中部太平洋海域の放射能汚染に関する日米科学者会議は、昭和38年9月11日から13日まで、虎の門共済会館において開催された。
この会議は、中部太平洋のクリスマス島およびジョンストン島周辺で米国が行なった一連の核実験による放射能の影響に関し、昭和37年8月、放射能対策本部が行なった調査船照洋丸の調査と、これに呼応して、米国が行なった調査船ギルバート号の調査について、データの交換と調査の総合評価を行なうため、米国原子力委員会国際部長ウェルズ氏からの申入れにより原子力局長があっせんに開かれたものである。
会議は、9月11日と12日の2日間、日米相互が採集したプランクトン、海水、マグロ等の試料についての核種分析の結果および環境放射能レベルの調査結果並びに東京都魚市場に水場されけたマグロの日米での分析結果につき、種々討議が行なわれた。その結果、双方のデータはよく一致し、マグロについては、放射能は一般的に低く、とくに魚市場のマグロの肉から検出出来た放射能は、すぐ消失する短寿命核種のもので、畳もわずかであった。また、環境の放射能レベルは一般的に低かった。
その理由としては、核実験がほとんど高空実験であったため、中部太平洋海域には放射能が少なかったという結論に達した。
最終日の13日には、ダニング博士を中心とした「海洋環境における放射能」と題する自由討論形式の講演会が行なわれた。
なお、出席者は下記のとおりであった。
米国側出席者
ダニング博士 :米国原子力委員会 Operational Safety 部次長
ドナルドソン博士:ワシントン大学教授
セイモア博士 :〃
パランボ博士 :〃
日本側出席者
檜山義夫 :東京大学教授
河端俊治 :国立予防衛生研究所
敦賀花人 :東海区水産研究所
岡野真治 :理化学研究所
塩崎愈 :海上保安庁水路部
鈴木譲 :放射線医学総合研究所
尾立新一郎 : 〃
佐伯誠道 : 〃
山県登 :国立公衆衛生院
猿橋勝子 :気象研究所
庄司大太郎 :海上保安庁水路部