コイルシステムの必要資金のうち、テストコイル3ヶ及び試験装置の建設費は米国が負担する。残り3ヶのコイルは日本、EC、スイスが各々1ヶずつ分担製作し、その費用は各製作国が負担する。加盟国は、これ以外には研究者派遣費を負担するのみで分担金は必要としない。

④ テスト装置概要

 テストコイルの仕様は、下記のとおり。

最大磁場 8T
電流(8T時) 10KA

(3) 必要資金

 本協定では下記のスケジュールで計画を進める予定である。

テストコイル完成 昭和56年5月
試験装置完成 昭和55年12月
実験期間 昭和56年7月~57年9月


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