2000/4/7
新たな原子力長期計画の構成案
森 嶌 昭 夫○20世紀の原子力の研究開発利用の成果と課題
(科学技術、社会、経済、政治、国際等の観点)
※ 日本の原子力研究開発利用のこれまでの成果と原子力が直面する諸課題を原子力の光と影という観点で分析する。
- 原子力は総発電電力量の約37%、国民に電力を安定的に供給。
- 事故、不祥事による国民の不安・不信の高まり
- 原子力産業の経済性の問題等
- 海外の原子力開発利用の動向
○21世紀社会の潮流
○原子力研究開発利用の意義・役割(21世紀を迎えるに当たっての再評価)
※ 例えば、以下に示すような現在の社会経済を取り巻く変化の潮流を取り上げ、原子力との関わりを分析する。
グローバル化(経済自由化)、科学技術の進展と国民・社会、環境問題、少子高齢化、高度情報化、地方分権等
※ 上記を踏まえた上での原子力の意義・役割の再評価を行い、今後の原子力研究開発利用の方向性を示す。 (例えば以下のような視点から再評価)
・人類文明: 原子力は、膨大なエネルギーと放射線を発生。
循環型社会の構築には、エネルギー分野では、原子力は大きな役割を果たすが、放射性廃棄物は負の遺産との懸念も。
・環境・エネルギ−: 日本のエネルギー選択肢としては、需要抑制、省エネ、新エネ、天然ガスの利用等様々なオプションがあるが、原子力抜きで安定供給、環境保全が図られるか。
・科学技術: 物質の究極を極め、他の科学技術分野に認識手段を与える。
・国民生活: 生活の見えない部分も含め質の向上に寄与。
・国際社会: 日本のフロントランナーとしての研究開発やエネルギーセキュリティーの確保が、世界の公益にも貢献。一方、日本の核武装への懸念も。
- いわゆる原子力の影の部分については、人類の英知で管理することが可能ではないか、そうであるならば、影の部分の管理を前提に光の部分のポテンシャルを引き出していくことが我々の子孫のためにも必要ではないか。
○原子力開発利用の進め方
※ 原子力の推進に当たっての大前提 ○国民・社会と原子力政策の新たな関係
- 安全確保・・・安全確保の理念、安全文化・自己責任原則
- 平和利用の堅持・・・原子力平和利用の理念と行動の提示
- 国民・社会の信頼と安心の確保・・・信頼感・安心感の確保の要件
- 選択肢と適時的確な評価による着実な機動性ある対応
※ 原子力政策に対する国民参加の在り方といった国民・社会と原子力政策の新たな関係の在り方を示す。
- 透明性の確保、政策決定過程への国民参加
○国際社会と我が国の原子力政策の関わり
※ 国際社会に対する我が国の原子力政策に対する理解を得るための基本的姿勢について示す。
- 平和利用の基本的考え方、核不拡散、国内サイクル政策の対外発信
○国の役割と民間の役割
○原子力開発利用の将来展開
※ 国の役割(例:基礎基盤研究開発、核不拡散、地球温暖化防止といった規範の設定、事業者の活動の円滑化措置)と民間の役割(例:改良研究開発、コスト削減、社会に対する企業責任)の明確化と両者の連携・協力の必要性を記述。
以下の記述は、事業の進捗状況、経済情勢、社会情勢を踏まえ、原子力委員会 により適時的確に修正される。
※ 各分野における基本的考え方、将来見通し、将来計画等について示す。 ◆原子力発電と核燃料サイクル
※ 以下の構成は、今後の分科会の審議状況により適宜変更される。
- 基本的考え方
- 国民の信頼と安心の確保の取組
−情報の公開と提供
−教育
- 立地地域との共生
−国、自治体、事業者、住民の関係の在り方
−長期的な地域の発展に向けて
- エネルギーとしての原子力利用
−将来の電力需要と原子力
- 核燃料サイクル
−放射性廃棄物の処理処分と原子炉施設の廃止措置
−核燃料サイクル事業
- ウラン探鉱、ウラン濃縮、プルサーマル、再処理、MOX燃料加工、中間貯蔵等核燃料サイクル事業の考え方
- プルトニウム利用に際しての考え方
- 高速増殖炉及び関連する核燃料サイクル
−研究開発の基本的考え方
−研究開発の具体的な進め方
- 研究開発の成果と現状、今後の進め方
- 原子力産業
−原子力産業の現状と在り方
◆先端的研究開発
- 基本的考え方
- 研究開発の進め方
−研究開発のバランス
−研究開発体制の在り方
−評価とそれを反映させる方策
−国際社会での役割、リーダーシップ
◆放射線利用
- 基本的考え方
- 放射線利用の促進
−放射線利用の国民社会への受容
−国際貢献
−研究開発の進め方(現状と展望)
−人材育成、規制等
◆国際対応
- 基本的考え方
- 国際対応の取組
−核燃料サイクル等の原子力活動に係る国際的取組
−核不拡散に係る国際対応
−原子力安全及び研究開発等の国際協力
−地域別対応の課題