第1章 原子力基本法の制定まで
§2 原子力平和利用の準備態勢
§2 原子力平和利用の準備態勢
29年度原子力予算の執行に当り原子力政策の根本方針を審議するため,内閣に原子力利用準備調査会を置くことが 29年5月11日の閣議で決定された。この調査会は学識経験者3名ならびに関係閣僚をもつて組織され,次の方針が定められた。
1)わが国将来のエネルギー供給その他のために原子力の平和的な利用を行うものとする。
なお,この調査会に一般的事項を議するため,総合部会が設けられ次の事項が討議された。
2)前項の目的に資するため,小型実験用原子炉を築造することを目標として,これに関連する調査研究および技術の確立等を行うものとする。
1)放射性同位元素の取扱い
29年度の原子力予算は通産省工業技術院の補助金であつたので,通産省では29年6月19日に原子力予算打合会を設置し,予算の実施に関する重要事項を審議することにした。
2)米国からの濃縮ウラン賃貸借に関する双務協定
3)原子力平和利用国際会議への参加
4)原子炉設置計画の設定
5)ウラン資源の探査
6)大学の研究用原子炉設置
この予算打合会の決定に基き海外の原子力事情を調査し,わが国の原子力開発に資するため,14名からなる調査団が29年12月から約3ヵ月間欧米各国に派遣された。この調査団の報告は30年5月提出され,次のような重要な勧告がなされた。
1)わが国に建設される小型実験炉は天然ウラン重水型とし出力は1万kW程度とすべきこと
2)日米原子力研究協定を締結すること
3)原子力開発の統括機関を早急に整えること
4)原子力開発の実施機関を至急創設すること
5)放射線に対する安全対策を講すること
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