第4章 科学者,技術者の養成
§1 概説
§1 概説
原子力の研究開発をすすめるためには,高度の知識,技術水準をもつ多数の,しかも専門的分野の多岐にわたる科学者,技術者を必要とすることはいうまでもない。ちなみにすでに20年以上にわたり原子力の研究開発をおこなつている米国において,当面の原子力関係科学者,技術者所要人員は原子力委員会およびその契約者における23,500人を中心に総計約34,000人といわれている。これに対して現在原子炉工学,冶金工学,電気,機械工学等の専門家の不足があらわれており,将来事業規模の拡大とともに科学者,技術者の不足が深刻な問題となることが憂慮されている。
かように多岐,多数にのぼる科学者,技術者を確保するため,各国とも原子力以外の分野における科学,技術の発展と関連せしめつつ,大規模な養成計画が立案または実施されている。
わが国においても原子力平和利用の進展はすでに初期段階における研究開発態勢の整備をおわり,研究規模の拡大,本格的開発利用段階へ移行する時期に到達しつつある。これにともなつて各大学における基礎研究,日本原子力研究所,各国立試験研究機関等における基礎ならびに応用研究に従事する科学者,技術者をはじめとして,原子燃料公社,各電力会社,海運会社および機器材料メーカー等の各産業部門において開発利用にたずさわる科学者,技術者数はようやく増加しつつあり,今後その所要人員は急速に増大するものと予想されている。
さらにアイソトープ関係についてみれば,その利用の広汎化を反映して放射線障害防止法にもとづく放射線取扱主任者は,3月23,24両日におこなわれた国家試験の結果,応募者468名中145名が合格しており,今後第2回以後の国家試験によりますます増加するものとおもわれる。
かように急速な増加が予想される原子力関係科学者,技術者を確保するため,現在原子力委員会において原子力開発利用長期基本計画の一環として科学者,技術者養成計画の立案を準備検討中であるが,以下32年度中の養成実績をふりかえつてみよう。
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