別紙1
各委員からの意図表明の概要(第1回会合)
本資料は、各委員から提出のあった意図表明メモについて、便宜的に整理したもの。
1.新エネルギーとの比較等エネルギー政策の中の原子力利用の在り方について
- (エネルギー安全保障に関するもの)
- (1)10年先、20年先の産業構造の変化を見通さなければならない。
- (2)先行きが不透明で、不確実性の高い時代のエネルギーセキュリティについて、地球的視野、次世代の視点を含め、どう認識し、選択肢を用意しておくか。原子力の役割をどうとらえるか。
- (3)日本のエネルギー構造について、国際的な位置付け、制約条件を検討し、長期戦略の中から、原子力の位置付けを考えることが必要。
- (4)日本のみならず、世界の持続可能な発展に貢献するシナリオ作り。
- (5)多様なエネルギー供給の選択肢を評価し、エネルギー政策における原子力の位置付けと所要の公的介入の基本的考え方を明らかにする。
- (データに基づく議論)
- (1)エネルギー選択の議論に関し、説得性を持つデータを提供し、科学的・技術的な検証に耐える説明をわかりやすく展開する必要がある。
- (2)新エネルギー、原子力、複合ガス化発電についての冷静な定量的評価が必要。
- (3)地球温暖化防止における原子力の役割についての議論
- (電力自由化に関するもの)
- (1)電力供給が市場原理に任されているのなら、資源選択は基本的には利用システムの経済性に委ねられる。このような中でのエネルギー・安全保障とは何か。
- (2)電力自由化時代のセーフティ-ネットとしての原子力という視点が重要。
- (3)電力自由化がさらに進展すれば、私企業としては、原子力発電を立地させることは困難。
- (コスト問題に関するもの)
- (1)原子力のエネルギー供給上の役割、地球環境問題、安全保障問題等とのバランスをも踏まえた適正なコスト負担の在り方の検討
- (2)原子力発電の費用を他の代替エネルギー源の費用とできるだけ客観的に比較し、国民に提示することが必要。
- (3)温暖化対策としての原子力の役割を考える際、他の様々な対策とのコスト(限界費用)の比較が必要。
2.放射性廃棄物処分を含む核燃料サイクル政策の明確化について
- (1)原子力の発展過程で取り入れたものとふるい落としたものの評価と、それを踏まえた将来の検討が必要。
- (2)新型炉、プルサーマル、寿命延長、長期サイクル運転等の課題
- (3)放射性廃棄物に関する問題に関し:国民の理解を得る方策、カテゴリーの再編、高レベル処分の具体策、一般廃棄物問題との対比等が重要。
- (4)使用済燃料からエネルギー資源を創生する核燃料サイクルの特徴を生かす努力、自ら整合性のあるシステムを作り出すために現時点で取り組むべきことは何か。
- (5)2030年、2050年を前に今後ありうべき燃料サイクルの案は何か。その際の評価関数は何か。
- (6)問題先送りで責任を回避しようとするモラトリアム的発想は、将来の危機を増す。化石燃料にまだ余裕がある今から基盤技術や平和利用に向けた国際協力を確立すべき。
- (7)世界最先端の原子力開発に絶えず挑戦していくことが肝要で、そのためには選択肢を広げる必要がある。国と産業界が一体となった研究開発が重要。
- (8)世代をまたがる長期的な結末を予測しつつ現時点で決断を迫られる課題の整理が必要:使用済燃料、原子力技術の担い手、原子力産業の将来方向
- (9)望ましい選択のあり方を放射性廃棄物管理を含む核燃料サイクルの面から明らかにし、その実現に向けての公的介入の具体的課題(技術情報の生成支援、開発利用リスクの軽減、制度整備等)を明らかにする。
3.原子力産業の在り方について
- (1)原子力産業:規制緩和(市場経済)の中での原子力(公益性)の位置付け
- (2)人材養成・確保と技術の伝承
- (3)軽水炉の熱利用の可能性は?、超小型炉、推進用原子炉の提案は?宇宙用原子炉
- (4)輸出、アジアにおける協力体制のための基盤整備及び政府の先導的な施策の推進
- (5)エネルギー産業の国際動向やエネルギー間競争の実態を踏まえ、原子力産業に係る必要かつ有効な公的介入のあり方についての課題分析に基づく選択肢とその採否検討
4.その他
- (1)原子力発電に関する情報公開
- (2)原発が「期待の星」としてもてはやされない理由、地方自治体の立場からの欲求不満などの解消はどうすれば可能か。
- (3)原子力の積極的推進が、まず前提にあって、そのことに国民的同意をどう取り付けていくかというのが、この委員会の基本にあるようだが、(議論の結果脱原子力も視野に入るのでなければ)それでは会議自体が無意味ではないか。
- (4)市民を代表するような人の顔が(私のほかに)一つも見えないことに強い不安と不満を感じる。
- (5)短期・中期・長期の経済社会環境予測に基づく原子力の位置付けに応じた行動計画の検討→短期・中期・長期のベストミックス:エネルギー供給にかかるポートフォーリオ管理の観点(ベストミックス論)
- (6)原子力関連施設を含めた安全管理の基本をいかに確立していくかが、問われている。
別紙2
政策・体制論、原子力産業論の観点からの意見概要(第2回会合)
<主に政策・体制論の観点>
- 代替(新)エネルギーの可能性の議論も含め、原子力発電推進の是非から議論し直す必要がある。
- 緊急時に備えた体制・マニュアルの準備が重要。事故が起こった場合のアプローチを想定しておく必要がある。
- これまでは「ルールは守られる」という性善説であったが、今回はルールが守られないことで大事故に繋がった。仕組みの大元からの見直しが必要である。
- 原子力の専門家を揃えた中立的で厳格な監視機関を作る必要がある。安全確保には外部委員会による監査機能も必要。独立の権限を持った、海外の専門家も視野に入れた監視機関を構築すべき。
- 「安全」という言葉を多用すると却って不安を与える。信頼性を地道に積み重ねて安心感を得ていくことが大切。
<主に原子力産業論の観点>
- 日本の原子力産業会全体および同業者間で、安全文化の再構築、共有、水平展開を行う必要がある。これらの関連企業は多岐にのぼり、草の根運動となるが、進める必要がある。
- 原子力は総合技術であるとの認識で本体(発電所)以外の周辺技術の安全性も見直すべき。
- 安全の第一責任は事業者にあり、高い技術レベルを維持するための技術の継承・人材育成を考えるべき。
- 今回の事故による世論の原子力批判の高まりにより、原子力関連従事者の使命感、やる気の喪失や、次世代の後継候補者の減少等が懸念されるが、これらへの対応も重要。
- 事故の背景としては、コスト面からのプレッシャーだけではなく技術者の倫理、安全意識も大切。
- 発注者は、品質だけではなく安全や環境負荷に対する発注責任も持つべきで、これらは全て重要な品質管理と捉えるべき。
- 安全の確保は経営者の自己責任が基本であり、経営者の現場状況の把握が重要。
- 安全にはコストがかかるのも事実。どうコストをかけながら全体の安全レベルを高めるか考える必要がある。企業は経済性を追求するものであり、安全の確保と企業の経済活動を一致させる環境を作るべき。
第三分科会における審議状況
1.審議の進捗状況について
- ○第1回( 9月20日)
- ・本分科会の検討項目と進め方について審議した。
- ・事務局より高速増殖炉懇談会報告書の内容について説明が行われた。
- ・各委員が本分科会に臨むにあたっての意見を述べた。
- ○第2回(10月25日)
- ・事務局よりJCO東海事業所の臨界事故について説明が行われ、事故がもたらした影響、教訓、問題点等について議論した。
- ・事務局より分科会の審議に資するため、高速増殖炉を中心とした核燃料サイクルの必要性に関する基礎資料が提示された。
- ・各機関(サイクル機構、電中研)より高速増殖炉関連技術に関する研究開発の現状と将来展望について説明が行われ、高速増殖炉関連技術の在り方について審議した。
- ○第3回(11月11日)
- ・各機関(原研、原電(電気事業者)、委員(メーカとしての観点))より高速増殖炉関連技術に関する研究開発の現状と将来展望について、また、事務局及び委員より海外の研究開発動向について説明が行われ、高速増殖炉関連技術の在り方について審議した。
2.今後の審議の進め方
- 以下の検討項目につき審議する。
- ・高速増殖炉及び関連する核燃料サイクル技術、核種分離・消滅処理技術における当面10年間の研究開発の進め方について
- ・研究開発の体制と評価について
- ・「もんじゅ」ほか研究施設の位置付けについて
- ・国際協力の進め方について
第三分科会におけるJCO事故関連の各委員意見の整理
- <事故の取扱い>
- ・規則の無視が事故の直接の原因であることは事実であるが、この事故を例外として扱ってはならない。
- ・安全規制の抜本的強化、災害対策体制の整備が必要。
- ・事故の教訓等の反映を急いで行うと後で禍根を残すことになる。少し落ち着いて世の中が冷静になってからすべき。
- ・保険額を超える額を国が面倒みるというのは重大なモラルハザードを引き起こす。
- ・今回の事故とチェルノブイリ事故とは性質が大きく違う。その違いを認識した上で冷静な議論をすべき。
- ・社会的影響の大きい原子力では、特にマネジメントに起因する事故を排除する方策を検討する必要がある。
- <文化、モラルの問題>
- ・組織的、文化的な面を含めた原因究明が必要。日本の文化としてマニュアルを守らないという傾向がある。日本独自の文化論的な考察を行う必要がある。
- ・どうしてモラルの風化が起こったのか考えることが重要。加工事業者が主体的にモラルの向上に取組むべき(国際的な同業者間の安全ネットワークの構築が有効)。
- ・原子力の場合、安全文化を強固なものとして絶対風化させてはならない。
- ・ある程度モラルが悪い状況を想定しても対処できるような体制・検査方法を考えておくべき。
- <人、組織の問題>
- ・責任問題としては核燃料取扱主任者が、まず、第一に問われるべき。これを曖昧にして議論すべきでない。
- ・今回の事故は「人」が原因であった。末端作業員や下請け業者への連絡、安全意識が徹底するよう中間管理者が機能しなければならない。
- ・規制や災害防止対策も必要だが、最終的には事業者の自立を高める施策が必要。
- ・技術革新に努めて中にいる人間がチャレンジしている前向きの風土、姿勢を組織としてもたなければならない。
- <長期計画の審議に係わる事項>
- ・国民世論の変化について十分な調査が必要。単なる集計ではない国民世論の詳細な調査とそれを長期計画の審議に反映することが必要。
- ・国民に対して最低限のエネルギーを使えるように供給することが絶対条件。これを満足させるために、危険を冒さなければならないこともあるし、事故があったときは別のものを使わなければならないということもある。そういった観点で整理すべき。
- ・FBRサイクルは非常に重要な長期的なエネルギー問題で、これとJCOの問題は並行に検討すべきである。今回の事故によりFBR開発を躊躇するようなことがあってはならない。
第四分科会における審議状況
1.審議の進捗状況について
- ○第2回会合(平成11年10月21日)
- 「未踏分野への挑戦について」を主な議題として、以下のプレゼンテーション 及び審議が行われた。
- ・「原子力研究開発利用長期計画の予備的検討に関する調査報告書(未来を拓く先端的研究開発)における論点及び議論経緯の報告」(谷畑勇夫 委員)
- ・「放射光分野における研究開発の意義・将来展望」(上坪宏道 委員)
- ・「中性子科学分野における研究開発の意義・将来展望」(齋藤伸三 委員)
- ・「荷電粒子科学分野における研究開発の意義、将来展望等」(谷畑勇夫 委員)
- ・「レーザー科学分野における研究開発の意義、将来展望等」(中塚正大:大阪大学レーザー核融合研究センター教授)
2.今後の審議の進め方
- (1)未踏分野への挑戦について(加速器、レーザー技術等に関して、「見る、極める、創る」という観点からの技術の分析)
- ・将来展望
- -新たな利用法の模索
- -成果と現状
- -国の役割
- ・国際競争力の強化
- -優位性を維持する必要性
- -基幹技術としての位置づけ
- ・中長期的ストラテジーの構築(テクノロジー・プッシュの側面重視)
- (2)持続可能な発展について(核融合、研究炉、中小型炉等に関して、環境との調和、エネルギーとしての可能性、安心して使える技術という観点からの分析)
- ・研究開発の意義・動向
- -先端技術のシーズとしての今後の研究開発方策
- -研究開発推進の意義、体制の在り方
- (3)持続可能な発展について(その2)
- ・将来展望
- -新たな利用法の模索
- -成果と現状
- -国の役割
- ・国際競争力の強化
- -優位性を維持する必要性
- -基幹技術としての位置づけ
- ・中長期的ストラテジーの構築(テクノロジー・プッシュの側面重視)
- (4)横断的事項等について
- ・研究開発の推進方策、体制の在り方(相互交流、機関連携、施設利用等)
- ・適切な評価の在り方
- ・地域への展開
- ・若者の参加意欲増進
第四分科会におけるJCO事故関連の各委員意見の整理
- <人材教育>
- ・今回のJCO事故は、先端的技術分野においても、優秀な学生の確保という面で5年から10年後に深刻な影響があるのではないか。
- ・これだけモラルが低下していることや教育や啓蒙のレベルが低いという現状から、これを機に、人材教育に力を入れていくべき。
- ・教育や研修が不十分であったことが今回の事故の一因であるが、日本特有の社会・組織体制の問題(終身雇用のため「習うより慣れろ」の仕事のやり方等)が根底にあると思われる。安全性では、人や組織の問題が重要。
- <技術・研究開発の在り方>
- ・NASDAのロケット打ち上げ失敗や動燃事故と今回の事故は、一つの共通点があり、組織の中で技術の継承・保持・改善の姿勢が失われていることが挙げられる。
- ・産業界では技術力が低下し、技術者の穴を埋めておらず、日本における技術力の空洞化現象が多く見られる。
- ・科学技術庁関連の研究所の中で、契約研究者を集めて数年間で研究をやればよいという風潮が強くなっているように感じられるが、このように、研究を技術をベースに進めていくという姿勢が減ってきている。このような社会の風潮が、このような事故を生み出しているのではないかと感じる。本分科会では、重要な論点として、いかに「技術」を社会の中に形作っていくかということを取り上げるべき。
- <安全に対する意識>
- ・米国では規制緩和が進んでいるが、原子力発電所の稼働率は上がっており、安全性の指標も良くなっている。欧米ではリストラをする場合も、原子力の場合は安全を第一にしないと経営上の危機になるという意識を経営者や現場が持っている。
- ・放射線は恐いものであると国民に思われており、原子力はビジネスとしてもリスクの高いものとなっている。原子力研究開発の推進を図るためには、なぜ、このように原子力とそのビジネスがリスクの高いものになってしまったのか、これを改善するにはどうすればよいのかをよく検討する必要がある。
第五分科会における審議状況
1.審議の進捗状況について
- ○第2回会合(平成11年10月29日)
- 「医療全体における放射線利用について」を主な議題として、以下のプレゼン テーション及び審議が行われた。
- ・「放射線治療の現状と将来展望」(平岡真寛:京都大学大学院医学研究科教授)
- ・「放射線の医用利用-診断分野における動向-」(隈崎達夫:日本医科大学放射線医学教室教授)
- ・「核医学分野における利用の現状、将来展望等」(井上登美夫:群馬大学医学部核医学教室助教授)
- ・「放射薬剤分野における利用の現状と展望」(佐治英郎:京都大学大学院薬学研究科教授及び田辺憲治:(社)日本アイソトープ協会医薬品部長)
- ○第3回会合(平成11年11月9日)
- 「食糧の安定供給の観点からの放射線利用について」を主な議題として、以下 のプレゼンテーション及び審議が行われた。
- ・「食品照射に関するコミュニケーションのために」(碧海酉癸 委員)
- ・「食品照射と食の安定 -不安と期待-」(加藤順子 委員)
- ・「香辛料の品質保証のための対策」(小林博司:全日本スパイス協会理事長)
- ・「食品照射の現状」(林 徹 委員)
- ・「食糧の安定供給の観点からの放射線利用(放射線育種)」(桂 直樹 委員)
2.今後の審議の進め方
- (1)環境保全への貢献、工業分野への応用について
- ・環境保全への貢献
- -放射線利用の意義
- -国際貢献
- -将来展望
- ・新産業創出に貢献する工業分野への応用
- -放射線利用の意義
- -生活の向上、新材料の開発等
- -将来展望
- (2)放射線の健康影響について
- ・低線量放射線の生体への影響
- ・被爆体験を踏まえた我が国の役割
- ・平和利用への掛け橋、国際貢献
- (3)放射線利用の普及等について
- ・相互交流、機関連携の推進
- ・放射線教育
- ・RIの利用 等
第五分科会におけるJCO事故関連の各委員意見の整理
- <情報公開・情報提供>
- ・今回の事故における放射線の測定データ、広島・長崎の被爆者やチェルノブイリ事故のデータ等を踏まえ、国民に対し、安心して良いことを、責任をもって明らかにすべき。
- ・今回の事故における反省点は、正確な情報が迅速に伝わっていなかったことである。
- <事故に対する対応>
- ・広島、長崎から専門の医師団も派遣されており、医療に関しては、適切な対応がなされていると思うが、忘れてはならないのは、精神的な不安に対するケアである。
- ・大量に被曝した3名の方の対応は、All Japan、さらに世界的規模で、専門家の意見を聞いて対応しており、今後とも協力していきたい。
- ・我々の常識である致死量を超えた被曝でありながら、存命されている陰には、放射線医学総合研究所等がたいへんな努力をされたことと思い、なんとか命を救って欲しい。
- <危機管理>
- ・事故は起こるものという意識で、平素から事故を想定したシミュレーションなどを含めて対応することが必要。
- ・日本は、これまで、人を信頼して安全を確保してきたが、徐々にモラルの低く、リスクの高い社会になりつつあり、安全管理の考え方も考え直す必要があろう。
- <原子力産業の在り方>
- ・今回の事故は、正規の手順を踏まない作業で起こっており、作業者への教育、作業者の仕事に対する自覚、作業の管理状況等において大きな問題があり、深刻に受け止めている。
- ・原子力施設の運転は、安全第一で行っているが、原子力を支えている非常に広範な産業全体がしっかりしていないと、原子力の将来はない。
第六分科会における審議状況
1.審議の進捗状況について
- ○第1回会合(9月10日)
- ・長期計画の予備的検討に関する調査報告書に基づき、国際的視点から重要と考えられる論点について説明が行われた。
- ・国際協力推進の理念に関し、原子力の国際協力と他の分野の国際協力との違い(核不拡散、安全性、官民の関係)、地域による原子力協力形態の違い等について説明が行われた。
- ・各委員より、国際協力推進の理念、アジア地域、欧米、旧ソ連など各地域との対応のあり方、余剰兵器プルトニウム管理・処分への協力など核不拡散への対応、我が国のプルトニウム利用政策に対する国際的な理解の増進等に関する論点が指摘された。
- ・今後の分科会の検討の進め方について審議を行った。
- ○第2回会合(10月7日)
- ・事務局よりJCO事故について説明が行われ、情報公開、安全、危機管理等について議論が行われた(参考参照)。
- ・最近の国際情勢に対する認識に関し、原子力を巡る国際状況、エネルギー・環境問題の現状と今後の途上国への適用等について説明が行われた。
- ・アジア地域における対応のあり方について、我が国が協力を進める分野として、原子力の安全性や原子力発電以外の分野を重視すること等について意見が交わされたほか、東南アジアにおける原子力発電開発に対する積極的協力の意義とその妥当性等について審議が行われた。
- ○第3回会合(11月11日)
- ・前回会合で審議されたアジア協力に関し、論点整理を行い、次回会合で審議を行うこととされた。
- ・核不拡散に資する国際協力に関し、今後の保障措置の在り方、核不拡散に貢献する研究開発及び核不拡散を巡る諸問題について意見が交わされ、CTBT批准を巡る米国の動向や、核不拡散における我が国の可能な国際貢献分野等、我が国の核不拡散政策の在り方について審議が行われた。
- ・なお、プルトニウムの利用に関連し、余剰兵器プルトニウムの存在を踏まえた上で、我が国がリサイクル政策を採ることの意義を対外的にわかりやすく説明する必要があるとの指摘があった。
2.今後の審議の進め方
以下の検討項目につき審議する。
- ○我が国の原子力分野における国際的対応の地域的展開について
- ・アジア地域との対応のあり方
- ・米国との対応のあり方
- ・西欧との対応のあり方
- ・旧ソ連との対応のあり方
- ・中東欧との対応のあり方
- ・国際機関の活用の方途(IAEA、OECD/NEA 等)
- ○我が国の主要な原子力活動に係る国際的取組等
- ・プルトニウム利用政策に対する国際的な理解の増進
- ・使用済燃料再処理・管理を巡る対応
- ・国際輸送の円滑な実施
- ・原子力安全に関する協力の推進
- ・研究開発協力(高速増殖炉関連技術、先端的研究開発、放射線利用)推進
第六分科会におけるJCO事故関連の各委員意見の整理
- <情報公開>
- ・放射性ヨウ素の放出はあったかと度々聞かれたが全く情報はなく苛立ちが感じられた。日本の責任有る情報の流通をもっと早く国際的に入手できると良い。
- ・情報流通が遅い。外国メディアを取り上げる場合、日本と同じような立場のフランスのマスコミの対応を記載しなければ資料としての価値がない。海外のマスコミには間違いもあるが、個人のレベルで1つ1つ直すのは困難。システムとして確実に指摘し訂正していく体制が必要である。
- <安全>
- ・NFIがルーチン作業であるのに対し、JCOはスポット的な作業であり、ヒューマンエラーが入りやすい。
- ・安全文化について、原子力産業の中で不揃いがあった。今後どう直していくか話し合いたい。
- ・原子力発電所の安全規制は目に見える形でまとまってきたが、末端の加工事業者への目配りがなかったのではないか。申請通りやっているだろうとする信頼があれば良いがそれが成り立っていなかった事実を直視しなければならない。アジアの原子力事情にも関わるが、木元委員と現場を見てきてこれでは危ないねと話していたが、日本が事故を起こして国際的な信頼性を失ってしまった。
- ・ウラン加工施設の指針の10、11を見ると、技術的に臨界が起こらないこととなっているが、人為的に悪意を持って行なった場合にどうするのかという問題が残る。今後同じくらいの重要度を持って新しい防災の設定を臨時国会で行なうこととなっているので加工施設についても厳しい基準が適用されるものと考えている。
- ・被ばくの健康影響の科学的な研究は日本の科学者の義務として行動してきた。最近は緊急被ばく医療に関する研究会を立ち上げ、今年の研究会には、IAEA、WHOの代表、科学技術庁、厚生省の方も参加された。日本では燃料再処理、燃料濃縮などの施設の緊急被ばく医療対策が不備であると提言してきている。
- <危機管理>
- ・今回判明したこととして、危機管理が出来ていないことがある。退避に5時間かかること、中性子の計測に5時間もかかることなど、市町村も含めて危機管理が必要である。
- ・1991年に関電のECCSが初めて作動したときに、美浜原子力発電所では、マニュアル通りの作業がうまくいかず、手作業で作動させ、緊急事態を回避したという事例があった。システム全体を理解している人がいれば、マニュアル通りにうまく動かないときにも対応することができるが、今回はどうか。
- ・たまたま事故が専門機関が集まる地域で発生したので、関係専門機関間の連携がうまくいった。今後、他の場所で事故が発生したとしても、機関間の連携がうまくいくよう努力すべきである。
- <その他>
- ・これは個人のサボタージュではなく、組織ぐるみではないか。それでは、JCOのみがそうかというとそうではなく、日本人全体が多かれ少なかれ持っているものではないか。日本の文化に入っているものがドラマチックに不幸な形で出たものがJCOの事故ではないか。
- ・今後は規制のみではすまない。テクノロジーを支える人間が、ルールを守ることが出来なくなっている。安全保障で米国の核を見てきているが、米国では、学校でうそを言うのはいけない、人が見ていないからといってやってはいけないという倫理教育や、制度の元で一人一人がルールを守らなければならないというモラルを持っている。この事故をアジアにどのように説明するか。JCOが一つのエピソードならよいが、既に日本の破綻金融機関の先例を世界が見ている中で、ルールを守れない日本人が原子力をやる資格があるのかという議論になる。行革が重なるので、テクノロジーと教育について、良く議論する必要がある。
- ・ルールを自分で作るという経験が日本人は少ない。いわれたからやる。出来上がったものを押し付けられているという感じでは真の遵法精神は育たない。技術進歩や実体に即してルールに客観的な安全性評価を加え、改善していく自発的努力が必要である。
- ・今回の事故に係わる被ばく者数について記載する場合は、臨界停止のための水抜き作業に従事した作業員30余名についても記入すべき(正確には、作業中の被ばく者は24名。それ以外の被ばく者は69名)。