5. 米国原子力軍艦の寄港に伴う放射能調査

 米国原子力軍艦の寄港に伴う放射能調査は,従来横須賀,佐世保の2港で実施していたが,昭和47年5月15日沖縄の本土復帰に伴い,新たにホワイトビーチにおける調査が加わった。このため原子力軍艦放射能調査指針大綱に,沖縄における放射能調査を追加するとともに,放射能調査に必要な機器を整備した。
 米国原子力軍艦のわが国への寄港については,昭和39年11月に原子力潜水艦シードラゴンが佐世保に初めて寄港して以来,昭和48年3月末までに通算102回(横須賀73回,佐世保20回,ホワイトビーチ9回)に達した。
 なお,昭和47年度の寄港実績は,横須賀25回9佐世保3回,ホワイトビーチ9回であった。

(1)放射能調査体制と機器の整備

 原子力軍艦の寄港時には,原子力軍艦放射能調査指針大綱に沿って,科学技術庁から職員を現地へ派遣し,沖縄県,横須賀市,佐世保市の職員および海上保安庁の担当者,さらに当該港湾市の所在する県の希望があれば県職員を加えて,現地調査班を編成し,放射能調査を実施している。
 現地調査班の調査内容は,①各モニタリングポスト(ホワイトビーチにおいてはモニタリングカーを含む)の定期的巡回,②モニタリングボートによる1月1回を原則とする所定のコースについて放射能測定の実施,③採取海水の波高分析器による指標核種の分析等である。
 昭和47年度においては,モニタリングポストの放射能測定装置を横須賀,佐世保とも各1式を更新するとともに,ホワイトビーチにモニクリングポスト(空間系のみ)2式を増設した。
 また,佐世保については,前年度の横須賀にひきつづき,各モニタリングポストと現地調査班本部との間を電話回線で結び,モニタリングポストの放射能の計数値が一定レベルを超えると自動的にアラームの鳴る自動警報装置全本部に設置し,調査の省力化をはかった。

(2)放射能調査結果の概要

 原子力軍艦の寄港に関連して横須賀,佐世保,ホワイトビーチおよび日本近海の海水,海底土,海洋生物について年4回(沖縄は2回)の定期調査を実施したほか,原子力軍艦出港後,その停泊地点で採取した海水,海底土の試料についても放射能調査を行なったが,平常と異なる放射能の値は検出されなかった。
 沖縄の本土復帰に関連し,復帰直後ホワイトビーチおよび那覇港周辺の海水,海底土,海洋生物についてバックグラウンド調査を実施したが,平常と異なる放射能の値は検出されなかった。
 なお,寄港時における調査結果は,「放射能調査研究成果発表会」等においてそれぞれ公表されている。


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