(4)核燃料リサイクル計画の透明性の向上
我が国は核燃料リサイクルを国内外の信頼を得つつ,実施していくため,国際的な核不拡散体制から要求される義務に加えて,我が国において計画遂行に必要な量以上のプルトニウム,すなわち,余剰プルトニウムを持たないとの原則の下,適時にプルトニウムの需給見通しを明らかにするとともに,毎年分離プルトニウムの管理状況を公表し,さらに透明性向上のための国際枠組みの構築に向けて積極的に貢献するなど,利用計画の透明性の一層の向上に努めています。 我が国のプルトニウムについては,そのすべてがIAEAによる保障措置の適用を受けており,平和目的以外に使用されていないことが常に確認されている。
さらに,その上で,余剰のプルトニウムを持たないとの原則の下で,我が国の核燃料リサイクル計画が,これに沿ったものとなっていることを内外に明らかにするため,長期的な2010年頃までのプルトニウム需給見通しを,関連する計画の進捗状況を踏まえつつ,適時に作成し示してきている。現在示している需給見通し((表2-1-5))は,1995年8月の時点での各々の計画の見通しに沿って取りまとめたものであるが,昨年12月の高速増殖原型炉「もんじゅ」の事故など,この需給見通しに係わる状況の変化があるため,これらをよく見極めながら,余剰のプルトニウムを持たないとの原則の下,適切かつ柔軟に検討を進めていくこととしている。
また,我が国は,一昨年から関係国に先駆けて分離プルトニウム*の管理状況,すなわち施設の区分ごとに存在するプルトニウム量を原子力白書を通じて公表し,透明性の向上を図っている。1995年12月末における管理状況は(表2-1-6)のとおりである。
また,関係9ヶ国(日,米,英,仏,独,ベルギー,スイス,ロシア,及び中国)によりプルトニウム利用の透明性向上等のための国際的枠組みに係る検討が1994年2月から進められており,参加国が自国の民生プルトニウム利用に関する方針を明らかにするとともに,自国の民生プルトニウムの管理状況,すなわち,施設の区分ごとに存在するプルトニウムの量を共通の形で公表することとするなどがすでに合意されており,我が国としては,この早期始動に向け積極的に努力している。
*分離プルトニウム:再処理工場において使用済燃料を溶解後,抽出工程以降から原子炉に装荷されるまでの状態のプルトニウムをいう。
*核分裂性プルトニウム
*核分裂性プルトニウム及び非核分裂性の同位体の合計
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