原子力に関する俯瞰的な意見を原委HPのトピックス欄を読み上げての意見をお送りします。

○氏名   :中村 融

○ご意見の内容:

三寒四温の候となり、寒暖常ならぬ冬と春との鬩ぎあいの中で、行きつ戻りつしながら春への足音がしのびやかに聞こえる様になりました。
策定会議委員各位並びに近藤議長&事務局の皆様本当にご苦労様です。
原委のWebSiteには、トピックスの欄が有り、原子力平和利用につて、核燃サイクル政策に付いて、ITER計画に付いて、原子力政策に関わる声明・演説に付いての四タイトルの資料が纏められています。中々大変でしたがー膨大な量だということも有りますが、見慣れた記述が続き、興味が持てないと言う事もありましたー参考になる点が散見され、貴重な資料もある事から,何とか読み上げる事が出来ました。読み上げて見て、そのあくまでも建前を前面に出して『斯くあれかし』に終始して「斯く在る』という具体的で、的確な現状認識が後景に退いて、その認識は意識的にチラチラと散在し又示唆され、書かない事で行間から読み取らせるという有り様で、余程《紙背に徹して読まなくては》判らない記述になっているという事が良く判りました。
この四タイトルの内『核燃サイクル政策に付いて』をターゲットとしてこの意見を纏めてみました。
策定会議の審議はまず、核燃サイクル政策から審議が始まり、安全性に付いての中間取り纏めに移り、次いで高速増殖炉サイクル政策(以後FBRサと略)が審議されています。
この審議の進行はまことに不自然で、当然原子力政策の俯瞰的な審議で全体としてのイメージを総合評価の観点から全員で確認して『何処に問題が有るか』を共通認識として、それから個々の個別政策に審議を移して、共通認識を基盤として個々の個別政策に付いて詳細な審議で俯瞰的な認識を基盤とする個別政策を審議して決定するのが常識的な審議の在り方のはずです。そうして初めて個々の個別政策を全体の中に位置づけて俯瞰的な総合評価という共通の認識を基盤として個別政策独自の課題を正しく全体の中に位置付けて評価する事が可能となるはずなのです。現状の審議の進行では俯瞰的な観点が基盤として確認されていない為に個別政策の限定的な要請に囚われる余り全体としてみれば失当とせざるを得ない決定が積み重なり、審議全体としては間違った方向に結果としてなってしまう畏れが有る訳で、現に今回の策定会議では、その恐れが現実として現れて来ていると言わざるを得ないと思います。
この点に関しては夙に吉岡委員が回を重ねて指摘されている所です。タダ私の不可解とする所は、同委員が『緊急の事情がある事を理解して云々』『事情を理解しているので云々』『事情は理解しているので、これ以上は言わないが、一言は触れて置かざるを得ない云々』と結果として、この審議の進行の在り方に結果的には協力されていて、他の委員は吉岡委員の個人的な了解のみで、この問題があたかも策定会議全体として《私には事情なるものが全く判らないのたが》了解されて、この不自然な審議の進行が続けられているのは理解出来兼ねる問題です。
さて、俯瞰的な原子力利用の課題としては、
①原発立地の問題ーこれは当然安全問題での国民的不信・原発の老朽化問題それに地域 振興の不振ーが課題となります。
②核燃サイクルの問題ーこれにはFBRサと使用済燃料問題と再処理・中間貯蔵ーの問題が 有ります。
③原子力利用の負の遺産問題ー高レベルを含む放射性廃棄物問題・地層処分と廃炉問題ーが課題となります。
①この問題では『安全と安心』と言われている問題が有ります。原子力村には『JCOは別として日本で放射能が漏れた事故は無いしJCOにしても大した事は無い』と言う本音が有ります。原発は確率論的安全評価で事故確率は1/10万で、大丈夫だという本音が有ります。いま問題になっている福島1-5号の減肉問題では『配管の技術基準は安全余裕が充分見てあるから定検までそのまま運転しても大丈夫という信念があり『福島県の言い分は我々の専門家としての言い分が理解出来ないからで、心情的な安心を求めている訳で、説得すれば判って貰える筈だし、そうしなくてはとてもコストの上からやっていけない』と言う本音が有ります。非専門家が安心を求めるのは『過剰な安全性を不合理に求めているのだから安全性は確保されているのだから聞く必要は無い』と言う立場で、このギャップが不信感を拡大するのです。
このギャップを埋めるのは、決して双方向の対話などで埋まるものでは有りません。原理的に技術基準に幾ら安全余裕が見込まれていても技術基準を下回っている以上は定検を前にしても原発を止めて配管を交換すると言う事がなければ不信感は埋まらないでしよう。原発の安全性にしても確率論的安全評価ではなくて、固有安全炉を都市部に展開すると言う政策転換がなければならないと考えます。
地域振興に付いては長い歴史的とも言える経過の中で、その成果が得られていない事から言って『原発での地域振興は無理である』と考えるべきで、原発は固有安全炉を都市部に展開すると言う政策転換がなされるべきである。
老朽化問題は極めて深刻でBWRで炉心の放射線の被曝で引き起こされたシラウドの応力腐食割れは予防も、緩和も、進行を遅らせる事も出来ない以上は維持基準で当面を凌いでもシラウドの交換はいずれ避けられず原発の炉心機器の老朽化は原子炉上蓋の交換も含めて原発の寿命に致命的な事となると思われ、スケール・メリットを追い求めてきた原発政策の固有安全炉への転換を必然とするに違いないと言えます。
②核燃サイクル政策は、私は今言われいる『軽水炉サイクル』=『核燃サイクル』はエセ核燃サイクルといっている訳ですが本来は当然『FBRサイクル』=『本当の核燃サイクル』である。
原子力利用は、この核燃サイクルが実用化されなくてはその将来性は無い訳だがもんじゅからのFBR開発は増殖能がとても実用化に程遠く、研究開発でこれが実用化レベルに成り得ると言う望みはない訳で、この意味で原子力の将来展望は無いといえる。
タダ、iAEAのGIFで第四世代原子炉として上げられている六つの原子炉システムーガス冷却炉・鉛合金冷却炉・溶融塩炉・Na冷却炉・超臨界圧水冷却炉・超高温ガス冷却炉と言う中で『溶融塩炉』と言う液体燃料炉でトリウムサイクルによるシステムは実用化ベルの倍増年10年と言う増殖能、高レベルを含む放射性廃棄物を炉内で燃料として利用しながら消滅出来る炉。Puに無縁なので核拡散防止。核廃絶に繋がる炉として、研究開発が期待される。
③②の最後で書いた『溶融塩炉』はこの『負の遺産』を次世代に残さないで、炉内で消滅できるので、この観点から『地層処分』と言う夢想とも言える方法に変われるものとして多いな期待できるのである。以上