平成12年7月4日

 

原子力研究開発利用長期計画骨子案への意見について

西 室 泰 三

1.原子力研究開発利用長期計画(原子力長計)の意義
原子力長計は、先行きの国の原子力政策をどのように取り組んでいくのかという計画であり、国の政策についての意思表示である。
したがって、原子力長計の主体は、あくまでも国である。すなわち、「国は今後何に取り組んでいくのか」という記述を中心とすべきである。
(詳細は4月24日付の金井前委員メモを参照願いたい。)

2.原子力研究開発利用長期計画骨子案の全体構成について
上記の意義を踏まえて、骨子案の構成を以下のとおり再編成する必要があると考える。
(1)第1部に「原子力の意義、必要性」を明確に記述する。
(2)第1部第3章「わが国の原子力研究開発利用」は第2部に移動させ、第2部の将来展開の中で、簡単に触れる程度にとどめる。
(3)第1部第4章「これからの原子力政策を進めるにあたって」は、第2部の最後に移動させる。
(4)第2部「原子力研究開発利用の将来展開」は、各章によって、記述に疎密があるので、再検討する必要がある。

3.骨子案の記述について
(1)政策提言及び主体を明確に記述する。
国の原子力政策についての意思表示であるので、政策提言を明示することが肝要であり、国の役割を中心に記述する。なお、項目によっては、電気事業者、原子力供給産業の役割について触れる程度にとどめる。
(2)原子力の位置づけを明確にする。
昨今の原子力を巡る事故や再生可能エネルギーについての記述に重点が置かれ、原子力の必要性が希薄になっている。原子力利用の長所を明確に記述する必要がある。
なお、表現の仕方として、「原子力は○○○の特長があるが、×××が課題である」と言った「果して原子力が必要なのか」疑問を投げかけるような記述が目立ち、原子力に対して腰が引けているような感触を与える。
(3)今回の原子力長計策定にあたっての基本的考え方・スタンスを記載する。
骨子案では、現行長計(平成6年に策定)との連続性が見出せにくい記述となっており、国民の視点から見ると奇異に感じられる。最初に、今回長計策定にあたっての基本的考え方等を明確に記述する必要がある。

4.その他
骨子案の記述に対する詳細意見を別紙に記載する。

以上


平成12年4月24日

原子力長期計画策定について

金 井  務

1.原子力研究開発利用長期計画策定の意義
平成13年1月1日から行政組織の再編が実施される。今回の原子力長計は、新しい行政組織下で計画を具体化して行くこととなる。原子力長計とは国の政策を中心にした計画であり、国の政策意志表示であると考える。この意義を国民の前にあらためて明らかにする必要がある。原子力長計を考える上で、原子力をエネルギー源と科学技術の側面で捉えてみる必要がある。

 

2.エネルギーとしての原子力利用
規制緩和、自由市場の社会的な潮流の中で、国はエネルギーの長期的な安定供給について政策を明確に示し、その中で原子力の役割を再確認する必要がある。

原子力エネルギーの利用政策が不透明のままでは、産業界は長期的な投資、技術力維持、人材確保への対応が困難になってきている。

 

3.科学技術の中の原子力研究開発
新しい行政組織の中で諸施策が進むことから、原子力を科学技術体系の中で把握し、可能な限り具体性を持った計画を明示すべきである。
特に、次の事項は継続性をもって推進して行く必要がある。

4.具体的な内容とスケジュールの提示
原子力長計には産業界の役割も含まれ、将来の事業展開を計画する上で民間企業にとっても重要なものである。原子力長計は文字どおり「計画」ということであるので、具体性、すなわち、「何をどのようなスケジュールで展開するのか」を示す必要がある。

 

5.原子力の安全確保と防災対策
安全の確保は、国の安全規制と事業者自らの安全確保活動(自主保安)が相俟って実効をあげるものと考える。原子力産業界は「自己責任」「自主保安」を事業展開の基本事項として取り組んでいる。国は、国民の安全確保についての施策及び体制を明示することが必要である。

原子力関連施設立地地域の防災対策を徹底するため、原子力災害対策特別措置法が近日中に施行されることになる。国が中心となってオフサイトセンターの設置等の施策が講じられるが、国、地元自治体、事業者の役割の分担を明確にする必要があると考える。

また、放射線の性質や健康影響等について、国が率先して国民に対する理解促進活動をより強力に展開する必要がある。

 

以上