第2章 核燃料サイクル
1 日米原子力交渉と国際核燃料サイクル評価(INFCE)

(2)国際核燃料サイクル評価

 昭和52年5月の主要国首脳会議での合意に基づき,翌6月及び7月の2回のパリにおける予備会議を経て,10月19日から21日の間,ワシントンにおいて国際核燃料サイクル評価設立総会が開かれた。
 国際核燃料サイクル評価の目的は,核拡散の危険を回避しつつ,原子力の平和利用を推進するための最善の方策を検討することにある。
 設立総会に臨むに当たって,原子力委員会は,国際核燃料サイクル評価対策協議会を設けるとともに,10月14日には次の主旨の我が国の基本方針を明らかにした。すなわち,
① 原子力の平和利用は不可欠である。
② 原子力の平和利用と核不拡散は両立し得る。
③ 資源の有効利用,使用済燃料の対策等の見地から,再処理を中心とした核燃料サイクルの確立が必要である。
 設立総会には40カ国,4国際機関が参加し,今後2年間で完了させるべき作業計画の内容が決定されたが,我が国は,上述の基本的立場を主張し,各国の共感を得て,最終コミュニケに盛り込まれ,また,今後の運営方法も我が国の考え方に沿ったものとなった。特に,再処理に関する問題を取扱うグループにイギリスとともに共同議長団となったことにより,我が国の主張を反映させる基盤を得たことは重要視される。


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