§1 国際原子力機関
4 IAEAの保障措置
(1) 再処理施設への適用
IAEAの新保障措置規則が40年に決定されたが,再処理施設への適用については,時期尚早との観点から決定されるにはいたらなかった。このため,41年5月,IAEAはワーキンググループを召集し,再処理施設保障措置を拡張適用することについて検討することとしたので,わが国からも参加した。
41年6月,理事会は,暫定的に再処理施設保障措置適用のための特別手続きを承認した。
(2) 加工施設への適用
IAEA保障措置の加工施設への適用については,第10回総会の一般演説において多くの国が関心を示し,42年2月,理事会において,本問題を次期理事会から検討することが決められた。
(3) IAEAの対日保障措置の実施
わが国は,米国,英国およびカナダとの間の原子力協力協定にもとづき,それぞれの国から原子力資材を入手するにともない,供給国側の保障措置を受けることとなっている。
一方,原子力協力協定の締結と同時に,その保障措置の実施をできるかぎり早い機会にIAEAに移管することが合意されている。これらの合意にもとづき,日米間の保障措置は,38年9月に署名され,11月に発効した。日米IAEA保障措置移管協定により,その実施がIAEAに移管された。また,日本,カナダとの間の保障措置についても,40年6月に署名,発効した。日加IAEA保障措置移管協定により,その実施がIAEAに移管された。
なお,日英間の保障措置についても,近くIAEAに移管される予定である。
41年度におけるIAEAの保障措置実施については,(第11-1表)のとおりである。
(4) 日加IAEA保障措置移管協定の発効
36年4月,日加原子力協力協定にもとづく保障措置の移管について,IAEA事務局に申し入れを行なって以来,日加間において保障措置移管協定についての交渉が続けられてきたが,40年5月にはカナダ原子力管理委員会委員長が来日し,協定内容についてほぼ合意に達し,40年8月,ウィーンにおける日本,カナダ,IAEA3者間の会議で最終的合意に達した。さらに,9月のIAEA理事会も同協定案を承認し,41年6月,ウィーンにおいて3者が署名し,即日発効した。
なお,この移管協定は,日加原子力協力協定の有効期間が満了する44年7月1日まで,効力を有することになっており,さらに当事国が廃棄しなければ,この協定は存続することになっている。
(5) 日英保障措置の移管
日英の移管交渉は,40年5月,ウィーンにおいて,日本,英国およびIAEAの3者間で協定の内容について最終的な合意に達し,その協定案は,40年6月,IAEA理事会において承認された。しかし,その発効は,日本原子力発電(株)の東海発電炉の商業運転開始後に行なう旨の合意がなされているので,いまだ実現していない。
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