第3章 核燃料
§2 核燃料の開発
§2 核燃料の開発
1 探鉱
核原料物質の探鉱は,40年度もウラン鉱について通商産業省工業技術院地質調査所(地質調査所)による概査および原子燃料公社(公社)による精査により実施された。
国内における核原料物質の探鉱促進をはかることを目的として制定された核原料物質開発促進臨時措置法は41年5月までの時限法となっていたが,今後ともひきつづき核原料物質の探鉱を促進し得るよう,さらに10年間延長されることとなった。
公社では,延長の主旨にそい,これまでの成果をもとに,今後10年の探鉱計画を作成し,41年度以降その具体化に努力することとしている。
地質調査所では,31年度から10カ年計画でわが国総面積の半分以上にあたる20万平方キロメートルについて概査を実施し,40年度にこれを終了した。この結果,約1万6000平方キロメートルに及ぶウラン資源の賦存する有望地域を定めることができた。
40年度においては,青森県,秋田県,福島県,茨城県,滋賀県,和歌山県にカーボーン調査およびマンボーン調査による放射能強度分布概査を実施し,福島県,阿武隈山地区に放射能異常を認めた。また,すでに放射能異常を認められている北海道今金地区,大櫓地区,秋田,山形県境地区,岩手県花巻地区,宮城県鳴子地区,丸森地区,岐阜県岩村地区,愛知県瀬戸地区,広島県三次地区等においてカーボーンおよびマンボーン調査による放射能異常地調査を実施し,今金,岩村両地区においてはU308品位で数千分の1程度の露頭を発見した。岐阜県東濃地区については,37年度発見して以来,集中的に各種の調査を実施してきたが,40年度からは,調査地域の中心をその周辺地区の瀬戸市,岩村町等に移して調査を行ない,成果をおさめた。
公社では, 39年度にひきつづき人形峠,倉吉および奥丹後各地区の既知鉱床の周辺部について,地表調査,科学探鉱および試錐探鉱によって,鉱床の把握につとめるとともに,人形,倉吉両地区の周辺地域および新潟県上赤谷,岩手県花巻,加賀水沢,宮城県大内等の地域において地表調査を行ない新鉱床の発見につとめた。岐阜県,東濃地区における探鉱については,広範囲にわたり多数の放射能異常地露頭および鉱床を発見しており,今後の発展が期待されるので,40年9月に,岐阜県土岐市内に東濃探鉱事務所を設置した。瑞浪市月吉地区等で行なった試錐探鉱の結果,人形峠鉱床に匹敵する鉱床を発見し,現在,なお鉱床の東側延長を追跡して鉱量の把握につとめている。
以上の探鉱により,40年度に発見されたウランの埋蔵鉱量は確定,推定および予想鉱量の合計で170万6千トン(U308含有量885トン)であり,41年4月1日現在の埋蔵鉱量は(第3-1表)のとおりである。
その他一部の大学による鉱床の成因等の研究が行なわれたが,民間企業による探鉱活動は行なわれなかった。
目次へ 第3章 第2節(2)へ