原子力政策円卓会議における「国民・社会と原子力」に係る意見の論点整理
平成12年1月12日
第一分科会事務局
この資料は、「原子力政策円卓会議おける意見の整理(平成8年4月〜平成11年8月)−中間とりまとめ−」(第一分科会第1回会合配付資料)及び「平成11年度原子力政策円卓会議議事速報(第4、5回)」をもとに事務局の責任において論点整理を行ったものです。
- (1)情報公開について
- 国民的合意形成の大前提は情報公開である。
- 市民に必要な情報公開とは、原子力利用のプラス面とマイナス面とを公平に知ることができ、自分で考え選択するための材料が用意されること。
- 情報公開は、市民の建設的な提言と節度ある行動を確立するために必要。
- 間違いをおそれず、迅速な情報提供を行うことが重要である。
- 公開できない場合にはその理由を正直に言えばよい。
- 国民への情報提供に当たっては、明確な責任と権限を有する広報の責任者に全ての情報を集め、対外的に発信するようにすべき。
- (2)合意形成について
- 国民的合意とは政治家がどこかで判断する他無い難しい問題。
- 国民的合意形成の大前提は情報公開である。
- (3)意思決定に関して
- 原子力政策についてなぜ委員会形式で検討する必要があるのかを再検討すべき。
- 第三者的な組織による政策評価が必要
- 国会が国民を代表しており、原子力政策の意思決定を全て国民に委ねるのはいかがか。
- 専門家が採用可能な選択肢を複数用意して、議論を透明にし、利害関係者の間で政治的な決着をつける。これが代議制民主主義の基本である。
- 政策決定過程には、政府、企業、市民の三者が参加すべき。
- 原子力は国家政策であり、個人の総和は国家ではない。賛否の意見については政党が吸い上げ、収束を図ることが適当。
- 政策立案の客観的根拠が明確でない。
- 原子力行政には、原子力に直接携わっていない人達の意見を反映すべき。
- 国民の意見を幅広く取り入れ政策決定すべし。
- 政策決定のための全国民的な議論の場が必要。(それはまとまらない。まとまれば大政翼賛会)
- 市民が方針を誤る可能性があることを念頭に置く必要がある。
- 政策決定過程への参加は、円卓会議への参加、議員を通じた参加、各種懇談会への参加等様々な形があり、一つに固執すべきではない。
- 政策決定過程への参加については、地域レベルでは議論されていない。
- (4)住民投票について
- 住民投票の是非
−十分な議論の後の住民投票の価値
−憲法の前文では「国民は代表者を通じて行動し」とされており、これが基本。
- 代議制民主主義と住民投票との関係、中央と地方の関係をどうするかなど民主主義の根源的な議論なしに、個々の議論をアドホックに進めると民主主義の基盤が崩れるのではないか。
- 国民は全ての問題についての知識を一度に持てないので、国民投票による直接民主主義は無理。しかし代表者を信頼して任せるために重要なことは情報公開。
- 住民の意見あっての国策であり、国策と地域との関わりをどの様に考えていくかが重要。
- (5)安全と安心について
- 安全が安心に繋がるためには、透明性が重要。
- 原子力施設で働く従業員が平素から周辺の方々に信頼されることが重要
- 安全性について説明する人間への信頼感が重要である。
- 現行の長期計画は、実態と大幅にずれた設定であり、国民の不信感もここにある。
- 原発に反対していない地元の人でもある程度の不安感があるが、不安感が悪いのではなく、何が不安であるかを共有し、情報を明確化することで信頼感が得られる。
- 不安感は知らないこと、理解できないことに対する一種の警戒心。
- (6)立地地域との共生
- 原子力の立地問題は、経済性、安全性、コミュニケーション、政治等々、多岐にわたる問題である。
- 地方分権が言われている中で、原発という全国の電力需給に係る問題を考える際、地方と国の関係をどう捉えるかが問題。
- 原子力発電は国民全体で受け入れるべき国策であるが、地元は立地に協力しているにもかかわらず、原子力関連のトラブルが起き、苦しんでいるという不平等がある。
- 原子力発電所の立地に当たっての許認可に知事と市町村長の同意を義務づけるべき。
- 生産地と消費地の両者間の対話をもっと行うことが必要。
- 原子力全体に対する不信感の中で地方自治体の役割は大きく、住民との信頼関係をかろうじてつなぎ止めている。
- 電源三法交付金の使途については制限が厳しい。
- これまでの交付金制度は、地域が自ら想像する力、自立する力、つまり地場産業を中心に自ら発展することをかえって阻害したのではないか。
- 地域振興においては、まず地方自治体のビジョンがあって、それに対して交付金が必要という考えが重要である。