原子力委員会長期計画策定会議 第六分科会報告書
新しい視点に立った国際的展開
平成12年6月
原子力委員会
長期計画策定会議第六分科会
原子力委員会長期計画策定会議 第六分科会報告書
新しい視点に立った国際的展開
目 次第1章 新しい視点に立った国際的展開
1.最近の国際情勢に対する認識
2.国際的課題への主体的な取組第2章 我が国の核燃料サイクル政策の推進に関する取組
1.我が国の原子力平和利用堅持の理念と体制の世界への発信
2.我が国のプルトニウム利用政策に対する国際的理解促進活動の積極的推進
3.国際輸送の円滑な実施
4.使用済燃料の国際的管理の構想への対応第3章 核不拡散の国際的課題に関する取組
1.余剰兵器プルトニウム管理・処分への協力
2.IAEA保障措置の強化・効率化
3.核物質防護への取組
4.CTBT早期発効及びFMCT交渉開始に向けた努力
5.核不拡散への取り組みに対する我が国のイニシアティブ強化第4章 原子力安全と研究開発等に関する国際協力
1.原子力安全に関する協力の推進
2.研究開発協力の推進
3.放射線利用・放射線防護・緊急被ばくに係る国際協力第5章 地域別課題への取組
1.アジア諸国との国際的取組
2.欧米諸国との取組のあり方
3.旧ソ連、中・東欧諸国との取組のあり方
4.国際機関の積極的活用
はじめに |
第六分科会に与えられた命題は、長計策定全体のなかで、「新しい視点に立った国際展開」を担当し、具体的には「多様な政策手段を活用した包括的国際協力の在り方および国際的な核不拡散の強化に向けた原子力平和利用の展開に関する事項」を検討することとなっている。いうまでもなく、長期計画は、わが国の国内計画であり、国際問題それ自体としては存在しない。従って本分科会の使命は、他の分科会が提示した課題の遂行にあたって、如何なる国際問題があるかを検討し、それらを解決するための具体的施策を明らかにする事にある。その際われわれは従来のような対外援助的な国際協力や国際貢献という視点ではなく、国際的課題への主体的取り組みと積極的な対応という基本姿勢をとることとした。
われわれの論議の出発点乃至は基礎となった問題意識は、前回長計から今回に至るまでの数年間における原子力を巡る世界情勢の変化の大きさである。それは次の点において顕著である。即ち世界経済におけるグローバリゼーションの進展、規制緩和、自由化、市場化、冷戦の終結が世界の人々の期待をうらぎってもたらした核拡散の危険の増大、そして地球温暖化問題意識の一層の高まりである。
原子力は、すぐれて国際的主題であるといわれる。それは他の産業技術との対比において原子力技術の有する2つの特質に由来する。その1は原子力が軍事技術として開発され、その平和目的への転換が現在われわれの利用している技術の起源なのであり、技術そのものには平和も軍事もない。核物質も同様である。その2は原子力の内包する潜在的リスクの大きさである。チェルノブイリ事故の例をあげるまでもなく、万一の場合の影響は国境を超えて広がる恐れがある。われわれ人類が原子力のもたらすエネルギーとしての恩恵を享受するために、常に真剣に取り組むべき課題が、核拡散の防止と安全の確保であることの理由はここにある。この報告においてわれわれはこれに如何に取り組み、如何なる施策をとるかを示そうと試みた。
そこでまず、わが国のエネルギー安全保障の観点から原子力が将来とも重要な選択肢の一つであることを踏まえて、世界の現状認識から出発し、非核保有国にして原子力発電大国である我が国が、核燃料サイクル政策を推進するために取り組むべき課題と施策を提示し、そのために核不拡散にかかる個別の問題に如何に対応するかを論議した。そして原子力の安全確保と研究開発にとって重要な国際協力の項目に対する積極的取り組みをしめし、最後にアジア、欧米をはじめ各地域別の課題、特にアジア地域におけるわが国の協力のあり方について言及している。
その中で、とくにわれわれが重要と考えたのは、わが国の核燃料サイクル政策と核不拡散問題との関連である。現状の国際政治の下における核不拡散条約(NPT)体制については、様々の視点からの論議がある。例えば不平等条約論、核保有の現状固定化論などがそれである。しかし、ここでわれわれがこの問題をとりあげた視点は、わが国が非核保有国の中で再処理工場の運転と建設を進め、核燃料サイクルの確立を目指している世界で唯一の国であること及び使用済燃料の再処理から抽出されるプルトニウムを国内外に相当量保有していることからくる世界の注目にどう対応するかということである。原子力基本法と非核3原則遵守の決意とその下における平和利用開発への信頼は、核燃料サイクル政策全体の透明性と、核軍縮、核拡散防止への積極的行動があってこそ得られるのである。
この分科会に付託された「新しい視点に立った国際的展開」という命題に応えることは容易なことではない。しかしこの報告書において資源小国、経済大国のわが国が核不拡散と安全の確保を大前提としてエネルギー安全保障と環境保全を目途に、国際的課題に主体的、積極的に取り組むかたちを示しておきたい。
第1章 新しい視点に立った国際的展開 |
1. 最近の国際情勢に対する認識
(1) 世界各国の情勢
(1) 基本認識
第2章 我が国の核燃料サイクル政策の推進に関する取組 |
1. 我が国の原子力平和利用堅持の理念と体制の世界への発信
(1) 現状認識
i) 非核兵器保有の国益
i) IAEA包括的保障措置
(1) 現状認識
(1) 現状認識
(1) 現状認識
第3章 核不拡散の国際的課題に関する取組 |
1. 余剰兵器プルトニウム管理・処分への協力
(1) 現状認識
(1) 現状認識
(1) 現状認識
(1) 現状認識
(1) 現状認識
第4章 原力安全と研究開発に関する国際協力 |
1. 原子力安全に関する協力の推進
(1) 現状認識
(1) 現状認識
(1) 現状認識>
第5章 地域別課題への取組 |
1. アジア諸国との国際的取組
(1) 現状認識
(1) 現状認識
(1) 現状認識
おわりに |
(共同座長) | 下山 俊次 | 日本原子力発電(株)最高顧問 |
(共同座長) | 田中 直毅 | 二十一世紀政策研究所理事長 |
相澤 清人 | 核燃料サイクル開発機構理事 | |
青木 輝行 | 中部電力(株)取締役副社長 | |
岡本 行夫 | (株)岡本アソシエイツ代表 | |
草間 朋子 | 大分県立看護科学大学学長 | |
栗原 弘善 | (財)核物質管理センター専務理事 | |
國廣 道彦 | (社)経済同友会代表幹事特別顧問(第5回から) | |
黒澤 満 | 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授 | |
斉藤 伸三 | 日本原子力研究所副理事長(第9回から) | |
鈴木 篤之 | 東京大学大学院工学系研究科教授 | |
千野 境子 | 産経新聞社論説委員 | |
十市 勉 | (財)日本エネルギー経済研究所理事 | |
長瀧 重信 | (財)放射線影響研究所理事長 | |
日浦 治也 | 三菱重工業(株)常務取締役 | |
舛添 要一 | (株)舛添政治経済研究所所長 | |
松浦祥次郎 | 前日本原子力研究所理事長(第8回まで) | |
真野 温 | 原子燃料工業(株)会長 | |
渡邊 幸治 | (社)経済団体連合会特別顧問(第4回まで) |