策定会議
(事務局)
それでは、定刻になりましたので、ただいまより「ご意見をきく会」を開催したいと思います。まず初めに、長期計画策定会議の那須座長よりご挨拶を致します。
(那須座長)
ただいまご指名のありました那須です。どうぞよろしくお願い致します。本日はお忙しい中、かくも大勢の方々にご参加をいただきまして、誠にありがとうございます。会の開催にあたりまして一言ご挨拶をさせていただきます。
ご案内の通り、我が国の原子力研究開発利用は原子力長期計画に示された指針に基づき、計画的にこれまで遂行されてきたわけですが、平成6年に策定された現行の長期計画以降の諸情勢の変化を踏まえまして、1995年5月、原子力委員会は21世紀に向けての原子力の全体像と長期展望を示す新たな長期計画の策定を決定致しました。この決定に基づきまして、策定に資するための調査、審議を行なうため設置されましたのが長期計画策定会議であります。各分野の専門家33名からなる長期計画策定会議では昨年来、本会議だけで14回にわたる調査、審議を行なってきており、8月22日には長期計画の案を取りまとめました。
一方、原子力の研究開発利用は国民の生活や経済にも深く関わっているものでありまして、また、これに対する国内外の関心も高まっています。このため、このたび取りまとめました長期計画案に対して、国民からの幅広いご意見を募集するとともに、ご意見を直接お聞き致しまして、長期計画策定会議でのこれからの審議にまた反映させるということでご意見を承る会を開催することと致しました。
本日の青森におきます「ご意見をきく会」には、多数の意見発表の応募及び傍聴希望のお申込みをいただきまして、誠にありがとうございました。本日は応募いただいた方の中から5名、また策定会議からお願いした方5名の合計10名の方々からご意見をお聞きするのが主な目的ですが、時間の許す限り策定会議での審議経緯の説明及び質疑応答をさせていただければ幸いだと考えていますので、よろしくお願いを申し上げます。
また、本日いただきますご意見については、改めて策定会議での審議に反映したいと思っています。簡単ではありますが、以上でご挨拶に代えさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。
(事務局)
ありがとうございました。続きまして、本日の会議の進行についてご説明させていただきます。本日は一般公募の方5名と、策定会議から発表をお願いした5名の、計10名の方にご意見を発表していただく予定です。このうち一般公募につきましては、本日の青森会場での意見発表について、34名の方から延べ45件の意見応募をいただきました。その中から幅広いテーマについてご意見をいただくことに留意致しまして、厳正な抽選及びルールの下に意見発表者を選定させていただいています。意見発表者については前半5名、後半5名に分け、それぞれ1人10分の持ち時間で意見を発表していただきます。各々5名の方からご意見をいただいた後、本日は策定会議委員も多数出席していますので、意見に関連する策定会議での審議経緯などについて説明を行い、そのあと質疑応答を考えています。
それではお手元の資料2にもありますが、本日、ご意見を発表していただく方を発表順にご紹介させていただきます。なお、前半及び後半それぞれで様々な意見をおききいただけるよう組み合わせに配慮しています。まず、前半に発表していただきますのは公募でお出でいただきました青森県にお住まいの福澤定岳さん、青森県生活共同組合連合会会長理事の小田切明和さん、公募でお出でいただきました神奈川県にお住まいに益田恭尚さん、公募でお出でいただきました青森県にお住まいの井上浩さん、弘前大学医学部教授の阿部由直さん、前半の方です。
また、後半に発表していただきますのは、公募でお出でいただきました滋賀県にお住まいの稲田勝彦さん、核燃料情報連絡会代表世話人の平野良一さん、青森県交通安全母の会連合会副会長の岩谷昭子さん、公募でお出でいただきました千葉県にお住まいの小林正平さん、なお、青森県知事の木村守男さんがご参加の予定でしたが、公務のためご欠席との連絡が入りました。このため、代理で青森県むつ小川原開発エネルギー対策室長の蒔田弘一さんが後半から参加の予定です。
また、本日は長期計画策定会議側から那須座長、森嶌座長代理、石川委員、石橋委員、神田委員、近藤委員、鈴木委員、竹内委員、千野委員、鳥井委員、西澤委員、村上委員、吉岡委員、永宮第四分科会座長、久保寺第五分科会座長が出席しています。また、原子力委員会から藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員が出席しています。
なお、一般傍聴につきまして240名の方からご応募をいただきましたが、無抽選で全員の方にご案内を差し上げています。意見発表者の方から、本日お述べいただくご意見につきましては、あらかじめその内容を事務局にご提出いただいており、本日の資料3として配付させていただいていますので、適宜ご参照下さい。
それでは、本日の議事進行役をご紹介させていただきます。本日は長期計画策定会議の森嶌座長代理が議事進行役を務めます。それでは森嶌座長代理、よろしくお願い致します。
(森嶌)
森嶌です。本日の議事進行役を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い致します。ただいまの事務局からのご説明にもありましたように、本日は意見の発表を前半と後半に分けまして、それぞれ5人の方々から意見をいただくことにしています。まず前半の発表ですが、先程これもご紹介がありましたが福澤さん、小田切さん、益田さん、井上さん、阿部さんと5人の方にお願いをしています。それぞれ10分を目処にご報告をいただきまして、全員次々と5人の方に発表していただきまして、5人の方が全部終わりましたところで、意見の内容に対しまして、策定会議の側から、これはたくさん委員がおられますので、これは分科会座長に主としてお答えいただきますけれども、更に各委員からもご説明をしていただこうと思っています。これが大体20分です。
そのあと、報告者の方あるいは私どもの委員のいずれからか、双方向で質疑あるいは意見の交換をさせていただきたいと思いますが、これも大変恐縮ですけれども時間が15分を予定していますので、十分なことはできないかもしれませんけれども、ぜひ円滑な進行にご協力いただければと思っています。
それでは早速、福澤さんからお願い致します。先程申しました10分ということでお願い致します。
(福澤)
六ヶ所村に住んでいます福澤定岳です。今回、発言の機会をいただきまして、この場にお集まりの皆様にはあまりなじみのない少し耳の痛い発言もあるかもしれませんが、今回の原子力長計のキーワードの1つは「柔軟な対応」ということにあると思っています。どうか柔らかな体と心で受けとめていただけたらと思います。
国民社会と原子力。原子力政策に関しては拙速に走ることなく、地元住民はもとより最大の電力消費地である都市住民をも巻き込んでの広範な議論の下に進めなくてはならない。かつて原子力産業界では自ら開いた会議の席上、あえて招いた反対派の学者から「原子力施設が嫌われるこれだけの理由」として以下のような指摘を受けました。いわく「安全だと言い過ぎて危険性の認識が欠けている。周辺住民に対しお金で解決しようとする。情報公開しない。住民の意思を尊重しない。閉鎖主義の体質がある。議論をしない」。3年前に指摘されたこれらが、はたしてその後どのように変わったでしょうか。
昨年のJCO事故を経験して、私たちは残念ながら「だれも責任をとろうとしない責任逃れの体質」ということも改めて見せつけられました。JCO事故の本当の責任は、原子力を国策として推進してきた科技庁にあるというのは、大方の国民にとって既に周知の常識です。そしてまた、いったん既成事実が作られると既成事実の拡大、増強を図るという体質も指摘しなくてはなりません。
各地の原発施設での増設問題や使用済燃料プールの建設。当初、六ヶ所村では核燃サイクル3点セットと言われていたのが、いつの間にか高レベル廃棄物を含む4点セットとなり、更に5点セット、6点セット、何でもありとなりかねない状況は、核燃が始まった当初、六ヶ所村の住民は全く予想しなかったことです。そういったアンフェアなこれまでのあり方が、幌延や東濃といった深地層処分の研究所候補地での猛烈な反発の一因となっていることは、確かなことのように思います。
高速増殖炉の計画は当初、1985年から1994年の間に完成する計画でした。それが2回目には1995年から2004年に延びました。3回目には2010年に完成する予定に変わりました。そして、その後の「もんじゅ」のナトリウム火災爆発事故を経て、今回は「実用化の開発計画について柔軟に対応していく」としていますが、更に率直に柔軟で現実的な対応を求めたいと思います。すなわち廃止です。青森県六ヶ所村で、いま最大の問題の使用済燃料や再処理工場の操業に関しても、計画が発表されるたびに当初の計画から何度も操業の時期が先送りになっています。
いまは既にバブルの時代を過ぎて、状況は一変しています。ドイツでは既に原発廃止の方向に動いています。一昨日にはお隣の台湾でも国の経済部長、通産大臣が、原発廃止を宣言しました。世界的には既に原発廃止の流れは当然の潮流です。あえて言います。核燃料サイクルは、技術的にも経済的にも既に破綻は明らかです。更に率直に現実を直視して、柔軟で現実的な対応を求めたいと思います。
その具体的な提案として、これまで原発を推進させるために使われてきた膨大な交付金という名のお金を、風力発電や太陽光、バイオマスや天然ガス、更に燃料電池などの地域分散型の自然エネルギーの開発、普及に振り向けていただきたいと思います。いつでもそれは可能なはずです。時代は既にその方向に動いていますし、十分に国民的指示を得られると思います。そして、たとえいま原発を全廃したとしても、膨大な放射能を含んだ廃棄物が残されます。あえて六ヶ所村住民として言います。六ヶ所村は核のゴミ捨て場ではありません。
今回のような集まりも、どうか今回一度限りでなく、よりオープンでフェアな自由な形で、お互いが納得のいくまで何度でも繰り返し、色々な立場の人たちの意見を出し合う場を設けて、全国的に議論を盛り上げていただきたいと思います。PA活動と称して一方的な自己宣伝の立派な印刷物を何千万部配るよりも、より低コストで確実な信頼確保の手段だと思います。何よりもそれが原子力政策への不信感を解消する第一歩だと思います。
一昨日、9月30日は東海村JCO臨界事故の1周年でした。全国各地でも1周年の催しがありました。ここ青森市でもJCOから2kmの地点に住んでいるという2人の子どもを持つお母さんのお話がありました。折悪しく当日、放射能の雨に濡れて学校から帰ってきた子どもを見たときのことを話そうとして、そのお母さんはそのときのショックが再びこみ上げてきたようで思わず涙ぐんでしばらくは言葉が出てきませんでした。六ヶ所村に住むものとして、まったくそれは他人事ではありません。
そしてまた、広島の原爆ドーム前でも10人ほどが1時間のキャンドルサービスを行なったと友人からお知らせが入りました。そこで読まれた追悼文をぜひ紹介したいと思います。それはまた私たちが六ヶ所村のむつ小川原港で目の前で低レベル廃棄物や六フッ化ウランや高レベル廃棄物、試験用使用済核燃料が運び込まれる時に、そのたびに思い続けた思いと全く同じメッセージでした。今回、少し時間を延長するかもしれませんが、できるだけ時間内に収めようと思います。このような場でせっかくの機会にぜひとも皆さんにこのメッセージをお伝えしたいと思います。
「私たちは心に刻む。2000年9月30日。今日ここに集まった私たちは、1999年9月30日、東海村核燃料加工工場JCOで起こった臨界事故を心に刻みます。私たちは被ばくした2人の労働者の死を心に刻みます。私たちは何も知らされずに放射線にさらされ続けたJCO周辺住民の不安と苦悩、そして東海村村長の苦悩を心に刻みます。私たちはこの臨界事故を終息させるために、多くの作業員が大量の被ばくを強いられたことを心に刻みます。このような犠牲はあってはならないものであったし、これからも絶対にあってはならないものです。私たちはいまも稼働している原発と核燃料加工施設、ウラン濃縮工場、核廃棄物処理施設、その他の周辺住民の不安と苦悩を心に刻みます。私たちは新たな原発や核廃棄物最終処分場の建設、そして高速増殖炉の運転、MOX燃料の使用などの危険で無意味な実験を押しつけようとする巨大な力と戦い続けている人々の苦しみと希望を心に刻みます。私たちは日本から海外の再処理工場に送られる使用済核燃料、そして海外の再処理工場から日本に送られるプルトニウムと高レベル核廃棄物の輸送路にあたる外国の国々の人々の不安と怒りを心に刻みます。私たちは白血病に苦しむ再処理工場周辺の子どもたちのことを心に刻みます。私たちは55年前の8月、この地と長崎で原爆で殺された数十万の人々のことを心に刻みます。その日から現在に至る被爆者と被爆二世の苦しみを心に刻みます。私たちはスリーマイル島、そしてチェルノブイリの原発事故で被ばくした人々の苦しみを心に刻みます。
私たちはこれほど犠牲を目のあたりにしても、なおも多くの国家が核利用をやめようとせず、核産業はなおも核利用から利潤を引き出そうとしていることを知っています。私たちはかけがえのない命と、この星に住むもの、生まれてくるものすべての共有財産である地球環境に対する罪をこれ以上重ねることを止めるためにも、いまも世界中で続いている核利用の罪深さを心に刻み、核利用の終結を求めます」。以上です。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは引き続きまして小田切さん、お願い致します。
(小田切)
六ヶ所再処理工場の建設は中止すべきであるというのが、私の意見であります。理由は以下述べる4つです。第1は高速増殖炉の建設の見通しがきわめて不透明なことです。長期計画案は以下のように述べて、核燃料サイクル路線を堅持することを強調しています。「核燃料サイクル技術は供給安定性等に優れているという原子力発電の特性を技術的に向上させるとともに、原子力が長期にわたってエネルギー供給を行なうことを可能にする技術であり、それが国内で実用化されていくことによって、原子力の我が国のエネルギー供給システムに対する貢献をいっそう確かなものにすると考えられる。これらのことから国民の理解を得つつ使用済核燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的な考え方とする」と述べているわけです。
しかし、1946年に早くも高速増殖炉の実験炉を建設したアメリカを始めイギリス、ドイツではいずれも事故や資金不足などで閉鎖に追い込まれています。最も精力的に事業を進めてきたフランスでも、スーパー・フェニックスの閉鎖に見られるように、高速増殖炉路線から撤退しています。我が国においても「もんじゅ」の事故により、商業用高速増殖炉の完成の見通しは決して明るいとは言えないのが現状です。
高速増殖炉開発計画が多くの国で挫折した理由として、以下の3点が挙げられます。1つはナトリウムの取り扱いが難しいこと。2つ目、高速中性子を使って核分裂を起こさせているため、軽水炉とは異なる事故や故障などが発生し、これらの現象がまだ十分に解明されていないこと。3つ、いったん事故や故障が発生すると、その修理に膨大な時間と費用がかかることが挙げられます。私は以上の3点は、我が国の高速増殖炉の開発にあたっても当然直面する問題であり、しかもその解決はそれほど容易なことではないと思います。もし容易に解決できるのだったら、先進諸国は撤退するはずがないからです。
プルトニウムを燃料とする主力施設として予定されていた高速増殖炉の現状がこのようであるとことに加え、大間に建設を予定されていた新型転換炉についても電事連は「費用がかかりすぎる」との理由で開発中止を申し入れ、原子力委員会もこれを了承しました。また、プルサーマル計画もMOX燃料にかかわるトラブルにより順調に滑りだしたとは言えません。
さて、長期計画案は「高速増殖炉サイクル技術は、ウラン資源の利用率を現状に比べ飛躍的に高めることができ、高レベル放射性廃棄物の中に長期的に残留する放射能を少なくする可能性を有していることから、将来の有力な技術的選択肢として位置付け、適時適切な評価の下にその研究開発を着実に進める」と書いています。高速増殖炉サイクル技術が、ウラン資源の利用率を現状に比べて比躍的に高めるということは、理論的には肯定できるにしても、技術的には解決を要する幾多の困難があることも、また否定できないところです。適時適切な評価の下にその研究開発を着実に進めることは結構なことだと思いますが、最近の燃料電池の開発の進展とか、もしも国の適切な支援があれば飛躍的に発展が見込まれる太陽光発電などの進展の状況を見ながら、発想と路線の転換をすることも、また必要ではないかと考えるものであります。
これまで述べた事情により、プルトニウムに対する需要は少なからず減少します。その結果国のプルトニウムの需給見通しは崩れざるを得ないのではないかというのが、私の第2番目の理由です。1994年の長期計画の付属文書には、プルトニウムの需給見通しの表がついています。それによりますと2000年から2010年までの累積値で供給量は六ヶ所再処理工場及び東海再処理工場から35〜40トン。一方、需要量は「常陽」「もんじゅ」「ふげん」と高速増殖炉実証炉及び新型転換炉の燃料として15〜20トン、軽水炉燃料として20〜25トンで、合計35〜40トン。従って、需給バランスがとれることになっていました。
しかし、この見通しは間もなく崩れてしまいました。先に述べた新型転換炉の開発中止と「もんじゅ」の事故がその要因です。幸いにと言いますか、不幸にと言いますか、六ヶ所再処理工場の建設が大幅に遅れているので、短期的には需給バランスは大きく崩れることはないにしても、中長期的にはバランスが崩れることは否定できません。長期計画案は次のように述べています。「プルトニウムの利用を進めるにあたっては、安全確保を大前提とするとともに、平和利用にかかる透明性の確保の徹底を図る。すなわち、我が国の平和利用政策に関わる国際的理解と信頼を得る外交的努力とともに、利用目的のない余剰プルトニウムを燃さないことの従来からの原則をいっそう明らかにする観点から、プルトニウムの在庫に関する情報の管理と公開の充実を図るなど、プルトニウム利用の徹底した透明化を進める」と書いています。しかし、これがはたして守られるかが懸念されるわけです。
我が国の再処理単価は、国際的に見て高いと言われています。これが3番目の理由です。1994年の9月に開催された再処理を考える青森国際シンポジウムで、平井孝治氏は次のような数字を示しています。「トン当たりの処理費はイギリスが1.95億円、フランスが2.33億円に対し、日本は2.5億円で高い」。これが平井さんの数字です。これは六ヶ所再処理工場の建設費を8,400億円とした場合です。これが後に2兆1,400億円に膨らんだわけでして、従って単価は大幅に上がることは必至です。もともと日本の電力は欧米に比べて高いと言われていますが、これ以上高くなる電力を、日本の産業界が国際競争力の低下という犠牲を払ってまで使うとはとても考えられません。
4番目の理由については、既に文書で出していますから省略を致します。最後に青森県と青森県民は、これまで国策と称するものの失敗によって、大きな被害を受けてきました。むつ小川原巨大開発しかり、原子力船「むつ」しかりです。マスコミの行なった世論調査によると、県民の圧倒的多数は、再処理工場建設など核燃サイクル事業をこれまで通り進めることに賛成していないということを、あえて申し上げたいと思います。以上です。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは益田さん、お願いします。
(益田)
40年以上にわたりまして原子力開発に従事してきました元技術者として、エネルギー問題について私見を述べさせていただきたいと思います。戦後、原子力開発が認められて以来、我が国は石油代替エネルギーの中核に原子力発電を据え、厳しい事態を経験しながらも、幅広い関係者の努力でそれらを乗り越え、比較的順調に開発が進められてきました。しかしこのところ、新規発電所の建設は停滞ぎみです。その理由は、原子力関係の不祥事に起因する点は否定できませんが、欧米諸国における原子力発電の低迷も見逃せない点であると思います。
欧米での停滞の理由は色々考えられますが、自由競争の下、大型投資という原子力の経済的デメリットの他、チェリノブイリ事故以来、原子力の安全性に懸念を抱く国民の支持を得んがための政権政党の政治的配慮に起因しているものと思われます。
エネルギー需要が増加を続けている人間社会にとって、このような状況は見過ごすことのできない事態だと考えます。50年、100年の視野に立ってエネルギー供給の姿を予測し、国民がそれを理解した上で人類の将来の方向を見定めることが、いまこそ求められているのではないでしょうか。
石油は使いやすいエネルギー源であると同時に有限な資源です。現代人だけで使い切ってしまってよいものではありません。「石油はあと30年で枯渇する、それまでに何とかしなければ」とのローマクラブの警鐘が出されて30年経ちました。この間、幸いにして石油の新規発見量は消費量を上回りまして、現在、石油可採埋蔵量は43年と言われています。しかし、いつの日か新規発見量が減少に向かい、可採埋蔵量が減り始めた時、間違いなく異常な石油の価格の高騰にみまわれると考えられます。大気中の炭酸ガス濃度も心配されます。排出量の規制が京都議定書の線で行なわれたとしましても、化石燃料に頼っている限り炭酸ガス濃度の増加を止めるわけにはいかないのです。漸次、地球と人間が許容できる限度に近づいていくことが憂慮されます。天然ガスは炭酸ガス排出量が少ない点から利用範囲が拡大されつつあります。しかし、これとても遅からず石油の後を追いかけることになるでしょう。
多くの人が石油に頼っていられないということに気がついた時、石油代替エネルギーに何を選べばよいでしょうか。自然エネルギーでまかなえればそれに越したことはありません。識者の間でもそのような発言が多く見られます。この長計案の中にも「現在のところ大規模な導入は容易ではない」となっています。将来、本当に自然エネルギーが基幹エネルギーたり得るのでしょうか。私はノーであると考えます。太陽は現代人が消費はするエネルギーの7,000倍ものエネルギーを地球に降り注いでいます。これを有効な利用しようと考えるのは人類として当然です。水力は安定性の点からも有力な自然エネルギーです。しかし、我が国ではほぼ開発しつくされ、海外でも環境問題などからその利用は限られたものとなっています。
自然エネルギーとして期待されている太陽光と風力は、エネルギー密度が低く、安定性の点でも大量発電には向かないという欠点があります。太陽光エネルギーにつきまして理科年表で調べてみますと、夏の日中はたしかに1u当たり約1kWのエネルギーがありますが、年間にならした日本の平均値は140Wであると記されています。日本の年間の全電力約1兆kWhをまかなうのにどのくらいの面積が必要か試算してみましょう。変換効率を10%としますと、所要面積は83億uとなります。これは東京、埼玉、神奈川の全面積に相当します。この膨大な面積にぎっしりと太陽電池を敷きつめなければならないのです。
光電池の変換効率は、物理的に最大で15%が限度とされています。従って技術がいくら進んでも、この面積は変わらないわけです。我々ができることは、家庭の屋根を使っての太陽光発電です。一般住宅のように太陽電池を敷きつめますと、夏の天気のよい日は3kW程度の発電ができます。補助金による普及努力が実りまして設備容量を13万kWと世界一を誇っています。日本の全家屋の約半分に採用されるとすれば、約5,000万kWhに相当な容量になります。しかし、まだ電力消費が減らない夕方の5時頃には、日は陰ってしまいます。総発電量は単純計算しますと年間にならしますと全電力の3%となります。
風力の利用につきましても米国、デンマーク、ドイツなどで風力発電が盛んに開発されています。我が国でも北海道や東北の風の強い地方に、風力発電所の建設が進められています。風力発電にも景観や騒音問題があり、デンマークでも反対運動が始まっているそうです。風車の設置には、付近に人家のない、適当な風が常時吹いている広大な土地が必要です。日本の全海岸線に堤防を設置し、風車を並べるというアイデアもあるようです。試算をしてみますと、海岸線の全長は3万4,000kmありますので100mおきに最大級の1,000万kWの風車を設置するとしますと3億4,000万kWの設備容量になります。しかし、海岸と言えども年中、風が吹いているとは限りません。北海道の苫前のように風が強いところでも設備の利用率は22%程度と言われています。これだけの設備でも、総発電量は日本の年間の全電力の50%ということになります。更にこれらの電力には、安定性の点で課題があります。電力系統にフライホイル効果を持った安定装置が必要になります。技術的には可能としても、経済的にはとても難しいことだと思います。
人類の消費しているエネルギーは電力だけではありません。これも代替していく必要があるのです。自然エネルギーの利用は進めなければなりませんが、あくまでも基幹エネルギーを補完するエネルギーとして考えるべきだと考えます。いまこそデータベースを基に広い分野の科学技術者の間で議論を深め、将来の方向を見定める時期だと考えます。科学技術がいかに発展しても、自然エネルギーが化石エネルギーにとって代わることができないとすれば、人類が与えるべき基幹エネルギーは原子力以外にはないのです。このような議論の内容を、わかりやすくマスメディアを始め一般の人々に明示する必要があると考えます。
私は、我が国の原子力発電は、実用的にはほぼ満足すべきレベルに達していると思っています。しかし、原子力を基幹エネルギーとするためには、原子力の欠点を科学技術の力で解決し、これを乗り越えていかなければなりません。高レベル廃棄物の処分、核拡散防止は、その中でも重要なポイントだと考えています。原子力発電そのものについても、さらなる安全性、経済性の向上に向け、たゆまざる改良発展の努力を続けていかなければなりません。また、革新的な技術開発も行なわなければならないでしょう。安全哲学、(セイフティ・カルチャー)の向上にも不断の努力を続ける必要があります。技術継承と技術力向上のために、原子力開発の中断は許されないのです。
現在、世界中で400基以上の原子力発電所が運転され、電力の16%を供給しています。脱原発を国の方針としている国でも、廃炉にできないでいるのです。その一方、欧米諸国ではこの20年、原子力発電所の新規発注は途絶えてしまっています。石油危機に直面し「やはり原子力だ」ということになった場合、半世紀も中断したあとで、原子力発電所の建設をどのように進めるのでしょうか。設計図書、マニュアルを始め、各種文献は豊富に揃っています。しかし、先人が多くの失敗を糧に開発を進めてきた経験は的確に伝承しにくいのです。開発を再開するとなるとゼロからやりなおすよりも困難な点が出てきます。
例えば、既に解明された基礎研究からやりなおすわけにもいかないでしょう。開発当初、許された失敗もいまや許されません。優秀な人材が集まるかも心配です。素材をはじめ機器を担当する製造部門でも、大型製造技術は忘れ去られていることでしょう。開発当初の失敗と苦難を繰り返しながら、再開1号機が動きだすのに何年かかるでしょうか。私はこのことを恐れています。
孫の代になってエネルギー危機に直面し「先輩はどうしてこのような大事なことを我々に教えてくれなかったのか」と恨まれないためにも、子どもたちへのエネルギー教育は非常に重要なことだと考えます。国としてもぜひ強化していただきたい点です。
エネルギー資源に乏しく、外国から電気の供給も受けられない日本は、率先して原子力問題について深く考え、開発を続けていかなければならないのではないでしょうか。「世界がやらないのになぜ日本だけが」ではなく、「世界がやらないからこそ日本がやらなければならない」のだと考えます。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは井上さん、お願い致します。
(井上)
井上です。私は意見分野に「原子力発電と核燃料サイクル、放射性廃棄物を含む」に対する意見で応募したわけですが、長期計画策定会議の分科会では第二分科会、すなわちエネルギーとしての原子力利用に関し、原子力委員会が課題とされました情勢の変化によって機動的に対応すべき事項として、まず前回、長期計画策定以降に次々と国民の前に明らかとなった原子力開発が抱えるデメリットを正当に評価した上で、核燃料リサイクル路線撤退政策の明確化こそがいま求められていること、そして次には、エネルギー政策の中で原子力利用は再生可能エネルギー利用促進へ全面的に道を譲るべきことについて、将来にわたっての理念、政策と併せて意見を述べます。
なお、せっかく意見発表の機会を与えていただきながら恐縮ですが、相当に構想が固まった段階での意見聴取ですので、聞き置くだけというようなことがないよう、よろしくお願いしたいと思います。
さて、この「意見をきく会」の議論の東京会場での中継によりますと、我が国のエネルギー供給における原子力発電の位置付けは、煎じ詰めて言えば、既に国内総発電量の3分の1を超える電力を供給しているので、引き続き原発を基幹電源に位置付けるというもので、前回、長期計画策定以降に起きた原子力開発が抱えるデメリットの具体化の数々、すなわち経済的には電力自由化を前に、ここ青森県の大間町に予定した新型転換炉原発からの撤退、技術面では高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故、東海再処理施設での火災爆発による環境中への放射能放出、JCO東海村ウラン加工工場での臨界被ばく死亡事故等々原子力政策のほころびが明らかとなったにもかかわらず、またもや既成事実を前にして、なし崩しに事を進める手法が取られようとしています。しかも高速増殖原型炉「もんじゅ」が事故により停止したことから、核燃料リサイクル路線について本質的な意味がない軽水炉でのプルトニウムリサイクルを核燃サイクル政策とし、本来の核燃料リサイクルを高速増殖炉サイクル技術と言い換えて「もんじゅ」の運転再開を図るなどは言語道断であり、断じて認めることはできません。
前回の計画では、将来を展望した核燃料リサイクルの着実な前進として、第二分科会の近藤座長の表現では「従来はいわば遠い計画としてのサイクルの場を閉じる」ということであったのではないでしょうか。ここ青森県の六ヶ所村に使用済核燃料再処理工場と、それに先行させた全国からの低レベル放射性廃棄物及び使用済核燃料の集中、そして差し迫った海外返還高レベル廃棄物の搬入、すなわち核のゴミ捨て場化が図られたときも、核燃サイクル3点セットなる言い回しで、サイクルなどありもしないものを、ウラン濃縮工場をくっつけることで言い繕い、受入れ後はなし崩しの取り組みが進められてきたことを思い起こせば、私は使用済核燃料の再処理路線の中断、原発の新規増設を認めない方針の明記、これこそを本長計に求めるものです。いまこそ日本は、原子力発電依存からの撤退に真剣に知恵を絞る時期に来たと考えていますが、いかがでしょうか。
次にエネルギー政策の中で、原子力利用は再生可能エネルギー利用促進へ全面的に道を譲るべきという点ですが、今回の案でも「再生可能エネルギーの利用については、様々な規制的及び誘導的手段を通じて最大限に推進していくことが必要」とも記されています。この際、日本においては巨大な潜在能力があると考えられ、火力、原子力よりも経済的で安全性も高く、新たなエネルギーの主役たり得る再生可能エネルギー利用促進へ向けて、原発プルトニウム利用技術に対する政府資金の重点投入政策を転換すべきではないでしょうか。また、当面原子力発電を担う民間との関連のあり方からしても、電力自由化政策と再生可能エネルギー普及についての検討が急務と思われます。東京会場の近藤座長の説明では、総合エネルギー調査会での議論ということで、いずれ発足する経済産業省で詰めていくことになるのでしょうが、そちらでの議論を注目します。
いずれにしてもエネルギーとしての原子力利用の将来にわたっての理念、政策を考えたとき、再生可能エネルギー利用の促進が進み、更に水素発電、燃料電池を始めとして次世代技術が現実のものとなり、放射性廃棄物の軛から抜け出せない原子力は過去のものとなってしまうでしょうが、それでも発生してしまっている高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体を始めとした核のゴミの管理、処分が続くわけですので、既にその一端を担わさせられている青森県内に住むものとして、また一国民として原子力利用からの撤退に真剣に知恵を絞るべきと思います。
以上が私の意見ですが、若干時間があるようですので、もう少し時間内で述べさせていただきたいと思います。まず再生可能エネルギーについて、前の何人かの方からもご意見があったようですが、まず再生可能エネルギー、通産の試算でも潜在量は約2億kW、日本の一次エネルギー総供給エネルギーの3分の1ほどはあるのではないかという話があると思います。この潜在能力の4分の1、つまり5,000万kWを引き出すだけでも、現在の原子力発電の供給を超える。そういう条件があるところに、そういう方向に誘導していくということが、いまの電力自由化の議論とともに大変重要な課題として浮かび上がっているのではないかと思うわけです。
従って、政策の上位に、このエネルギー消費の削減も含めてでありますけれども、再生可能エネルギーの拡充を持ってくると。「こうした議論は総合エネルギー調査会の議論だから、結論は出た上でやっている」と言われますと「そうですか」としか言いようがないわけですけれども、東京会場では「策定のメンバーの皆さんが納得をされて原子力を使うんだ」ということになったようですので、いま一度、なぜこの段階に及んでも将来展望で原子力なのか、更にいっそう、原子力にシフトしようという考えになっているのか、あるいはサイクルについて2つの言い回しをしていることは、新たなこれまでと違う形での進行を進めようというお考えなのか、その辺についてお知らせいただけたらと思います。以上です。
(森嶌)
どうもありがとうございました。それでは最後に阿部さん、どうぞよろしくお願いします。
(阿部)
放射線医学をやっている専門的な立場から、意見を述べさせていただきたいと思います。私は放射線教育のプログラムあるいは推進策といったものが必要ではないかということです。それから、高度な放射線診断治療装置といったものが計画案に述べられていますので、できるだけ有効に行なっていただきたいということです。更に色々な今回のJCOのこともありますけれども、放射線障害治療法といったものに対する研究促進といったものも、お願いしたいということです。最後に放射性廃棄物というといつも大きなもので、非常に始末に困るものばかりがクローズアップされていますが、実際にはとるに足らない微々たるものも廃棄物として処理しなければいけないといった現状について改めていただきたいなと思っています。
それでは、教育プログラムについて、少し意見を述べさせていただきます。実際に弘前大学の学生に、これは一般の学生ですが、放射線に関するアンケートなどをしてみますと「放射線が医学で役に立つ」ということに関しては、皆わかっているというのが現状です。ところがその他のことになると「本当に必要なんでしょうか」と4分の1ぐらいの方がそのように思っておられる。実際に「あなた方は放射線について知っていますか」という質問に対しては、ほとんどの方が「知らない」と言っています。たまたま放射線の教育ということを一部の学生にまとめて教えていますけれども、学生たちも放射線の教育を受けたいといったことは重々自覚しているわけです。この辺が、放射線というものに対する教育と学生の希望、「放射線をもう少し勉強したいのだけれども、その場がない」といったような不均衡があると思います。大学の教育ですらそういうことでありますので、実際、地域ではどうなっているかといったことが、疑念として残るわけです。
意見の欄では大学中心に書いていますが、地域に根ざした放射線教育というものが必要なのではないでしょうか。例えば、公民館のようなところに放射線をよく知っている人がいる。何か起きたらそこのところにお話を聞きにいく、あるいはPRをしていただく。風評被害というのは色々あると思います。けれども、だれに相談をしたらよいか皆さんわからないわけです。何かおきたら相談できる場所があり、人がいるということを身近に感じていただくのが一番の解決方法だと思います。そういう意味で、教育といったことをもう少し具体的にお考えいただければと思っています。
次が放射線治療診断装置云々ですが、これから高齢化社会を迎え、高齢者にやさしい医療ということがこれからは要求されるわけです。その観点に立ちますと、放射線による高度な診断治療といったものが必要であるというのは私の実感するところです。有効に、そしてすべての国民も平等に与えられるようなものでなければならないと思うわけです。そういったものがせっかくこのような案に盛られていることですので、適切な所に多くの方が気軽に利用できるといった形で配置していただければと思っています。
次は放射線障害治療法に関する研究促進ということですが、これも1つ非常に大きな問題がありまして、このテーマで研究をする人が、だいぶ減っているということだと思います。こういった研究を促進するために、人材を確保していくといったことが、何らかの形で必要であると私は思っています。この種の研究には、色々未知のものが出てきます。ですから、継続的に研究というものは進めていく必要があるのではないかと思っている次第です。放射線障害とかといったものを研究している大学院生に奨学金を与えるとかといったことでもかまわないと思いますけれども、何らかのそういった研究者を育てることが、必要なのではないかと思っているわけです。
最後に医療廃棄物の問題です。放射性廃棄物と言いますと、皆様、原子力施設から出てきたおどろおどろしいものばかり考えるわけですが、実際には我々大学の病院でも、一般の病院でもですけれども、多くの放射性同位元素を使っています。半減期が非常に短いものを使っているわけです。例えば6時間で半分になるような放射性同位元素を使っているわけです。これが何年経っても放射性同位元素なのです。サーベイメーターを持っていって調べて、音もしないのに放射性同位元素なのです。こういったものに対して、これが大量に出てくるわけですけれども、これが同じように放射性同位元素の廃棄物として処理しなければいけないということで、非常に困るわけなのです。何とかそういった医療の廃棄物、しかも短寿命なもので、本当に数年置けばレベルがバックグラウンドと同じようになるといったものですら、そのような管理をしなければならない。言ってみれば過剰管理だと思いますけれども、そういったものも、できれば法改正を含めて是正していただいてゴミの排出を軽くして、減量に努力すべきではないかと思っている次第です。以上、4点について意見を述べさせていただきました。
(森嶌)
ありがとうございました。それでは以上をもちまして、前半のご意見の発表をまずここで一通りやっていただきまして、これから策定会議の側から、いま、色々とご提示のありましたことにつきまして、時間に限度がありますけれども、できるだけ策定会議でどういう議論をしたかということについて、こちらからご説明していきたいと思います。
まず一般的な問題につきましては、私のほうからご説明をしまして、個別の問題につきましては、それぞれの分科会からご説明いただくということにしたいと思います。
最初に福澤さんがご提案になりました「多くの国民の意見を聞いて柔軟な政策を考えていくべきだ」というお話がありますが、今回の長計につきましては、まず策定会議のメンバーにつきましても多様な意見を反映できるようにということで、委員も様々な方が入っておられます。更に委員だけが多様だということではなしに、できるだけ国民の多様な意見を反映できるようにということで、この案の中にも、例えば17ページに、原子力委員会としてもこれまで国民の参加を進めようとしてきたわけですけれども、この策定会議におきましても、今後とも国民の多様な意見を踏まえて原子力政策決定を行なっていくために、政策案に対する国民の意見を広く求めるなどと、政策決定過程に国民の参加を促す、そして国は政策決定に関し様々な機会を活用して説明責任を果たすことが重要であるという考え方を打ち出しています。本日の会議もその一環ということです。
そしてまた、会議の内容についても従来と異なり、様々な観点から原子力の開発利用を検討する。例えば先程、井上さん、益田さんのほうからご意見がありました自然エネルギーとの関係で現状はどうであるのか、これに対してどういう可能性があるのかということにつきましても、先程井上さんがおっしゃいましたけれども、どのように新エネルギーを進めるかというのは我々本来の目的ではありませんけれども、原子力との関係で新エネルギーの可能性等についてもデータを出してもらい、また分科会においてもかなり時間をかけて検討してまいりました。
そして、私どもの基本的な態度は、エネルギーの面だけについて申しますと、エネルギー源としての原子力は1つの選択肢であると位置付けて、その観点から議論をしてきたところであります。それが策定会議の全体の考え方、これまでの検討の考え方と申しましょうか、アプローチの仕方ですが、このあとそれぞれ具体的な内容につきまして、策定会議でどのような考え方、あるいはどういう検討の仕方をしてきたかということについて、エネルギー、原子力発電、核燃料サイクルに関する説明につきましては、第二分科会の座長でおられる近藤さんからご説明をいただくことに致します。そして、その次に阿部さんのほうからお話がありました放射線利用に関することにつきましては第五分科会の久保寺座長からご説明をいただき、更に各委員からも時間の許す限りご説明をいただきたいと思います。それでは近藤さん、お願いします。
(近藤)
近藤です。第二分科会関係に対するご意見が多数あり、個別にお名前をあげてお答えするのは時間がかかりますので、まとめて策定会議における議論をご紹介申し上げたいと思います。まとめ方としては4点、1つはおっしゃるところの自然エネルギー、再生可能エネルギーの問題、2番目が電力自由化との関係における原子力の位置付け、3番目が再処理の問題、第4が医療用廃棄物等、廃棄物関係の問題です。もう1つ再処理に深く関係してFBRについてご意見をいただきましたが、これについては第三分科会で議論されましたので、第三分科会の座長からお答えいただくのが適切と思いますので、私は省略をさせていただきます。
さて、そこでまず第一の自然エネルギーについてですが、自然エネルギーは頼りにならないというご意見と、脱原子力を進めて自然エネルギーの利用を増大せよという2つの観点でいまご意見をいただいたわけです。この点については当然のことながら長計策定会議でも、既に座長代理からお話がありましたように、委員の関心の高いところでありまして、それぞれ第一人者と申しましょうか、太陽エネルギーであれば京セラの稲盛委員、風であれば風力に関する学会の副会長にご意見を伺って、判断のよすがとさせていただいた次第です。
結論と致しましては、既にお読みいただいているところではありますが、長計案の10ページにありますように太陽光、風力等の自然エネルギーについては、今後、これを量的あるいは質的な特性を踏まえて、最大限に利用を推進していくべきですが、既に様々な計算、いま益田さんからも1つの計算の例をご紹介いただいたと認識していますが、そのような計算などをしてみますと、これらは我が国にとりましては当面のところ補助的水準を超える役割を期待するのは難しい、よほど高価な電力を甘受するということであれば別ですが、なかなか難しいのではないかというところで、多くの方のご意見が一致するところです。
しかし、こうしたものについては、まさに原子力についてはこれまで研究開発を進めてきたために今日があるわけですし、今後ともよりよい姿を目指して進めていこうとしているわけでありますが、同じような意味でこうした再生可能エネルギー、あるいは省エネルギーといったものについても将来我が国にとっては非常に重要であるという認識の下に、長期的観点から創造力をもって多様な研究開発の可能性を追求していくことが重要であるということも結論しているところです。
その上で、既成事実の押し付けとおっしゃられますが、原子力は既に電力の3分の1強を供給しているところでもありますし、また我が国の現在の電力供給の供給安定性、経済性に関してもこれによって国際的に見ても地政学的、資源的には劣った状況にありながら、状況が悪いということではない状況が実現している、つまり原子力が明らかに有力な寄与をしているといえる。
更に緊急の課題である地球温暖化対策としての炭酸ガス、温室効果ガスの主要成分である二酸化炭素の排出量削減、これもただちに計算をすればわかることですが、原子力がなしているこの点での貢献を他のエネルギーに短期間で期待することはできないことは明らかであります。しかも我が国としては2010年までに現在より更に低い水準にこれを下げなければならないのですから、これを大事にし、かつ、この特性を活用して我が国の置かれた地理的資源的環境条件の下でこうした目標を達成する観点から適切な割合にしていくべきであるが妥当ということを結論したわけです。
次に電力自由化に関してですが、このことについては特に第二分科会で非常に長い時間を使って議論をしました。たぶん議論する時間の半分ぐらいはこれに使ったと思います。そのポイントは企業の自由な活動が効率性を高めるので、自由化を進めよという意見、これはその限りでは合意できるのですが、その場合に供給安定性とか環境問題といった公益をだれが担保するか、この点に関して色々な議論が戦わされたわけです。結論としては長計の22ページにあり、既にご引用いただいているところですが、原子力に関して言えば22ページの上から2つ目のパラグラフにありますように、民間事業者が民間事業であることのメリットを生かしつつ、安全確保を大前提に、これらの事業の円滑な推進を進めるよう意欲ある民間事業者による投資活動と技術開発の積極的な取り組みが求められる、としたわけです。
一方、国としては公益達成、つまり長期的観点からエネルギーの安定供給の確保や、地球環境問題に関わる国際的約束を果たすために必要な対応方針を明確にして国民の理解を求めるとともに、民間の自主的な活動に伴う原子力発電の規模が、原子力発電が公益達成の観点から果たすべき役割を踏まえた構成割合を達成するように状況に応じて誘導をするべきであると。そのようなことが適切であるとしたわけであります。
これはおっしゃられますように自然エネルギーについても全く同じ方針であるわけでありまして、自然エネルギーもその役割があるとすれば、それに応じた研究開発をすべきであり、適切な使い方があればそれを誘導していくべきことは当然です。これに関連して、現在、我が国においては原子力だけが国の研究開発対象になっているわけではなく、自然エネルギーについても相当の規模の研究開発資金が投入されていることはよくご承知の通りです。
また、自然エネルギーについてはしばしば利点のみ強調されるわけですけれど、皆様よくご存知の、「我々の共通の未来」というプルントブラント委員会の報告、これは持続可能な開発という概念を提唱し、その視点で解決すべき問題を指摘しているわけですが、これの自然エネルギーのところをご覧になっていただきますと、いまは多くの方がこれを無害のようにいっているけれども、これが大規模で使われると、それなりに大きな問題が生まれる、従って、我々はいまだ持続可能なエネルギー源を持っていないのだ、試行錯誤、探索をするフェイズにあるのだということを言っています。そのような意味では、原子力についても、原子力関係者がそうした未来の望ましいエネルギー技術の姿を自然エネルギーと競争して追求していくことがおおいに望まれるのではないかというのが、第二分科会の議論の雰囲気でした。
さて、第三の再処理ですが、これについては既に小田切さんのほうから関係するところをご引用いただきましたので、それを繰り返すことはやめますが、小田切さんのご心配は、従来の計画との姿のちがいが気になること、特にその中でもプルトニウムの使い方についてその将来が不確かさなのがご心配だと、そういう心持ちでお話しされたと受け取らせていただきますが、この観点は、従来のように計画をきっちりこれでいくのだと書くような姿が今後もよいかどうかを議論しまして、やはり我々は自由化の時代を迎えて、それぞれが自己責任の世界で精一杯に活動していくことが、最も効率的な結果をもたらすに違いないと考え公益の実現という責任を有する国としてこれだけはそれぞれの活動計画において認識されているべきと考える基本的な枠組み、原則を明記しておくのが、今後の長期計画の在り方ではないかということで、ここにあるような表現を選んだわけです。
従って、不確かと言われれば不確かですが、他方、それにより効率の上がるという結果が期待されるわけであります。そこのところ、国としては基本を押さえて、なるべく意欲ある事業者の活動にまかせ、必要に応じて側面支援するということがこれからの原子力長期計画のあり方ではないかということのご理解をいただければと思います。
それから、最後の廃棄物の問題についてはあまり時間がありませんので一言で大変申し訳ないのですが、特に医療廃棄物の問題については、ここでは30ページに放射性廃棄物の処分の「4.」として、簡単に「大学、研究所、医療施設からも発生する」として、その安全な管理、処分については、基本は発生者責任ということですが、国としてそうした観点で「適切な活動がなされるように所要の措置を講ずることは必要」と非常に短く書いてあります。何故か、それは、現状そうした観点で医療関係者が研究所廃棄物も含めますので研究所関係者と一緒に、この考え方に基づいて制度、組織を用意しようとしておられること、それに関して基準になるものを用意するべく、国として例えばクリアランスレベル等の議論を進めているからです。それが着々と進めばよし、進まねば国として尻をたたくよとこのような考え方なのです。以上です。
(森嶌)
それでは鈴木第三分科会座長、何か。
(鈴木)
それでは高速増殖炉あるいは高速炉の燃料サイクルに関連した部分について補足させていただきますと、第三分科会の議論においては、原子力の必要性に関する議論、検討は、その他の分科会、特に第一、第二分科会、あるいは策定会議全体でこれが議論されるということで、第三分科会と致しましては、原子力の必要性についてはそのようなところの議論を前提に、高速増殖炉燃料サイクルの技術開発に関する議論を行うということで議論を致しました。その結論、つまり原子力の必要性につきましては現在の長期計画案にありますように、一言で言いますと、原子力発電を適切な割合に維持することになっているかと思います。
そこでその必要性がそのように続けられたときに、技術開発にどのように取り組むべきかということで、分科会での議論を簡単にご紹介致しますと、第一に当然のことながら安全性、第二に廃棄物の問題、第三に経済性、そして第四に特に高速増殖炉サイクルとの関連で言えば、将来への備えということで、長期的に安定的なエネルギー源を技術的に確保するという視点がやはり大事ではないかということで、そのような視点から、それでは具体的にどのようなサイクルが開発の方向性として必要であるかというときに、第一点が省資源、第二点が核不拡散、この省資源、核不拡散ということを追求していくにあたっては、やはり高速炉あるいは高速増殖炉サイクル技術が必要であろうということで、ここにお示したような案になっているわけです。
ご意見の中に、他の国ではもうすべて高速増殖炉については撤退したではないかというようなご指摘がありましたが、その点についても、若干の言及がこの長期計画案に示されているかと思います。私どもの理解では、そのような国があることも事実ですが、他方において、例えばこれは第三分科会の報告書をお読みいただかないと、全体の長期計画案には載っていないかと思いますが、例えばアメリカでは、いま来世紀に向けてアメリカ及び世界における原子力の技術開発をすべきかということを改めて構想をし直しているわけですが、そして既に少しずつ検討が始まっているわけですが、その検討の中においては、この高速炉あるいは高速炉サイクルが選択肢の中に含まれている事実からも、長期的な観点に立った場合には、やはりそのような取り組みも大切であると議論をしたところです。ありがとうございました。
(森嶌)
それでは、ここでは久保寺第五分科会座長、お願いします。
(久保寺)
久保寺です。先程、4つのご指摘をいただいたと思いますが、1つは廃棄物についてはもうご回答がありましたので、私は教育に関する件、それから高度先進医療に関する件、それから放射線の影響に関する研究、この3つについて、第五分科会でどのような審議がなされたか、そしてそれがどのように長計案の中に盛り込まれているかについて、お答えさせていただこうと思います。
まず第1番目、教育に関しては、毎回の分科会において、ことあるごとに様々な切り口で教育の重要性が出てきました。1つは初等、中等教育から、やはりきちんとした放射線の教育が必要ではないかというご意見もありましたし、あるいは関係者、特に放射線、放射能を利用する場合には、その利用方法によって法人格、すなわち法的責任を負う方々が国家ライセンスを付与されているわけです。例えば放射性ヨードを治療に医療の現場で使われるのであれば、病院の中で医師がその管理、監督の法人格を持った責任者になりますが、同一のものを動物実験に使うとすれば、これは科学技術庁の管掌になりまして、放射線取扱主任者という国家試験を受けた資格を持った人が、管理の法人格を持つことになります。
そのように利用によって多岐にわたる形態の中で、やはり基本的な教育が必要であること、加えて技術に直接関わり合いのある人、あるいは教育の現場にいる先生方、あるいはその他、色々なサイトのそばにいらっしゃる一般の方々にも、色々とこれからも情報を公開し、そして何らかの形で、放射線というものが目に見えないから、あるいは健康影響に対しての効果があまりにも知らされていないから、恐ろしいという漠然とした不安を与えている。これを何とか、放射線をむやみに怖がることなく、正しく理解していただこうということをキーワードにして、活発な議論が行われてまいりました。
教育の1つの側面からの効果として考えられることも議論されまして、それは現在、第五分科会でメインテーマとなりました国民生活の中に色々貢献をしている放射線、このようなものについて光と影の部分をしっかり認識した上で、現在、経済効果が非常にたくさん上がっているにもかかわらず、皆様方がどのようなところで放射線が利用されているのか、例えばコンピュータ素子のようなものは放射線の処理によって約5兆円以上の経済効果が1999年に上がっていますが、そのようなことも含めて、何にどのように、安心して使っていただける性能のよい製品につながっているか。このようなことを知っていただくことも、この第五分科会での1つの大きなキーワードでした。
そのような意味で、第五分科会のまとめには、医療利用を含めましてどのような場で、どのように放射線が使われているか。それから、原爆被災国です。広島、長崎の被爆という事実を踏まえた上で、どのように管理され、どのように私たちが放射線をこの世の中の文明発達に使ってきたかということも、併せて議論をしています。
次に2番目にご指摘のありました、健康影響という表現が正しいのか、人体影響と申し上げるべきなのか、2つの論点からのご指摘をいただいていたと思います。1つには高度先進医療、このようなものが日進月歩で進んでいます。この放射線を利用する医学界の人口は、たぶんアメリカに次いで2番目に多い日本ではないかと思いますが、まだまだこのようなものが、先程ご指摘のあったように、平等に、日本中の人が受けられる状況にないということ、それからこのような医行為を進めていくために、診断や治療を言いますが、有益な人材確保、このようなものについていま何ら裏打ちがないということ、ご指摘の通りでありまして、策定案の中にもこれを踏まえまして、高度先進医療を普及して、我が国で十分にこのような研究を進めていくために、産・官・学が協力をして進めていかなければいけないと盛り込んであります。また、現在、高度先進医療は、これまでも国が所要の支援を行っているとは承知致していますが、今後、更にこの長期計画での指摘を踏まえ、国を始め関係各機関が適切な対応をすることを期待したいと思っています。
次に3番目に、健康影響等を診断するのが先程のお話で、今度は放射線を受けることによって生体にどのような変化が起こるかについて、放射線障害と治療法に関する研究を促進する具体策についてのご質問であったかと思いますが、分科会での論議では1つには放射線被ばくというもの、低線量の放射線の影響研究の重要性について盛んに議論が行われました。
広島、長崎の貴重な体験と、それに基づくデータを有する日本の役割、あるいはJCOの事故も踏まえまして、高度の被ばくをされた方を含む緊急被ばく医療の重要性など、両面から、低線量でどのようなことが起こるか、高線量に被ばくした場合の医療の重要性、このようなものについて、世界に先駆けて日本では多くのデータを保有している国ですので、これらを疫学研究、動物実験等々、様々な実験手段を用い、そして縦糸ではなく横糸も織りながら、これらを完成していく。これもできるだけ早く完成していくために、必要な措置を取っていただきたい、その結果を踏まえて、放射線の健康リスクの評価、合理的な防護基準の設定などに取り組んでいくことが期待されるというように、策定会議の案の中には盛り込まれていると思います。以上です。
(森嶌)
どうもありがとうございました。多分委員の方で追加のご意見があると思うのですが、むしろ質疑応答の中でやっていきたいと思います。委員の方にそのようにやって下さいと言っておきながら、質疑応答の優先権は発表をなさった方にまず差し上げますので、どうぞ先程提起されたものに答えていないとか、時間があまりありませんので細かい点はできるだけ避けて、大きな流れのところでお願いしたいと思いますが、何かありますか。それでは福澤さん、どうぞ。それから、井上さん。
(福澤)
時間もあまりないようですから、3つ質問をします。一番最初に安全だと言い過ぎて危険性の認識の欠けている云々の6つがあります。それについて具体的にお願いします。
それから、できるだけ多様な意見を反映できるようにと言われましたが、具体的に今回の長計で今回の議論も含めてどのように反映されるのか、それを伺いたいと思います。
それから、もう1つはちょっと関係がないかもしれませんが、六ヶ所村の住人としては本当に六ヶ所村でもJCOのような事故が有り得ると認識しています。その場合に、具体的にどのような手段を講じていただけるのか。その責任はだれが取っていただけるのか。ここにおられる竹内哲夫さんなのか、あるいは鈴木篤之さんなのか、近藤さんなのか。本当にどうなるのかということを日々、感じています。そのことを、決して何か責任逃れではなく、だれがどのようにするのだということを、いま六ヶ所村として策定はしていると言いますが、本当に具体的にどこにどのように逃げればよいのか、だれがどのように責任を取って、どのようにしてくれるのかということを一番聞きたいと思っています。
(森嶌)
それではお答えすべきでしょうけれど、先に井上さん、どうぞ。
(井上)
どうもありがとうございました。やはりお答えを伺ってもわからないのですが、近藤先生は確かに再生可能エネルギーと原子力は対等に競争をしていく同じ条件だとおっしゃって、それは大変すばらしいことだと私も思うわけですが、ところが残念ながら鈴木先生のお答えを聞きますと、第三分科会は第一、第二でやることを前提として、その上で上げているのだというお答えになっているのです。そうすると、まず分科会設定の時点でもう答えが出て進んでいるとしか受けとめようがないことになってしまうわけで、いま私や国民が知りたいのは「もんじゅ」がああいう形で止まったことによって、核燃料リサイクル路線がどうなるのか、そのようなことに直接に皆さんがお答えを出していくものだと思ってきたわけです。ところが、高速増殖炉の、従来は技術としか言っていなかったわけですが、高速増殖炉のサイクルは技術としてやっていき、いまある核燃サイクル政策は当然のものとして進めるという二段構えに、従来は一体のものとして増殖炉が機能することによってサイクルができる、つまり夢がそこで貫徹するという形であったはずが、いつの間にか今回は議論のスタート時点から答えが出てしまった審議をされていたのではないかという疑問が起こるわけです。その辺はどうなのでしょうか。
(森嶌)
それでは直接には近藤、鈴木両先生にと思うのですが、まだ発言をされていない委員がいますので、これに関連してどうぞいまのご質問、福澤さん、井上さんのご質問に関連してどうぞ。それでは神田委員。
(神田)
ご質問の中の1つ、いざ事故が起きたらどうするかというご質問がありましたので、そのことについてお答えします。幸い昨年、防災に対して、国はいまのやり方では万一に対応できないということで、2月、3月、4月に集中的な審議をしまして、地方自治体の県知事あるいは市長、それに代わる人をヒアリングしながら、防災対策の骨子を作り、9月7日に国に答申を出しました。それが9月30日のJCOの事故の直前だったために、比較的早く対応ができたのではないかと私たちは思っているのです。
その新しい防災の特別措置法でいきますと、だれが責任を取るのかというのは、総理大臣以下各省庁、特にその法律を作るときに苦労したのは警察庁と消防庁、これは県と市町村で違うものですから、消防庁と警察庁の調整、自衛隊の防衛庁との調整、それにずい分時間を注ぎました。その結果、答申でいきますと「安全確保のためにいかなる取り組みがなされたとしても、事故発生の可能性を100%排除することはできないという前提に立って、事故が発生した場合の云々」という文章がありまして、いままでは踏み込んでいなくて「原子力は安全だからこういうことは考えなくてよい」という記述のあったものが「100%排除できないからこのようにやる」といって、今回の長計では相当踏み込んだ記載がされていると思います。これはいままでのものとは違うのではないかと思っています。
(森嶌)
それでは、はいどうぞ。
(近藤)
福澤さんからの防災についてのご質問については神田先生のいまおっしゃられたような意味のあからさまな記述があるとのご説明でご理解が得られたかと思うのですが念のため、ポイントをご説明します。安全審査においては、事故は起こり得ないということではなく、事故は起こらないように最善の努力をするとともに、にもかかわらず神ならぬ人間のなすことであるがゆえに、事故は発生するとし、発生した事故に対して被害を最小にする最善の努力をするという仕組みがあるかどうか審査します。その上で更に念のため防災計画を考えるわけです。で、その防災計画ですが、従来は防災は地方自治体の専権事項であり、国は技術的支援をするということであったところを、コペルニクス的転回と言いましょうか、考え方をかえましてまず総理大臣が危機管理をするという制度を今日整備したわけです。
長計の議論の最中にそのようなことが決まったわけですので、これにはそれ以上のことが書いていない、後追いではないかというご批判、これは東京でもそのようなご批判をいただいたところです。けれども、ここで新たな制度論を行うより、それに魂を入れていくことが大切ではないかと考えたわけです。それが長計のスタンスです。
それから、先程時間がなくて井上さんのこの計画の性格に関するご質問に直に答えることができなくて、いまもう時間がもう過ぎているようですが、ひとこと申し上げます。計画には短期計画、中期計画、長期計画があり、それぞれ性格がちがいます。長期計画は非常に骨格的な目標を決め、それに至るところは実際に動いてみて決めていくのが合理的であるわけですから、当初考えていなかった環境変化も、そのような意味で、長期計画は常に見直さなければならない要素をもっていることについてはご理解いただけると思いますが、核燃料サイクルについて言いますと、短期的な要素もあるし、中期的な要素もあるし、長期的な要素もある。おっしゃられた増殖炉、高速炉を使っていくその持つ潜在的な非常に大きなメリットを追求する活動は、長期的計画です。従って、環境の変化、例えば国の財政事情が非常に厳しくなった時にはウランが十分あるとすればそれを中断するという決定をすることもあるでしょうし、またそこまではしないで、計画年次をずらすなどはするがきちんと続けていくことにすることもありましょう。そういった様々な選択肢を柔軟に採用していくのが長期計画の進め方です。先程ご指摘の各国各様の姿は、まさしくこういうことで発生しているのです。
一方、核燃料のリサイクル利用の短期計画としては燃料の供給安定性の向上とか、いま申し上げた将来のそのような可能性の基盤を形成することに寄与するので、いまからプルトニウムを適切な規模で利用していくことが合理的であり、その手段としてのプルサーマルについては内外の実績、準備、安全性の評価等を踏まえて電気事業者が計画を着実に推進していくことを期待するということにしたわけです。
短期計画というのは持てる資源を最大限に効果的に使っていくことが基本的なスタンスですが、それがそのような意味、つまり長期計画の実現への歩みとしても適切だという判断で、これをきちんとやりましょうとプルサーマルについて強調をしているのです。以上です。
(森嶌)
吉岡さん、どうぞ。
(吉岡)
簡単に2点だけ言います。まず国民意見反映について、複数の方から発言があったので答えます。私がかねがね言ってきたのは、審議が始まった段階で国民の中にはプロ級、セミプロ級の見識をもつ人が多いと思いますので、詳しいレポートを求めて、それを審議の材料にすればよかったということです。それができなくて最終段階になってしまいました。どう反映させるかということになると、まだ決定ではないと思いますが、各委員がそれぞれ取り上げるべき意見を提案をして審議をすることになると思います。できるだけ幅広く私としては取り上げたいと、努力はしたいと思います。
それと第2点目ですが、自然エネルギーについて、この審議会が一体どこまで決定権があるのかということですが、おそらく自然エネルギーについての決定権はないのだと思っています。つまり原子力の予算を削り、浮いたお金を自然エネルギーに回せというのはかなり乱暴な議論であって、自然エネルギーについては、それ自体としてどのくらいの投資に値するかということを審議しなければいけないが、それを我々の権限ではない。
ついでに言ってしまえば、再処理工場の建設は中止すべきであるとか、そういう権限もおそらく我々にはないのではないか。そうすると国策になってしまいますから。いままでは進めるという国策できたわけですが、今回は期待するという表現に変わった。この考え方をとれば、止めるという国策もおそらくは成り立たない。今回の長期計画の内容は、国策としての具体性がかなり希薄になって空洞化しているので、それはそれでよいことだと思っているのですが、その考え方をとれば再処理工場の建設は中止すべきとか、原発については何年で廃止すべきとか、そのようなことまでは決められないのではないだろうか。それについてはまだ議論の余地があると思いますが、私はそう思っています。
(森嶌)
それでは西澤委員、どうぞ。
(西澤)
第三分科会の共同座長をやらされておりました西澤と申します。今日、お話がありましたことに関連しまして、私はここで申し上げるまでもないのですが、水力が一番よいのではないかと思っています。それに対する技術開発はあまりやられていないので、何とかそういうことをやっていただきたいということを、色々なチャンスを求めて申し上げているわけですが、やはりそれだけではだめで、だめというのは量が足りないということではなく、海外から持ってこなければいけませんから、国内できちんとやれるようにしておかなければいけないことを考えると、原子力、特に「もんじゅ」を使った原子力ということになるのではないかというのが私の考えです。
「もんじゅ」の時に私が色々とやらされたわけでありまして、決して自分からやりたくてやったわけでは全くありませんが、非常に大事な機械ですから、できるものならぜひ早く動かしたほうがいいということで、なるべく早く運転再開ということを決めていたわけですが、非常に時間がかかる。時間をかければよくなるかというと、そうではないと私は思います。JCOのときもそうですが、専門家でなくても、大学生が見てもびっくりするようなことが行われたということで、要するに職業意識の欠如というか、社会に対する責任感の欠如ではないかということで、私はもっぱら教育関係のほうで色々なことをやらせていただいているわけで、何とかそれをしめなければ何をやってもだめだということになるのではないかという心配を持っています。
それから「もんじゅ」は、早く動かしていただきたいということをお願いを致しました。これが動かなければ、世界中がやはり原子力に対する信頼を失うことになると思います。大事なものを信頼させなくしてしまうというのは、当事者にとっては大変重大な、罪悪と言ったら悪いのですが、そのような行為になるのではないかと思っていますので、一日も早く運転をしていただきたいというのが私の希望です。ただ運転するということは、そのまま突っ走るのではなく、これはおかしなことが起こればすぐにやめる、場合によっては廃炉にしなければいけないということも含んでいるわけです。とにかく未知の分野に手を入れていくわけですから、たえずそのような危険性を十分に考えてやっていくべきではないかと考えています。ちょっと誤解がおありなようだったので、それだけ補充をさせていただきます。
(鳥井)
この6項目に対して、直接私の感じていることを言います。安全だと言い過ぎて、危険性の認識が欠けているということですが、これはかつては原子力は専門家だけのものだったという意識があったと思います。ですから、専門家が出るときには、どうしても安全だという説明をしてしまったのだろうと思います。そのような意味で、危険なものであるということをきちんと言うように、ずい分変わってきていると思います。ここは大いに変化していると思います。
それから、周辺住民に対してお金で解決しようとしている、これはある意味ではその通りで、そこは改まっていないという意味もあるわけですが、一方、地方自治体がこのチャンスにお金を集めようとしているという実態もある、これはどう考えたらいいかということは少しお考えいただきたい。
それから、情報公開をしない。これは私としては情報公開はずい分進んだと思います。私は新聞記者でありまして、この情報を求めたけれど出してくれなかったよと具体的にあれば、ぜひ私に教えていただきたいと思います。ただし、核物質防護とか、そのような国際条約上規制されている、制限されている面がある。これはやむを得ないのだろうと思います。日本としては国際的なものについてもぜひ情報公開をしようよという努力を、これから国際社会の中でしていくべきだろうという感じが致します。
住民の意志を尊重しないということですが、住民の意志とは何だという話は非常に難しいと思うのです。一般論でいうと、やはり地方の議会ではないか。現場の議会の議論ではないかという気がするわけです。選挙を通して議員を選んで、それでそこがある結論を出した。その結論に基づいて何かやったら、これは周辺の住民の意見を無視しているということになると、どうやったらそれを採用してきちんと取り上げているメカニズムをどう作るか、そのような議論が必要で、これは原子力の議論だけではなく、色々な場面で必要な議論だろう。
それから、閉鎖主義である、議論をしないということですが、例えば原子力円卓会議をずっと続けて議論をして、国民の皆様方の多くの意見を聞いてきて、長期計画でもその意見を盛り込んでいるわけです。今日、このようなことをやっているのもそうです。これ以上、どうやって議論をして意見を盛り込むのかという、もっと本当は対話をすべきだと私は思っているわけですが、どうやったらそれができるのかというところです。高レベル放射性廃棄物の話などでも各地を回ったりするわけですが、なかなか動員をかけないと来ていただけない。情報を出すことはできても読んでもらうこと、パンフレットを渡すことはできても本当に読んでもらうこと、これは知恵をお互いに出し合う必要があるのだろうと思うのです。その辺をぜひよいアイデアがあったら、あっという間に採用される。さんざん議論をしても、悩んでもよい知恵がないのですよ。それが実態ということです。以上です。
(森嶌)
予定された時間を5分過ぎているのですが、石橋委員、石川委員から発言を。
(石橋)
原子力の進め方とか、情報公開について意見を述べたいと思っているのですが、時間がなければ、後半にもまたその問題が出るでしょうから申し上げます。
(森嶌)
はい、それでは後半に回していただいて、では石川委員。かく程に、策定会議でも、分科会でも委員のほうはなかなか黙らなくて困るという状況で議論はしてまいりました。はい、どうぞ。
(石川)
私は第一分科会という国民と社会というか、どちらかというと専門家でない人たちの部会に出席させていただいていたわけですが、私の意見を申し上げますと、いま皆さんの意見を聞いていてですが、結局のところ原子力の問題は安全性の議論に尽きるわけです。例えば東海村の事件が起こって1年間ありました。そうしたときに、例えば日本人が、消費者が、ああいう事故を起こしたときに電力を減らしたことがあるだろうか。本当に科学技術庁でも何でも調べていただきたいのですが、あの事故が起こった場所であれだけのことがあった、では本当にエネルギーの消費量はそこで減ったのだろうか。あるいはその前にもかなり大きな、あれはどこの事件でしたか、何かナトリウムがあれして大騒ぎになった。
つまり日本の中で大体4割弱が原子力に依存しているということは、おおよその国民は知っていると思うのです。そのような事故があって、仮に我々日本人の消費生活の中で、例えばエネルギーの消費量が減っているかというと、私は減っていないと思うのです。それはどういうことかと申しますと、例えば今年は暑かった、あれだけの事故からちょうど今年で1年経ったわけですが、それではクーラーを買ったり、電気の消費量は減ったかというと減っていないですね。つまり、我々はそういう生活をしているということが大前提にあると思うのです。
事故のあった東海村の近くで1年経ったわけですが、本当に原子力が仮に3割、4割使われたとしても、平均すれば何割も減ったということがあれば、私はたぶん日本人の中にこういう問題の希望というものがあるかと思いますが、幾つもの事故が起こっていても依然としてそういうものが減っていない以上、消費者が事故があってすら電気の使用量を減らさない限り、私は危険とともに生きるしか、あえて言えば大事故が起こるまで突き進むしか方策がないとしか言いようがないと思っています。
現実にですよ、青森だけではなく、そういう場所があったところで減らしていないんですよ。あれだけのJCOの事故があって、その地域の人が放射線の被害があったと、おびえたということがあって、それではだれとはなしに、例えば電気の量、エネルギーの量を減らしていくということを我々はあったという証拠を見つけることができていないわけですね。あの近くですらですよ。そういう我々日本人が、このような問題をどうやって論じるのだという方法論を持ち得ていないということだと私は思います。あれだけの事故があったところですら減らなければ、事故がないところで、どうしてこのようなエネルギー問題を解決することができますか。
私はそういう議論をできる場所ということで、このような策定会議なりがあるべきだと思ったのですが、依然として技術論というか安全論しかいかないのであって、そのようなことが、あまり出席率はよくありませんでしたが、そのような印象を持ったので一言、青森まで言いに来たわけであります。
(森嶌)
どうもありがとうございました。多分まだ発表者の方はご質問がおありだと思いますし、更にいまのこちらからのお話に対して再反論がおありだと思いますけれども、このあとの報告もありますので、どうも大変今日はお忙しいところをご参加いただいてありがとうございました。貴重なご意見をありがとうございました。それでは前半はここで休憩を取りますが、時間が10分位押していますが事務局、どのように。
(事務局)
どうもありがとうございました。それでは以上で前半の部を終了させていただきたいと思いますが、まず意見発表者、策定会議委員の退場となりますので、恐縮ですが一般傍聴の方々はしばらくご着席のままお待ち下さい。では、意見発表者の方々、ご退場をお願い致します。10分程遅れていますので、後半は17時5分からとしたいと思います。
−−終了−−