前頁 | 目次 | 次頁 | |||||||||||||||||||||||||
三菱原子燃料株式会社東海製作所における加工事業の変更について(答申) 51原委第674号
昭和51年7月6日
内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
昭和51年5月15日付け51安第3296号をもって諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。 記
(1) 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第16条第3項において準用する第14条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号及び第2号については適合しているものと認める。 (2) 上記許可の基準のうち第3号については、別添の核燃料安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告のとおり適合しているものと認める。 (別添)
昭和51年6月29日
原子力委員会
委員長 佐々木 義武 殿
核燃料安全専門審査会
会長 山本 寛
三菱原子燃料株式会社東海製作所における加工事業の変更に係る安全性について
当審査会は、昭和51年5月22日付け51原委第437号をもって審査を求められた標記の件について、結論を得たので報告します。 Ⅰ 審査の結果
三菱原子燃料株式会社東海製作所の加工事業の変更に関し、同社が提出した「核燃料物質の加工の事業の変更許可申請書」(昭和51年3月31日付け申請)について、「加工施設の安全審査指針」に基づき審査した結果、「Ⅲ審査の内容」に示すとおり、本加工事業の変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。 Ⅱ 変更の内容
本加工事業の変更の概要は、次のとおりである。 1. 核燃料倉庫の増設
工場棟の北側に建屋を増設し、その一部を核燃料倉庫として、ウラン粉末、ペレット等の保管を行う。 2. 分析設備の移設
1の増設部の残部を分析室として、現在の分析室にある分析設備等を移設する。 3. 燃料集合体組立装置の追加設置
新型の17×17タイプのPWR用燃料集合体の製造に必要な燃料集合体組立装置を燃料集合体組立室に追加設置する。 4. 可燃性固体廃棄物焼却設備の設置
廃棄物処理所を新設し、可燃性固体廃棄物の焼却設備を設置する。 5. ウラン回収実験設備の追加等
廃液処理でん物等からウランを回収するための実験設備をチェックタンク室に追加設置するとともに、試験用小型焼結炉をペレット加工室から撤去する。 6. 資材倉庫の新設
資材倉庫を新設して、ジルカロイ被覆管、グリッド等の資材を保管する。 なお、今回の変更により加工能力は変わらない。 Ⅲ 審査の内容
1. 核燃料倉庫の増設
(1) 放射線管理
増設される核燃料倉庫の放射線管理については、従来の転換加工室と同様に第1種管理区域(非密封ウランを取り扱う区域)として、エアースニッファ等によって空気中のウラン濃度が監視され、常時負圧に維持されるほか、フィルタ等の濾過装置及び排気監視設備を備えた排気設備を設けることにより管理することとしている。 また、従業員の放射線被ばく、ウランによる汚染等を監視するため、個人被ばく測定用具を着用させ、第1種管理区域から出る場合には、必ず汚染のモニタを行わせることとしている。 (2) 臨界管理
核燃料倉庫には、スクラップ貯蔵棚(ウラン粉末を貯蔵する。)、ペレット貯蔵棚及び保存燃料棒貯蔵棚を設置することとしているが、その臨界管理については、次のとおり行うこととしている。 (イ) スクラップ貯蔵棚については、容器に収納するウランの量並びに貯蔵棚の形状及び配置を制限することとし、その核的安全性については、核計算コード及び密度アナログ法により確認する。 (ロ) ペレット貯蔵棚及び保存燃料棒貯蔵棚については、容器の厚さを制限するとともに、各段の間隔を制限することとし、その核的安全性については、核計算コードにより確認する。 (3) 耐震耐火性
工場棟の増設部分の建物は、水平震度0.2に耐える耐震構造であり、かつ、簡易耐火構造としている。 また、貯蔵棚等の設備も、ボルトで床に固定することにより所要の耐震性を確保するとともに、その材質は不燃材を主体とすることとしている。 2. 分析設備の移設
(1) 放射線管理
分析室は、第1種管理区域として前記「核燃料倉庫」と同様の放射線管理を行うほか、発生する廃液は、既設廃液処理設備に接続する排水設備を設けることにより処理することとしている。 (2) 臨界管理
分析に供されるウランの臨界管理は、分析室全体で取り扱うウランの質量を制限することにより行うこととしている。 (3) 耐震耐火性
建物については、前記「核燃料倉庫」と同一建物であり、その耐震耐火性についても同様である。 また、分析設備は、必要に応じボルトで床に固定することにより所要の耐震性を確保するとともに、その材質は不燃材を主体とすることとしている。 3. 燃料集合体組立装置の追加設置
(1) 放射線管理
燃料集合体組立装置が追加設置される燃料集合体組立室は、従来より第2種管理区域(密封ウランのみを取り扱う区域)として管理されている。 (2) 臨界管理
追加設置される燃料集合体組立装置では、組み立てられる燃料集合体と同配列となるように燃料棒を配置したマガジンからあらかじめ組み立てられた燃料支持構造体に燃料棒を挿入することにより燃料集合体が組み立てられる。その臨界管理は、燃料集合体の実効増倍係数を水没条件下で0.93以下とし、かつ、その表面間隔を互いに30.5㎝以上として水没条件下で各集合体が互いに核的に隔離されるように配置することにより行うこととしている。 (3) 耐震耐火性
追加設置される燃料集合体組立装置は、ボルトで床に固定することにより所要の耐震性を確保するとともに、材質は不燃材を主体とすることとしている。 4. 可燃性固体廃棄物の焼却設備の設置
(1) 放射線管理
焼却設備が設置される廃棄物処理所は、第1種管理区域として放射線管理を行うこととしている。そのほか、焼却炉は、出入口にフードボックスを備え、炉内を負圧に保つ構造とすることとしている。 焼却炉からの気体廃棄物は、集塵装置等により処理したのち、フィルタ及び排気監視設備を備えた排気設備によりウランの濃度を許容濃度以下として廃棄することとしている。 (2) 臨界管理
焼却設備で焼却される可燃性固体廃棄物は、臨界管理を必要とするウラン量を含まない。 (3) 耐震耐火性
廃棄物処理所の建物は、水平震度0.2に耐える耐震構造であり、かつ、簡易耐火構造としている。 焼却設備についても、ボルトで床に固定することにより所要の耐震性を確保するとともに、その周囲に可燃物を置かない等の管理を行うこととしている。 5. ウラン回収実験設備の設置等
(1) 放射線管理
ウラン回収実験設備が設置されるチェックタンク室は、従来より第1種管理区域として管理されている。 (2) 臨界管理
ウラン回収実験設備の臨界管理は、取り扱うウランの質量及び設備の配置を制限することにより行い、その核的安全性については、立体角法により確認することとしている。 (3) 耐震耐火性
ウラン回収実験設備は、ボルトで床に固定することにより所要の耐震性を確保するとともに、その材質は不燃材を主体とすることとしている。 6. 資材倉庫の新設
新設される資材倉庫では、ウランは取り扱われない。 また、建物は、水平震度0.2に耐える耐震構造であり、かつ、簡易耐火構造としている。 Ⅳ 審査の経過
本審査会は、昭和51年5月22日第1回審査会において審査を行い、引き続き加工・使用部会において、昭和51年6月8日及び6月29日に次表のように審査を行い、本報告書を決定した。 なお、同部会の委員は、次のとおりである。 部会委員
![]() 前頁 | 目次 | 次頁 | |