(1) 法 律
我が国の原子力損害賠償制度は次の法律により制定されている。
「原子力損害の賠償に関する法律」 (昭和37年施行)「原子力損害賠償補償契約に関する法律」( 〃 )
(2) 法律の内容
○ 原子力事業者は,原子力損害を与えたときは,それを賠償する責任がある。
(無過失責任)
ただし,その損害が異常に巨大な天災地変又は,社会的動乱によって生じた場合は,この限りではない。
○ 原子力事業者は,原子力損害を賠償するための措置を講じ,科学技術庁長官の承認を受けなければならない。
○ 損害賠償措置の金額は原則として60億円で,損害保険会社との責任保険契約政府との補償契約の併用又は供託による。
○ 政府は,損害賠償責任額が賠償措置額を超え,かつ,必要があると認めるときは,国会の議決に基づき,必要な援助を行う。
(3) 現 況
昭和51年度までの年度別承認件数は次表のとおりである。
これらの賠償の内容は全て責任保険と補償契約の併用であり,供託の例はない。
また,現在まで上記2法に基づく賠償例はない。
なお,昭和50年,現行原子力損害賠償制度から適用を除外されている原子力事業従業員が業務上被った原子力損害の賠償についても,本制度の適用対象に加えるべきであるとする「原子力事業従業員災害補償専門部会」報告が提出され,現在,「原子力損害の賠償に関する法律」等の改正について検討を進めている。
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