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廃炉技術の開発 日本原子力研究所
Ⅰ 廃炉技術開発の必要性 わが国で現在運転中の原子力発電所は22基、約1,500万kWeに達しているが、原子炉の寿命を30年と仮定すると、今から約20~25年後にはその半数が寿命に達するであろう。さらに、今後の原子力発電所の建設運転計画の予測からは、2020年代には毎年5基程度の発電所が運転寿命に達することになり、これらの発電所を安全に措置するための廃炉技術が必要となる。 原子力発電所の廃炉方式は、大きくは「解体」と「安全貯蔵」に分けることができるが、狭隘な国土状況のなかで一層の原子力発電に依存せざるを得ないわが国においては、用地確保及びパブリック・アクセプタンス確立の観点から、最終的には「解体」方式の廃炉方式を採ることが望ましいと考えられ、今後の原子力発電を進めるためには、原子炉解体技術の開発を行って早期にその技術確立を図ることが必要である。 なお、「安全貯蔵」のための技術の大部分は、この「解体」方式の技術に包含されるものと考えられ、この観点からも解体技術の開発を行うことが有効である。 運転寿命に達する原子力発電所基数 Ⅱ 主な廃炉方式と特徴 Ⅲ 海外の動向 1. 米国
現在までに廃炉となっているものが多数あるが、なかでもElk River炉は、解体撤去を実施した代表的なものである。 今後、予想される大型炉に備え、民間等に委託して技術開発を実施している。 (1) 原子力規制委員会(NRC)
再処理施設、PWR・BWR原子力発電所、混合酸化物燃料加工工場等の原子力施設のデコミッショニングに関する技術、安全及びコストについての調査、報告書をまとめた。 (2) エネルギー省(DOE)
イ. デコミッショニング計画書(RLO/SFM-79-4)によれば、1980年から20年間に4.2億ドルを費して、所管の遊休原子力施設(486基)を措置する具体的計画を明らかにした。 ロ. 放射能インベントリ、除染技術、鋼構造物切断、コンクリート構造物解体、廃棄物処理等について約50機関の協力を得て現状技術を調査し、デコミッショニングハンドブック(DOE/EV/10128-1)を1980年にまとめた。 2. 英国
英国原子文公社(UKAEA)
イ. WAGR(ウィンズケール改良型のガス炉)の廃炉ケーススタディを了え、もとの緑地に復元する予定としている。 ロ. DFR(ドーンレー高速炉)は、現在運転停止中であるが、廃炉とすることを決定した。 3. 仏国
(1) 研究炉及び臨界集合体の解体経験を有している。 (2) 動力炉では、G-1(ガス冷却炉)及びChinon―1(ガス冷却炉)を密閉管理した経験を有している。 4. 西独
(1) Nuklear Ingenier Services GmbH(NIS)
900~1300MWeのPWR及びBWRの廃炉についてケーススタディを行い、現状技術で可能であるこを報告している。(Nucl.Eng.&Design45(1978)1~51)
(2) 西独原子力学会(KTG)
FR-2(研究炉)、KKN(Niederaich bach炉)、KRB-1(Gundremingen BWR)、HDR(BWR)、Lingen BWR及び原子力船“Otto Hahn”号の6基が解体の対象となっており、それぞれの計画が討議された。(Nucler News Jan.1981)
(3) Karlsruhe研究所(KFK)
Niederaichbach炉(KKN)の解体計画書も作成され、NOEL/NIS合弁会社により、実施のための契約を完了した。 5. カナダ
カナダ原子力公社(AECL)
(1) NRU(重水型研究炉)及びNRX(重水型研究炉)の炉容器の交換経験を有している。 (2) Bruce原子力発電所(CANDU型炉)の熱交換器及び配管の除染経験を有している。 6. スウェーデン
(1) 密閉管理中のAgesta炉の除染に関する国際協力プロジェクトをOECD/NEAを通じ提案した。 (2) Studvik研究所のプレストレストコンクリートの解体を国際協力で行うことを提案している。 Ⅳ 海外の廃炉例 1. 米国における廃炉の代表例 2. ヨーロッパにおける廃炉の代表例 Ⅴ 我が国の廃炉研究調査の状況 我が国では、昭和52年度頃から廃炉問題に関する調査検討が本格的に実施されており、ハード面での技術開発が緒につこうとしている段階にある。技術開発の方法としては、既存技術をベースにこれを改良することによって、原子炉施設の解体に適用し得るとの共通の認識が得られつゝある。 廃炉関係主要調査状況 Ⅵ 廃炉技術開発計画の概要 1. 廃炉技術開発項目とその概要 2. 廃炉技術開発の流れ |
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