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第22回中国核実験に伴う放射能調査結果について




 1 概要

(1) 米国ERDAは今回の中国の核実験について、以下のとおり発表を行った。

 ① 爆発規模 20kton以下
 ② 実験場所 中国西部ロプノール地区の上空の大気圏内
 ③ 爆発時間 52年9月17日午後4時(日本時間)

(2) 放射能対策本部(昭和36年10月31日内閣に設置)は9月18日(日)午後 放射能対策本部代表幹事会を、9月19日(月)午前 放射能対策本部幹事会をそれぞれ招集し、9月17日実施したと伝えられる中国核実験に伴う放射能調査対策について協議し、緊急時放射能調査体制について申し合せた。

(3) 幹事会及び代表幹事会の決定に従い、9月19日から9月28日まで各調査機関において放射能調査を実施した結果、高空浮遊じん、雨水ちり、地表浮遊じん、原乳中の放射性ヨウ素の調査に影響が表われ強放射能粒子も観測された。

 しかし、これらの値は放射能対策本部が定めている暫定指標よりかなり低いものであった。

 なお、原乳中の131Iについては、10月11日まで調査を継続した。

 2 放射能調査結果

(1) 高空浮遊じん

 防衛庁で9月19日~9月22日の間、北部、中部、西部北区の上空で調査した結果、西部地区の上空(9月21日飛行)において影響がみられた。(表1)

表1 高空浮遊じんの調査結果

(2) モニタリングポスト

 気象庁(2カ所)、日本原子力研究所及び20道府県で調査した結果、北部地区でわずかに影響がみられた。(表2)

表2 第22回中国核実験モニタリングポストによる空間線量率調査結果

(3) 雨水、ちり

 気象庁13か所、放射線医学総合研究所、日本原子力研究所及び都道府県32か所で調査した結果、9月22日秋田において濃度21.3pCi/ml、降下量55.3mCi/㎞2、青森において濃度20.2pCi/ml、降下量80.7mCi/㎞2を測定した他、全国でも平常よりやや高い値を示した。

 なお、水盤法による調査では9月22日福井において104mCi/㎞2を測定した他、愛知などにおいても平常より高い値を示した。(表3、表4、表5、表6)

表3 第22回中国核実験雨水、ちりの調査

表4 第22回中国核実験 雨水、ちりの調査

都道府県1

都道府県(2)

表5 第22回中国核実験水盤法による落下じんの調査

表6 第22回中国核実験水盤法による落下じんの調査

(4) 浮遊じん

 気象庁(5か所)、放射線医学総合研究所、日本原子カ研究所及び13府県で調査した結果、長崎、佐賀、福岡、福井、新潟県等において高い値を示した他、全国各地でやや高い値を測定した。(表7、表8、表9、表10)

表7 第22回中国核実験浮遊じんの調査

表8 第22回中国核実験浮遊じんの調査

表9 第22回中国核実験浮遊じんの調査

表10 第22回中国核実験地表浮遊じんの調査

(5) 原乳中の放射性ヨウ素

 放射線医学総合研究所 農林省関係研究機関(3か所)及び道県(13か所)で調査した結果、青森、秋田で高い値が測定された。(表11、表12、表13)

表11 第22回中国核実験原乳中の放射性ヨウ素の測定結果

表12 第22回中国核実験原乳中の放射性ヨウ素

表13 第22回中国核実験原乳中の放射性ヨウ素

(6) 強放射能粒子

 茨城、神奈川、福島、福井、沖縄、及び日本原子力研究所(東海)において強放射能粒子が発見された(表14)。

(7) 核種分析

 福井で採取した浮遊じん並びに福島及び茨城で採取した強放射能粒子についてGe(Li)半導体検出器で核種分析をした結果今回の核実験によるものと思われるNp-239、Ce-141、I-132、Ba-140、La-140、Zr-95+Nb-95、Cs-137等の核分裂生成物を検出した。

表14 第22回中国核実験 強放射能粒子


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