§3 試験炉
2.材料試験炉
原子力委員会は,38年,材料試験炉専門部会の報告を検討して,熱出力5万キロワットの材料試験炉(JMTR)を43年度完成を目途とし,原研に建設することを決定した。
JMTRは,動力炉の国産化等に資するため,原子炉材料と燃料の各種照射試験等を行なうことを目的とするものであって,この目的およびその維持,保守等の便宜を考慮して,国産によることとし,原研は,38年度中にJMTRの仕様書を完成し,39年7月,JMTR契約基本方針を決定した。この方針は,わが国の原子力5グループの能力を総合して,その特色をいかすために各グループの代表会社5社を契約の相手方とし,かつ総合性能試験を含め,設計から引渡しにいたるまでの責任を5社の共同責任とする考え方にもとづいて決定された。
JMTR建設契約は,原研と代表会社5社との間で40年3月31日に締結された。契約金額は26億8110万円で,納期は43年9月30日である。各社の主な業務分担については,住友原子力工業株式会社が原子炉付属設備および実験設備,日本原子力事業株式会社が原子炉圧力容器,計測制御装置の一部,燃料および反射体,株式会社日立製作所が炉心構造物および計測制御装置の一部,富士電機製造株式会社が2次冷却系,三菱原子力工業株式会社が1次冷却系をそれぞれ分担することとなった。
JMTRの運転に必要なデータをえるための臨界実験装置およびJMTRの建屋については,別途,原研から民間企業に発注されている。
JMTRの設置予定地である大洗研究所については,その敷地の地質調査,気象観測等がすすめられ,40年4月22日,起工式が挙行された。
JMTRの安全審査については,40年1月19日,原研から安全審査のための申請書が提出され,原子炉安全専門審査会において審査されている。
このほか,原研は,JMTRのトランジスタ化計装フィルタの開発,ループの開発,運転要員の養成等を行なっている。
なお,JMTR仕様一覧および工程表は,付録IV-1およびIV-2に示すとおりである。
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