PDF版ページはこちら(9.8MB)PDFを別タブで開く

【資料編】

2 原子力委員会

 原子力委員会は、「原子力基本法」及び「原子力委員会設置法」(昭和30年法律第188号)(当時)に基づき、原子力の研究、開発及び利用に関する国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的運営を図る目的をもって、1956年1月1日、総理府に設置されました(国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第8条に基づく審議会等)。国務大臣をもって充てられた委員長と4人の委員(両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命)から構成され、設置時は、正力松太郎委員長、石川一郎委員、湯川秀樹委員、藤岡由夫委員、有澤廣巳委員の5名でした。なお、同年5月に科学技術庁が設置され、それ以降、委員長は科学技術庁長官たる国務大臣をもって充てることとされました。
 1974年の原子力船「むつ」問題を直接の契機として設けられた原子力行政懇談会の報告を参考とし、原子力行政体制の改革・強化を図るため、1978年7月に原子力基本法等の改正が公布されました。この改正により、推進と規制の機能が分割され、複数の省庁にまたがる規制を一貫化し、責任体制の明確化が図られました。同時に、従来の原子力委員会が有していた安全の確保に関する機能を分離して、新たに安全の確保に関する事項について企画し、審議し、及び決定する原子力安全委員会が設置され、行政庁の行う審査に対しダブルチェックを行うこととするなど、規制体制の整備充実が図られました。
 2001年1月には、中央省庁等改革により、原子力委員会が内閣府に設置されることとされました。それまで科学技術庁長官たる国務大臣をもって充てられていた委員長については、委員と同様に両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することとされ、学識経験者が委員長に就任することとなりました。
 その後、2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所(以下「東電福島第一原発」という。)事故を踏まえた安全規制体制の見直しにより、独立性の高い原子力規制組織である原子力規制委員会が設置され、原子力安全委員会の事務を含む原子力委員会が担ってきた事務の一部が原子力規制委員会に移管されました。
 さらに、東電福島第一原発事故により原子力をめぐる環境が大きく変化したことを踏まえ、原子力委員会の在り方の見直しのための有識者会議が開催され、2013年12月に報告書「原子力委員会の在り方見直しについて」が取りまとめられました。同報告書を踏まえ、2014年12月に原子力委員会設置法の一部を改正する法律が施行されました。これにより、原子力委員会の所掌事務は、原子力利用に関する政策の重要事項に重点化することとし、形骸化している事務を廃止・縮小するなどの所要の処置が講じられ、委員長及び委員2名から構成される新たな体制で原子力委員会が発足しました。


原子力委員会委員(2023年3月末時点)

上坂充 原子力委員会委員長 上坂充
(元 東京大学大学院工学系研究科原子力専攻教授)

安全でサステナブルな原子力のために全力を尽くします。将来の原子力のため、人材育成が重要と考えます。原子力発電・放射線応用を含めた広い、かつ若い世代が夢を持てる原子力をわかりやすく説明していきます。
佐野利男 原子力委員会委員 佐野利男
(元 軍縮会議日本政府代表部特命全権大使)

東電福島の過酷事故後の安全性確保、地球温暖化に対するパリ協定の実施、電力自由化後の市場における競争など原子力発電をめぐる環境が激変する中、国民の理解を得つつ、国際核不拡散問題や核セキュリティ問題に貢献する形で我が国における原子力の平和利用をいかに確保していくかが大きな課題と考えております。
中西友子 原子力委員会委員 岡田往子
(東京都市大学理工学部客員准教授)

高純度材料中の極微量なウラン及びトリウムの分析法の開発を行ってきました。3.11以降は火山性内陸湖沼の群馬県赤城大沼湖水中の放射性セシウムの動態研究を行っています。また、長年、初等中等教育向けの放射線教育や理工系女性研究者・技術者を増やす活動に力を注いできました。原子力分野で活躍する女性を増やす方策を考えていきたいと考えております。

< 前の項目に戻る    目次に戻る    次の項目に進む >