放射線利用についての説明と同意

○氏名   :本田 佳世

○ご意見の内容:

第19回長計策定会議において、ある委員から「廃棄物処理に国民が最後まで関わる責務があるのではないか」という発言がありましたが、国民にとって原子力発電のもつ様々な問題はあまり知らされていません。きちんとした情報公開を徹底させた後でつまり、国民のほとんどがデメリットを知った上でその利用を望むのなら、そこで初めて政策をきちんと選択することになり、それに伴うデメリットに対する責任を
負うことになります。現在の国民の原子力に対する認知度では、あまりにもデメリットを知らない人が多すぎるため、責任を負わせることはできないはずです。例えば、学校教育の教材として使われている
ものには、廃棄物の発生量、貯蔵量や処分場の有無、被曝労働などについては触れられているのでしょうか?海外における動向なども含めて、国民が客観的にエネルギーを選択できるほどの教育はなされていないと思います。原子力を推進している国はその政策を推進する理由と根拠をもっと明確に示すべきです。その際、メリットをあげるだけでなく、デメリットもきちんと説明し、それによって国民が客観的に考え判断し、様々なツールを通じて国に意見・要望を伝えていけるように取組んで頂きたいです。
ぜひ、新しい原子力長期計画には原子力や放射線利用に伴うリスクやデメリットをもっと明確に国民に対して示す努力をしていくことを盛り込んで頂きたいです。また市民とのリスクコミュニケーションを国主導で行うだけでなく、市民からの要望にも答える形で柔軟に行うなど、単発で短い時間の上滑りな説明会に終始することなく、時間をかけて市民の不安が解消するまで継続的に議論をして頂きたいです。原子力は社会的に大きなインパクトをもつ、国民生活に密接な関わりをもつテーマですので、こういった説明に人員、時間、予算を割くことは十分に見合うことと思います。

次に医療における放射線の利用についてですが、特にCT検査は放射線を照射する部位によっては10〜20mSvに達し(ICRP Publ.87より)、原子力発電所内で働く労働者の年平均線量限度50mSvに対し、一瞬でその5〜2分1くらいの放射線を浴びることになります。
こういったことはほとんどの一般市民は知らされないで検査を受けているので、検査前にきちんとリスクを知ってから、自分で選択できるように制度を整えていただきたいと思います。原子力もそうですが、医療においても利用した後でこんなデメリットがありましたと言われたら、納得いきません。
インフォームド・コンセントをぜひ薦めて頂きたいです。