第4章 核燃料
§2 わが国の開発状況
§2 わが国の開発状況
2−2 採鉱試験
人形峠鉱山およびその周辺地区は,探鉱の進展とあいまって鉱量も増大し,開発の対象として考慮されるようになり,燃料公社は,34年度から,各種採掘試験を行なってきた。36年度は,前年度までに検討してきた鉄柱カッペによる長壁式跡払い採鉱法の技術的成果を基に,わが国の推積型ウラン鉱床中にかなりの部分をしめる厚層部分の完全かつ,合理的採鉱法を検討するため,人形峠鉱山の4〜5m厚層部に切羽長20mの試験切羽を設け,厚層採鉱法として,長壁式二段採鉱法の適用試験を行なった結果,一段切羽と同様に,完全に採掘可能であることが判明した。作業量としては準備坑道を約200m近く掘進し,長壁式2段採掘切羽では,上,下段合わせて,約3000m3の区域を採掘試験した。
また,人工天盤の材料,強度,上下段切羽の間隔,切羽および片盤杭道への運搬法等,種々検討した結果,より安全に実施し得る確信が得られた。
また,36年度下期には,高能率,低コストの採鉱法の開発を目的として坑道の一画に,試験切羽を設け,水力採掘現場適用予備試験が実施された。この結果,鉱石面における有効破砕圧力として,6.2-6.9kg/cm2が測定され,いつぽう切羽,天盤,側壁へおよぼす水の影響,鉱石の流出状況,噴流水による鉱石の押し流し状況等の観察が行なわれた。
今後は,これらの採掘法を鉱床の状況によって適時適用し進めるが,主として,二段採掘法が主力をなす見通しである。
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