我が国のプルトニウム管理状況
平成13年10月2日
内 閣 府
文部科学省
経済産業省
- Ⅰ.趣 旨
- 原子力開発利用長期計画においても示されているとおり、原子力の開発利用に当たっては核不拡散への配慮が不可欠である。特にプルトニウム利用に関しては、NPT体制のもとでIAEAの保障措置により厳格に管理するとともに、管理の透明性の確保に取り組むことによって、国内外の理解を得てきたところである。「我が国のプルトニウム管理状況」は、このような観点から前年末時点における利用形態も考慮した施設区分ごとのプルトニウムの量を取りまとめて公表するものである。
- Ⅱ.公表データについて
① プルトニウム量は元素重量をkg単位で示し、カッコ内は昨年の公表値である。 ② 「分離プルトニウム」とは、再処理工場の抽出工程で分離されてから原子炉に装荷されるまでの状態のプルトニウムを示す。また、臨界実験装置等の研究開発施設で使用されているプルトニウムも「分離プルトニウム」として扱っている。 ③ 原子炉等に存在する分離プルトニウム量は、原子炉(常陽、もんじゅ、ふげん及び実用発電炉)にあっては新燃料に含まれるプルトニウム量を示し、装荷された場合はプルトニウム量の減として処理される。「研究開発」には、原研、JNC、大学等の研究施設に保有されている未照射プルトニウムを示し、研究施設のうち臨界実験装置の燃料は装荷されていても未照射として扱っている ④ 「原料となる酸化プルトニウムの使用状況」とは、酸化プルトニウムが燃料加工の基本となる原料であり、プルトニウム利用の透明性を図る観点から、その管理状況を示すことが必要と考えられることにより、供給量及び使用量を示すものである。 ⑤ 酸化プルトニウムの「供給量」には、「JNC再処理施設回収量」と「海外からの移転量」がある。前者は、JNC再処理施設混合転換工程において混合転換粉となり、原料貯蔵区域へ移送された量として定義している。後者は、海外再処理によって回収された酸化プルトニウムを燃料集合体に加工せずに国内に輸送した場合に相当する。 ⑥ 酸化プルトニウムの「使用量」とは、JNCプルトニウム燃料加工施設の原料貯蔵区域に貯蔵されている酸化プルトニウムのうち、加工工程に払い出した正味のプルトニウム量と定義している。 ⑦ 海外の酸化プルトニウムとは、我が国の電気事業者が英仏に再処理を委託し、回収され保管されているプルトニウムである。 ⑧ 「国際プルトニウム指針に基づきIAEAより公表されている各国のプルトニウム保有量」は、IAEAが公表している各国の国内に保有するPu量を一覧としてまとめたものである。
国際プルトニウム指針に基づきIAEAより公表されている
各国のプルトニウム保有量(2000年末現在)
(対象:民生プルトニウム及び防衛目的にとり不要となったプルトニウム)
平成13年10月2日
(単位:tPu)
未照射プルトニウム 使用済燃料中のプルトニウム 米国2) 45.0 327 ロシア 33.4 74 英国1) 72.5 46 フランス1) 81.2 159.8 中国2) 0 (報告対象外)* 日本 5.3 78.9 ドイツ1) 7.19 42.65 ベルギー1) 3.9 17 スイス 0.6 7 注) 上記はそれぞれ自国内にある量。
1) 1999年末現在 2) 1998年末現在
* 中国は、未照射プルトニウム量についてのみ公表する旨表明。
(参考)国際プルトニウム指針について
1994年 2月 プルトニウム利用の透明性向上のための国際的枠組みの構築について、関係9ヶ国(米、露、英、仏、中、日、独、ベルギー、スイス)による検討を開始 1997年12月 プルトニウム利用に係る基本的原則とともに、プルトニウム保有量の公表等を定めた国際プルトニウム指針を9ヶ国が採用を決定 1998年 3月 指針に基づきIAEAに報告された各国のプルトニウム保有量及びプルトニウム利用に関する政策ステートメントについて、IAEAが公表