第1章 原子力発電の定着と今後の展開 ―基軸エネルギーとしての確立
5.プルトニウム利用への展開
5.プルトニウム利用への展開
(4)MOX燃料加工及びプルトニウムの輸送
〔MOX燃料加工〕
プルトニウム利用への展開を図っていくためには,多量のプルトニウムの安全取扱い技術を含めて所要の研究開発を進め,MOX燃料加工の実用化を図っていくことが必要である。
MOX燃料については動力炉・核燃料開発事業団において,これまでの高速実験炉「常陽」及び新型転換炉原型炉「ふげん」用の燃料供給(昭和62年6月末までに累積約86トン)の経験を踏まえ,現在,高速増殖炉原型炉「もんじゅ」及び新型転換炉実証炉用の燃料供給の準備が進められている。
プルサーマル実証計画に必要なMOX燃料については,動力炉・核燃料開発事業団の設備を活用し,その設備増強等により対応することとしている。また,プルサーマルの本格利用時におけるMOX燃料供給については,原則として民間事業として実施することとし,今後具体的な燃料加工体制を確立していくこととしている。
高速増殖炉実証炉用MOX燃料については,1990年代の早い時期に具体的な燃料加工体制に関する考え方を定めることとしている。
〔プルトニウムの輸送〕
海外再処理によって回収したプルトニウムの国際輸送については,関係機関の緊密な連携の下に輸送体制の整備を図る必要がある。今後の輸送手段の一つである航空輸送については,原子力安全委員会において,現在,輸送安全性の調査・審議が進められており,動力炉・核燃料開発事業団においては,輸送容器の開発等が進められている。
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