原子力長期計画策定会議「ご意見をきく会」
第3回(福井)
− 議事録 −
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1.開催日時 平成12年10月7日(土) 13:30〜17:35
2.開催場所 繊協ビル (福井県福井市大手3-7-1)
3.出 席 者
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意見発表者
<前半>
豊嶋 美代子(福井市くらしの会会長)
吉村 清(高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会代表委員)
粟野 明雄(自営業 福井県)
中村 融(無職 兵庫県)
北條 正(敦賀市議会議員 福井県)
<後半>
萩原 冨士男(会社員 福井県)
渡辺 三郎(原発問題住民運動福井県連絡会代表委員)
菅野 幸雄(元公立高校理科教員 福島県)
小木曽 美和子(原子力発電に反対する福井県民会議事務局長)
石黒 順二(福井県原子力平和利用協議会事務局長)
児嶋 眞平(福井大学長)
(敬称略、意見発表順)
策定会議
那須座長、森嶌座長代理、秋山委員、太田委員、河瀬委員、
近藤委員、鈴木委員、都甲委員、村上委員、吉岡委員、
永宮第四分科会座長、久保寺第五分科会座長
原子力委員
依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局)
それではただいまより「ご意見をきく会」を開催させていただきます。まずはじめに長期計画策定会議の那須座長より挨拶を申し上げます。
(那須)
ただいまご指名がありました、座長を致しておりました那須です。本日は大変お忙しい中、栗田福井県知事様をはじめ、かくも大勢の方々にご参加をいただきまして、誠にありがとうございます。会の開催にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げたいと存じます。
ご案内の通り、わが国の原子力研究開発利用は原子力長期計画に示された指針に基づき、計画的に現在まで遂行されてきたと思っていますが、平成6年に策定された現行の長期計画以降の諸情勢には大変大きな変化があったわけです。そういった変化を踏まえて、昨年の1999年の5月、原子力委員会は21世紀に向けての全体像と長期展望を示す新たな長期計画の策定を決定致しました。
この決定に基づきまして、策定に資するための調査・審議を行うため設置されたのが長期計画策定会議です。各分野の専門家33人からなる長期計画策定会議では、昨年以来14回、更には6つの分科会では合計57回ですから足すと71回になるわけですが、それほどたびたびの調査・審議を行っていまして、8月22日には長期計画の案を取りまとめました。
一方、原子力の研究開発利用は、国民の生活や経済にも深く関わっているところであり、またこれに関する国内外の関心も高まっています。このため、このたび取りまとめた長期計画案に対して国民からの幅広いご意見を募集すると共に、ご意見を直接お伺いして、長期計画策会議で改めて審議をする。そして、その審議に反映させるために、この「ご意見をきく会」を開催することとした次第です。
本日の福井での「ご意見をきく会」には、大変多数の意見発表の応募及び傍聴希望のお申込みをいただいていまして、誠にありがとうございました。本日は応募いただいた方の中から5人の方、また策定会議からお願いした方6名、合計11人の方からご意見をお伺いすることが主な目的となっているわけですが、時間の許す限り、策定会議での審議経緯の説明、そして質疑応答をさせていただきたいと考えているところですので、よろしくお願い致します。
また、本日いただくご意見につきましては、策定会議での審議、これからまだ策定会議をやらなければならないわけですが、その審議に十分反映をしたいと思っています。簡単ではありますが、以上でご挨拶に代えさせていただきます。ご静聴どうもありがとうございました。
(事務局)
ありがとうございました。続きまして地元での「ご意見をきく会」の開催にあたり、福井県の栗田知事よりご挨拶をお願いしたいと思います。栗田知事、よろしくお願い申し上げます。
(栗田)
ご紹介いただきました地元福井県知事の栗田です。今日は原子力長期計画策定会議主催の下で「ご意見をきく会」が開催されるにあたり、立地県の知事として発言をする機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
策定会議の那須座長をはじめ、ご参加の皆様方には、日頃から本県の原子力行政をはじめ県政の推進に何かと深いご理解、ご協力を賜っており、心から厚くお礼申し上げます。
さて、本県には15基の原子力発電所が立地していまして、本県は国のエネルギー政策に積極的に協力しているわけです。多大な貢献をしているものと考えています。この原子力発電所の立地に際しましては、安全性の確保、住民の理解と同意、そして恒久的な福祉の実現の三原則の下に、慎重に取り組んできているところです。しかしながら、これまで「もんじゅ」の事故を始めとして、多くの事故、故障が起こりまして、県民の間に不安感、不信感が増幅されています。また、これらの事故によって本県のイメージが大きく低下するなど、大変残念な思いをしています。また、原子力発電は国民生活や我が国の経済、社会活動の基盤をなす重要なエネルギー源であるにもかかわらず、その恩恵を受けている大消費地において、その意義、必要性、また安全性等について正しく理解されていないという面がありまして、立地地域の痛みを理解していただいていない現状にあります。
私は「もんじゅ」の事故が起こった翌年、平成8年に福島県、新潟県の知事と相揃いまして、三県知事提言を行いました。そして、今後の原子力政策の基本的な方向について、国民合意を得るようにということを強く主張してきたわけであります。
この提言を受けて、原子力政策円卓会議が開催され、またモデレーターから有意義な提言が行われました。今回の原子力長期計画案の策定にあたりましては、これらの提言を踏まえて、原子力関係者だけではなくて、立地地域の代表、法曹界、マスメディア等各界の有識者が参加して、熱心に議論されたと聞いています。また、この審議の過程で、外国のエネルギー政策の転換、またイギリスMOX燃料製造データの不正問題、更にはJCOの臨界事故等が起こりまして、国民の間に、本当に原子力を推進することが必要なのかどうかといったような厳しい意見もある中で、原点に立ち返った広範、多岐の議論が行われ、しかもそれは公開の下で真摯に行われたということで、このことは評価致しています。
策定会議におかれましては、本日のご意見や、これまで寄せられた多くの国民の意見について、十分な審議をしていただきまして、単に形式的に「ご意見をきく会」を開いたということではなくて、その意見の中で取り入られるものはどんどん取り入れていただくということで、国民と共にこの長期計画を策定したと言えるような十分なご審議をいただきたいと思います。そして、今回の長期計画が21世紀におけるわが国の原子力政策全体のビジョンとなりますように、また、原子力を国民一人ひとりが自らの問題として考え、原子力政策に対する国民の理解が深まるメッセージとなりますように、一層のご尽力を心からお願い申し上げる次第であります。そして、この長期計画案につきまして、国会内外の様々な場で十二分な議論が行われ、国民合意の形成に向けて更にご努力いただくことが重要であると考えています。
さて、本県にとって、この原子力問題に関連してきわめて大きな県政上の課題として、1つにはMOX燃料のデータ不正問題によって中断している高浜発電所のプルサーマル計画。2つ目には、平成7年12月にナトリウム漏洩事故を起こした「もんじゅ」の今後の問題。3番目には、日本原電の敦賀発電所の増設の問題。4番目には、高経年炉や廃炉の問題。更に5番目には、高速交通体系の整備を始めとする地域の恒久的福祉の実現の問題等があるわけで、関係市町村また県議会でも様々な議論が行われています。本県のこれらの課題の解決に向けて、新しい長期計画の下で安全性の確保や国民合意の形成、更には地域振興策について、内閣総理大臣を先頭に政府の総力をあげた取り組みが必要であると考えていますので、皆様方の一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
本日は11名の方々の意見が発表され、策定会議との意見交換が行われると聞いていますが、傍聴される方や県民の皆様方にわかりやすい内容、説明になりますように、よろしくご配慮をお願い致します。
終わりになりましたが、この「ご意見をきく会」の開催にあたりまして、大変ご尽力をいただいた策定会議の方々をはじめ、関係の皆様方のご努力に関して深く敬意を表しますと共に、本日のこの会議が実り多いものになりますように心から祈念しまして、ご挨拶とさせていただきます。本日は誠にご苦労様です。
(事務局)
ありがとうございました。それでは、本日の会の進行についてご説明させていただきます。本日は一般公募の方5名と、策定会議から発表をお願いした6名の、計11名の方にご意見を発表していただく予定です。このうち一般公募につきましては、本日の福井会場での意見発表について、54名の方から延べ67件の意見応募をいただきました。その中から幅広いテーマについてご意見をいただくことに留意しまして、厳正な抽選及びルールの下に意見発表者を選定させていただいています。意見発表者については、前半5名、後半6名に分け、それぞれ1人10分の持ち時間で意見を発表していただきます。
それぞれ意見発表者の方からご意見をいただいた後、本日は策定会議委員も多数出席していますので、意見に関連する策定会議での審議経過などについて説明を行い、その後質疑応答を考えています。それではお手元の資料2にもありますが、本日ご意見を発表していただく方を発表順にご紹介させていただきます。なお、前半及び後半それぞれで様々なご意見をおききできるように組み合わせに配慮してあります。
まず前半に発表していただくのは「福井市暮らしの会」会長の豊嶋美代子さん、「高速増殖炉等建設に反対する敦賀市民の会」代表委員の吉村清さん、公募でお出でいただいた福井県にお住まいの粟野明雄さん、公募でお出でいただいた兵庫県にお住まいの中村融さん、公募でお出でいただきました福井県にお住まいの北條正さん。以上が前半の発表者です。
また、後半に発表していただくのは、公募でお出でいただきました福井県にお住まいの萩原冨士男さん、「原発問題住民運動福井県連絡会」代表委員の渡辺三郎さん、公募でお出でいただきました福島県にお住まいの菅野幸雄さん、「原子力発電に反対する福井県民会議」事務局長の小木曽美和子さん、「福井県原子力平和利用協議会」事務局長の石黒順二さん、福井大学長の児嶋眞平さん。以上です。
また、本日は長期計画策定会議側から那須座長、森嶌座長代理、秋山委員、太田委員、河瀬委員、近藤委員、鈴木委員、都甲委員、村上委員、吉岡委員、永宮第四分科会座長、久保寺第五分科会座長が出席しています。また、原子力委員会から依田委員、遠藤委員、木元委員が出席しています。なお、一般傍聴者の方ですが、461名の応募がありまして、抽選の結果240名の方に御案内を差し上げています。
意見発表者の方から本日お述べいただくご意見につきましては、本日の資料3としてお手元に配布させていただいていますので、適宜ご参照下さい。
それでは、本日の議事進行役を紹介させていただきます。本日は長期計画策定会議の森嶌座長代理が議事進行役を務めます。それでは座長代理、よろしくお願い致します。
(森嶌)
本日の議事進行役を務めさせていただく森嶌です。どうぞよろしくお願い致します。
ただいま事務局から説明もありましたように、本日はご意見の発表を前半と後半、5人と6人という形で進めさせていただきます。そして、前半の発表につきましては豊嶋さん、吉村さん、粟野さん、中村さん、北條さんというご着席の順にご発表をいただきたいと思います。そして、1人10分ずつにお願いしてありますが、5人の方の発表が終わりましてから、策定会議の側から、それぞれご意見の中にあった事項につきましては、策定会議ではどういう議論をしたのか、どういうことで本日お手元にある案ができているのかということについて、できるだけ手短にご説明をさせていただきたいと思います。これは約20分と考えています。そして残り時間、ご意見を発表いただいた方と策定委員会の委員の間で質疑応答、できれば双方向の質疑応答という形でやりたいと思いますので、ご協力の程をお願い致します。それでは時間がありますので、早速、豊嶋さんから意見発表をお願い致しますが、10分間ということでよろしくお願い致します。
(豊嶋)
私は、原子力がいま担っている重要な役割を、正しく認識していかなければならないと思っています。我が国のエネルギー供給の現状を見ると、総発電電力量の40%近い比率を原子力が占めています。いまと同じような使い方で電気文明を享受するのであれば、1kWhあたりの発電コストも低くて、しかも地球温暖化に大きな影響を与える二酸化炭素を排出しないエネルギーであり、安定供給という面からも、二酸化炭素排出削減ということからも、原子力発電に頼らざるを得ないのではないかと思っています。
私は先日ニュースで、国内の電力会社が昨年発電の際に排出した二酸化炭素の量が、敦賀原発2号機の冷却水漏れの事故で、原子力発電所の運転が半年以上にわたって停止した、その分を火力で補ったために5年ぶりに増加したということ、また、電気事業連合会では平成9年の「地球温暖化防止京都会議」の結果を受けて、二酸化炭素排出量を1kWhあたり300グラム程度まで引き下げる目標を掲げているが、このままいけば5年後には400グラム程度増加すると予測していると聞きました。
色々問題があるからもう止めようというのではなくて、いかにうまく運転し、次のクリーンなエネルギーにどうつなげていくかが、私たちがいま抱えている課題なのではないかと思っています。資源のない、周囲を海に囲まれた我が国では、パイプラインと送電網で結ばれたEU諸国のように、足りなければ隣の国から輸入というわけにはいきません。
8月にドイツで聞いた話では、連立政権後のドイツは、原子力発電を段階的に廃止するとは言っているけれども、すべての原子力発電所が閉鎖される時期は全く予想できないこと。それから、石炭が非常に豊富な国ですから、火力発電が54%、原子力31%、それに風力を利用して、不足分はフランスの原子力発電の電力を買っているというように、日本とはエネルギー事情が大きく異なっているということを感じました。太陽光、風力、水力、地熱等の自然エネルギーの効率のよい活用と、それからいま色々言われている燃料電池といったクリーンな新エネルギーの開発等、世界の新エネルギーに向けての底流を見失うことなく進めなければならないのではないかと思っています。
話が前後しますが、8月に富山の「南砺リサイクルセンター」で、「ゴミ固形燃料化プラント」を見てきましたが、無限にある生ゴミの処理と熱源としてのリサイクルは、環境美化と循環型社会の構築にもなるのではないかと思うのですが、熱源として活用できないものなのでしょうか。
それから、長期計画案にある「原子力に関する教育」だけでなく、環境問題やエネルギー問題の重要性を若い世代に伝えていくことも大きな課題であって、学校教育、家庭教育、地域活動の場を生かすよう、計画案の中に入れていただきたいと思います。私たちの「福井市くらしの会」では、環境家計簿をつけて、電気、ガス、水道の使用量とCO2の排出量の関係調査や、また買い物袋持参運動による省エネを訴え続けていますが、こうした小さな地道な活動も若い世代の意識啓発につながるのではないかと思っています。
次に、立地県に住む者として、JCOの臨界事故は非常にショックであり、原子力発電の安全対策に不信感と不安感を持ちました。原発に対しては厳しい安全チェックがなされているものと信頼しきっていましたし、例えば普通の企業でも知能ロボットが活用されている時代ですから、20年も前からドイツで使用されている防災ロボットも当然使用されていると思っていましたし、いれば事故処理による二次被害等あろうはずがなく、また7年間も立ち入り調査をしなかったこととか、対策本部設置が事故発生から10時間以上経過してからであったこと等安全とはほど遠い対応の仕方に大きな不安を感じています。
また、オフサイトセンター設置を目玉とした「原子力防災特別措置法」等の安全対策に期待をしていますが、全国の原子力施設周辺21か所に設置するオフサイトセンターの建設が大幅に遅れて、年度内完成は5施設という進捗実態調査が発表されました。設置県5か所の中に最も多く原発を抱えている福井県は入っていません。遅れた背景には、国と自治体の意識のズレがあったようですが、建物全体は主に自治体が設計発注し、通信機器は国が整備し、原発事故に対応する14か所は資源エネルギー庁が、また核燃料施設等に対応する7か所は科学技術庁が所管というように、それぞれの責任範囲は別れているとしても、どうして情報の伝達がスムースにいかなかったのか、また、ネットワークできなかったのか、私には不明な点が多うございます。
事故は起こりうるということがわかったいま、行政や技術者が事故や事故処理をコントロールできる体制と、現場に精通した専門的知識を持ったスタッフが、だれにも遠慮なくものが言える体制を整えていただきたいと思いますが、その辺が計画案には具体的に盛り込まれていないように思います。法は設置されても運用するのは人です。最近の企業における一連の事件を見ても、日本企業全体の品質管理が形骸化しているのではないかとさえ思えるのです。計画案にある原子力に関する教育と並立して、専門官の研修と人間教育も入れていただきたいと思います。
国民への「情報公開」と「情報提供のあり方」は、ぜひ計画案にある通り的確かつ信頼性の高い情報を、だれにでもわかるようにお願いしたいと思います。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは続けて吉村さんからご意見を賜りたいと思います。やはり10分ということで、よろしくお願い致します。
(吉村)
私はまず今回の長期計画案をずっと見て、ちょっとがっかりしました。なぜかと言うと、第1に、当初原子力の長期利用計画を策定した当時は、ウランの資源が21世紀というか、近い将来枯渇するだろう、そのためには核燃料サイクルでプルトニウムを利用する、この路線が正しいのだということで採用したのです。その路線をずっと続けてきて、今日に至るもこの路線は何ら変更されていない。今回の長期計画案の太い一番の柱は何かと言うと、核燃料サイクルを継続するという基本路線が変わっていない。私はそこが一番問題だと。言い換えるならば、現実は核燃料サイクルはすでに破綻しているのではないか。これはだれが見ても破綻をしているということは明らかです。まず、今回の長期計画案については、従前からの方針に固執をしているところに一番問題がある。ここのところの反省をまずやってもらわなければならないというのが、私の第1の指摘です。
第2の問題は、特に「もんじゅ」につきましては、5年前のナトリウム火災事故、これは単なる事故で終わらずに、情報隠しの問題で事件になりました。この情報公開の問題で、私はリポートで地震の問題について書いていますが、実はそれまでは「もんじゅ」についてはプルトニウム、言ってみれば核防護上一番秘密というか秘匿が必要であるということで、ほとんど情報が出されなかったわけです。この事故を契機にして、ある程度情報公開が進んだのです。
そうして、私たちが裁判をしている最中に、相当膨大な設計施工というか、認可書も公表されました。私もあれをチラチラと見たのですが、特に地震の問題のところに興味を持ってみました。そうすると、私たちが一番知りたい、たとえて言うならば、その中で1つだけ指摘をすると排気塔です。あの排気塔はどれくらいの固有周期がくるから、それに対してこれだけの耐震設計が必要である。この固有周期の欄が空欄なのです。それから格納容器の部分についても同じなのです。こういうものが空欄になっているということは、言い換えると一番知りたいところはやはり隠されている。これでは原子力の平和利用の三原則に違反しているのではないか。そこのところが公開されて、初めてその耐震設計は合っているのかどうかという点が明らかになると思うのです。その点が明らかになっていない。
昨日も中国地方で大きな地震がありました。そういう点から「もんじゅ」は特に地震に弱いということが言われているわけですから、前から私たちは原子力安全委員会にも要求していますが、耐震設計の基準、直下型地震の基準等についても積極的に改定をする。そして、地震動に対してそれだけの耐震設計をするかという点についても、情報公開をきっちりやるという姿勢が私は大事ではないかというのが、2番目の問題です。
それから第3の点は、前回の長計の改定の際に、ATR(新型転換炉)については実用化の段階を進めるというのが、当時の原子力委員会の決定です。ところが、実際問題として、それが出てからいくばくも時間がたたないうちに、経済的な理由でATRはやめたと。そうなると、原子力委員会が決定したこの長計は何ですか。これは地元でも相当批判が出ました。やりますと言いながら、電力業界の要求によってやめてしまう。そうなると、原子力委員会というのは何をしているのですかということになるわけです。ですから、この「もんじゅ」もその二の舞になるのではないか。その点を我々は指摘したい。
それから第3に、先程知事も言われましたが、いま福井県には15基の原子力発電所があるわけです。県もいまその総括を県議会に出していますが、これだけ集中立地をして、電源三法交付金等などで、地元自治体または県にも相当金が入っています。しかしながら、社会基盤の整備や地域振興にはたして役立っているだろうか。私はこの点を考えているわけです。
端的な例を申し上げると、原発がなかった時の原発立地をした地域の市町村の人口は、敦賀市を除いてすべて原発が来た後は減少しているのです。人口が減っていくということは、原子力発電所というものはそれだけ地域振興に役立っていないということを、明らかにしていると思うのです。
いままた県と敦賀市長が主催をする全国原発立地市町村連絡協議会が中心となって、原発立地振興法案を何とかしてくれと言っているのです。私は先般、市長もこの席にいますが、敦賀市の原子力懇談会で「それだけ旗を振るのだったら、敦賀市の原子力安全対策課は、原子力推進課にしたらどうか。安全対策ではなくて、推進ばかりやっているではないか。名前を変えたらよいではないか」と、私は市長を追求しました。市長はそれについて答弁に窮したというか「行革の中で人員がなかなか出せないので」という答弁をしていますが、私は少なくとも中央に対して規制と推進を分離しよと言っている以上は、その自治体がやはり範をたれていく。そうでなかったら、県民や住民、国民の信頼は得られません。ですから、規制と推進はきっちり分離をする体制が必要だと思うのです。それは今度の行革の中でも、はっきりするかと言うとはっきりしない。私はそう見ています。
それから4番目の問題は「もんじゅ」の項について、今回の長計の中では「経済的な理由と政治的な理由で、欧米では撤退している所が出てきている」と、サラリと書かれているのです。しかし、私は、もう1つ重要な要素として「もんじゅ」については技術的な問題があると思います。特に軽水炉と違って、ナトリウムを使う危険性、それから目で見ること、目視ができない。人間の目で見るほど確かなことはないのです。何か事が起こったときに、目で見ることのできるような原子炉、そうでなければやはり安心感は出てきません。私はその点から、技術的に非常に困難があるというところから、やはり欧米でも撤退をしてきているのではないかと見ているのです。
最後に、ごく最近、台湾は廃棄物の問題、経済的な理由から、原発から撤退をしていくという方向を出しました。アジアでもそういう流れが出てきた、欧米では既に出てきている、なぜ日本だけそれができないのか。なぜ原発にしがみついているのか。その点を指摘して終わりにします。
(森嶌)
どうもありがとうございました。引き続いて粟野さんからお願い致します。やはり10分ということで、お願い致します。
(粟野)
私は高浜町で鉄鋼商を営んでいます粟野と申します。私の住んでいる高浜町では、関西電力の高浜発電所において、全国で初めてのプルサーマルを実施すべく、昨年MOX燃料が高浜発電所に運び込まれました。その後、その燃料を製造したイギリスのBNFL社においてデータ改ざんがあったことが判明し、運び込まれたMOX燃料は使用中止となりました。関西電力の高浜発電所のプルサーマル計画はストップしたままであることは、皆様ご存じのことと思います。しかしながら、プルサーマルの意義、必要性については、現時点においても何ら変わっていないと認識しています。
資源少国の日本において、原子力はきわめて重要です。原子力もこのままではウランは70年程度で枯渇すると聞いています。長期的に原子力を利用していくためには、プルトニウムを利用していくことが重要になります。核燃料サイクルを確立していく過程で、余剰のプルトニウムを持たないためには、計画的なプルトニウム利用が必要であり、国際的な疑いを招かないためにも、現在ヨーロッパで実用化されているプルサーマルを、日本においても推進していかなければならないと考えています。
私たちは高浜町において原子力発電所と共存共栄を願っています。皆様はプルサーマルが必要なことは十分に認識されていることと思いますが、私たちもプルサーマルの意義に賛同し、真剣にその推進に協力してきました。事業者である関西電力は、MOX燃料のデータ問題について調査結果を発表し、町議会でも説明を行ったと聞いています。また、高浜発電所の方々も、町内各所に回って説明をしておられました。しかしながら、国につきましては通産省も科学技術庁も、町民に対して何ら説明をされていません。
プルサーマルにつきましては、国策として進められてきたものであり、データ改ざん問題に対して、国としての対策を明確に示すと共に、プルサーマルは重要であり、これまで通り推進していくという強い意思を示していただきたいと思います。今回の長期計画においても「プルサーマルについては、2010年までに累計16基から18基において順次実施していくことが電気事業者により計画されている」という表現であり、国として電気事業者任せの他人事と思っているように私には感じられます。はっきりと言えば、私は国に対して非常に不満を持っています。
プルサーマルの推進については、高浜町で合意する際には、国策に対して良識ある町民が支持したものです。確かに一部の人々は反対されましたが、公の場で議論し、大半の町民の納得を得たものとなりました。BNFL社のデータ問題が発覚の後、反対派の方がプルサーマル等と称して、原子力発電所の運動を止めようとする住民投票を求める署名活動を行いましたが、署名数は少数であり、良識ある議会でも否決されました。これらの国策に前向きに協力していこうという町民の姿勢は、国並びに事業者との相互の信頼関係があってこそ初めて報われるものです。
いま国は、私たち高浜町民の国策に協力してよりよい未来をつくっていこうという熱意に対して、どのようにこたえてくれるのか注目しています。それなのに、我々の心のくすぶりをすっきりとさせるものが、今回の長計の中に不足していると思います。今後原子力を進めていこうとするとき、色々な課題を乗り越えて行くことが必要になると思いますが、今回のように中途半端なまま放っておかれると、国策に協力しようという町民の心が離れてしまい、その結果がどうなるかということを、国としてお考えいただきたいと思います。
高浜発電所のプルサーマルに対して安全性は当然基本でして、データ改ざん問題のような問題が起こらないようにしていただかなければなりませんが、具体的にどのように実施していくのかわかりやすく示していただくことを希望します。そうでなければ、私たち高浜町民の心が離れていくような気がしてなりません。十分なご配慮をいただきたいと思います。国の意思と行動力の力強さに期待します。
いまのが応募に際して私の書きましたものですが、それを少し補足させていただきます。まずそもそも防衛、食糧、エネルギーの3つは、それぞれの国が自立を保つために必須のものでして、当然国が責任を持って進めていくべきものであることは、皆さん十分ご認識のことであり、決して他の国を頼りにすることはできないものです。少資源国であり、かつ島国という日本の状況を考えた場合、原子力という純国産のエネルギーを利用することはしごく当然のことであり、私たちの子孫や孫の代までエネルギーを安定供給できることを考えたしっかりとしたエネルギー政策を望みます。
この「ご意見をきく会」の意見募集を見て、まず目を疑ったのは、応募の宛て先が三菱総研となっていたことです。なぜ原子力委員会になっていないのか。国の腰が引けていると思わざるを得ませんでした。色々な考えがあって、長計策定の事務局が三菱総研になったのだと思いますが、私としてはどんな批判を浴びようと、国の政策は我々が責任を持って推し進めるという気概で、事務局についても国にやってほしかったと思っています。1つのことを実現していくには、腰を入れて、腹を決めて、信念を持って行動することが、エネルギー政策でも実現する大事なことだと思います。
ただ、私はこの長計の中で、国民の理解のための環境整備がうたわれていることは、非常に評価できると思っています。国民の理解がなかなか進まない1つの理由に、センセーショナルなマスコミ報道があると感じています。マスコミは色々なことの中身を正確に伝えようというよりは、お上叩き、体制叩きに終始している感を私は常に感じています。そのため、この長計で述べられているように、国民一人ひとりに正しい知識も持ってもらうようにすることはもちろん、更にセンセーショナルな報道に左右されず、冷静に色々な情報をより客観的に判断するといった考え方を、国民全体に提供していくことが非常に重要なことと私は考えます。
色々失礼なことも言ったかもしれませんが、立地地域で原子力政策に協力している人がたくさんいます。その存在と、その人たちの気持ちを理解してほしいということで、ご容赦願いたいと思います。以上で私の発言は終わらせていただきます。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは次に中村さん、お願い致します。
(中村)
私が発言原稿を書いた後で、大阪のドームセンターという所で「もんじゅ」対話集会がありました。総合エネルギー調査会のエネルギー政策の審議との連携も考えなければいけませんし、更には長計の正式なまとめを届けていただいて、これを読んでから少し原稿とは違った点も書き加えさせていただいて、話をさせていただきたいと思っています。
まず申し上げたいことは、今度の長計が具体的な数値がほとんど書き込まれていない、きわめて特異な内容を持ったものだということです。長計は具体的な計画が書かれるのが当たり前でして、こんなズンベラボウな記述で書かれた長計はまず初めてです。私はこれはきわめて重大な意味を持っていると考えています。例えば、六ヶ所の濃縮施設について太田電事連会長が、1,500トンという目標値を書き込まないでおこうとされた、そういうことと同じ意味が、至るところに隠されていると考えています。つまり、具体的な数値を書き込まない、書き込めない事情があるということです。解決できない問題が至るところ伏在している。そうであるから、結果的に案がこのようなものになったと考えています。ですから、近い将来には伏在している問題が顕在化してきて、どうにもならなくなるのではないかと考えます。私に与えられているテーマは核燃サイクルですから、このテーマに則して、この間の事情を見ていきたいと思います。
核燃サイクルは、いまあたかもプルサーマルが中心であるかのように書かれています。しかし、核燃サイクルのカナメはプルサーマルではありません。あくまでも高速増殖炉によるプルトニウムの増殖です。これがなければ核燃サイクルなどということは言えないはずなのです。核燃サイクルについての長計の記述が、目標年度も示せずに具体的な期日を欠いているのは、実はカナメである高速増殖炉に全くメドが立っていないことからだと思います。「『もんじゅ』は原型炉ではない、「常陽」と同じ試験炉である、単に発電設備がついているだけの違いにすぎない」、ということは「もんじゅ」の総点検を指導指示された宮崎教授が、実はこの福井で行われた「『もんじゅ』をどうするか」というテーマの深夜テレビの討論で、私の問題提起に対して言われたことです。
つまり、高速増殖炉開発は、原型炉であった「もんじゅ」から、試験炉である「もんじゅ」へと後退してしまっているのです。それはナトリウム漏れ事故が起こったことが契機になっていますが、本当はセラミック燃料とナトリウム燃料の組み合わせでは、高速増殖炉開発はできないということが、高速増殖炉開発の先進各国の世界的な認識になっているわけです。日本でもこの認識がようやく当たり前の認識になってからです。
核燃機構は、高速増殖炉について、燃料についても冷却剤についても、また炉型についても、今基礎から検討しています。付け加えれば、再処理も湿式ではなくて乾式の再処理の方がコストがほぼ10分の1になるので、これを検討することになっています。従って、核燃機構の開発してきたすべての開発事業が見直しを迫られているのです。当然、核燃機構内部では問題が生じ、いままでの開発路線をそのままあくまでも進めたいという人々もおられるわけです。
この9月10日に大阪のドームセンターでの脱原発政策実現全国ネットワーク等主催した「『もんじゅ』運転再開の是非を問う討論会」が行われまして、ここで菊地三郎さんが「高速増殖炉は実際に開発がもう済んでいて、いますぐにでも50基でも造れる」と事実に反する暴言を吐いておられます。核燃機構内部の矛盾を背負いながら、外部向けの発言と理解すればわからないでもないと言えるかもしれませんが、全く事実に反する暴言であることに変わりありません。私は「もんじゅ」はその危険性から言って、当然廃炉以外の選択肢はないと考えています。運転再開などすれば、高速増殖炉開発に役立つどころか日本という国を滅ぼしてしまうような大事故、炉心爆発事故さえも起こしかねないのではないかと心配しています。「もんじゅ」では高速増殖炉開発が不可能であるということは、すでに世界的に知れわたったことなのですから。これ以上むだな、ドブに捨てるような資金を更につぎ込んで改造し、運転を再開するなどは論外で、「案」をこの点「廃炉」と書き直していただかないといけないと要請致します。
ナトリウム技術習得などが運転再開の理由とされていますが、何故「常陽」でそれが出来ないのでしょう。うがって考えれば「もんじゅ」の炉心の上下ではなく、周りのブランケットは運転中でも自由に出し入れができますので、世界中で最も高純度の、99.9%以上ものプルトニウムが出来る適切な時期を見計らってブランケットを取り出し、防衛的で最も効率的な戦術核兵器用のプルトニウムを密かに溜め込んで核兵器保有のオプションを追求する、ウルトラ右翼の意図がどこかに隠されているのではないかと疑いたくなります。このようなことは、我が国の世界的信頼を失墜させることにつながります。絶対にやってはならないことです。「李下に冠をたださず」という言葉もあります。どうか「もんじゅ」の運転再開は、長計の案からは削除して下さい。危険で経済的にも成り立たない。ただちに停止するべきです。廃炉にするべきです。当然、これに伴って再処理施設なども中止するのが当然です。
プルサーマルですが、安全余裕がこのために削られて、過渡事象発生時には大事故につながりかねません。ウランが節約できるということも、ほとんどありません。全く何のメリットもないのです。これもどうしても案からは削除していただきたいと思います。プルサーマルのただ1つの合理的な実施理由は、プルトニウムを余分を持たないと国際公約を守るためだと考えられるのですが、英国やフランスにそれぞれ10トン以上のプルトニウムがもう溜め込まれています。国内の分を含めると、30トンを超えています。ですから、プルサーマルをいまからやってもどうせ役には立たないわけです。余剰解消には役に立ちません。アメリカが決めているように、兵器級プルトニウムは利用する。しかし、原子炉級プルトニウムは被ばくの危険が非常に大きいわけですから、これは廃棄するのが合理的な選択だと考えます。「案」をこの様に書き直して下さい。
高速増殖炉が開発できないわけですから、70年を限度とする原子力利用は、ここで脱原子力計画を取って止めていくという方向の選択肢を、ぜひ長計の中で考えていただきたいということを申し上げて、終わりにしたいと思います。
(森嶌)
どうもありがとうございました。では最後に北條さん、お願い致します。
(北條)
敦賀市の北條です。原子力長計に関する意見を述べさせていただきます。
原子力はエネルギー安全保証の柱として、また2度にわたる石油ショックの教訓として、40年以上にわたり研究開発が地道に続けられ、日本のエネルギー供給に大きな役割を果たしてきました。今日、二酸化炭素の削減などの地球環境問題への貢献、更には欧米が原油価格の上昇に悩んでいるにもかかわらず、日本においては石油備蓄の効果もさることながら、原子力発電の定着により石油価格の安定化に貢献するなど、これまでの日本の原子力長計が着実に成果をあげ、今日の国民生活や産業の下支えとして、そして発展に貢献していると言っても過言ではないでしょうか。
この中にあって私の住む敦賀市は、「ふげん」「もんじゅ」など核燃料サイクルの研究開発の重要な基地として、また原子力発電2基によるエネルギー供給基地として、30年にわたって貢献をし、敦賀市そのものも原子力を重要な産業として共に発展してきました。今後とも、原子力発電の2基の建設が予定されるなど、まさに日本の原子力の研究開発やエネルギー供給として重要な役割を果たすと共に、敦賀の町の雇用や、経済にとっても切っても切れない存在であることは言うまでもありません。いうならば、原子力長計そのものが、敦賀の市民生活に影響を与えると言っても過言ではありません。
しかしながら、今回の原子力長計は、多様な意見が集まった反面、複雑化し、不透明性を増す世界情勢にあって、骨太の政策と実現に対する情熱が失われたと言っても過言ではないでしょう。具体的な政策は示さないが、基本は変えない。世論への配慮と原子力の重要性がないまぜになってはいないでしょうか。欧米の動向を参考にし、官庁がまとめる調整型の政策になっていないでしょうか。私は原子力長計の案が、原子力の考え方とするならば理解ができます。これまでの原子力長計が果たした役割、地球環境問題への対応、石油に代表されるエネルギー危機にいかに対応するか、更に、JCO事故に代表される原子力不信の時代いかに国のエネルギー戦略の一環として原子力を利用していくか、その意味からも、原子力長期計画は、いまだからこそ戦略性を含め明確に長期計画を示すべきときではないでしょうか。
まとめると、1つ、原子力長計の中で、原子力を基幹電源として最大限活用するという基本施設、高速増殖炉を基軸にした核燃料サイクル構想を推進する考えは、何らは変わっていません。なぜ自信を持って、その戦略と実現に向けたプロセスが描けないのか。あまりにも国民感情や世論を意識するあまり、中途半端なわかりにくい長計になっているのではないでしょうか。具体的には、その方向性や時期に明確にすること、議論が必要なものは、両論併記など選択軸を明確にすることです。
2つは、今後ともこれまで通り、おおむね5年とする短期間に見直しを継続とするならば、適時適切な評価により計画に柔軟性を持って取り組むとの原則。長計の案に書かれています。これは、長期間と多額な資金を要する原子力の実施計画を、わかりやすく言うと、国民の税金を使っての原子力の研究開発、そして市場原理に左右されやすい民間の事業の取り組みに、無責任きわまりない考え方ではないでしょうか。その時期その時期において、責任を持って、深い洞察の下にその計画と方向性を明らかにしていくことが重要ではないでしょうか。
3つ、これほど重要な原子力長計が、多様な意見が出る反面、国民的関心は薄く、わかりにくい長計となるならば、閣議決定だけではなく、議会制民主主義の原点に立ち、論点を明確にしながら国会での議論を経て、その方向性を明らかにしていく方策も重要ではないでしょうか。
4つ、原子力産業は裾野の広い産業です。研究開発、建設、そして発電といった技術者の多くのあらゆる分野からなっています。しかしながら、JCOの事故を考えてみると、サイクルの政策が不明瞭な中で、市場原理の中でリストラが行われ、そして教育訓練がままならない中で発生した事故とも言えるのではないでしょうか。これからの原子力産業、いまだからこそ日本に必要な原子力産業の裾野をきちんと守っていく観点からも、原子力政策あるいは原子力長計は、しっかりした骨太の、そして明確な方針がなければならないと考えます。
以上4点、斟酌され、何らかの形で反映させていただければ幸いです。よろしくお願い致します。ありがとうございました。
(森嶌)
どうもありがとうございました。以上で前半の部のご意見の発表者の発表は終わりました。
続きましてこれまでのご意見に対しまして、策定会議側から、ご意見にありましたような事項につきまして、策定会議でどのような議論が行われたのかというような点につきまして、ご説明を申し上げたいと思います。
ご説明につきましては、これだけたくさんの委員もいますので、原則としてそれぞれの項目についての分科会座長からご説明をいただくことに致しますが、全体的な問題として、これは視点というか見方は違っていますけれども、粟野さん、中村さん、北條さんから、いずれもそのご発表の中に、今回の長期計画について具体的数字に欠けるのではないか、時期、プロセス等についての明確な書きぶりがないのではないかということがありましたので、ここで今回の長期計画をどういう考え方でまとめようとしているのかということにつきまして、全体的な問題について、まず私のほうからご説明させていただきます。
今回の長期計画は、確かにいままでの長期計画と違っていますが、第1部、第2部、その後にも部がありますが、第1部におきましては21ページぐらいまでだと思いますけれども、これはいわば全体をどういう考え方で長期計画の策定会議を議論したかということについてでありまして、これは申し上げるまでもなく、現在の原子力をめぐる国民の間の意見の対立、あるいは不信、不安というものがあります。そこで、国民及び国際社会に向けて、我が国としての原子力行政のあり方についてのメッセージというか、どういう考え方なのかということを、これはあまりわかりやすくないというご批判もありましたけれども、できるだけわかりやすく述べるということです。そしてその中に、先程申しましたように、数十回の分科会も含めた議論を致しました結果、こういう方針であるという基本的な方針をいわば概括的にお示しするということが第1部です。
第2部には、原子力発電あるいは核燃料サイクル、それから放射能に関する研究、あるいは国際社会などについて、それぞれの分科会でご議論をいただいたところを方針として、基本的な方針を明らかにしているところです。
先程の北條さんのお話に引用もありましたように、私どもの現在までの検討では、エネルギー源としての原子力は、今日のわが国のエネルギー源の基幹的なものとして位置付ける、しかしながらそれは唯一絶対のものと考えるよりも、現時点における色々なエネルギー源の中で1つの重要な選択肢という考え方です。
しかし、将来色々な技術の展開等もありますので、現在の方針を明らかにした上で、特に技術的な問題ですが、将来の事態の変化に従って、先程「適時適切に」というご引用をいただきましたが、適時適切に見直していく。そして、その時点で最もよい選択を考えるという、柔軟というのはそういう意味でありまして、少なくとも私どもとしては腰が引けているとか、隠し事があるのではっきりしたことは言えないというつもりではありません。
なお、具体的な数字等についての議論につきましては、各分科会からの分科会の報告書が出ていますので、本体の策定会議の文章には細かい点は出ていません。その意味では、私どもとしては骨太に我々の方針を明らかにしていくというつもりで書いていますので、その点は従来の基本計画と少し違ったアプローチになっていますので、その点をご説明申し上げたいと思います。
なお、粟野さんから三菱総研の話が出てまいりましたが、これはたまたま今回の「ご意見をきく会」ということで色々なご意見もいただきますし、こういう場所のアレンジもしなければいけないので、科学技術庁の担当部局の人数は非常に少ないので、その部分についてアウトソーシングをしたのでありまして、この策定会議自体の事務局は、策定会議のメンバーであると同時に、事務局は科学技術庁がやっていますので、決して我々のほうで投げ出して、あるシンクタンクにお願いを全部してしまったということではありませんので、これは誤解のないようにご理解いただきたいと思います。
それでは、早速、原子力エネルギーに関する教育、立地地域との共生に関する説明につきましては、第一分科会の座長をしておられます太田委員のほうからご説明をいただきたいと思います。なお、一通り分科会座長のお話があった後、ご参加の委員の方から追加をしていただくということも考えています。どうぞよろしくお願い致します。
(太田)
策定委員と第一分科会の座長をやっています太田です。いま座長代理からもお話がありましたが、中村さんからも私の名前が出たものですから、ちょっと申し上げておきたいと思います。
実は昨年の7月にこの策定会議の第1回目が行われまして、この策定会議を検討していくにあたってどういうまとめ方をするかという時に、やはり日本における原子力の平和利用の基本的な考え方、大きな方針、骨太なものをやっていこうということになりました。それは北條さんのおっしゃる通りですけれども。
その場合、具体的な数字を入れると、大体長計というのは数年間変えないものですから、私どものような事業計画の場合には毎年毎年ローリングプランで、世の中の経済情勢とかエネルギー環境というようなものが変わると変えていきますからそれでよいのですが、6年も7年も変えませんと、数字が固定されてしまうと誤解を招き、計画そのものの信憑性が疑われはしないかということになります。そこでできるだけ具体的な数字は、載せなくて済むものであれば載せないように、その代わり日本の原子力平和利用の基本的な方針、考え方というものがはっきりわかるようにしようという方針でやったわけです。
ただ、議論の最後のほうで「数字を載せたほうがよいのではないか」というような意見もあったものですから、それに対して私は最初の方針を確認する意味で「数字は載せないほうがよいのではないか」と言ったものです。何か私が言ったことが大変に象徴的な話になりまして、物議を醸したのですが、一応そういうことです。
もう1つ加えて申し上げますと、北條さんのご意見なのですが、私は原子力長期計画、計画というと確かにどれだけの期間をかけて、何を、どれだけの量のものをいつまでに造るかとか、そういうのが本当の計画ですから、そうしなければいけないと思います。けれども、方針が内容ということになりますと、長期計画という名前自体が、いまのご意見のように全く私の心配したようなことになったり、そういうご意見が出るに違いないから「長計」という名前をやめたらどうだと、「日本における原子力平和利用の基本方針」というタイトルのレポートにしたらどうだということを提案したのですが、それは法律を変えなければいけないとか、長年そういう名前できたからこの際急に変えるわけにはいかないとか色々あって、それで内容は方針ですけれども「計画」という名前でお目見えしたということです。先程の座長代理とは別の言い方かもしれませんが、中身はそういうことです。
いま5人の方から色々とご意見を承りまして、大変感謝して、参考にさせていただきたいと思います。第一分科会に関わることが、特に豊嶋さんから2つほどあったと思います。他の分科会に関わることは、私以外の座長や関係の先生からまたお話しさせていただきますので、私からは、特に豊嶋さんの関係では教育の問題がありました。
特に、この原子力というのは科学的、技術的に非常に難しい問題ですし、色々なご意見のある方がいますので、やはり日本国の将来のエネルギー問題を見据えた場合に、正しい理解をしていただく、そのためには教育というものが一番大事であるということで、私どもは第一分科会の委員の中にも高校の校長先生など教育現場の先生にも入っていただき、色々教育の専門家の方にも入っていただきまして、ご意見を聴取しながらまとめさせていただいたという経緯があります。
その結果、原子力に関する教育というのは、エネルギー、環境、科学技術、放射線などの観点から見て、どうしてもこれらはバラバラではなくて体系的な見方をしなければいけない、総合的にとらえる必要があるということで、学校におきましても教科の中で教えていただければよいわけですが、なかなか難しい点もありますので、「総合的な学習の時間」を活用するなど致しまして、ぜひ学校でも取り上げていただくようにしたいと。
そしてまた先生方も、そういったようなものに対する知識とか正しい理解というものが必要になるわけですので、そういう時に活用していただくような教材等の提供、そしてまた学校以外の、例えば科学館とか博物館とか、その他私どもがやっていますようなPR関係の機関もありますし、そういったところのネットワークを作りまして、総合的に教えるほうも勉強できるようなシステムを考えていったらどうだろうかということでした。私どもの案では、25ページにありますが、「原子力に関する教育」ということで1項目あげて、大きく取り上げさせていただいたところです。
もう1つ、オフサイトセンターのことですが、福井県が遅れているというようなお話ですが、他の県も遅れているところが幾つかあると思います。このオフサイトセンターは、ちょうど1年程前のJCOの事故に鑑みて、お国でも色々ご努力されて、原子力災害特別措置法というのができたわけですが、それに基づいてこういうものを造ることになったわけです。それの施行規則によりまして、オフサイトセンターの設計仕様というのはどういうものであるかということを満たさなければいけないわけです。初めに考えたものに比べるともっと詳細な立派なものにしなければいけないということで、いわゆる詳細設計のやり直しがあったというように私は伺っています。そんなことで、当初見込みよりも若干完工が遅れるということになってしまいましたけれども、そう遠くない将来にできると思いますので、ぜひよろしくお願い致します。
それから、これは吉村さんのご意見だったと思いますけれども、地域振興にあまり役立たないのではないかというようなお話がありました。まず、人口の問題との関連ですが、私どもは地域振興に関わる色々な社会科学的な研究をやっていらっしゃる先生に、委員として第一分科会にも入っていただきました。私どもがその先生からいただいたデータでは、この福井県においても昭和40年の人口を100と致しますと、福井県内の立地4市町村の合計の人口は17%増えています。それに対して、県全体では10%です。17%と10%の間の7%分は、どこかで100を割っているところがなければいけないわけですが、それは福井県の嶺北地域で、昭和40年を100とすると4%ほどマイナスになって96%になっているということです。平成7年の数字です。
ですから、人口だけで申しますと、私は中部電力の社長をしていますけれども、私どもの会社には浜岡という原子力発電所があります。浜岡町は、やはり原子力発電所が来る前は大変過疎化に悩んでいまして、2万数千人の人口だったところが1万8,000人まで落ちてしまいました。それが、いま4号機まで運転していまして5号機の建設中ですが、人口は2万4,000人まで増えまして、おかげさまで町はかなり発展しているということです。私はこの原子力の立地というのは、市町村の地域振興に必ず役立つと信じています。
それはそれと致しまして、私どものこのレポートの案では、とにもかくにも事業者と地域社会とが共存共栄していくことが一番大事だ、共生の考えが重要であると唱っているわけでありまして、原子力施設の立地は地方自治体の財政、地域の雇用等にプラスの影響を与えるような施策をしていかなければいけない。しかも、より長期的かつ広域的、総合的な地域振興につなげていくためには、立地を契機として発展していけるようなビジョンを構築していなかければいけない。国におきましても、このような地域の新たな発展の方向性を有効かつ積極的に支援するような振興策を検討する必要があるというように、私どもは案の中で書かせていただいているわけです。
いま、電源三法の交付金等のお金も色々ありますけれども、これも実情に合ったように常に見直すことが必要でありまして、更に原子力事業者は民間企業の立場からその資源、ノウハウを活用して地域の将来像を描くなど致しまして、積極的に地元の期待に応えるような参画の仕方が期待されるのだとしていますので、ぜひご理解を賜りたいと思います。私のほうからは大体以上です。
(森嶌)
ありがとうございました。それでは、エネルギー、原子力発電、核燃料サイクル全般に関しては、近藤第二分科会の座長からお願いします。
(近藤)
近藤です。色々なご意見がありましたので、まとめて策定会議、関係分科会の議論の内容をご紹介申し上げます。
まず第1には、新エネの開発も含めてエネルギー選択についてですが、今般の長期計画については「21世紀を目指して云々」とあるところ、しかも様々な再生エネルギーについての国民の関心が非常に高いという状況を踏まえまして、それぞれについてメリット・デメリット、あるいは技術開発の現状をきちんとヒアリングして、それを踏まえて原子力の位置付けを明らかにしようということで、太陽エネルギーの専門家、風力の専門家、その他それぞれのご専門の方に、技術の現状のご紹介と将来展望についてお話を伺ったということがあります。
時間が押していますので、結論だけ申し上げることになって申し訳ないのですが、そうしたご議論を踏まえて、結論としては、再生エネルギーについては、これからの循環型社会で分散型エネルギーというのはそれなりのメリットがある、そうしたメリットを生かしていくということについて、中長期的には最大限の努力を図りつつ、合理的に導入を図ることが望ましいのではないかと考えています。しかし、量的に見ると、明らかに当面は水力を除いて、補助的な水準に留まるという評価をしています。
他方、原子力についてはすでに森嶌座長代理からご紹介がありました通り、既に我が国において総発電量の3分の1を超える電力を供給しているということ、それからエネルギー資源に乏しいわが国の置かれた地理的環境、海外では脱原子力云々ということがありますけれども、およそ島国であって、先程豊嶋さんからもご紹介がありましたけれども、海外のように系統連携が容易ではない状況、周りにある様々な国との連携をすぐにできるということは当面考えにくい、そんな状況を考えると、エネルギー自給率の向上とエネルギーの安定供給に既に原子力が果たしている役割を考えるに、これからもこれを最大限に活用していくのが合理的であるということになる。そういうことで、今後も当然のことながら他の技術の動向を適時適切に評価するわけですけれども、そういう意味で状況の変化に応じつつ、電源構成に占める原子力発電の割合を適切なレベルに維持するという努力をすることが必要ではないかということを結論したわけです。
第2に、様々な問題が、国と民間の役割分担について生じているということがあります。先程「数字を書くな」という議論もありましたけれども、これもある観点からするとそういうことに関係があります。
つまり、従来原子力開発利用の多くが国の投資の世界であったところを、だんだんに民間が占める割合が広がってきたということが1つありますし、更に進んで最近の市場経済の優位性ということを踏まえて、電力の自由化ということすら話題になり、かつ現実にそれが進行しつつあるということを踏まえると、国と民間がこのエネルギーの問題についてどういう役割分担をするのが適切か、これは非常に長い時間を第二分科会でも議論を致し、それぞれの社会に対する寄与のありよう、つまり市場経済の持つ効率性というのはそれなりに重要でありまして、その結果として国際社会の中で競争的に存在していくということが我が国の福祉にとって重要とすれば、それなりの市場経済の中で民間に最大限の活躍をお願いするということは、ひっきょう、国民の福祉のためということはある。
しかし、一方でそうした事業活動がともすれば短期的視野、公益に関していかがかということはあります。従来、電気事業は公益事業と言われていたのですけれども、その公益の部分については、従って今度は国が担保する必要があるのか。この辺の公正かつ公平な社会の実現を目指していくということに関しては、国が更に役割が増えてくるのかなということを議論致しました。
例えば、第1に国の規制の役割、安全規制、その他の規制は非常に重要であろう。第2には、新しい社会、例えば高度成長の時代から、皆さんが循環型社会、環境重視型社会を目指しているとすれば、それに向かった適切な誘導政策を実施するのも国の役割ではないか。第3に、そうしたものを支える研究開発をきちんと行うこともまた国の役割かなと、そんな議論を致して、役割分担を整理しつつ、原子力発電の現在の電力における姿からすれば、いま述べたことを例外としてその多くを民間事業者が民間であることのメリットを最大限に生かしつつ、適切な投資活動、利用活動を行っていただくことを期待するというのが、国として適切な計画、方針ではないかということを結論したわけです。
その中の一部になるわけですが、特に先程安全確保に関して、そうした市場経済の厳しさがもたらすリストラ等で安全軽視が起こるのではないかということについてご心配が表明されましたが、これにつきましても議論を致しました。そして、ご承知のようにJCO事故の事故調査報告書にもそのことが指摘されているわけです。
それを踏まえて、今後は先程も申し上げたように国の第1の責任はそのようなことの規制ということですので、そうした観点で、なお欠くところがないかと反省し、結論として、単に設置許可をしてこの範囲で事業をやってよいということだけではなくて、実際にその時に約束した保安規定等をきちんと守っているかということを年に何回かは立ち入り検査をするということで、保安検査という制度を整備する。
それから、事故というのもそうしょっちゅう起こるわけではないですから、ともすれば防災といって何かを作っても、それについて一生懸命考えている人がいないということになりかねません。それがある意味では普通ですから。従って、国としては防災専門官というものを置いて、専ら防災ばかりを考えている人を用意することによって、いざという時にその人がいつも第1にしなければならないことができるようにするのが必要と、これが先年決まった規制法の改正、あるいは原子力防災特別措置法の中身ですが、それに魂を入れるべきということも、この長期計画で強調しているところです。
これに関連して、先程の耐震設計指針の見直しの問題、これも当然現在の耐震設計指針の成り立ちについては吉村さんがよくご存知の通りなのですが、当然原子力施設の近傍については一般的な地域と違って断層の探査は十分にやるわけですけれども、それでも念のため10キロの地点にあるマグニチュードの地震を想定するということを行います。
これはいわば念のための対策だと思うのですが、それについていかなるものが適切か、十分に探査してもなお見つからない断層というものはどういうサイズかということについては、やはり学会の中でも特に最近様々な議論があることは十分承知していまして、原子力安全委員会も、私の理解するところではそれについて議論を始める。つまりそういう諸説様々あるところで、まずその諸説を整理するという段階があって、当然専門部会というのは公開の場ですから、公開の場で、そうした基準についての議論が今後適切になされるというように理解をしています。
その前に、当然、緊急的に、阪神淡路の地震についていえば小島先生を長とする問題整理の委員会が設置されまして、この阪神淡路の地震については現在の枠組みの中で理解をして整理できるという判断を下したことはご承知の通りです。
それから、燃料体の検査につきましてもご指摘がありました。これもこの報告書では「しっかりやってくれよ、しっかりやらなければだめだよ」と書いたのですが、その心は、ご承知のように通産省のそうした検査方法は従来いわゆる水際検査であったのですが、そういう入り口検査だけではなくて、やはり製造の場における品質保証システムの妥当性について国として関心をもつことが重要ということで、そういうこと求める制度を整備するように、電気事業審議会を通じて勧告し、かつそれがすでに法律として整備されていると理解しています。
最後に燃料サイクルですが、これについては先程のようなコンテクストで我が国における燃料サイクルの位置付けについて、整理したところ、中村さんあるいは吉村さんから大変厳しい評価をいただいたわけですが、しかし、部会等では原子力もまた将来循環型社会を目指して技術的体系を整備していくということが合理的であり、そうすることでその特徴が最もよく生かせるという判断から、そのために核燃料サイクルを整備していくことが効果的という判断に至っています。そしてその中で、いま現在の状況において、我々の先輩が投資してきた成果を最大限に生かすとすれば、それをプルサーマルで使っていくのが最も合理的であると、そう判断をしているわけです。これを無理無能とされるのはいかがか。
安全性経済性等については、この地でも何回かご意見を伺う機会、私どもの考えを述べる機会もありましたので、ここではそれを繰り返しませんが、内外のデータの蓄積、諸外国の経験を踏まえて、安全性については問題なしとした上で、経済性については向上の余地があるとしても、そうした方針をよしとしたことで理解いただければと思います。以上です。
(森嶌)
近藤先生、普段よりも大変早口でお話しになったのですが、それにもかかわらず私どものほうでご説明する予定にしていた時間を過ぎましたけれども、まだ第三部会、第四部会が残っていますので、鈴木先生、秋山先生、大変申し訳ありませんけれども、できるだけ簡潔にお願いをしたいと思います。少し質疑応答の時間に食い込みますけれども、お許しいただきたいと思います。それではどうぞ。
(鈴木)
第三部会の鈴木です。高速炉及び関連する核燃料サイクルに関する分野について議論をしたわけですが、その議論の骨子をまずご説明させていただきたいと思います。
最初に、高速増殖炉及び関連する核燃料サイクルの位置付けですが、これにつきましては不透明な将来への備え、そのための技術的な選択肢だと位置付けたわけです。すなわち、厳しい国際エネルギー情勢の下で、日本の立場あるいは基盤というものを長期的に考えた時に、やはり技術がベースであるべきであろうということで、その中で高速炉サイクル、簡単にFサイクルと略させていただきますが、Fサイクルの重要性は変わらない。逆に言えば、このFサイクルを放棄した場合のリスクも非常に大きいだろうと考えたわけです。
特に、長期的に考えた場合には、やはり省資源、資源のリサイクルという考え方が大事だろうということで、そういう意味から高速炉サイクルを長期的な観点から追求していくことが大事ではないかと考えたわけです。
ただし、ポイントとして重要なことは、そのような技術開発に取り組むにあたっても、柔軟かつ着実にそれを進めていくということ、「もんじゅ」もそういう観点でい続けたわけでありまして、柔軟かつ多様な選択肢を追求するということが今回の長計案に謳われたかと思いますが、その中でやはりMOX燃料を燃料とし、ナトリウムを冷却材とする「もんじゅ」、これが評価のベースになるべきであろうという観点から、「もんじゅ」については早期に運転を再開していただくべきではないか。
このことにつきましては、「もんじゅ」事故以降色々な場で議論がありまして、多くの方々のご意見を寄せていただく円卓会議、あるいは新円卓会議と俗に呼ばれているようなものがあったわけでありまして、そういう場での意見についても十分それを参考にさせていただいて、「もんじゅ」の早期運転再開ということを長計の中に入れさせていただいたわけです。
その中で「もんじゅ」の使命ですが、「もんじゅ」については何よりも原型炉としての役割があるでしょう。つまり、発電プラントとしての信頼性を実証する必要がある。その運転経験を通じて、ナトリウム取り扱い技術について確立していくということ、この2つは原型炉としての本来の使命であって、まずこれを達成すべきだ。
同時に、多様な技術的可能性を追求していく観点から、「もんじゅ」は高速中性子を提供する実規模の設備であるという意味で、これをより有効に活用するということも考えられるのではないでしょうか。そういう意味で考えると、試験炉的な意味が更につけ加わると考えられるわけでありまして、私どもの理解としては原型炉をむしろ超えた役割を考えることが妥当ではないかと感じているわけです。
それが長計に盛り込まれている内容の骨子ですが、ただいま何人かの方々から特に「もんじゅ」に関連していただきましたご意見について、策定会議あるいは第三分科会での議論をご紹介致します。
まず第1に、高速炉あるいは高速増殖炉については技術的に問題があって、諸外国もこれをすでに放棄しているではないかというご意見ですが、これにつきましても若干の言及が報告書のほうにあると思いますが、私どもの理解は、技術的に本質的な問題があって諸外国がやめた国も確かにありますが、その選択肢を現在のところ放棄しているというようには理解していません。なぜならば、例として申し上げれば、ロシアあるいは中国でもこの高速炉については現在熱心に進めているわけでありまして、それぞれの国が技術的な問題を克服してそれぞれに成果を上げているわけで、その点を忘れるべきではないと思います。
しかし、すでに近藤先生からもお話がありましたが、ご指摘の安全性に関する、特に情報公開について、これをもっと徹底すべきだというご意見がありました。これは報告書にもうたわれていると思いますが、例えば「もんじゅ」の早期運転開始にあたっては安全性について更に留意するというか、情報公開を含めて多くの国民に安心していただくように努力するということを大前提とするというようになっているわけです。
更に、ATRの二の舞になるのではないかというご指摘がありました。これは長計そのものの信頼性に関わることであるというようなご意見だったかと思いますが、私の理解では「もんじゅ」というものとATRの実証炉とは意味合いがかなり違うと思います。
つまり、ATRの実証炉については民間が行う事業であって、かついわゆるプルサーマルと言われている軽水炉でのプルトニウムの利用との競合関係というか、代替関係というか、そういう関係がある。ところが、「もんじゅ」は国が中心になって取り組むということであり、かつ「もんじゅ」の役割あるいは高速炉の役割というのは、プルサーマルの次にくるもの、延長線上にこれがあるという意味で、これは基本的に違うと理解しています。
最後に、ひょっとしたら核兵器を作る気があるのではないかというようなご意見があったかと思いますが、日本が核保有国になるべきではないということは他の分科会で最も熱心に議論されたことであって、そのことがこの長計案にもうたわれていると思います。これは「もんじゅ」の利用においても当然のことでありまして、むしろ高速炉については、これを現在のように核軍縮に伴って核兵器を解体致しますと、余剰のプルトニウムが核兵器国において発生しているわけですが、これを国際的に皆で何とか減らしていきましょう、核軍縮を進めていきましょうという大きな国際的課題があるわけです。
従って、そういう観点からも、実は高速炉は本来技術的に非常に柔軟性があり、多様な使い方ができるということで、その高速炉の特徴を生かすことによって、むしろ特にロシアの余剰のプルトニウムを少なくしていくということに、日本は技術的に貢献できるのではないかということも、この長計に書いてあるわけです。最後に、むしろ「もんじゅ」は、それが何か核兵器を作るようなことに使われるということとは全く逆に、「もんじゅ」の成果が核軍縮に少しでも役立つようにしていただければと思います。
(森嶌)
ただいまの新型炉について鈴木先生のお話にもありましたけれども、秋山委員のほうから少しご説明いただきます。
(秋山)
中村様からご指摘のご意見の中に「夢のある原子力利用へと将来の展望を進めるべき」ということで、その例として「小型、分散型、またコジェネレーションもできメンテナンスフリーの原子炉のシステムを目指してはいかがか」という部分がありましたので、第四分科会周りでそれに関連して議論致しましたことを、内容と結論を含めて一言ご報告申し上げます。
確かに、ご指摘のような特徴を備えました原子炉を含めて、いわゆる革新的原子炉という概念で、分科会、また策定会議全体でもそれらの安全性、経済性を含め、また産官学のこれからの取り組み方の役割分担等に関して色々と議論がありました。
その結果としまして、この長計案では36ページに具体的な表現がまとめてありますが、「次世代軽水炉とともに、そうした高い安全性と経済性を持った、しかも熱利用などもできる多様なエネルギー供給、そして原子炉利用の普及に適した革新的な原子炉が期待される」という表現で結んでいます。また、併せて「炉の規模あるいは方式にとらわれないで、今後多様なアイデアの活用に留意しながら、国、産業界並びに大学がそれぞれ協力してこうした革新的な原子炉の研究開発について検討を行うことが必要である」という表現で括ってあります。以上です。
(森嶌)
はい。予定されていた時間は終わりましたけれども、先程双方向でと申しましたが、もうこれから時間を超過することになりますので、ご意見発表者のほうだけから質問をお願いしたいと思います。できれば「だれに」ということを明らかにして、それでは北條さん、その次に中村さん。
(北條)
どうもありがとうございます。先程、太田委員のほうから「原子力長計ではなくて」という話がありました。しかし、私は1956年の第1回あるいは第2回の時の、広島・長崎の核アレルギーの中での原子力をどうすべきかという、まさに戦略的な原子力長計だったと思います。
今日の状態はそれと内容は変わっていますが、地球環境問題、あるいはエネルギーの対応、そして原子力の不信の中でどうすべきかという、まさに戦略的なものがなければ。というのは、例えば電力の需要、市場経済の中では原子力というのは弱い立場です。そして、先程国は規制という話をしましたけれども、原子力委員会の本来の役割というのは、原子力安全委員会の果たすブレーキと原子力委員会が行うべきはアクセルという考え方が、いま一つ足りないのではなかろうか。
それは、安全性あるいは経済性を持った中でのきちんとした考え方というものを示していかなければ、先程「もんじゅ」は、まさに国の高い税金を使いながらも、いま研究開発の重要な位置付けをしています。ところが、そのサイクルの中で重要な位置を示す、民間でやろうとしている核燃料工場、再処理工場、これも含めた後押しがなければ、どうしても市場経済の中では弱い、あるいは後ろ向きになってしまう。
そういう中で戦略性を持ったというのは、東アジアの中で、あるいはそういう中で、やはりこれからの原子力というものは、いまやはり市場経済の中で足腰が弱くなってきています。私ども民間で原子力産業に働く者、特にメーカーにおいてはどんどん技術者の移転が行われています。骨太ではなくて骨細になっています。そういう観点からすると、将来の、あるいは50年先、あるいは100年先ということを考えるならば、やはりいまきちんとした骨太の原子力政策に対する長期計画をきちんと作っていただく。これはやはり戦略性を持った骨太のもの、方針とというよりも、やはりその辺を明らかにしていただかないと、どうもJCOもその辺で起きているような気がしてなりません。
もう1つ言うならば、私どもの地域、敦賀も、その最先端、まさに現業で、明日、今日といったところで働いています。そして、そこにはやはり夢というものを含めて必要ではないかと思います。そういう点も含めてお考えいただければと思います。以上です。
(森嶌)
はい、それでは中村さん。
(中村)
それでは手短に申し上げます。3つですが、1つは長計というのは原子力委員会が決めることになっていますけれども、建前はそうなっていますけれども、先程ATRの例もありましたけれども、今日はエネルギー政策の一環としてこれが決められるということが一番大事な点になってきていると思います。そういう点から、私は総合エネルギー調査会の委員もやらせていただいているのですけれども、ぜひ長計とエネ調との連携をとっていただきたいということ、これが1点です。
2点目は、先程秋山委員のほうから「夢の」という話が出てきましたけれども、実はいま私が聞いていますところでは、175万kWというようなものすごい大型の原子炉を造るということが夢になっているようですが、こういうことはもうやめていただいて、やはり私の申し上げているような形で、秋山委員がおっしゃったような形で考えていただきたいということ、これが2点目です。
3点目は、「もんじゅ」の廃炉ということを、長計の中でぜひとも審議していただきたいと思います。
(森嶌)
はい、それでは吉村さん。
(吉村)
近藤委員と鈴木委員のほうからお話がありましたが、特に技術的な問題もさることながら「ロシアや中国ではやっているではないか。そして成果も上げている」とおっしゃるのですが、実際FBRの技術的な問題についての行き詰まり、これが一番先進国のフランスで顕著に表れたということ、これを指摘したいと思います。実証炉までいって断念せざるを得なくなったということ、その点の評価をぜひお願いしたい。
2番目は、ATRについてです。これは太田委員も電気事業者として、やはりこの策定会議の中でATRを原子力委員会として推進すると決めながら、今度はエネ調のほうというか、電気事業者のほうがやめた、この掘り下げた反省といいますか、なぜ止めざるを得なかったのかという点はしっかり捉えて、その中から次へ発展させていくということが必要ではないか。その点が完全に脱落しているので、ぜひATRの問題については1項入れていただきたい。
3点目は地域振興法案です。私はこれはまさにばらまき法案だと思います。知事や市長は一生懸命「これをやるのだ」と言っているのですが、これはばらまき法です。電源三法交付金でやって、その中に幾つも色々なものがあるのです。その上に、また一般会計からも金を出そうということでは、電力自由化の中で、はたして電気事業者も一般国民を「うん」と言わせることができるかどうかという点が、これから吹き上がってくると思うのです。
そういうばらまきによる地域振興をいくらやっても、過疎化は進みます。特に、太田委員のほうから「昭和40年と比較して」という話がありましたが、これは新聞社の調査で、原発が来る以前です。原発が来る以前の福井県の嶺南地域の市町村の人口と、来たあとの人口の比較において、増えたのは敦賀市だけなのです。あとの市町村は、現実の問題として、美浜町も含めて全部減っているのです。
昭和40年と比較をすると、いまおっしゃったようなことになるかもしれませんが、原発がなかった、それ以前と比較をしてもらわなければ意味がないと思います。昭和40年というと、原発が敦賀や美浜で決定したあとなのです。そして、工事も始まっているのです。そういう時の人口と比較をするのではなしに、原発というものが全くなかった時との比較をぜひ考えていただきたいと思います。それは現実の問題として減っているのです。
まさに、敦賀市でも現在は中心部が空洞化をしていっています。こういう実情ですし、では、原発が来てから敦賀市に大企業がきたかというと、電力料金は安くしているわけですが、しかしそれでも企業がこないということは、デメリットを考えて来ないのではないか、この点を指摘したいと思います。以上です。
(森嶌)
はいどうぞ、粟野さん。
(粟野)
先生方ではなしに、お隣さんに申し上げたいのですが、ちょっと筋違いかもしれませんが、実際問題人口は増えています。私の町の高浜町は昭和40年に人口1万人、現在1万2,000人、近隣の京都府北部、また越前海岸付近の似たようなところを大体調査したことがあるのですが、それは現状、原発を立地しないで置いておくとこうなるという見本だと思うのですが、約2〜3割、多いところは4割減っています。現在、高浜町では2割増えています。その差は相当大きいものがあると思っています。舞鶴市と敦賀市は増えています。やはり、原子力の技術者、労働者は相当多いですから、そういう影響があると思うので、もう少し調べてから言ってほしいと思いましたので。
それから1点、市場経済のままで原子力を任せてしまうと、やはり彼らの意図はその辺の、今年電力不足に陥りましたので、やはり公益性と市場経済とのバランスが大事かと思いますので、それは十分にお考えいただきたいと思います。
私も人口は調べたあとですので。どうぞ。
(吉村)
私も調べていますよ。資料をちゃんと見て言っているわけですから。
(森嶌)
はい、それでは豊嶋さんどうぞ。
(豊嶋)
長期計画案がどういう考え方でまとめていらっしゃるかというのは、お話を聞いてよくわかったのですが、先程その中に、例えばオフサイトセンター設置の遅れが、詳細設計のやり直しがあったので遅れたというお話があったのです。私は、計画を出す場合にはもっとしっかりしたものを最初から出すべきでして、民間ではこんなことは企業に対する信頼性の面からも通用しない話だと思うのです。
この間、もし何か事故やトラブルなどが起こりました時にいったいどうなのかと、ますます不信感が募るではないかと思いますので、この点などもよくお考えいただきたいと思います。
(森嶌)
いますべての方からご発言をいただいたのですが、質問という形で、どなたにということではありません。むしろ「こういうことをもっと考えろ」あるいは「こういう意見である」というように承りましたので、一番最初にご意見の発表がありましたのと同じように、私どもは持ち帰りまして、長計の策定会議での議論に役立たせていただきたいと思っていますが、よろしゅうございましょうか。
それでは、10分ちょっと時間を超過致しましたけれども、前半の部分はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(事務局)
ありがとうございました。それでは一旦休憩にしたいと思いますが、少し遅れていますので、開始を15時40分からとしたいと思います。
まず先に恐縮ですが、意見発表者、策定会議委員の方からの退場になりますので、一般の方々は、しばらく着席のままお待ちいただけますようお願い致します。
それでは、この間に、休憩に先立ちまして注意事項を申し上げます。会場への入場に際しましてはバッジが必要となりますので、常にご着用いただきますようお願い申し上げます。また、この会場を出たカウンターにお飲物を用意していますので、ご利用いただきますようお願い致します。なお、本会場フロアー内での飲食はできませんので、ロビーでよろしくお願い致します。また、喫煙につきましても所定の場所でお願い申し上げます。
それでは休憩に入らせていただきますが、先程申しましたように15時40分からということで再開させていただきますので、時間までに所定の位置にご着席下さいますようお願い致します。
−−休憩−−
(森嶌)
それでは時間も遅れていることですので、早速、後半の意見発表をさせていただきます。後半の発表は萩原さん、渡辺さん、菅野さん、小木曽さん、石黒さん、児嶋さんの順にご発表をいただきます。前半同様に全員のご発表が終わった後に策定会議側から説明をさせていただきまして、できるだけ質疑応答という形で意見交換をさせていただきたいと思っています。
それでは早速、萩原さんからお願い致します。
(萩原)
私は、関西電力大飯発電所が立地する大飯町で会社を経営し、福井県原子力平和利用協議会大飯支部長を務めてきた立場から、原子力発電所と地域との共生に関して意見を述べます。わがふるさと大飯町は昭和28年の台風13号等により困窮を極める中、自然豊かなふるさとを守り、生まれ育った者が豊かに生活できるような町にしたいという願望から、昭和44年、原子力発電所の誘致を決議致しました。しかしながら、その後の歩みは順調なものではありませんでした。町外から原発反対運動にも巻き込まれ、町内は賛成、反対に二分されました。昨今、各地で続発している市長のリコールや住民投票条例制定請求等も、大飯町では約30年前、20年前に経験を致しました。しかしながら、こうした苦難をふるさとの発展を願う諸先輩のご尽力により克服し、今日では日本有数の大飯発電所ができています。
発電所建設により、昭和30年頃には7,400人強であった人口は一時5,700人程度まで減少しましたが、現在では7,000人強まで回復を致しました。発電所建設とともに進学した若者がふるさとに帰ってきて、また、Uターンしてきた者が親の事業を継いだり、自分で事業を起こすといったことも見受けられるようになりました。また、地元の悲願でありました大島半島の架橋、青戸大橋、農道、林道、港湾整備、上下水道、CATV、総合運動公園など、インフラ整備も着実に進んでまいりました。こうした状況から見ると大飯発電所と大飯町の歩みは、共生について一定の成果を上げた好事例であると思います。我々は、そのことに誇りを持っています。
しかしながら私は、現在までの延長線上にわが町の繁栄を望むことは極めて困難ではないだろうか、と考えるようになりました。一方、原子力長計案では、こうした既設の原子力発電所を長期にわたって運転し、エネルギー供給面で大きな役割を期待しています。しかしながら、そうであるとするならば、地域社会で起きている大きな荒波に対して、国が有効な支援策を講じるべきであると考えます。その点について順次、意見を述べてまいります。
まず第1点目として、地域経済の構造転換に向けた支援策の充実を要望致します。これまでの町の経済は、発電所の建設工事と自治体の公共工事とともに発展してまいりました。しかし、発電所の地元企業への発注について言えば、建設工事の完了以降、激減しています。電力自由化によるコスト削減により、今後ますます減少するのではないかと思われます。また、電源三法交付金や発電所の固定資産税の減少に伴う町からの発注額も減少することも明らかです。これを、原発の後は原発しかないと評される方もおられます。しかし、私は地元経済の構造転換を図ることにより問題解決は可能であると考えています。つまり、地元企業の技術の高度化、地元企業を支える人材の能力向上を図り、より高い付加価値を生む産業等に新たな展開を図るべきであると考えています。そのために国に対しては高度な技術を習得できる組織、施設、すなわちIT技術を活用したインキュベーターの設置、従業員に技術を習得させる期間中の経済的な支援、Uターン者などによる新規会社の設立や既存企業に対する会社運営への積極的な支援策を求めたいと考えています。また、事業者に対しては地元企業への情報発信、例えば定期検査など発注工事の詳細内容と条件を公表する等、地元企業受注に向けた努力を求めたいと考えています。
なお、ここで少し付言しますが、電力自由化に伴う事業者のコスト削減努力は、地元企業への発注の減少や地元雇用者の削減圧力にもなるのではないかと危惧しています。しかしながら、そのコスト削減への対応を事業者にのみ求めることは、同じ企業経営者として無理であることは容易に想像し得るところです。原子力発電所に、そして原子力発電所と地域社会の共生に期待するというのであるならば、地域社会との共生に要する費用と、そうしたコスト削減努力との両立を図る方策を講ずるべきであると考えます。例えば地元企業への発注額と地元雇用者への支払い額を指標として貢献度合いを算出し、それにおいて事業者に補助金を支払うというような、地元貢献へのインセンティブとなる制度創設を国にお願いしたいと思います。
第2点は、地方財政への逼迫化です。発電所設備の減価償却が進むにつれ、固定資産税収入などは急激に減少してまいります。今後このままでは町財政は縮小し、町民への行政サービスの低下を招き、福祉水準の切り下げにつながると考えます。この対策として減価償却資産の耐用年数の見直し、更にはそれが不可能であるとするならば、長期発展対策交付金を固定資産税の落ち込みに比例させて算定式を用いて算出し、恒久的財源を確保すること、並びに電源三法交付金の使途制限を緩和することについて、国において一層の検討努力をお願いしたいと考えています。
第3点目は、他地域との共存、交流なしに町の発展は望み得ませんので、交通アクセス、公共交通網の整備への対応を要望します。幹線道路は国道27号1本という状態では、交通渋滞は一向に改善されません。鉄道についても、ようやくJR小浜線の電化工事が着手されたところです。現在建設中の近畿自動車道敦賀線の一日も早い竣工とともに、北陸新幹線ルートについても、ぜひとも若狭ルートを実現していただきたいと考えています。こうした交通アクセスの整備は、都会の人々がリフレッシュ、憩いを求めて自然豊かな地域を訪れるためにも必要なものですから、優先的かつ継続的な投資をお願い致したいと思います。また、大飯町では将来に向けて若者が定着する豊かな町づくりを目指して、若狭大飯マリーンワールド計画を推進しています。国においては、このような地域の振興プロジェクトについて、ぜひ目に見える形で支援をいただくことをお願い申し上げます。
以上申し上げましたことは、多くの既設立地地点共通の問題ではないかと考えます。国の対応をお願い致しまして、私の意見を終わります。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは続きまして渡辺さん、お願いを致します。
(渡辺)
今回の長期計画案には、2つの大きな柱があります。それは、これからも原発をたくさん造っていくこと、それから、「もんじゅ」再開やプルサーマルなどプルトニウム利用を進めていく、この2つです。これは多くの福井県民の思い、日本国民の気持ちとは遠くかけ離れています。それは今日の世界の流れ、常識ともかけ離れているのです。福井県民の、これ以上原発を増やさないでという知事あての署名は21万名以上、「もんじゅ」を二度と動かすなという署名は22万名以上になりました。いずれも福井県人口の4分の1を超えています。ここに福井県民の意思が現れています。
全国的な世論調査でも、ほぼ90%の人々が原発に不安を感じると答えています。世界的に見れば、ドイツの原発全廃方針を初め、アメリカやカナダ、ヨーロッパの各国では原発を減らす方向に向いています。なぜか。それは言うまでもなく、今日の原発がいつ大きな事故を起こすかわからないからです。これが私の意見の第1です。
第2は、過酷事故の危険です。私は長年、構造物の耐震設計の仕事をしてまいりましたが、その立場から考える時、地震国日本では、大地震と原発の大きな事故が重なって起きる危険性があることを指摘しなければなりません。7月21日、福島第1原発で震度4の地震で細い配管が切れました。震度4と言えば座りの悪い花瓶がひっくり返るくらいであって、建物には被害は生じない程度とされています。どうして、このような小さい揺れで配管が切れたのか。それは繰り返しの力を受けて金属疲労を起こし、既に傷んでいたところへ地震の振動が加わって切れたのです。この事故は、ひとたび大地震が起きれば、それまで表に出ていなかった原発の配管などの欠陥が一挙に吹き出す可能性があることを示しています。
阪神大震災の後、原子力安全委員会は原子力施設の耐震安全検討会を設けて報告書を取りまとめ、その結論として、現行の耐震設計指針は、この地震を踏まえても大丈夫というように致しました。これに対しては地震学者から現在の地震学の立場での厳しい批判が出ましたが、私は新日本出版社から「地震と原子力発電所」という本を出しましたけれども、この中で報告書そのものに沿った批判を書いておきました。それは一口で言えば「現行の耐震設計審査指針を、阪神大震災を引き起こした兵庫県南部地震の地震記録と照らしてみると落第となるべきところを、言い訳を幾つもつけて無理やり及第にするということをした」ということです。もちろん原発の大事故は地震によってのみ起こるのではなく、いつ起こるかわかりません。ただ、福井県のように集中して原発が存在するところでは、大地震と共に原発過酷事故の同時多発という恐ろしい事態もあり得るということです。原発を増やして、一層この危険を増やすようなことは絶対にすべきではありません。どこの国も、原発は不安との人々の声を打ち消すことはできません。また、原子力発電所から出る高レベル廃棄物の処分の決め手も見出していません。ここから、原発を増やさない、減らしていく方針が出されてきているのです。
第3は、プルトニウム循環使用の危険という問題です。プルトニウム利用の問題について言えば、長期計画案では使用済核燃料は再処理し、取り出したプルトニウムは使い切るとしています。これまでの計画に書かれていたその裏付けとなるべき数字は、今回の案では全くありません。まさに絵にかいた餅というか、絵にもなっていない餅と言わなければならないでしょう。プルトニウムを普通の原発で燃やすプルサーマルは、現在の原発の危険を一層増大します。原発で働く人々の被ばくも増大します。核燃料の繰り返し利用は現実にはできず、プルサーマルはやったとしても1回しかできません。到底、資源の有効利用などとは言えないのです。更にその使用済燃料の中には、特に厄介な超ウラン元素が多く出ます。プルトニウムも高次化致します。まさに害あって益なしの見本です。これをやってもプルトニウムを使い切れないことは、だれの目にも明らかです。プルトニウムを取り出す再処理はすべきではありません。
また、計画案は高速増殖炉について先の見通しもなく「もんじゅ」の運転を再開すると言っていますが、「もんじゅ」は試運転を始めてその出力がようやく43%になったばかりで、全く想定外の事故を引き起こしました。多くの福井県民の反対にもかかわらず、もしも運転再開を強行したならば、そこには多くの危険が待ち受けていることでしょう。特にナトリウムを通す厚みの薄い配管を張りめぐらしたこの設備は、地震に対して弱いものだということを指摘しておかなければなりません。
「もんじゅ」の改善案では、ナトリウム火災を防ぐためにナトリウムが漏れた場所を窒素で満たすというようなことにしていますけれども、これも、地震で建屋にひびが入れば効き目はなくなるのです。技術的な困難を多く抱えているだけでなく、経済的にも引き合わない高速増殖炉の行く先は、既に廃止が決まっている新型転換炉「ふげん」がたどった道ではないでしょうか。
高速増殖炉についても、かつては推進だった多くの国々がいまではそれを断念し、原発の使用済燃料の再処理も止めるところがほとんどです。先程中国やロシアで進めているというお話がありましたけれども、どう考えても中国、ロシアの技術力を我々は高く評価できるでしょうか。できないと思います。
原発の使用済燃料の再処理も、やめるところがほとんどになっています。イギリス、フランスの再処理工場の顧客は、いまや日本だけと言っていいでしょう。六ヶ所村の再処理施設はたぶんうまくは動かないでしょうから、日本が使用済燃料の再処理、プルトニウムの取り出しという方針をとっている限り、これらの工場は仕事があるかもしれませんが、これらの工場を取り巻くフランスやイギリスの世論も、日々厳しくなっています。MOX燃料の検査データねつ造事件は記憶に新しく、いまだに解決しているわけでもありません。
私は結論として申し上げたいと思うのですが、当面の問題として原発の新・増設はしない。本県に関して言えば、巨大原発敦賀3、4号炉は造るなということです。危険な「もんじゅ」は動かすな。プルサーマルはやめなさい。そして、長期的には原発からの撤退こそ求められる。これが私の意見です。
従って、長期計画の課題としては、1、段階を踏んで原発を減らしていく。2、代替エネルギーの開発と省エネルギーに真剣に取り組む。3、いまある原子力施設の安全性をいかにして高めるか。これに大きなエネルギーを注ぐ。4、原子力防災をどのようにして実効性のあるものにするか。これらについて、はっきりと計画を立てることだと思います。
前半のところで策定委員の方々からも、色々意見の発表がありました。私は聞いていてやはり、これまで原子力を進めてきた電力企業のトップの方々、また、それを進めてきた高名な学者の方々が中心になっているのだなということを感じました。これでは私たちが望んでいる長期計画は出ないのかな、そういう思いも致します。
最後に、今度の長期計画案に吉岡先生のご意見はどのように反映しているのですか、お尋ねしたいと思います。以上。
(森嶌)
ありがとうございました。それでは引き続いて菅野さん、お願いします。
(菅野)
私は福島県の公立高校の理科教員をこの3月に退きまして、現在は講演会などを通して、地域の環境エネルギー問題の啓蒙活動を行っています。福島県は現在、原子炉が10基ありまして、当地の15基には及びませんが、日本有数の原発県です。従って、全国に報道されるような原発のトラブルや話題が毎年のように起こっています。大きなものとしては、1989年の原子炉再循環ポンプの軸受破壊事故、最近では98年、東京電力さんから福島県にプルサーマルの計画が要請されまして、県が受理しました。99年、MOX燃料が発電所に搬送されましたが、今年の1月、使用延期となって現在に至っています。このように県民にとって原発関係のトラブルは関心が高く、特に昨年のJCOの臨界事故以来、原発に対して不信や不安を抱く人が多くなりました。こうした県民の1人として、このたびの長計に対して意見を述べさせていただきます。
私はこれまで生徒や色々な社会人の方々と原子力関係について話し合いますと、多くの疑問や問題点、政府に対する要望が聞かれます。その主なものをまとめて箇条書きに読んでみます。
1、原子力技術は本当に安全で信頼できるのか。2、日本のエネルギー政策のゆくえは今後どうなるのか。3、日本の今後の原子力の位置付けはどうなるのか。ドイツのように閉鎖するのか、それとも原子力に頼っていくのか。4、プルトニウムの政策並びにそれに関連するプルサーマルの導入はどうなるのか。5、放射性廃棄物の処理は安全にできるのか。6、JCO臨界事故は今後どのように生かされるのか。以上の6点が主なものと思います。
私もこの問題というか、疑問を大変重視しておりまして、そうした視点から、この長計を読ませていただきました。この点については委員の方々が大変苦労されてまとめられたことが読み取れました。問題は、今後、この政策方針をいかに国民に納得していただくかということだと思います。
先程教育が大事だということを言われまして、25ページのこの教育についてのことを改めて見ましたが、教育に携わって来た者としてはまだまだ不十分だと思います。去年の臨界事故が起こった時、私は教育の現場におりまして、高校3年生に「臨界とは何だ」ということを聞いたら、ほとんどわかりません。数字を述べると恥ずかしいからやめますが。なぜわからないか。こういうことを委員の先生方はご存じなのでしょうか。というのは、臨界現象を生徒が理解できるには、化学T(AかB)で原子の構造を勉強して、それから、物理Uで放射線とか核融合、核反応をやらないとわからないのです。新しい指導要領ができましたが、これは基礎理科または理科総合と物理T、化学T、生物T、地学Tのうちから2科目選べばよいことになります。現在の生徒はご存じのように理科離れで、物理とか化学はやりたくないのです。どうしても理科系の大学に行くという生徒だけが選びますから、化学と物理を履修する生徒は少ないので臨界事故も放射性同位体も放射能も放射線もわからないのです。原子力の基礎知識は学校教育で徹底させないと科学館や展示館も大事ですが、行っても理解できない生徒がたくさん出てくると思います。この辺やはり文部省と連絡をとって十分に指導をはかって頂きたい。化学も物理もやらなくても卒業できるのが、いまの指導要領です。
それから、原子力について、どちらかというと賛成の方の意見をまとめてみました。これはたくさんありますが、3つ言います。1つは、原子力を将来の重要なエネルギー源として育てていくのは、どのようなことが大切なのでしょうか。それに対しては、どのような方策を立てているのか。また、その方策は、世界的な視野から見た場合に本当に必要なのだろうか。2番目、原子力発電はアメリカやドイツで停滞、または縮小の傾向にありますが、こういう状態で日本並びに世界で原子力に関係する人材、技術の開発ができるのだろうか。3番目、原子力の自由化の波が押し寄せてきて、環境や安全を軽視してコストの低下のみを追求することになり、原子力の安全は果たして確保できるのだろうか。こういうことが、賛成、あるいは支持する方からの声です。こういう面から、私はこの策定計画を読ませていただきました。
色々言いたいことはありますが、1つだけ申し上げます。結論から申し上げますと、先程も話題に出ました柔軟性を持って進めてほしいということです。この計画を見ますと、柔軟性という文言が各所に見られます。残念ながら、私はもう少し細かなことがあってもいいのではないかなと、思っています。
1つは、自立的原子力体系の確立を目指しているように私は受け取れます。これは非常によいことだと思いますが、やはり外国からの技術の導入とか、あるいは色々その研究データなども導入して、安全性の向上を図っていただきたいと思います。特に私がやっていただきたいのは、先程豊嶋さんからも話がありましたが、防災ロボットの開発です。聞くところによりますと、日本は数台しか現在作られていない。それも、先進国から比べるとレベルが低下している。もし、このロボットがたくさんあれば、昨年の臨界事故の時のような人海作戦ではなくて、これで非常に早く対応できたのではないか。それから、今後、廃炉が出てきます。そうした処理もロボットができるのではないかと思います。
それから2番目として、先程話がありましてわかったのですが、36ページのところから私は読み取れなかったのですが、いわゆるコジェネレーションというかリパワリングの問題です。これはドイツの電力会社で、古くなったボイラー蒸気タービンシステムに天然ガスを燃やしたガスタービンシステムをつけまして並列的に接続しましたところが、非常に出力がアップしました。ご存じのようにリパワリングです。この研究が、いま世界的に進められているようです。日本でも、ゴミ発電にこれをやろうとしています。私はこの専門家の方に、原子力についてこれができないかと聞いてみました。そしたら、加圧水型100万kWの場合に天然ガスを燃やしたものを並列につけますと、うまくいけば270万kWになるという試算を出していただきました。これはガスタービンと蒸気タービンを据え付けるスペースさえあれば大丈夫なのです。現在、原子力を新しく設置する、そういうものが非常に困難な状態の時に、こういうものも研究していただけないかと思います。
それから廃棄物処理計画の中で、いままでは早く処理をしてすぐ再利用をしようというように見えましたが、今度、中間貯蔵ということが出ています。私も非常にこれは賛成です。けれども、時間稼ぎでないかというような懸念も出されます。こうしたことを払拭するために、早く具体的な例を出していただきたいと思います。
現在、福島県で、東京電力第2原発の2号機の蒸気タービンの運転延長をする申告漏れがわかりまして、東電側から県議会の原子力安全部会に事情を説明して陳謝するという、非常に残念なというか考えられないミスが起こっています。何か原子力の現場で事故を隠そう、あるいはチェック機能の低下が見られるように思われます。
大阪のある病院では、現場医療のミスを隠さずに報告する「ハットヒヤリ報告書」という制度を作っているそうです。看護婦さん、あるいはお医者さんが「ハッ」としたり「ヒヤリ」としたことを包み隠さず、第三者的な立場で、その対応を計画する対策室にそれを出して、そして患者さんに公表している。はじめは患者さんから非難あるいは不信感を持たれるのではないかと思ったら、かえって信頼を持たれたそうです。原子力の安全にも、そういうことを取り入れていただきたいと思います。
時間ですので終わります。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは小木曽さん、お願いします。
(小木曽)
最初に長期計画策定会議のあり方について述べます。今回の策定会議については原子力委員会から原子力産業会議に委託して、策定会議、予備調査が行われて、それを根拠に策定会議が設定されているわけですけれども、その結果としてこの策定会議の各委員の方々は、どの分科会を見ましても必然的にといいますか、原子力産業会議の意向を強く反映したメンバーでほとんど占められている。だから、その結果としてまとまっている原子力長期計画というのも、当然そういう内容になってくるわけです。それは仕方がないと思うのです。
この中で「この策定会議は、幅の広い、色々な階層の有識人が参加し、あるいは広く国民の声を反映させることに努めた」という記述があります。しかしながら直接、いま言ったように委員自体の選任についても必ずしも各界各層ということにはなっていませんし、国民の声を反映させる場といっても、ただいま行われているこういう「きく会」とか国民からの意見募集、一般の国民にはこういう所でしかできないわけです。そして、それはその策定会議の最終段階、いままさに案がまとまった最終段階で初めて意見募集がされているという、非常に数少ない機会でしかないわけです。この直接「きく会」というのも、わずか、東京、青森、福井の3か所しか開かれていません。この中では、立地の地域の住民、あるいはエネルギーを大量消費する消費者の理解と協力、そういうものが非常に原子力を推進する上で必要なのだということが書いてありますけれども、その意味では立地は2か所しか入っていませんし、大量消費地としては東京しか行われていないという点では、やはり広く国民の声を反映させるという意味では不十分ではないかという点が1つあります。
そして更に、それなりに意見募集された意見、あるいはこういう会で出された意見というのはどのように策定会議の中で審議されていくのか、その辺も不透明です。これは本当に言いっ放しで済む、前回はそうでしたから、そういう性格のものではないはずなのですが、本当に言った意見が策定会議の中で十分審議されることを私は望みたいと思います。これは要望です。これが第1点です。
それから次の点ですが、第2点は、高速増殖炉の技術のサイクル政策全般についてです。その中でもとりわけ「もんじゅ」の再開の問題です。はっきり言って今回の長期計画は、現行の長期計画と基本的には変わっていません。色々な点はありますけれども、基本的には変わっていない。その中で突出しているのが、「もんじゅ」の再開をとりわけ早期に再開しなければならないという、この1項目です。ほかの点と比較すると、これは本当に奇異なほど、この点だけは非常に具体的に書いています。
しかしながら、「もんじゅ」は一体どういう原子炉なのだということに対する疑問を、多くの国民は抱いています。特に福井県の住民はそうです。なぜならばこの長計の中で、高速増殖炉関連の中では、「もんじゅ」は原型炉としてスタートしています。「常陽」に続く、実験炉に続く原型炉として「もんじゅ」はスタートしていますが、その原型炉に続く次の実証炉計画、そして実用炉計画も、この前の方たちが色々触れていますけれども、一つも触れられていません。はっきり言ったら白紙状態です。そうすると、後続の計画を持たない原型炉というのはあり得ないはずなのです。
そのことについて第三分科会の議事録を見ていますと、色々な意見が飛び交っています。例えば古典的原型炉ではないとか、高速増殖炉としての実証を行う炉であるとか、いや、実験炉である、色々な言葉が飛び交っていますが、この計画の中では「もんじゅ」はとにかく運転を再開して、そしてまた別に炉型の選択、MOX燃料以外の燃料、それからナトリウム以外の冷却材の選択、色々なほかの選択肢を広げて研究するということが書かれています。実用化の段階では、更に軽水炉、あるいはほかの電力と比肩し得る経済性の達成が究極の目標であるというようになっているのです。そうしますと、明らかにこれまでの議論の中で、実績の中で、「もんじゅ」はお金がかかり過ぎると言われてきたのです。だから、この経済性の達成が究極という意味では、「もんじゅ」型の高速増殖炉が次の実証炉や実用炉につながるわけはありません。全然違う型の炉型が、次に実用炉に向かって計画されていくことは間違いないと思うのです。そうすると、一体「もんじゅ」は何だということなのです。原型炉でもない。実証炉でもない。先程鈴木委員は、原型炉を超えた炉であるというように言われましたけれども、その位置付けをはっきりしていただきたいと思うのです。一体どういう炉なのだということを。それによって、やはり危険度も違うと思うのです。実験炉と原型炉、原型炉と実証炉、それは危険度が違います。ですから、これは一体どういう炉なのだということを明確に記述していただきたい。あいまいな形でとにかく動かすということは許されないと思うのです。
「もんじゅ」はナトリウム火災事故という重大な事故を起こしましたけれども、停止してから5年、その停止中でも重大なトラブルを起こしているのです。ナトリウムが凝固するとか液化するとか。だから、その運転技術に対しても、住民は非常に不信を抱いているのです。いわんや設計そのものについては、フランスで高速増殖炉、スーパーフェニックスが止まりましたけれども、その原因というのはやはりフェニックスにあったわけです。ラベリー報告という政府報告書が出ていますが、その中では、出力上昇、出力急降下の原因がいまだに解明されていない。それに対する非常に重大な関心をラベリーは払っています。そのことが解明されていないような状態で「もんじゅ」が再開される。あるいはイギリスで起こった蒸気発生器細管の大量瞬時破断の安全審査が全く行われていなかったということについても、疑問があるのです。そういう中での再開というのは非常に問題がありますので、とにかく凍結したまま、更に色々な検討、議論を加えるべきだと思いますので、再開の結論は早期に出すべきではない、そういう記述に直していただきたいと思っています。
それから、「もんじゅ」は既に「もんじゅ」関係1兆6,000億円の赤字を出していますけれども、止まってからでも500億円の費用を投入しています。そういう国家財政を脅かすような財政投入に、これからの時代は国民はやはり耐えられない。そういう意味でも見直しの議論を、やはりこの中に記述すべきであると思います。
最後に廃棄物の最終処分の問題ですが、ここでは高レベル廃棄物の最終処分は地層処分にするということをもう決定的に記述されていますけれども、地層処分というのは外国でもまだ計画の段階です。最終的にそうするのではなくて、やはり目の届く地表で、地面の表で管理していくという態勢を考えていこうという議論もあります。地層処分は、技術的実現可能性は確立されていません。その意味で、この結論の記述というものはやめて、保留にしていただきたいと思います。以上です。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは引き続きまして石黒さん、お願いします。
(石黒)
敦賀市から来ました石黒です。私は出身が敦賀ですので、「もんじゅ」の今後の研究開発がどうなっていくのか、大変その辺が気がかりですので、その辺を中心に致しまして意見を述べさせていただきたいと思います。
ことしの夏は大変暑いということもありまして、ほとんどの電力会社が最大電力消費の記録を塗り替えたということです。私たちはいま、すごい量の電気を消費致しています。産業用、民生用、あるいは大量輸送機関、ほとんど、その動力源は電気です。また、私たちの生活そのものも、24時間電気で賄われるような状況です。そういう状況下、これから日本が長期安定的にエネルギーを確保するということは、これはまさに食糧問題、あるいは防衛問題と同様、日本にとりまして大変重要な安全保障の問題だと思っています。
日本は資源のない国です。また、その資源も有限です。化石燃料、特に石油におきましては、石油産出国のいわゆる政治的な思惑、あるいは政情不安等で常に不安材料がつきまといます。また、化石燃料はCO2の排出等、いわゆる大気汚染、あるいは地球温暖化防止等で、できるだけその使用は抑制したほうが望ましいということです。自然エネルギーは、量、コスト、安定性、いずれも問題がありまして、主力電源にはなり得ない。水力発電も、ダムの建設等で自然破壊につながっていく。そういう中で国策としまして、電源の1つとして原子力発電というものが開発をされてまいりました。
いま原子力発電は、日本の電力供給の約3分の1を賄うまでに至っています。ただ、原子力発電の開発にあたりましては、賛否両論色々ありました。しかし、原発に取ってかわって、何をもって代替のエネルギーにするのか。量、コスト、安定性、環境問題すべての問題をクリアーした、いわゆる責任を持った有効な代替エネルギー案というものは示されていない状況ですので、ただ、反対と言うだけでは、あまりにも無責任だと言わざるを得ないと思っています。
ただ、その中で、いわゆる原発の燃料であるウラン資源、これも有限であるわけです。そのウラン資源をいかに有効に活用しようかということが、いわゆる高速増殖炉の研究開発だと思っています。高速増殖炉はウランの有効活用。それから、余剰プルトニウムをできるだけプラントの中で燃やしていく。それから、核分裂生成物、マイナーアクチニドをできるだけ量を少なくして燃やしていく。色々な可能性のあるプラントですし、また、その研究開発の実績、あるいは技術等は、広く情報提供していくというように聞いています。そういう面で今後、世界が人口増加、あるいは開発途上国の経済の発展等、いわゆるエネルギーの需要が非常に高まるという中で、世界に対しても非常に貢献の可能性があるプラントだと思っています。そういう面で私は、将来、高速増殖炉は必ず必要になる時が来ると確信を致しています。
私たちの地域に原子力発電所が立地、そして運転されて30年の歳月が流れました。この間、大小様々なトラブルがありました。しかし、大枠では原子力発電所の多重防御が働いて、そして原子力発電所にとって最も大切な、止めて冷やして閉じ込めるということが、私は基本的には守られてきたと思っています。そして、私たちの周囲の環境に著しい影響を与えたことは一度もなかったわけです。
そういうことで、「もんじゅ」のトラブルに関しましても私は、細かいことを言ったらきりがないです、大枠では二次系配管室の中でおさまったトラブルだと思います。レベル1のトラブルです。ただ、「もんじゅ」のトラブルに関しましては、その情報公開の不透明さ等、いわゆるビデオ隠しとか科学技術庁に対して虚偽報告等で、その原子力開発に対しまして大変な、国民に多くの不安とか、あるいは不信感を与えています。そういう中、反省点に立って動燃は大改革を強いられまして、最終的には組織の解体、それから、核燃料サイクル開発機構としての新たなスタートを切ったわけですけれども、当該事業団はいわゆる設計思想の段階まで戻って、機器メーカーも入れまして、そして徹底的な事故の原因究明と再発防止、それから、安全総点検に当たってまいりました。また、あわせて国のほうも特別チーム、科学技術庁、あるいは原子力安全委員会が特別チームを編成して、いわゆる原子力工学の専門の先生方、あるいは金属材料の専門の先生方に参加していただきまして、そして徹底的にそのチェックと検討を尽くしてまいりました。
また、いわゆる国民感情、あるいは世論等にも十分配慮しまして、円卓会議、あるいは高速炉懇談会等を各層各界のいわゆる先生方、有識者の方々に参加をしていただきまして、これも相当の時間と回数を重ねて論議を尽くしてきました。そういう色々な論議を受けて、今回、国の長計におきまして、策定会議が非常にオープンの中に進められてきたと聞いています。その中の報告書の中で、いわゆる「もんじゅ」は、高速増殖炉サイクル技術の研究開発の中核をなすと位置付けられています。そういう中、いわゆる仮想事故のシミュレーションをし出したら切りがないわけでありまして、私は、これ以上時間をかけても新たな展開は開けてこないだろうと。やるだけのことはやった。それから、いたずらにこれ以上時間を経過してもいかがなものだろうと。そういう面で、私は「もんじゅ」の安全審査入りをできるだけ速やかにやっていただきたいと強く望むものです。
ただ、私たち敦賀市民は、「ふげん」の問題で大変苦い思いを致しています。国策である新型転換炉「ふげん」を受け入れました。しかし、青森県の大間におけます実証炉計画中止によりまして、ほとんど地元の意向なしに一方的に「ふげん」は廃炉ということです。敦賀という大変小さなローカルな町におきまして発電所の廃炉は、雇用、自治体の財政、あるいは間接的な経済波及効果は非常に大きなものがあります。ぜひ高速増殖炉「もんじゅ」におきましては、敦賀の地でじっくりと腰を落ち着いていただきまして、長期的な展望に立って、その研究開発の実績を積み重ねていただきたいと思います。
また、トラブルがあった時、一番不安なのは地元民ですので、地元を最重要視した形の危機管理体制の確立を強く望みます。
最後に私は、今回の長計に当たりまして色々聞きました。ほとんどの人が長計を知りません。「長計って一体何?」。いまだに多くの人たちが、原子力問題は無理解無関心、興味や関心の的ではないということです。自分の問題としてとらえていない。しかし、原子力問題、強いて聞けば不安で怖い。だからといって原子力発電所の仕組み、構造、安全性、信頼性というものを自分の納得のいくまで知ろうとしようかとすると、そうでもない。依然として原子力問題というのは、原子力関係者、電気事業者、機器メーカー、国、県、自治体の原子力担当者、一部の推進、あと一部の反対派だけの問題になって、問題が広がっていない。そこに原子力問題の最大の悩みがあり、色々な問題がやはりそこに突き当たってしまうということで、私は今回の長計に当たりまして受け入れ先の自治体や電気事業者だけではなく、本当に国は、こういう長計のペーパーだけではなく全面的に矢面に立って、いわゆるアクションを起こしてその理解に頑張っていただきたいと、これらの色々な問題がもっと大きく前進するように、解決の方向に向かいますように切にお願い致しまして意見とさせていただきます。以上です。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは児嶋さん、次にお願いを致します。
(児嶋)
本長期計画案の結論として、原子力発電の割合を適切なレベルに維持していく必要があること、更に高速増殖炉など、原子力の研究開発が必要であるという結論に至っていますが、私は、これは大変妥当な意見、結論であると考えます。といいますのは、やはり私は21世紀の文明社会を維持するには、どうしてもエネルギー源の一部として原子力に頼らざるを得ないと考えています。とりわけ21世紀の中頃からは高速増殖炉がどうしても必要になる時代が来ると考えていまして、将来に備えて、いまから高速増殖炉の開発研究に取り組んでいくということは必要なことであると考えます。
しかし、この本案を読ませていただきますと、わかりにくいといいますか、文章そのものは非常に柔らかい文章で丁寧で謙虚な姿勢で書かれているのですが、曖昧な表現等、あるいは婉曲な表現がありまして、非常に計画の意図がはっきりわかりにくいというところがあるかと思います。特に本文には、先程からも指摘されていますけれども、具体的な数値がほとんど示されていません。そういうことから、説明不足で説得力に欠けるところが、この本案にはあると考えています。とりわけ、なぜ高速増殖炉が将来必要になるのかという説明につきましては、甚だ不十分であると思います。そしてまた、国策として、この高速増殖炉を進めていくという強い意欲があまり感じられないと思っています。そういう点で、私は大変物足りなさというものを感じました。
と申しますのは、その根拠が示されていないわけです。言うまでもなく、これから21世紀の地球環境問題で最大の課題は地球温暖化だと思いますが、化石燃料をできるだけ使わずに、これから我々21世紀社会は進んでいかなければならないと思いますが、二酸化炭素を出さない点で太陽エネルギーなどのいわゆるクリーンなエネルギーの開発は確かに重要ですが、当面はやはりどうしても困難な状況にあると思います。従って、原子力エネルギーに頼らざるを得ないという状況は変わらないと思います。その点で、一部のほうに書かれていることはその通りだと思っています。
何の数字が足りないかと申しますと、ウランの235というのを燃料とする軽水炉型の原子力発電が当面、主役にならざるを得ないわけですが、10ページのところに「ウラン資源は供給安定性にすぐれているので当面は問題はない」というようなことが書かれています。天然ウランの資源量に関しまして、実は本案には全く言及されていないというのは、やはり片手落ちではないかと思います。天然ウラン資源も当然、有限であるはずでありまして、21世紀末には資源が尽きるのだという説が言われています。本案で天然ウランの資源量に関しまして、現時点で最も確かと思われる数値をやはり示すべきであって、軽水炉でこのままウラン235を消費し続けたら、何年か後にウラン235が尽きると推定されることをやはり示すべきであろうと思います。やがて21世紀の末にウラン235が尽きてしまいますと、ウラン238から転換したプルトニウムにエネルギー源を求めざるを得ないということになろうかと思います。そのための備えとして高速増殖炉が必要であるという説明に、どうしてもそのデータが必要であると思います。
一方、方プルトニウムに関することですが、軽水炉で少しずつウラン238からプルトニウムができてきますが、日本にある軽水炉発電原子炉で年々どのくらいのプルトニウムができてくるのかという予測したデータを、やはり本案に示されるべきであると思います。なぜなら、プルトニウムがある程度溜まってくると簡単に原子爆弾を作ることができますから、ある程度以上の備蓄は国際的な問題を起こすことになるわけです。従って、できてくるプルトニウムを少しでも減らすためには、やはりMOXとしてプルサーマル法でエネルギー源として使っていかなければならないと、その説明も不十分であると思います。プルサーマル法だけではやはり一時しのぎにすぎないと言われていますが、そのことの説明もやはり不十分であると思っています。天然ウランには99.3%のウラン238があって、それを最大限に利用するというのが高速増殖炉であるという明確な説明を、この本案に書いておくべきではないかと思っています。
ウラン235が0.7%しか含まれていないということとか、あるいはウラン238が99.7%もあるということ、あるいはウラン238からプルトニウムができるというような基本的なことも、やはりこの説明書の中に折り込んでおかれたほうがわりやすいのではないかというように思いました。
21世紀から必要になるという高速増殖炉の技術開発の中心になるのが「もんじゅ」であるというように位置付けられていますが、中核として位置付けられていますけれども、この「もんじゅ」の再起動に関しまして、いま既に安全総点検が平成10年に終了しているということですが、これから安全審査、そしてまた次々と行われる各段階の再開に向けてのステップをやはり詳しく説明されないと、「もんじゅ」は早期に再開すべきであるという意見に説得力がないと私は思います。ですから、きちんと「もんじゅ」を再起動するに至るいくつもの準備段階を詳しく説明されることが、この長期計画案の中に必要であると思っています。
一般的なことを少し申し上げますと、私の要旨には書いてありませんけれども、原子力発電など原子力の平和利用に関するわかりやすい書籍がほとんど出版されていないと思いますので、市民は科学的に正確な知識を獲得できない状態にあろうかと思います。その点、原子力関係者がその点にも力を注いでいただければと思っています。また、学校教育でも原子力の平和利用について正確な科学的知識を教えていく必要があると考えていますが、あまり十分な教材があるとは思えません。先程の菅野先生もそう申されましたが。子供たちがやはり原子力について正しく科学的に冷静に判断できるように教育していくことが必要であり、原子力エネルギーを、人類は安全に利用していかなければならないのだということを子供たちに知ってもらう必要があろうと思います。いままでうっかりすると原子力に関する教育が不十分で、原子力というのは何でもすべて怖くて悪いのだというようなアレルギー的な考えをもし子供たちが持っては、大変なことになろうかと思います。
もう1つ最後に申し上げたいことがですが、情報公開とその報道についてです。本案にも徹底した情報公開をすべきであると多くの箇所で書かれていることは、当然のこととはいえ、その通りであると思いますが、しかし残念ながら、これまでに徹底した情報公開とは言えない事例がたくさんありました。そのような結果、幾つかの事例で、公開された情報について虚偽の情報ではないかとか、あるいは何か隠されていることがあるのではないかという不信感が報道側に出てきたことも事実です。そのために原子力発電所で起こったトラブルについての憶測記事とか、あるいは過大な報道が出ることがありました。実際には放射能による環境汚染が起こっていないのに、起こったのではないかという憶測記事が出ただけで、市民はすぐに不安、あるいは恐怖心を抱いてしまいます。そのために魚とか野菜が売れなくなったことがありました。正確で迅速な情報公開とともに常に冷静で客観的で正確な報道を期待したいと思いますが、情報公開と公正な報道との健全な関係構築についても、本案のどこかに明記されることを希望致します。以上で終わります。
(森嶌)
どうもありがとうございました。以上で後半の部の6人の方のご意見を賜りました。一般的な総体的な問題につきまして、先程小木曽さんのほうから策定会議の運営についてご意見がありましたので、その点について簡単にお答え致します。
策定会議は各方面の専門家からなっていまして、それも、様々な意見を持っておられる方からなっています。そして、どのような審議をしたかということにつきましては、すべて議事録も公開されていますし、そこで使われました資料等も公開されています。そして分科会につきましても同じように、先程小木曽さんが引用されましたけれども、資料は公開されているところでして、また、分科会においてもヒアリング等を行ったものもあります。ただ、このような形で案に対するご意見を伺う会というのは、これは3回ということです。十分でないかもしれませんけれども、そのようにご理解いただければと思います。そして、今回の福井でのヒアリングを含めましてご意見につきましては、先程座長から申し上げましたように策定会議に持ち帰りまして、どういうご意見があり、それをどのようにこの長期計画の最終案に盛り込むかということについて審議する予定になっています。その点をご説明したいと思います。
それから、各分科会に関しましては、いままでのご意見の中では「もんじゅ」の問題を含む高速増殖炉の問題が最も多くの方が触れられたところですので、その問題を議論をしました第三分科会の鈴木座長からまずご説明を申し上げたいと思います。
(鈴木)
ありがとうございます。それでは「もんじゅ」及びそれに関連したサイクルに関連していただきましたご意見について、コメントさせていただきたいと思います。
まず渡辺さんのほうから「プルトニウム利用、あるいは高速増殖炉サイクルについては、これを今後とも日本で進めていくことは世界的な流れに逆行するのではないか」というようなご指摘があったかと思います。更に「技術的にやはり問題があって、例えばロシア、中国で開発していると言うけれども、そういうところの技術はあまり信用できないのではないか」というようなお話がありました。これは前半でも最後に吉村さんでしたか、「フランスの技術がどういうことだったのか、あるいはその技術的な問題がどういうことであったのか、よく調査をすべきだ」、あるいは先程小木曽さんのほうからも「フランスで起きた問題はかなり本質的な問題ではないか」というお話がありました。
こういうことにつきましては、石黒さんのご意見にもありましたが、特に「もんじゅ」の事故以降、専門家の方々が色々な角度から検討を加え、一言で言えば、先程前半にも申し上げましたが、本質的な技術的な問題とは認識していないというのが、この長計を書くにあたっての1つの背景としてあるわけです。
例えば、フランスの例ですと、そういうこともあって、第三分科会のメンバーの1人にフランス人に加わっていただいています。「もんじゅ」の事故以後、FBR懇談会と言われている会合が原子力委員会の下に作られ、議論がなされたわけですが、その議論の過程においてフランス人の専門家の方を招いて、そのことについても説明をしてもらったと、私は理解しています。
従いまして、ご指摘の点はよく指摘されるところですが、むしろ本質的な問題というよりは、それぞれの国がそれぞれの国の考え方に基づいて研究開発計画を決めているわけで、特に研究開発ですから、当然技術的な課題はあるわけでして、その技術的課題を解決することが重要であって、そういうことを通じて、日本においてこの高速増殖炉及び関連するサイクル技術を身につけていくということが重要ではないかという意味で提案させていただいているものです。
そういうことにも関連するかと思いますが、先程小木曽さんのほうから「『もんじゅ』を運転再開すると言っても、次の実証炉、あるいは実用炉というものの展望がないのではないか」というご指摘があったかと思います。これは他方、研究開発においては柔軟性がやはり大事だというようなこと、これも先程菅野さんのほうからご指摘があったかと思います。それで色々な意見が確かに分科会でもありまして、今回の提案という形になっているわけですが、しかも、それに関連しては円卓会議、あるいは新円卓会議のような場でも色々な方々が色々な意見を寄せられているわけです。
そこで1つの考え方として、例えば確かに原型炉あり、次に実証炉あり、次に実用炉ありということで、一本道に研究開発計画というのが決められているとわかりやすいのかもしれません。しかし、技術は当然色々な形で進歩もし、また社会情勢も変わっていくわけでして、そういう意味では柔軟性というのも確かに非常に重要な考え方ではないか。従って、ある炉型を決めて、それが将来何十年も先もその通りのものが造られていくという前提を置くこと自体に、むしろその考え方としては今後は変更があってもよいのではないか。大事なことは原型炉「もんじゅ」における成果が次の展開に生かされていくということであって、そういうことを今回のこの長期計画の中で、かなり気をつけて盛り込んだつもりです。
長計の本文のほうは文章的にも限られたスペースしかありませんので十分書き尽くされていないかと思いますが、第三分科会の報告書のほうにはその辺についてはかなり言及をしたつもりです。
従って、大事なことはある構想の下に一定期間の間、きちんとした成果を上げていくということだと思いますが、そういう着実かつ柔軟な取り組みと同時に、もう1つ大事なことはいわゆる透明性ということで、つまり評価をきちんとやっていくということ、このことについても言及があるかと思います。併せて安全性について、なお十分検討すべきではないかというご指摘があったかと思いますが、これは当然のことながら、安全審査を通じてそのことが十分になされ、また、かつ地元の方々が不安に思っていらっしゃるという部分があることも忘れてはいけないわけでして、そういう観点からも運転再開にあたっては最大限の留意を払うべしとなっているかと思います。
次に石黒さんのほうから「もんじゅ」については「むしろもう既に色々な検討が十分に尽くされているので、これは更に加速的に推進すべし」というようなご意見があったかと思います。これもそういうご意見を参考にさせていただきながら、他方において「もんじゅ」については慎重であるべきというご意見もあることを踏まえ、考慮し、今回のような提案にさせていただいているわけです。その辺についてご理解いただければ、大変ありがたいと思います。
最後に児嶋さんのほうから「もんじゅ」の位置付け、あるいはプルトニウムを利用することの根拠と言いますか、理由が不十分だというご指摘があったかと思います。ご意見では要するに「天然ウラン、ウランの238を主として使うやり方では資源量に限界があるのであって、従って、238をむしろプルトニウムに転換して利用するという進め方が大事なのだということをもっと明確に言うべきではないか」というご指摘かと思います。理論的と言いますか、そういうことが重要だと言いますか、確かだということは、むしろよく知られていると思います。
しかし、より現実に大切ではないかと考えたことは、今回の、例えば石油価格の高騰にも見られますように、エネルギー資源、国際的なエネルギー情勢というのは、物理的な資源の埋蔵量、あるいは枯渇するのかどうかということ以上に、経済的な意味でエネルギー資源がどのようになるのかということがやはり大切であって、そういう意味では確かにウランも将来高くなる可能性は否定できないわけですが、ここで強調させていただいたことは、いずれにしても不透明な将来に対する備えが重要なのであって、そのためには技術的選択肢を日本としてはやはり身につけていく必要がある。覚悟していく必要がある。そういう意味で高速炉サイクル技術を位置付けさせていただいた。このようにご理解いただければ、ありがたいかと思います。
(森嶌)
前半の部分でもだいぶご発言いただいたのですけれども、なお第二分科会に関連して多くのご意見がありますので、近藤座長のほうからお願いします。
(近藤)
短い時間でどのようにご紹介を申し上げようかと考えたのですが、1つは安全に関する様々なポイント、プルサーマルの安全性、耐震の問題、自由化に関わる企業のリストラクチャーに関わる心配、防災、原型炉と実証炉は危険度が違う・違わないとか、「ヒヤリハット」云々と、安全という切り口で様々な論点がとりあげられましたが、それぞれの個別にどういう議論があったかということをご紹介するのは大変時間がかかるので、こうさせていただきたい。
1つはまず安全に関しては先程前半の部で申し上げましたように、これは第1にはまず国の規制責任が非常に重要と。本来、自由人が自由に活動をなすことが許される社会であるところ、しかし、原子力については他のいくつかのものと同様、これを許可された者のみがこれをなすことができるという制度を用意して規制をしているということでして、その許可の基準がプルサーマル、地震、その他について適切か否かということについて疑問がおありということかと思います。
これにつきましては、従来と言うか、制度的にはもちろん原子力委員会というよりは原子力安全委員会の仕事であって、そこで様々な基準を作り、それや更に下部規定として定めたところが適切に実施されることに関して通産省と関係規制官庁がモニターをしようというのが現行制度です。そして幸いと申しましょうか、最近は原子力安全委員会の安全基準専門部会というのは公開されているわけでして、そこでどんな議論がなされ、どんな考え方で基準がまとめられていくかが見える。しかも、それのドラフトについてはパブリックコメントを求めるということで、問題があると思う方はそれについてのご意見を提出できるというシステムで基準を作る作業が行なわれていますところ、ご関心の向きについては、そういう機会を大いに利用されて、疑問点を質す、ご意見をお寄せいただくということがよろしいのかと。これは原子力委員会というより、原子力安全委員会のマターですけれども、原子力安全委員会もたぶんそうおっしゃるだろうという忖度をして申し上げるところです。
第2に、さはさりながら、許可された者である民間は、事業者はその範囲では自由な活動をなされるところ、それが適切であるかどうかということについてどうするかということがあるわけです。1つには当然のことながら自主保安ということで、自ら安全でないと恐らく損をするのは事業者に違いないわけですから安全確保努力を懸命に行うでしょう。しかし念のためというかニュークリアセイフティネットワークということで、事業者の相互の間でお互いに相互訪問をして、問題点をお互いに指摘し合うという制度をお作りになったということについては評価したいということを、このレポートでは書いているところです。
が、同時に先程申し上げましたように、国としても、国の行政判断についての国民に対する説明責任の観点から、保安検査という制度を整備して、年に3回なり4回、2週間なり立ち入りをして、本当に保安規定をきちんと守っているかということについて、検査しその結果を公表するという制度を用意したというところです。
更に防災ということについても、私は第3の責任と申し上げていますけれども、国も民間も以上のような安全確保努力をするところ、しかしながら最後の砦として防災計画をきちんと整備し、いつでも発動できるようにしておくということが適切かということで制度を整備しているところです。
これ以上安全の中で防災のこととか、個別のことについて申し上げる時間はないのですが、1つだけ「ヒヤリハット」についてご紹介がありましたが、これは実は原子力の分野でもすでに使われていまして、事業者が自ら「ヒヤリハット」集というものを社内、あるいは関係者の間で回覧しているというように理解をしていることをお伝えします。
高レベル放射性廃棄物の問題について、これは地層処分と決めてしまったのは行き過ぎかというご指摘ですが、これについては高レベル放射性廃棄物の処分について、その費用を現世代が負担をする、あるいはそのことを自ら積極的に考える事業主体というものを決めておくことがきわめて重要、と。これを放ったらかしておくのは国際社会から見ても恥ずかしい姿であるということで、それについて制度を用意したところです。この方法については、原子力委員会の高レベル廃棄物処分懇談会で縷々議論をし、その結果について色々なところで国民の皆様のご意見をきく会を行って内外の様々な知見から見て、これが最も合理的な選択という判断に至ったと承知しています。勿論、今後とも研究開発の成果を踏まえつつ、国民の理解を得ながら、これを実施していくということになっているというところだと思っています。
地層処分というのが概念としてこの世にないのにこれを行おうとする原子力関係者はけしからんというご意見を耳にすることがありますが、放射性廃棄物以外では既にいわゆる産業有害廃棄物の地層処分は既に実施されています。また原子力の分野におきましても、いわゆる高レベル廃棄物ではないですけれども、超ウラン元素で汚れた物質については米国で既にWIPPというプロジェクトで、岩塩坑の中に処分が始まっているところです。
もう1つの観点はエネルギー政策における原子力の問題ですが、これについては前半で申し上げました。従って、付け加えることはあまりありませんが、世界がすべて脱原子力だというニュアンスでご説明されると、先程すでに豊嶋さんもドイツの事情をご紹介されましたけれども、ヨーロッパはいま大体電力自由化で4,000万kWぐらいの設備が余っているという状況で、原子力のみならず、石炭火力ですら新設をする必要はないという状況であるということが第一であり、従って、色々難しい問題は先送りするという選択をするのは政治的にはきわめて合理的だと思います。しかし、スウェーデンではご承知のようにバーセベックの2号を廃止する計画であったところ、これがCO2問題からなかなか難しいということで、一時延期ということになっていることもまた事実としてある。それから、米国等も、実は原子力発電所はいま最もよく稼働している状況であることはしばしば報じられるところです。
中期的には世界全体としてはラッシュ・トゥ・ガス、皆さんが天然ガスを次の燃料とする方向へ向かっているという状況にあります。そこでガスとの経済の比較で、原子力が選択されない状況にあることは事実です。ですが、これは、原子力の持つ、なんというか原子力が本質的にだめだから、採用されないということではない。それぞれの国の置かれた資源の利用可能性とか、地理的条件を踏まえたローカルなディシジョンとしてそういうことが起きている。だから、世界がラッシュ・トゥ・ガスという状況にあるということで、日本もそれに倣えるか、これが一番大事な皆様にお考えいただくべきところです。日本ももちろんサハリンからパイプラインを引いて、ガスをこれからやったほうがよいというご意見もあります。それは私もそういうことをおおいに検討すべしと思いますが、それだけで問題が解決するかとなると、それは難しい、やはり多様な技術資源を使っていくべきではないかと思っているところです。
原子力の位置付けについては、そんなことを縷々議論した結果として、先程紹介された方針に至りついた次第です。
(森嶌)
ちょうど20分のこちらからの説明という時間は終わったわけですが、萩原さんのほうから、地域振興について意見の発表がありました。第一分科会は、前半もありましたけれども、何か。
(太田)
少しだけお話しします。いま萩原さんのほうから地域振興のお話がありました。菅野さんから教育の話ですね。石黒さんからは「もんじゅ」の事故に関連し、技術の問題はともかくビデオ隠しとか、ああいうことで情報公開の透明性が失われたというようなお話がありました。この問題は要するに情報の公開とか、教育だとか、地域振興、これは第一分科会が何回もかけて議論した、まさに大きなテーマでして、例えばこれは後で座長代理から説明していただきたいと思いますけれども、今日配った資料で、実際ご意見を伺うのは長計の案からだったかもしれませんが、各分科会のレポートがあるわけです。今日お配りしてあるわけですけれども、第一分科会のレポートをごらんになっていただきますと、紙面の都合で、本案のほうはごくわずかですが、分科会のほうにたくさん書いてありまして、一応ご指摘のようなことは、議論の結果、網羅してある。そのようにご理解いただきたい。
例えば、教育の問題につきましてはいちいち内容を申し上げる時間はありませんけれども、本案のほうは9行しか書いていないのに対し、第一分科会のレポートには51行書いてあります。テーマだけ言いますと、教育のあり方として、総合的な学習の時間等の活用だとか、教科書、教材に対する取り組みだとか、教員への研修の支援の問題とか、原子力やエネルギー教育に関するネットワークの整備とか、社会の中での多様な教育への取り組みとか、いったことが書いてあります。一応ご意見はごもっともなことばかりでして、ただ、分科会のレポートをどのように活用したらよいかということは座長から説明していただいたほうがよいと思いますのでぜひお願いします。いま教育についてのお話を申し上げましたけれども、地域振興も同じですし、情報公開もものすごく力を入れて、私ども第一分科会ではやっていますので、ぜひご参考にしていただきたい。
児嶋先生のお話はまことにもっともなことでして、私もそのことを盛んに言いましたけれども、かなり抽象化してレポートの前のほうに入っているのです。ちょっとわかりにくいと。私もよく講演を頼まれることが多く、全くおっしゃる通りで、天然ウランの中にあるウラン235というのは0.7%しかないものですから、これだけ使っていますと、70年でなくなってしまうのです。ところが、99.3%ありますウラン238というのは、これが活用できるような技術を開発すれば、1000年以上も持つ。その技術を開発する必然性というのが、先生のおっしゃるFBRの開発、あるいはそれ以外にも炉型がありますけれども、そういうことを色々、レポートは薄っぺらいものですから、よくわかった人がこれから一生懸命活用するということであるかと思いますので、ぜひご了解願いたいと思います。
(森嶌)
第一分科会から第六分科会まで全部報告書が出ていまして、これは科学技術庁にお申し出いただければ、入手可能です。まだ市販はされていませんけれども、そういうことです。時間がありませんので、質疑応答というところに移らせていただきますが、先程名指しで吉岡委員に渡辺さんのほうからご質問がありましたし、吉岡さんご自身、先程手を挙げられて、策定会議からの説明ということも含めてあったと思うのですが、この際質疑応答の第1段として、吉岡委員のほうからお願いします。
(吉岡)
なるべく手短に話したいと思うのです。私の役割がよく見えないというのは確かにその通りで、色々考えてみますに、基本的にはこの長期計画はすべて公開されてきましたけれども、なお透明性にかなりの難があったのではないかという気がしています。それは1つには、会議に全部出ていれば進行状況はわかるのですけれども、議事録があまりよろしくない。策定会議の全体会議についてはきちんとした議事録が名前入りで出ていますけれども、分科会によっては名前が消されているために議論の筋が辿りにくいことが非常に多いという批判を承っています。その辺は名前を入れた詳しい議事録を作るというのが次回からの課題であろうかと思います。
それともう1つ重要なのは、報告書の内容がなぜこうなったのかの説明がない。多様な意見が実際出されたけれども、それが結果として見ると、どうも在来路線の追認みたいな形になっている。審議の結果、なぜこういう結論になっていったのかという流れが見えないというのは確かなところです。これについては少なくとも報告書案の段階では、様々な意見があったということを示し、少数意見も全部書くべきだというような意見が、青森の会の後の酒の席などでも出されました。最終報告書に少数意見を入れるか入れないかは微妙な判断の問題だと思いますが、少なくとも、皆さんに示す案の段階ではそういう多様な意見というのをもっと明記して、様々な議論があって、それぞれの比較検討がなされたということを入れるべきではないか。これもまた次回の課題なのですけれども。
やはり政府の政策というのはいま転換期にあって、いままではインサイダー談合的な議論を非公開でやってきた。それが公共の利益のためにということで、公開されるようになった。しかも国民の意見も反映される道がひらかれた。たしかに政策は変わってきつつある。その過渡期に我々はいる。私がこういう座に少数派として出ているのも、過渡期の改善を前向きに進めたいからです。そのためには研究時間を割くのはやむを得ないと思って出ているわけです。今後も1つ1つ、次回呼ばれるかどうかはわかりませんけれども、呼ばれる限りは参加して改善に努めていきたいと思っています。
今回の長期計画で変わった点というのはおおいにあります。それは数値目標とか、そういうものが皆ほとんど消えたということです。これは色々な理由があって、先程も説明がありましたけれども、1つはいままでの長期計画というのは数字を示したけれども、全部たちどころに間違いになる、非現実的になっていって、信頼性が崩れたというのが1つの理由です。もう1つは、民間の事業に社会主義的な計画で国が介在するというのは、いまや原子力以外ではほとんど見られないようになっている。民間の自主性を尊重し、国は節度ある誘導に留めるべきだという形になるのは適切であり、民間の計画まで数値目標を出さないというのは妥当だと思います。
もう1つの理由というのは原子力発電というのはいままでは優位にあると思われていたのですけれども、他のエネルギー源と比べて優位とは言えなくなった核燃料サイクル関連技術についても今までの方針が他の選択肢と比べて優位とは言えなくなった。優位とは言えなくなったから、色々な国が色々な方向転換をしているわけです。ですから、将来については柔軟に対応していかなければいけない。絶対的な優位は崩れて微妙な段階にある。すぐ判断が変わり得るかもしれないという状況にあるからこそ、数値目標とか、そういうものを立てるのはもはや意味がないという、そういう第3の理由もあるのだろうと思います。
第3の理由を私は非常に強調したいのですけれども、その際に言っておきたいのは様々な選択肢の中で、在来路線を基本的に継承していくという線がこの案に示されているわけですけれども、なぜそうなのか。他の選択肢に比べてどこがどう有利だからなのかという、そういう総合評価が少なくともこの本文ではきちんとなされていないと思います。
しかし、報告書のスタンスとしては、総合評価によって柔軟に判断していくという、そういう政策判断のスタンスが確立したというのは、私が大変努力して主張した意見が取り入れられた結果、そうなったと思います。つまり、総論では私の意見はかなり入れられたと思っていますが、各論はどうも在来路線の延長というような形になって、各論には不満が非常にありますけれども、改革の道半ばというところで、次回以降、より本格的な選択肢の比較検討をおこない、それをとおして方針の転換ということを目指して行きたいと思います。以上です。
(森嶌)
それではどうぞご質問がありましたら。最初に全部お聞きして。それでは児嶋さんから逆に行きます。
(児嶋)
いま計画案についての数字を示してほしいと私は申したのではなくて、数字がないというのは、例えばウランの将来の資源の問題とか、あるいはプルトニウムはどのぐらい生産されるのかと、そういう推定、そういう数字をむしろやはり示すべきだということを申し上げたわけですね。
もう1つ申し上げたいのはやはり基本的に「もんじゅ」の再開について。この文章には「もんじゅ」は、本案には、早期に再開すべきだというようなことが書いてあります。私はもっともっと早く再開すべきだと思っていますが、その再開については、国民にやはりきちっと説明が必要だろうと思います。そのために本案の中にそういうステップをきちっと書いてほしいということを申し上げたわけでして、それについて、鈴木先生からのお返事がいただけなかった。やはり「もんじゅ」が再開されるにはどういうステップを行くんだと、国民には、それほど慎重に運転再開に向けて周到な準備が進められているということを知ってもらうということが必要だろうと思います。そのことをやはり明記しないと、長期計画は「もんじゅ」の再開についての説得力がないと思っています。
(森嶌)
それでは石黒さん。
(石黒)
日本は余剰のプルトニウムを持たないということで、プルトニウムは非常に核兵器になりやすいということで、世界的にナーバスになのですよね。そういう中でいわゆるFBRは余剰プルトニウムを燃やすことも非常に大きな役目ですけれども、具体的にいわゆる余剰プルトニウムをどう管理して、どう消滅させていくかといういうことが、この長計の中では具体的にあまり出ていないわけですね。MOXでやるとか、FBRでやるかということなのですけれども、実際に余剰プルトニウムは日本はどのようにして管理して、消滅させて、常に余剰のプルトニウムを持たないようにしていくかというのが、漠然としてわからないということと、それから私は30年以上いわゆる平和利用をやっていまして、一般社会人になっては原子力のPA化というのは非常に難しいのです。いわゆる職場の問題ですね。売り上げを上げろとか、経費を詰めろとか、家へ帰れば、家庭の問題。子供のしつけとか、老後ということで、確かにエネルギーとか原子力は大事ですけれども、日常的な業務に追われて、社会人になったら、ゆっくりエネルギーを考えるのは無理だというのが圧倒的に多いわけですよ。
ですから、今度の総合教育とか、そういう中で、やはり学校教育現場の中でやらないと、一般社会人というのは非常に難しいと思うのです。その辺をどの程度学校教育現場の中で教えていくのか。30年間どれだけ膨大な原子力PA情報とフォーラム、講演会、シンポジウム、発電所がどれだけやったかわからないですけれども、なかなか進まないというのが現状なので、その辺のところをどれだけ、太田さんとかがやられたかわからないのですけれども、どの程度具体的に総合学習の中でやられているのかどうかということを教えていただきたいなと思っています。
(小木曽)
いまの石黒さんの意見と重複しますけれども、プルトニウムの余剰問題について、透明性がなかなか見えないということなのです。この長計の中でも需給バランスが何も触れられていないので、そういう中で使わないプルトニウムは持たないということは書かれているのだけれども、現実にあるプルトニウムはどのように使うのかということについて書かれていないのです。ですから、これでは国際的な信頼、つまり余剰プルトニウムに対する国際的な疑念というものは消えないと思うのです。信頼関係を作るためにどのように答えるのかと、もう少し具体的にしないとだめではないかということが1つです。
それに関連して、どこで使うかと言ったら、高速増殖炉関係では「もんじゅ」をいくら早く再開してもわずかなものです。「常陽」もわずかなものです。そうしますと、これでは使い切れないわけですから、プルサーマルしか残らないわけですけれども、プルサーマルは乏しい資源を有効に使うためだということが全面に出てしまっているわけで、余剰プルトニウムをなくさないと大変なことになるという話は全然ないわけですね。私は実際にはそこが本音だと思うのですよ。ですから、その意味では、そういう観点でのプルサーマルの議論というものを提起したほうが、また別の観点で新たな議論ができるのではないのかなと思うのですが、その辺はどのように。何らかの形で触れていただきたいなと思うのです。
(森嶌)
他に。どうぞ。菅野さん。
(菅野)
欲張って申し訳ないのですが、2点。1点は先程申し上げました中間貯蔵ですね。私は福島県で放射性廃棄物についてのシンポジウムが開催されたときにもちょっと述べたのですが、この文を見ますと、国民に対してきめ細かく、かつわかりやすく説明するということの具体的なものが私たちはわからないのですよ。その辺がどうなっているか。
もう1点、教育のことですが、総合学習を重視すると言われましたが、私は環境エネルギー関係の全国の中高の先生方の研究集団(エネルギー環境教育研究フォーラム)に所属していまして、そこで総合学習に何をやるかというアンケートを取ったのですよ。これは相当な数が集まりましたが、一番多いのは環境問題です。エネルギー問題を扱うというのは7%弱なのですよ。そういう状態で、総合学習というのはあくまでも先生方が何をやるか決めるのです。私も高校の先生や、中学の先生と話をしてみますが、エネルギー問題、特に原子力問題は扱わないほうがよい、色々問題もあるからというのが圧倒的に多いのです。そういう点などもぜひ考慮していただきたい。以上です。
(森嶌)
では渡辺さん、どうぞ。
(渡辺)
まず「もんじゅ」の問題ですが、先程から色々「もんじゅ」再開が強調されていましたが、福井県民の気持ちとして言えば「もんじゅ」を実際上の実物実験の場としてはほしくない。そんなことはやめてほしい。これですよ。高速増殖炉というものは、原理的に原子力の利用の上で有用性がある、それは認めますよ。けれども、それはいま全く実現の可能性が私たちの目の前にはないのです。そのないものを、危険なものを、実物実験で動かしてもらっては困る。これが私たちの率直な気持ちです。
先程も言いましたが、率直に言って、地震に弱いですよ。高速増殖炉は他の原発よりも弱い。しかも、それに対して情報が公開されているかと言うと、情報公開は、私はこういう場で何遍も言いますけれども、大事な振動に関するデータはいまなお全部隠されています。ずい分公開した、と言うのですよ。そんなはずはない、と言うのですよ。けれども、それは私の見たい振動に関するデータは全部と言ってよいほど、全部と言うと言い過ぎですが、隠されています。あの設工認の厚さ3mにも及ぶ書類を時間をかけて全部繰りました。隠されています。皆、白抜きです。こういうことをやめてほしいと言うと「じゃあ、やめるようにします」と、いつも答えは戻ってきます。しかし、それは実現していません。このことは率直に指摘したいと思います。私は原子力に詳しい知識を持っていませんけれども、少なくとも自分の専門から振動ということについては若干わかります。ですから、見ればわかるのです。そこが白抜きでは困るのです。これははっきり言っておきたい。
先程から「もんじゅ」の再開を言われるけれども、高速増殖炉というのは本質的にはプルトニウムを燃やして、それ以上のプルトニウムを作る。これが本来の性質でしょう。ですから、エネルギー利用上、非常に資源利用上よいと言われてきたのでしょう。その必要がいまありますか。福井県でいま「もんじゅ」を動かさなければならないほど、その必要性がありますか。私はこれを問いたいのです。
プルトニウムの需給について言えば、世界的に見て、核兵器を解体して出てくるプルトニウムをどうするのですか。これを高速増殖炉に入れてもっと増やすのですか。そんな道を私たちがいま選んでよいのですか。それは確かにエネルギーの選択肢の1つとして、高速増殖炉を頭の中に入れておく、研究所で研究する、これは必要だと思う。けれども「もんじゅ」でそれをやらなければならない必然性は何ひとつないではないですか。国際情勢から見ても、その通りでしょう。プルトニウムを増やすということを、いまやるべきではありませんよ。それを申し上げておきたいと思います。
(萩原)
先程石黒さんのほうから、また他の発言者の方からも出ましたけれども、日本のエネルギーは当分原子力に頼らざるを得ないというようなことが何回も出ているわけです。私も全くその通りだと思います。いま国民感情からすると、原子力の新しい立地というのは大変厳しい時期になってきているわけです。従って、既設の立地に対して、原子力発電所を誘致したことによって、その地域、またはその町、こんなに変わったんだというようなことにしていく。そういうことをすることによって、新しい立地にある程度の刺激も与え、また考えることにもなるというようなことになりはしないか。いずれにしても、日本の新しいエネルギーは原子力に頼るということであるとするならば、そういう方面へもどんどんアプローチをしていくということが大変大事であると思いますので、ぜひともそこのあたりもお願いしたいと思います。
(森嶌)
また大変たくさんのご意見を寄せられたわけですが、あと5分で、それでもう既に時間は超えているわけですが、あと5分でと思いますと、結局プルトニウムの需給バランスの問題と「もんじゅ」再開という具体的なステップをどうするのかということで、その他にもありますけれども、問題の性質から言って、その2つについて、鈴木先生にお答えいただければと思います。
(鈴木)
ありがとうございます。まず児嶋さんのご指摘について、私が最初にそれについてのレスポンス、お答えを申し上げなかったのは大変失礼いたしました。ご指摘については非常に重要なご指摘です。
私はいまちょっと見てみたのですが、第三分科会でもっぱら「もんじゅ」を中心とした高速増殖炉サイクルについて議論したときに、実はそういうことについての言及をこの報告書の中にしていません。従いまして、いまの策定会議のやり方ですと、なかなか全体の報告書の中にはそのままでは入れにくかったという事情もあったかと思います。しかし、こういう場でご意見として出していただきましたし、私はそれはたぶん可能ではないかと思いますので、できるだけ多くの方にわかっていただける、あるいは安心していただけるような表現をむしろ考える方向で検討させていただけたらと思います。
余剰の問題ですが、プルサーマルについては近藤先生、第二分科会のほうですが、「もんじゅ」あるいは高速増殖炉との関連でちょっと申し上げますと、まず余剰とおっしゃるのですが、要するに日本のプルトニウムが在庫として少し溜まっていると、少しではないという考え方があるかもしれませんけれども、それをどうするのですかということを言われているんだと思うのです。これはもともと計画があったものであって、従って、そのデータが公表されていることが大事なのであって、俗に言う余剰というようには私は考えていません。
しかし、他方、渡辺さんからのご意見もあって、解体核兵器から発生するプルトニウムのようなものを考えれば、世界的にはむしろプルトニウムは余剰なのであって、いまなぜ増殖炉などやるのかというご意見があったと思うのですけれども、それについては確かにそのような社会的な、色々な状況の変化というものをよく見きわめる必要があると思いますね。ただ、大事なことは、必要ならば増殖ができるような技術を身につけておくということだと思うのです。そういう意味では、まず「もんじゅ」の増殖性を確かめるということは必要である。しかし、それをもっぱら増殖のためにずっとこれからも使い続けるということが適切かどうかは、これは色々な評価を含めて、柔軟に考えていくべきではないか。大事なことは技術を修得することだ。
それとも関連があるのですが、情報公開についておっしゃっているのですが、私も情報公開というのは、私自身もできるだけ情報公開してほしいという立場なものですから、お気持ちはよくわかりまして、ほとんど同じような意見だとむしろ思っていただいてよいと思うのですが、特に厳しいのは外国の技術の場合に、特にそこが厳しいですね。「情報、できません」という場合があります。外国の技術を導入した場合です。ですから、そういう意味でも、日本自らが技術を持つということが、情報公開の意味からも非常に重要ではないかと思います。ありがとうございました。
(森嶌)
時間ですが、どうしてもという委員の方、いらっしゃいますか。はい、石黒さん。
(石黒)
鈴木先生の答えですと、高速増殖炉「もんじゅ」は一応ある程度研究開発の実績を残した後は、いわゆるプルトニウム専焼炉になる可能性もあるということですか。
(鈴木)
いや、専焼炉という考え方はまたずい分違った考え方だと思いますけれども、むしろプルトニウムをどの程度の使い方をしていくのかというのは、増殖性について特に緊急性がなければ、例えばブランケットについては少し考え方を変えてやってみるというのもありますし、先程、ロシアのことをおっしゃっているのかどうかわかりませんけれども、ロシアでは高速炉を使って解体核から発生する余剰のプルトニウムを減らして行こうという考え方があるわけですけれども、この場合はブランケットをはずすのですね。しかし、それは別に本質的な問題ではないのです。つまり、必要ならばブランケットをつけて、また燃料として使いましょうということです。つまり、やはり社会的な色々な状況の変化に的確、かつ柔軟に対応する、技術的に対応するということですね。ここが重要ではないかと思います。
(石黒)
わかりました。
(森嶌)
学校教育についてご指摘がありましたけれども、また持ち帰りまして、策定会議で検討させていただくということを約束しまして、まだ不完全燃焼と存じますけれども、時間が過ぎていますのでこれで終了をさせていただきたいと思います。
それでは事務局のほうに。
(事務局)
どうもありがとうございました。それでは閉会に当たりまして、那須座長より一言ご挨拶を申し上げます。
(那須)
本当に今日は大変真面目なご意見を、そして真面目にお話をしていただきまして、本当に胸を打たれた気持ちです。我々も真面目にやってきた長期計画の作り手ですから、ただいまのご意見をいただいて、また長期計画会議を東京で再開するわけです、これで3回あちらこちらでお話を伺ったわけですが、宿題を持って帰って、一生懸命にまた勉強して、まとめをするということにしたいと思っています。本当に今日はありがとうございました。
(事務局)
ありがとうございました。以上で終了になりますが、まず最初に意見発表者の方々、策定会議の方々、原子力委員の方々が退場致しますので、一般傍聴の方はしばらく着席のままお待ちいただけますようお願い致します。
この時間に、退場に際しまして注意事項を申し上げます。お帰りの際はおつけいただいていますバッチを受付で返却いただきますようお願い申し上げます。また、入場に際しましてお荷物を預けられた方は、忘れずに受付のほうにお立ち寄り下さい。なお、長期計画案へのご意見につきましては、10月10日火曜日まで受け付けていますので、本日の配付資料の中に応募資料を同封してあります。ぜひともよろしくお願い申し上げます。
それでは以上をもちまして「ご意見をきく会」を終了致します。大変ありがとうございました。
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