§3 核燃料物質の使用等にともなう安全対策
1 再処理施設の安全審査
原子力委員会は,39年5月,公社の再処理施設および原研の再処理試験施設に係る安全性について審査を行なうため,再処理施設安全審査専門部会を設置することを決定した。
同専門部会では,公社が建設を予定している再処理施設について,公社の資料にもとづき立地条件,再処理工程,再処理施設の構造および設備の安全性,安全対策等を予備的に検討するとともに,原研の再処理試験施設のコールド試験上の問題点について検討した。このうち,公社の作成した資料は,英国ニュークリア・ケミカル・プラント社の予備設計にそつたものであったが,その後,公社は,フランスのサンゴバン・テクニック・ヌーベル(SGN)社との詳細設計の契約を行ない(41年2月認可),施設および技術にも変更が予想されるにいたつた。このため,部会としては,今後SGN社の設計を折り込んだ安全審査のための書類の提出をまって本格的審査を行ならことになっている。一方,原研においては,すでに40年1月から再処理試験施設でコールド試験を行なってきたが,その後,この試験結果にもとづき,施設を改造のうえ,42年度後半から使用済燃料を用いて,ホット試験を開始することを計画している。この試験施設についても,ホット運転にはいる前に改めて安全審査を行なう予定である。
2 核燃料物質の使用許可および検査
核燃料物質(天然ウランの場合300グラム以上)を使用しようとする者は,原子炉等規制法により,内閣総理大臣の許可を受けなければならない。許可をうけた使用事業所数は,原子炉の設置,核燃料技術の開発および核燃料物質の基礎研究の進展にともない,(第5-2表)に示すとおり,年々増加し,40年度末で70件となった。
これらの事業所に対しては核燃料物質の安全な取扱いを確保するため,原子炉等規制法にもとづき,その使用状況等について立入検査が行なわれている。40年度は,約20カ所の事業所を検査した。その結果,使用状況等は,おおむね良好であった。
1グラム以上のプルトニウムまたは100キュリー以上の使用済燃料の使用施設については,施設検査を受けて,これに合格し,さらに,保安規程を定めてその認可を受けたのちでなければ使用してはならない。この種の施設のうち,原研のホツトラボラトリは増設が行なわれ,使用済燃料の最大取扱いキュリー数が30万キュリーまで可能となり,40年度より,原電東海炉等の使用済燃料のモニタリング試験を行なっている。また,原研のプルトニウム研究棟が増設され,また,公社のプルトニウム燃料開発室が新設された。このため,これら施設の施設検査は,40年度に,工事中および完成後検査を含めて,8回行なわれた。
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