44原委第433号
昭和44年11月27日
内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更
(軽水臨界実験装置の施設の変更)について(答申)
昭和44年9月18日付け44原第4927号(昭和44年11月22日付け44原第6095号で一部訂正)で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。
記
標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に掲げる許可の基準に適合しているものと認める。
なお、各号の基準の適合に関する意見は、別紙のとおりである。
別紙
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に掲げる許可の基準の適合に関する意見
1 本変更は、第1号から第3号に掲げる許可の基準に適合しているものと認める。
2 第4号に掲げる許可の基準の適合に関する原子炉安全専門審査会の審査結果は別添のとおりであり、本変更により原子炉の安全性はそこなわれることなく、第4号に掲げる許可の基準に適合しているものと認める。
日本原子力研究所東海研究所原子炉施設
(軽水臨界実験装置)の変更に係る安全性について
昭和44年11月24日
原子炉安全専門審査会
原子力委員会委員長
木内 四郎 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄
日本原子力研究所東海研究所原子炉施設
(軽水臨界実験装置)の変更に係る安全性について
当審査会は、昭和44年9月18日付け44原委第323号(昭和44年11月22日付け原委第431号をもって訂正)をもって審査の結果を求められた標記の件について、結論を得たので報告します。
1 審査結果
日本原子力研究所東海研究所原子炉施設(軽水臨界実験装置)の変更に係る安全性に関し、同研究所が提出した「東海研究所原子炉設置変更許可申請書」(昭和44年9月13日付け申請及び昭和44年11月21日付け一部訂正)に基づき審査した結果、本原子炉施設の変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。
2 変更事項
天然ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の炉内最大挿入量を燃料要素100本すなわちウラン45.0kg、プルトニウム3.3kg(従来は燃料要素50本、ウラン18.90kg、プルトニウム0.69kg)とする。
3 審査内容
(1) 安全設計および安全対策
本変更に係る原子炉施設は次のような安全設計および安全対策が講じられることになっており、十分な安全性を有するものであると認める。
(イ) 炉心構成
炉心は、燃料要素、燃料支持板、格子板、格子板支持枠、制御安全要素等により構成され、本変更に係る燃料要素が短尺であるために必要な支持構造物以外は、全て既設の施設が使用される。
本変更に係る燃料は、100本の燃料要素を炉心中央部に10×10格子に組んだものであり、この外周に配置される従来の2.6w/o濃縮UO2燃料要素とともに、2領域炉心として使用される。
(ロ) 燃料
本変更に係る燃料要素は、PuO2(239Puの同位体比90.5%)とUO2(天然ウラン)の混合酸化物ペレットを長さ約99cmのジルカロイ−4製の被覆管(肉厚約0.6mm)に入れたもので、両端は溶接によって密封され、内圧、外圧に対して気密にすることにしている。
これら燃料要素の製作に当っては、プルトニウムの漏洩の生じる可能性がないように、設計、製作、検査等を行なうこととしている。
(ハ) 燃料の管理および取扱い
本変更に係る燃料要素には、他の燃料要素とともに、刻印、色別等が施され、種類の異なる燃料を混用しても、判別管理が十分行なわれることになっている。
燃料要素の取扱いに際して、燃料要素を取り落すことはないと考えられるが、万一の落下を考慮しても安全上十分な対策がなされることになっている。
なお、本燃料要素を使用する前後にはαサーベイを行ない、α放射能の漏洩がないことを確認することにしている。
(ニ) 核特性
本変更に係る燃料要素を使用して行なう実験は炉心中央部に10×10格子に本燃料要素を組みその外周に2.6w/o濃縮UO2燃料要素を配置して行なうものであるが、核・熱的制限値は従来と変更ない。
また、減速材温度係数、減速材ボイト係数および燃料温度係数はいずれも負の反応度係数を持ち反応度事故に対しては自己制御性が高い。
(2) 平常時の被ばく評価
前項で述べたとおり本変更に係る燃料要素は、厳格な品質管理のもとに製作されるので、漏洩に伴う内部被ばくの生ずるおそれはないと考えられる。また、原子炉の運転中および燃料取扱いに伴う外部被ばく線量は、従来と同程度であると考えられる。
したがって、一般公衆および従事者の受ける被ばく線量は、許容値を十分下まわるものと認められる。
(3) 事故評価
本変更に関しては、燃料要素以外とくに施設に変更はなく、またその操作方法にも変更はない。
本変更に係る原子炉において、各種事故の検討をした結果、運転特性、安全保護系などに関連する事故に対して安全性は確保し得ると認める。また最大想定事故としては従来と同様、炉心タンク水位上昇に伴う反応度事故を想定したが、その結果は、放出エネルギーは約175MWsecとなり、燃料温度の上昇は最高490℃程度となるが、燃料被覆の破損には至らない。また、このような事故時において線量が最大となるのは、従来同様炉室建屋付近であって、その値は約1.9remである。
したがって、変更に係る本原子炉は、敷地外の一般公衆に対して安全であると認められる。
4 審査経過
本審査会は、昭和44年9月22日第73回審査会において、次の委員よりなる第57部会を設置した。
三島 良績(部会長) |
東京大学 |
竹越 尹 |
電気試験所 |
渡辺 博信 |
放射線医学総合研究所 |
審査会および部会においては、次表のような審査を行なってきたが、昭和44年11月21日の部会において部会報告書を決定し、同年11月24日の第75回審査会において本報告書を決定した。
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