○「エネルギーセキュリティと新エネルギー」(内山委員)
(エネルギーセキュリティ)
- 世界やアジアのエネルギー消費見通し、化石燃料の確認埋蔵量、石油の中東依存度等をデータで示しつつ、グローバル化時代の21世紀において、これまでの先進国の石油の安定確保の視点からのセキュリティから地球規模でのエネルギーの安定保障確保というグローバル・セキュリティへと考慮すべきセキュリティの質が変化していること、同時にセキュリティ意識が低下していること等が指摘された。
(新エネルギーの可能性)
- 年間設備稼働率、ライフサイクル、エネルギー密度、設備価値、供給ポテンシャル等の多様な観点からの新エネルギーについての評価が示され、その潜在的供給可能性が説明された。
- 各電源別の外部コストと事故リスクを整理し、リスク比較を紹介。
- 各電源別のCO2排出量の比較を紹介。
(その他)
- 「エネルギーの安定供給のためには、人間が技術でそれを供給し、そういった技術を絶えず維持管理することが不可欠。」、「エネルギー技術による非常に豊かな生活の維持と、その技術に対する安全性・信頼性を高める義務、環境を護る義務を調和させることが重要。」と指摘。
○「米国のエネルギー戦略と日本の選択」(寺島委員)
- 米国、欧州、アジアの原油調達構造を示し、石油のコモディティー化の流れの中で、米国の石油中東依存度が10%であるのに対し、日本は86%であること等を指摘。
- LNG需給見通し、サハリンや中国の天然ガスプロジェクトを説明。
○「リスク評価の現状」(飛岡委員)
- 炉心損傷事故やスクラムの発生率評価等原子力発電所の事故によるリスクについて説明。原子力以外の身近なリスク源とのリスク比較の実施。
第3回策定会議で配布された以下の資料の要約版も配布。
○「太陽光発電の現状と将来展望」(策定会議稲盛委員)
○「風力発電の現状と将来展望」(関和市東海大学教授)
(3)第3回会合(11月17日)
○前回の内山委員の発表に関する質疑応答
- 消費に会わせてエネルギー生産を考えるのではなく、消費自体をどう減らしていけばいくかの考察が必要。(→我が国が消費を増やさなくても、途上国が消費を増やせば深刻な需給逼迫が予測。アジアを含めたグローバルな視点で考えるべき。)
- 大型発電だけでなく、例えば、燃料電池の一般家庭使用の可能性は高いのでは。
(→マイクロガスタービンが先で燃料電池はその後の導入と考えられる。このような小規模技術は、量産化でコストを削減。発電効率が低いためコジェネとして性能向上が必要。また、寿命が短いことが今後の課題。)
○また、その他に
- 経済活動と消費は密接な関係。省エネをしながらの経済発展は今は先が見えない。
→産業構造の変化を考慮すると必ずしも省エネがGDPを下げることにはならないのでは。
- これからの循環型社会をどう作るかというビジョン作りが日本の使命。
- 例えば、今後50年といった原子力モラトリアム論は、400年といった長期エネルギー見通しが悲観的だとしても否定されるものではない。
→CO2削減の観点から、原子力モラトリアムを鉄鋼等他の産業は承知するだろうか。
- なにもかもリスクを避けて安全なものへというのは、海外へのリスクの移転である。
- 40~50年先は原子力が一定の役割を担うことは否定できないが、電力自由化が進むと、純然たる民間は原子力をやらないのではないか。
などの議論があった。
(4)第4回会合(12月13日)