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東京電力株式会社福島原子力発電所の原子炉の
設置変更(4号炉増設)に係る安全性について



昭和46年12月17日
原子炉安全専門審査会

原子力委員会
 委員長 木内 四郎 殿

原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄


東京電力株式会社福島原子力発電所の原子炉の
設置変更(4号炉増設)に係る安全性について


 当審査会は昭和46年8月12日付け46原委第300号(昭和46年12月16日付け46原委第474号をもって一部訂正)をもって審査の結果を求められた標記の件について、結論を得たので報告します。



Ⅰ 審査結果

 東京電力株式会社福島原子力発電所の原子炉の設置変更(低濃縮ウラン、軽水減速、軽水冷却の沸騰水型原子炉1基を増設)に関し、同社が提出した「福島原子力発電所原子炉設置変更許可申請書(4号炉増設)」(昭和46年8月5日付け申請、昭和46年12月9日付け一部訂正)に基づいて審査した結果、本原子炉施設の変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。



Ⅱ 審査内容

1. 変更計画の概要

 本変更は、先に設置許可を受けた福島原子力発電所に、新たに4号炉を増設しようとするもので、立地条件および施設の概要は次の通りである。

1.1 立地条件

 本変更に伴ない設置される4号炉は、既設の3号炉の南側に隣接して設置されるもので、敷地および周辺環境の状況、敷地付近の地質、海象、気象および地震活動性からみた立地条件は本変更においても変ることはない。敷地面積は、3.200,000m2である。
 また、4号炉に必要な淡水量は約1,200m3/日であり、1、2、3、5号炉と合わせて約5,800m3/日となるが、敷地内で利用できる深層地下水の流動水はほぼ3,000m3/日と推定される。このため、申請者は将来の需要を考え、現在福島県で建設中の熊川水系大河原川の坂下ダム計画に参画し、昭和48年4月には最大11,000m3/日の淡水を取水可能とし、必要な淡水量を確保することにしている。
 復水器冷却用水には発電所前面海域より海水を取って使用し、4号機による取水は40m3/secであるがこれに伴なう問題はない。
 4号原子炉施設の支持地盤は、1、2、3号炉の際の試堀横坑による各種試験に加え、追加ボーリング調査を実施し、その結果支持地盤として十分な耐力を有するものであることが確認されている。

1.2 原子炉施設

 4号炉は、熱出力約2,380MW(電気出力約780MW)の直接サイクル強制循環沸騰水型であり、その仕様は3号炉および5号炉と同一である。すなわち、炉心部は円筒形鋼製圧力容器に収められている。
 燃料としては、従来の沸騰水型原子炉で用いられている低濃縮(一部天然)二酸化ウラン焼結ペレットをジルカロイ-2製の被覆管に入れた燃料棒、および低濃縮ウランにバーナブルポイズンとしてガドリニアを加えて焼結したペレットを同じくジルカロイ-2製被覆管に入れた燃料棒2種を組合せた集合体約550個が使用される。その装荷量はウランで総重量約107トン、ウラン235で第1炉心約2.3トン、平衡炉心約2.8トンである。
 制御棒はボロンカーバイドの粉末を充填したステンレス鋼管を十字形に配列したもので、圧力容器の下方から水圧により駆動される。
 なお、圧力容器内には気水分離器およびジェットポンプが収められる。
 冷却系は給水系、再循環系および主蒸系からなっている。
 原子炉の制御は、制御棒の操作および一次冷却材再循環流量の調整によって行なわれる。
 圧力容器、再循環回路等原子炉の主要部分は鋼製格納容器に収められている。
 格納容器は、ドライウェルとサプレッシヨンチエンバを備えた圧力抑制型で、原子炉建家内に設置される。
 そのほか、放射性廃棄物処理施設、放射線管理施設等が設けられる。

2. 安全設計および安全対策

 本更変にかかる原子炉施設は、次のような種々の安全設計および安全対策が講じられることになっており、かつ、「安全設計審査指針」にも適合しているので十分な安全性を有するものであると認める。

2.1 核、熱設計および動特性

(1)核、熱設計

 実効余剰増倍率は第1炉心(平均濃縮度約2.2w/o)の初期には約0.12(△k)であり、第2炉心以降は平均濃縮度約2.7w/oの燃料を装荷する計画であるが、その場含も0.15(△k)以下に保つことにしている。
 炉心冷却水の圧力および温度は、原子炉出口において定格出力運転時にそれぞれ約72kg/cm2absおよび約286℃である。
 定格出力運転時における燃料の最高線出力密度は約0.61kw/cmで最高被覆温度および最高中心温度は、それぞれ約400℃および約2,500℃である。ガドリニア入りの燃料棒については、最大線出力密度は約0.49kw/cmを越えないように設計されている。また、この時の最小限界熱流束比(MCHFR)は1.9以上である。
 本原子炉の燃料の設計基準は、過渡状態でも燃料破損が生じないこととしており、その燃料破損の限界として、限界熱流束(CHF)をこえず、またジルカロイ被覆の円周方向の平均の伸びは1%をこえないこととしている。
 これは一部燃料中心溶融が生じても燃料被覆は破損しないという実験結果にもとづいたものである。

(2)動特性

 本原子炉は、ドップラ効果、冷却材のボイド効果等により負の反応度出力係数をもち、制御棒の操作等に起因する反応度の外乱に対して自己制御性を有している。
 反応度帰還による原子炉系の安定性は、再循環流量による出力の制御範囲を制限する(100%再循環流量に対する出力の100~75%)ことによって、炉心寿命の初期においても十分に維持される。

2.2 燃料

 燃料は二酸化ウランペレットおよびガドリニア入りペレットを長さ約4mのジルカロイ2-製の被覆管(肉厚約0.8mm)に入れたものである。
 燃料被覆管はペレットによる内部からの支持がなくても外圧によって、つぶれることない自立形の設計であり、燃料棒上部に設けられたプレナム体積も最高燃焼度35,000MWD/tに応じて核分裂生成ガス等の蓄積により過大な内圧上昇をもたらさないよう十分大きくとってある。
 燃料集合体は上下燃料棒支持板を結びつける8本の燃料棒と1本のスペーサー支持燃料棒によって保持され、燃料棒はすべて長さ方向の自由膨脹ができる構造になっている。

2.3 計測および制御系

(1)核計測系

 核計測については、検知器が炉心の全域に配置され、炉心内の局部的な中性子束上昇が検知できるように設計される。

(2)安全保護系

 安全保護系は、電源喪失、回路の断線等に対してフェイルセイフな設計であり、中性子束、原子炉圧力、原子炉水位等の重要な検出要素については、独立した検知回路が多数重複して設けられ、安全動作の確実性を高めるよう配慮されている。

(3)反応度制御系

 制御棒の反応度抑制効果は、合計で実効増倍率の変化にして約0.17(△K)である。また、最大反応度抑制効果を有する制御棒1本が引抜かれ、その他のすべての制御棒が挿入された状態で、実効増培率は0.99をこえることはないようにされ、制御棒はどの1本が引抜かれた状態でも原子炉を停止させる能力をもっている。
 制御棒は水圧式駆動機構により下方から操作される。スクラム動作は制御棒ごとに設けられたアキュムレータの水圧によって行なわれるがその圧力が低下した場合には炉内圧力によって行なわれる。スクラム動作に必要な弁は空気系によって操作され、空気圧の低下に対してフェイルセイフな設計となっている。この方式については、使用経験によって信頼性が確かめられている。
 このほか、後備停止装置として手動のほう酸水注入系があり、単独でも炉を停止させる能力をもっている。
 以上のような配慮がなされているので、いかなる場合でも原子炉の停止は確実に行なわれると考える。
 また、制御棒には、誤って炉心内から脱落した場合の落下速度を制限するために、速度リミッタが設けられる。
 圧力容器の下側には、制御棒駆動機構シンブルが破損しても、制御棒が逸出しないようにシンブル支持機構が設けられる。

(4)制御棒操作

 制御棒の操作は、運転員が所定の手順に従って行ない、操作手順は、安全上、制御棒1本あたりの効果が過大とならないように定められる。
 運転員の誤操作に対しては、後備保護装置として制御棒価値ミニマイザおよび制御棒引抜監視装置が設けられており、誤動作は自動的に阻止される。従って、この制御棒価値ミニマイザの働きによって実効増倍率の増加は0.025(△K)をこえることはない。
 また制御棒引抜監視装置の働きによって部分的に高出力となって燃料損傷を来すような制御棒の連続引抜きもない。

(5)出力制御系

 原子炉の出力制御は、手動による制御棒位置および自動または手動による原子炉再循環流量の調整によって行なわれる。
 炉心冷却材の圧力は初圧調整装置により常に一定に保たれ、冷却材流量は再循環ポンプの回転数を制御することにより調整される。すでに述べたように、流量調整による出力制御範囲は、原子炉系の安全性を考慮して定められる。
 炉内の中性子束が流量に対応して定められた許容限界をこえるとインタロックによって制御棒の引抜きは阻止される。

(6)中央制御室

 中央制御室には、原子炉施設の運転に必要なすべての計測制御装置が設置されている。また中央制御室は事故時においも運転員が安全に所要の措置をとりうるように遮蔽、換気等の放射線防護上の配慮がなされている。

2.4 原子炉容器および原子炉冷却系

(1)原子炉容器、配管等

 圧力容器、配管等は、わが国の法令を満足するように設計製作される。
 また、材料の疲労および応力集中などについて解析を行ないこれらに十分耐えることを確認することになっている。
 さらに、圧力容器は圧力を受けている間は、容器の温度をNDT+33℃以上保つようにし、必要があるときは加熱できるようになっている。なお、中性子照射による材料の機械的性質の変化を監視するため、圧力容器内に照射試料を挿入することになっている。

(2)安全弁、逃がし安全弁、タービンバイパス系等

 格納容器内の主蒸気管には、安全弁および逃がし安全弁が設けられ、事故時に原子炉系に生ずる異常な圧力上昇を抑えるようになっている。また主蒸気管には、定格蒸気流量の25%をバイパスして、主復水器に導くタービスバイパス系が設けられ、原子炉起動時、停止時およびタービン発電機トリップ時の主蒸気圧力の調整を行なうことができるようになっている。
 そのほか、原子炉停止後の炉心崩壊熱を除去する原子炉残留熱除去系が設けられる。

2.5 燃料取扱系

 燃料取替は、炉心上に水を張り、移動床に取り付けられた燃料つかみ器で行なわれる。このつかみ器は、駆動源喪失時においても燃料を落さないような構造に設計される。
 また、燃料取替時に破損燃料を検知する装置が設けられており、破損の大きな燃料は容器に詰められる。さらに、燃料取替中は、臨界防止のためインタロックによって制御棒は引抜けないようになっており、また制御棒は、周囲の4個の燃料集合体を取り出さなければ、取出すことができないような構造になっている。

 燃料プールは、原子炉建家内に設けられ、炉心装荷量および1回分取出し量以上の燃料ならびに使用済制御棒等を貯蔵する能力を有するように設計され、かつ、冷却、浄化、臨界防止等について十分配慮される。

2.6 廃棄物処理系

(1)気体廃棄物

 気体廃棄物の主要部分を占める主復水器空気抽出器からの排ガスは、排ガス中の水素、酸素を再結合させたのち、減衰管、活性炭式希ガスホールドアップ装置で放射能を減衰させ排気筒から大気中に放出する。また、タービン衛帯蒸気復水器排出器からの排ガスは減衰管を通し排気筒から放出する。
 活性炭式希ガスホールドアップ装置は、活性炭による希ガスの可逆的吸着現象を利用し、放射性のXe,Krの減衰を行なうもので、ガス減衰タンクに比べはるかに大きな減衰能力があると認められる。
 定常運転時には、装置の前後に設けられる放射能検出器によりその性能が維持されていることが確認される。
 なお、排気筒は地上120mの高さであり、敷地周辺の台地上からみた高さは約100mである。

(2)液体廃棄物

 液体廃棄物は液体廃棄物処理施設で処理され汚染された廃水は、低レベルのものを除き、放出されない。
 冷却系およびタービン系からの高レベルの機器ドレンは、フィルタおよび脱塩装置によって処理され、再使用される。各建物の床ドレンは、フィルタを通して、濃縮装置および脱塩装置で処理されサンプルタンクに貯留された後、原則として再使用される。
 樹脂再生の際に生ずる廃液は、一般に高レベルであるので、中和後、濃縮、固化される。
 低レベルの液体廃棄物は、復水器冷却水で希釈して放出される。

(3)固体廃棄物

 高レベルの使用済制御棒、燃料チャンネルボックス等は、燃料プールに貯蔵される。その他の固体廃棄物は、ある期間貯蔵タンクで減衰させた後、ドラム缶詰めにして固体廃棄物置場に一時保管される。

2.7 放射線管理

(1)放射線遮蔽等

 放射線遮蔽は従業員の作業時間に応じ、その被ばく線量が現行法令に規定された許容量を十分下回るように設計される。
 換気系は、主要な場所ごとに別系統となっており事故時における放射能汚染の拡大防止等について十分配慮される。

(2)廃棄物の放出管理

 気体廃棄物の放出に当っては放射能レベルは連続的に測定される。4号炉の気体廃棄物の最高放出率は1日平均7.3mCi/secに抑えられ、装置に不具合が生じた場合は年間を通じ1ケ月に限り18.3mCi/sec以下に抑えることになっている。
 放出される低レベル液体廃棄物は、復水器冷却水で稀釈され、その濃度は法令に定める許容値以下にすることにしている。
 固体廃棄物は、これを海洋投棄する場合には関係官庁の承認を受けることにしている。

(3)放射線監視

 発電所の敷地内における放射線監視は、固定モニタよる連続監視、移動モニタによる定期監視、サンプリング測定等によって行なわれる。また、個人の被ばく管理に必要な機器も備えられる。
 敷地外に関連する放射線監視については、敷地境界周辺と敷地外の集落とにそれぞれ数個所モニタリングポストおよびモニタリングステーションが設けられ、さらに放射能観測車も備えられる。
 これらにより周辺一般公衆の被ばく線量が法令に定める許容値をこえないことを常に確認することになっている。

2.8 原子炉の非常冷却

 通常の原子炉冷却機能が失われるような事故時においても、原子炉停止後の炉心崩壊熱を除去しうるように、次の配慮がなされている。

(1)原子炉隔離時冷却系

 原子炉隔離時冷却系は原子炉への給水が停止し、かつ、原子炉が主復水器から隔離された場合に、蒸気の一部を利用してタービン駆動ポンプにより復水貯蔵タンク水または残留熱除去系熱交換器で冷却された一次冷却材を炉内に補給する系統でこれにより炉心水位を維持する。また、この系統はサプレッションプールの水も炉内に補給することができる。
 この系は外部電源を必要としない。

(2)炉心スプレイ系

 炉心スプレイ系は再循環回路の破断のような冷却材喪失事故の場合にサプレッションプール水を炉心上にとりつけられたノズルから燃料集合体にスプレイする系統で、大破断に対しては単独で中破断に対しては高圧注水系または自動逃がし弁と連携し、燃料の過熱溶融を防止できるようになっている。この系は独立な2系統からなっていて、非常用電源にも接続される。

(3)低圧注水系

 低圧注水系は炉心スプレイ系と同様、再循環回路の完全破断のような大破断に対して単独で、中破断に対しては高圧注水系または自動逃がし弁と連携し燃料の溶融を防止する系統である。サプレッションプールから冷却水を汲み上げ、破断していない方の再循環配管を通して圧力容器内に注入する。この系は2系統からなっており、非常用電源にも接続される。

(4)高圧注水系

 高圧注水系は1次配管の小破断に対しては、単独で、中破断に対しては炉心スプレイ系または低圧注水系と連携して燃料の溶融を防止するための系統で、タービン駆動ポンプにより復水貯蔵タンクまたはサプレッションプールの水を給水配管を経て炉心に注入する。この系は外部電源を必要としない。

2.9 放射性物質の放出防止

 事故時においても、周辺環境に大量の放射性物質が放出されないように次のような配慮がなされている。

(1)圧力抑制型格納容器

 圧力容器、再循環回路等を完全に取囲む格納容器が設けられる。
 格納容器は、ドライウェルおよびそれにつながるサプレッションチエンバからなる圧力抑制型であり、再循環回路破断等の事故によって炉心に蓄積された放射性物質が原子炉建家へ漏洩するのを抑制するようになっている。
 運転中は、格納容器には窒素ガスが充填され事故に伴うジルコニウム-水反応によって発生する水素の燃焼を防止するようになっている。
 また、格納容器は運転中容器の温度をNDT+17℃以上に保つことになっている。

(2)格納容器冷却系

 サプレッションチェンバ内のプール水をドライウェル内にスプレイできる格納容器冷却系が設けられ、格納容器の圧力抑制効果を高めるようになっている。
 なお、この系は独立な2系統からなり、非常用電源にも接続される。

(3)隔離弁等

 格納容器を貫通する主蒸気管などの主要な配管にはドライウェルの内外で2個の隔離弁が設けられ、事故時に放射性物質が周辺環境に放出されないようになっている。
 なお、主蒸気隔離弁は十分短かい時間(3~4.5秒)で閉鎖できるように設計されるが、さらに主蒸気管には、破断事故時に冷却材の放出量を制限する流量制限器が設けられる。

(4)非常用ガス処理系

 原子炉建家内は、常時負圧に保たれており、事故時に格納容器から漏洩してくる放射性物質は、非常用ガス処理系により濾過して排気筒から放出され、直接周辺環境に放散されるのを防止するようになっている。
 非常用ガス処理系は、フアン・湿分除去装置、粒子用高効率フィルタおよびチヤーコールフィルタにより構成され、定期的にその性能を確認できるように設計されている。
 なお、この系は、独立な2系統からなり非常用電源にも接続される。

2.10 安全防護設備の機能確保

(1)非常用電源等

 4号炉に必要な非常用電力は、3、4号炉用275KV送電線2回線から供給される。
 また、1、2、3号炉用所内電力系からも供給を受けることができ、これらの電源がすべて喪失してもディーゼル発電機(2台のうち1台は予備で3号炉と共用)、および所内の蓄電池から、供給できるようになっている。

(2)保守点検

 計測および制御系、ほう酸水注入系、炉心スプレイ系、高圧注水系、低圧注水系、格納容器冷却系、非常用ガス処理系および各種の弁類は、原子炉施設の耐用期間を通じて運転中あるいは停止中に点検または試験し、その機能を確認できるように設計される。

2.11 耐震上の考慮

 原子炉施設は、1、2、3、5号炉の場合と同様に、原則として剛構造とし、重要な建物、構築物は直接岩盤に支持される。すべての施設は、安全上の重要度に従って、A、BおよびCの3種のクラスに分類され、それらに応じて耐震設計が行なわれる。
 原子炉、原子炉建家等のように、その機能喪失が原子炉事故をひきおこすおそれのある施設および周辺公衆の災害を防止するために緊要な施設はAクラスとする。
 Aクラスの建物、構築物の耐震設計は、基盤における最大加速度が少なくとも0.18gの地震波により動的解析を行なって求められる水平震度ならびに建築基準法に示された水平震度(この場合、地域による低減は行なわない。)の3倍を下回らない値によって行なわれる。垂直震度は、建物・構築物の高さ方向に一定とし、それらの基礎底面における水平震度の1/2 を下回らない値とする。この場合、水平および垂直方向の地震力は、同時に不利な方向に作用するものとする。
 Aクラスの機器・配管類については、運転時の応力と地震力による応力を加え合わせた場合について、応力集中および材料の弾性・塑性等を考慮した解析により耐震設計が行なわれる。この場合の水平震度は、前記の地震波に対する動的解析によって求められる値とし、かつ、捉付位置における支持構築物の水平震度の1.2倍を下回らない値とする。垂直震度は、建物・構築物に対する値をとり、水平および垂直方向の地震力は同時に不利な方向に作用するものとする。また、これらの振動によって変位、変形は機能保持に支障ないものとする。
 Aクラスのうち、原子炉格納容器、制御棒駆動機構等のように安全対策上特に緊要な施設は、基盤における最大加速度が少なくとも0.27gの地震波に対して、全体として機能が保持されることが確認される。
 また、タービン系・廃棄物処理系等のように高放射性物質に関する施設は、Bクラス、その他の施設はCクラスとし、それぞれに対し、1、2、3、5号炉の場合と同様の耐震設計が行なわれることになっている。
 また、強い地震の際に原子炉を非常停止させるため、地震加速度検出計を設け、自動的に原子炉を停止させるようになっている。

3. 平常運転時の被ばく評価

 平常運転時における被ばく評価は、次の通りであり、敷地周辺の公衆に対して放射線障害を与えることはないと認める。

3.1 気体廃棄物

 気体廃棄物の放出に当っては、周辺監視区域外における年間被ばく線量が法令に定める値をこえないようにすることは勿論のこと、放出管理を十分に行なってできるだけ被ばく線量を少なくするようにしている。
 放出率は、1日平均で1号炉について最高50mCi/sec、2号炉については最高80mCi/sec、(それぞれγ線エネルギー0.17Mev相当)、3、4、5号炉については、それぞれ年間を通じて11ケ月は最高7.3mCi/sec、(γ線エネルギー0.19Mev相当)、1ケ月に限り最高18.3mCi/sec、(γ線エネルギー0.27Mev相当)に抑えこれをこえるような運転を行なわないことになっている。
 かりに、1、2、3、4、5号炉ともそれぞれ最高値で連続放出するとして、気象データを考慮し、年間の積算線量を計算すると、周辺監視区域外の最大値は約86mremで、許容値(500mrem/年)を十分下回っている。実際の運転時にはこれよりもはるかに下回るように保安管理される。
 また、敷地内外において所要の放射線監視が行なわれているので、許容値をこえるおそれはない。

3.2 液体および固体廃棄物

 安全設計および安全対策の項で述べたように、液体廃棄物および固体廃棄物の廃棄については、十分な安全対策を講じることになっている。

4. 各種事故の検討

 4号炉において発生する可能性のある事故として、運転時における単一機器の故障、あるいは、運転員の単一誤操作により引き起される過渡変化と機器の破損等によって引き起こされる事故とに分けて検討した結果、これらの事故について、それぞれ次のような対策が講じられており、安全性は確保しうるものであると認める。

4.1 機器の故障等

(1)再循環系の故障

a M-G装置および再循環ポンプの故障

 運転中に再循環ポンプ1台の軸が固着すると全体の流量は低下するが、直ちに出力も低下するので、燃料被覆の破損には至らない。
 また、何らかの原因により再循環ポンプ2台が同時に停止しても、系の慣性により流量の低下がゆるやかである上、流量低下に伴う出力低下があるため、燃料被覆の破損には至らない。

b 再循環流量制御器の誤動作

 再循環流量制御器の誤動作が起っても、再循環流量の最大変化率は、制御系機器の設計により制限されるので熱出力の変化率はわずかであり燃料被覆の破損には至らない。

c 再循環ループの誤起動

 原子炉を再循環系1系統で部分負荷運転中、停止している外部再循環回路の冷水が誤って炉心に流入しても燃料被覆の破損には至らない。

(2)給水系の故障

a 給水制御器の故障

 給水制御器の故障により給水がその最大変化率で増加しても、水位上昇によるタービン・トリップにより原子炉はスクラムされるので、燃料被覆の破損には至らない。

b 給水加熱の喪失

 抽気弁のトリップにより給水温度が下り、このため正の反応度が入っても、再循環流量制御系により炉心流量が減少し負の反応度を加え、出力上昇を抑えるのでスクラムには至らない。また、燃料被覆の破損も生じない。

c 全給水流量の喪失

 定格運転時に全給水流量が喪失すると水位は急速に低下するが、原子炉水位低により原子炉はスクラムされるので、燃料被覆の破損には至らない。

(3)主蒸気系の故障

a 発電機トリップ(タービン加減弁急速閉鎖)

 高出力運転中に発電機トリップが生じると、圧力上昇により中性子束は上昇するが、原子炉はタービン加減弁急速閉鎖信号によりスクラムされるので燃料被覆の破損には至らない。

b タービントリップ(タービン主蒸気止め弁急速閉鎖)

 高出力運転時にタービントリップが生じると 復水器の真空度が維持されている場合にはタービン・バイパス弁が動作するが、真空度が維持されていない場合には、バイパス弁は動作しない。しかし、いずれの場合にも原子炉はタービン主蒸気止め弁閉鎖信号によりスクラムされるので、燃料被覆の破損には至らない。
 また、30%以下の低出力運転時にタービントリップが生じても、主蒸気止め弁位置による直接スクラムはバイパスされるが、高中性子束スクラムにより、燃料被覆の破損には至らない。

c 主蒸気隔離弁の閉鎖

 全主蒸気隔離弁が最高閉鎖速度3秒で閉鎖しても隔離弁閉鎖信号により原子炉はスクラムするので燃料被覆の破損には至らない。
 また、安全弁も作動しない。

d 初圧調整装置の故障

 初圧調整装置が故障すると、タービン加減弁およびバイパス弁が開くか閉じることになるが過渡変化はタービントリップ・バイパス弁不動作の場合よりもゆるやかであるので燃料被覆の破損には至らない。

e 逃がし安全弁の開放

 逃がし安全弁1個が故障し開放しても、初圧調整装置が原子炉圧力を維持するよう加減弁を絞るので、圧力低下はわずかにとどまる。

(4)制御棒駆動系の故障

a 未臨界状態からの制御棒引抜き

 原子炉の起動時に未臨界の状態から制御棒価値ミニマイザーで許容される最大反応度価値の制御棒を連続的に引抜いても、核的逸走はドップラー効果で抑えられ、かつ、高中性子束スクラムで原子炉は停止し、燃料被覆の砂損は生じない。

b 出力運転中の制御棒引抜き

 定格出力運転中に誤って制御棒1本を連続的に引抜く場合には、制御棒引抜監視装置により引抜きが阻止される。この事故の際にも最小限界熱流束比は1.3を下廻らず、燃料被覆の破損は起らない。

(5)補助電源の喪失

 常用所内電源がすべて喪失した場合には、安全保護系も停電するので原子炉はスクラムされ、スクラム後の原子炉は、原子炉隔離時冷却系によって冷却される。安全上重要な機器の電源としてはディーゼル発電機および所内蓄電池系があるので、常用所内電源および外部電源がすべて喪失したとしても発電所の安全性が損われることはない。

4.2 機器の破損等による事故

(1)制御棒落下事故

 駆動軸から分離して炉心内にとどまっていた制御棒が臨界状態の炉心から脱落しても、制御棒の反応度効果は実効増倍率の変化にして0.025(△K)以下に抑えられており、落下速度は速度リミッタで制限される。この場合核的逸走はドップラ効果で抑えられ、かつ高中性子束スクラムにより原子炉は停止する。この事故による発生エネルギーによって燃料被覆の一部は破損することも予想されるが、核分裂生成物は1次冷却系内に保留される。

(2)制御棒逸出事故

 定格出力運転中に制御棒駆動機構のフランジあるいはシンブルが完全に破損してドライウェル内に蒸気の流出があれば、ドライウェルの温度および圧力上昇によりスクラムし、原子炉は停止する。しかも、制御棒駆動機構シンブルの下側に支持構造物を設け制御棒の移動距離を少くすることにより、原子炉に大きな反応度を加えることにはならない。

(3)燃料取扱事故

 燃料取替は水中で行なわれるが、取扱系の故障によって使用済燃料の集合体1個が落下し、そのすべての燃料棒が破損するような場合にも、核分裂生成物のうち、原子炉建家外に放散されるものは、その量がごく僅かで、しかも、排気筒に導かれる前に非常用ガス処理系で処理される。

(4)冷却材喪失事故

 何らかの原因により、冷却材の漏出ないしは喪失があって、炉心の冷却が十分でない場合にも次のような対策が講じられている。
 すなわち、小破断に対しては、ドライウェルの温度および圧力の上昇によって検出し、原子炉隔離時冷却系および高圧注水系の動作によって原子炉への注水が行なわれる。なお、高圧注水系のバックアップとして自動逃し弁を動作させ炉心圧力を低下させ炉心スプレイ系および低圧注水系を動作させることになっている。
 中程度の破断に対しては、まず高圧注水系が働くが、原子炉圧力が低下すると、炉心スプレイ系または低圧注水系も動作して原子炉に注水が行なわれる。
 大破断に対しては、原子炉水位の低下および原子炉圧力の減少により炉心スプレイ系または低圧注水系によって注水が行なわれる。いずれの場合でもドライウェル圧力高または原子炉水位低の信号でスクラムされ、原子炉は停止する。
 最も苛酷な例として、再循環回路が完全に破断する場合を仮定しても炉心スプレイ系および低圧注水系の作動によって燃料被覆の破損は一部に抑えられ、燃料の溶融には至らない。この事故によって放出された核分裂生成物は圧力抑制型の格納容器に保留され、さらに原子炉建家内に漏洩したものは排気筒に導かれる前に非常用ガス処理系で処理される。

(5)主蒸気管破断事故

 主蒸気管がドライウェル外の箇所で破断しても冷却材の放出流量は流量制限器で制御され、かつ流量制限器における流量増加信号等によって主蒸気隔離弁が急速に閉鎖し、冷却材の放出は短時間で止まる。また、主蒸気隔離弁閉スクラムで原子炉も停止する。
 なお、冷却材中の放射能濃度は低く抑えられているので、冷却材とともに大気中へ放散される核分裂生成物の量は僅かである。

5. 災害評価

 4号炉はすでに述べているように、種々の安全対策が講じられており、かつ、各種事故に対しても検討の結果、安全を確保しうるものと認めるが、さらに「原子炉立地審査指針」に基づいて重大事故および仮想事故を想定して行なった災害評価は次のとおりで、解析に用いた仮定は妥当であり、その結果は立地指針に十分適合しているものと認める。

5.1 重大事故

 重大事故として、冷却材喪失事故および主蒸気管破断事故の二つの場合を想定する。

(1)冷却材喪失事故

 原子炉容器に接続している最大口径の配管である再循環回路配管1本が瞬時に完全破断し冷却材が放出されると仮定する。解析の結果では炉心スプレイ系1系統が作動してその冷却効果により燃料の溶融は生じないが、燃料棒本数の13.5%は、過熱のため被覆に破損がおこる。また、事故後のドライウェル圧力は、十分低く抑えられ、約33日後には大気圧にもどる。
 なお、被ばく線量の計算には核分裂生成物の放散過程に従い、次の仮定を用いる。

① 全部の燃料棒の被覆に破損があったとし1年間定格出力運転後の炉心に内蔵されている核分裂生成物中のよう素の1%、希ガスの2%がドライウェル内へ放出される。
 この場合、よう素については、壁面等に吸着される割合を50%、液相-気相間の分配系数を100とするが、よう素のうち、10%は有機状のものとしてこれらによる低減を期待しない。

② ドライウェルから、33日間にわたって0.5%/日の漏洩がある。

③ ドライウェルから漏洩した核分裂生成物は、原子炉建家に入り、そこから換気率100%/日で、非常用ガス処理系を通り、排気筒から放出される。

④ 非常用ガス処理系では、チャーコールフィルタでろ過する。よう素全体に対するろ過効率は90%とする。

⑤ 大気中への拡散に用いる気象条件は、排気筒の高さ、現地の気象データ等をもとに「原子炉安全解析のための気象手引」(以下、気象手引という)を参考にして最初2日間は高さ100m以下均一分布、拡散幅30°、有効拡散風速4m/secとし、残りの31日間は英国気象庁方式を用い、大気安定度B型、拡散幅30°、有効拡散風速4m/secとする。
 以上の解析の結果、大気中に放出される放射性物質は全よう素が約315Ci(131I換算、以下同様)希ガスが約1.6×104Ci(γ線エネルギー0.5Mev相当、以下同様)である。
 敷地外において被ばく線量が最大となるのは敷地境界(原子炉から約800m)であって、その地点における線量は、甲状腺(小児)に対して約2.3remおよび全身に対してγ線約0.01rem(β線約0.016rem)となる。

(2)主蒸気管破断事故

 ドライウェルの外で主蒸気管1本が瞬時に完全破断し、冷却材の気水混合物が大気中に放出されると仮定する。隔離弁の閉鎖時間は5秒、放出流量は流量制限器によって定格流量の約200%に制限されるものとして冷却材の放出量を解析すると、蒸気約9.3トン、水約8.2トンが放出されることになるが、炉心は、冷却水上に露出しない。
 なお、被ばく線量の計算には次の仮定を用いる。

① 事故前の1次冷却材中の放射性ハロゲンの濃度は原子炉運転中の最高限度である64μCi/cm3(うち131Iで1.4/μCi/cm3)とする。

② 主蒸気隔離弁は事故後5秒で閉鎖するが、8個のうち1個は閉じないものとし、その結果全体として原子炉容器の蒸気相体積に対し5%/hrの割合で漏洩するものとする。この際炉内圧力と温度の低減によって漏洩量は漸時減少していく。

③ 事故発生後炉内圧力の減少に伴い、破損燃料から核分裂生成物が冷却材中に放出されるが、その量は全よう素が約7×104Ci(うち131I約4×104Ci)、よう素以外のハロゲン約1.06×105Ci(γ線エネルギー0.5Mev相当、以下同様)希ガス約8.99×105Ciとする。

④ 核分裂生成物のうち希ガスは全て気相部へ移行する。放出されたよう素のうち10%は有機よう素と考えるが、加水分解等により10分の1に減少する。無機よう素およびよう素以外のハロゲンは、液相-気相間に分配係数100で分配される。

⑤ タービン建家内の壁面等へ吸着および凝縮により除去される無機よう素の割合は50%とする。

⑥ 主蒸気隔離弁閉鎖前に放出された核分裂生成物を含む冷却材は、大気中で完全蒸発して半球状の放射性雲を形成し、1m/secの速度で風下方向へ移動する。

⑦ 主蒸気隔離弁閉鎖後漏洩する放射性物質は地上放散され大気中へ拡散するが、拡散の気象条件としては英国気象庁方式を用い、大気安定度F型、拡散幅30°、有効拡散風速1.5m/secとする。
 以上の解析から求めた放射能は内部被ばくに関するものとして全よう素が約133Ci、外部被ばくに関するものとしてハロゲン約2,200Ci、希ガス約3,400Ciである。
 敷地外において被ばく線量が最大となるのは敷地境界(原子炉から約800m)であってその地点における線量は、甲状腺(小児)に対し約39remおよび全身に対してγ線約0.037rem(β線約0.057rem)となる。
 上記各重大事故時の被ばく線量は、立地指針にめやす線量として示されている甲状腺(小児)150rem、全身25remより十分小さい。

5.2 仮想事故

 仮想事故として、冷却材喪失事故と主蒸気管破断事故の二つの場合を想定する。

(1)冷却材喪失事故

 重大事故の場合と同じ事故について、非常用炉心冷却系の効果を無視し、炉心内の全燃料が溶融したと考えた場合に相当する核分裂生成物の放出があるものとし、炉心内にあるジルコニウムの約1/4 が水と反応するものと仮定する。
 この場合事故後のドライウェルの最高圧力は設計圧力より低いが、原子炉建家への核分裂生成物の漏洩は長時間続く。
 なお、線量の計算には重大事故の場合と同じ仮定を用いる。
 ただし、次の仮定は、重大事故の場合と異っている。

① 炉心に内蔵される核分裂生成物中のよう素50%希ガス100%がドライウェル内に放出される。

② ドライウェルから原子炉建家への漏洩は無限に続く。
 以上の解析の結果、大気中に放出される放射性物質は、全よう素が1.8×104Ci希ガス約8.6×105Ciである。
 敷地外において被ばく線量が最大となるのは敷地境界(原子炉から約800m)であってその地点における線量は甲状腺(成人)に対し32rem全身に対しγ線約0.53rem(β線約1.1rem)である。また、全身被ばく線量の積算値は約12万人remである。

(2)主蒸気管破断事故

 重大事故の場合と同じ事故について、主蒸気管隔離弁閉鎖後も無限時間120%/日の漏洩が続くものと仮定し、さらに、破損燃料棒から破断と同時にブレナム中の核分裂生成物がすべて放出されると仮定する。
 大気中の拡散については英国気象庁方式を用い大気安定度F型、拡散幅30°とし、有効拡散風速は4m/secとする。その他の条件は、重大事故の場合と同じ仮定を用いる。
 以上の解析の結果大気中に放出される放射性物質は、内部被ばくに関するものとして全よう素が約288Ci外部被ばくに関するものとしてハロゲン約3,390Ci希ガスは約8,470Ciである。
 敷地外において被ばく線量が最大となるのは敷地境界(原子炉から約800m)であってその地点における線量は甲状線(成人)に対して約11remおよび全身に対してγ線約0.047rem(β線約0.067rem)となる。
 また、全身被ばく線量の積算値は冷却材喪失事故の場合の値に比べて十分小さい。
 上記各仮想事故時の被ばく線量は立地指針にめやす線量として示されている甲状線(成人)300remおよび全身25remより十分小さい。
 また、全身被ばく線量の積算値は、国民遺伝線量の見地から定めためやす線量の200万人remより十分小さい。

6. 技術的能力

 申請者はすでに福島原子力発電所1号炉の建設と運転の実績を有しており、さらに現在2、3、5号炉の建設を行なっている。
 発電所の運転に当っては4号炉の運転開始時、約300名の技術者を予定しており、これらの技術者については、現在2、3、5号炉の建設に従事している者に加えて、今後さらに国内の諸機関を活用して養成訓練を行なうほか、海外の原子力関係諸施設へ派遣するなど技術的能力の確保を図っている。4号炉運転要員については、1、2、3号炉の運転を通じ、また4号炉の試運転期間中に所要の教育訓練を実施することになっている。
 これらの点から、4号炉を設置するために必要な技術的能力および運転を的確に遂行するに足る技術的能力があると認める。



Ⅲ 審査経過

 本審査会は昭和46年8月17日第94回審査会において、次の委員よりなる第81部会を設置した。

(審査委員)

青木 成文
植田 辰洋
江藤 秀雄
大崎 順彦
小平 吉男
村主  進
弘田 実弥
三島 良績
宮永 一郎

(調査委員)

海老塚佳衛
大久保忠恒
福田 整司
望月 恵一


(部会長)














 


東京工業大学
東京大学
放射線医学総合研究所
東京大学
日本気象協会
日本原子力研究所
    〃
東京大学
日本原子力研究所



東京工業大学
東京大学
日本原子力研究所
動力炉・核燃料開発事業団

 同部会は、通商産業省原子力発電技術顧問会と合同で審査を行なうこととし、昭和46年8月30日第1回会合を開き審査方針を検討するとともに、主として施設を担当するAグループと主として環境を担当するBグループを設け審査を開始した。
 以後、部会および審査会において審査を行なってきたが、昭和46年12月13日の部会において部会報告書を決定し、同年12月17日第97回審査において本報告書を決定した。


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