『高速増殖炉サイクル研究開発に付いての論点』

○氏名   :中村 融

○ご意見の内容:

 全国的に厳しい寒波に襲われていますが、策定会議の委員各位並びに近藤議長&事務局の皆様お元気でご活躍の事感謝致します。
 タイトルに付いて以下箇条書きで述べさせて貰います。
(Ⅰ)この資料には、暗黙のと言うか無意識にと言うか論議以前の前提が有ります。例えば『もんじゅは研究開発の中核で「一日も早い改造、運転再開」すべきである』は論議されない前提に、なってしまっています。これでは資料そのものか重大な論点を決めてしまっている事となります。
 「もんじゅ廃炉100万人署名運動」は90万余の署名を集めている訳で、いまの現政策のそもそもの基本から論点を示すべきです。
(Ⅱ)『高速増殖炉開発はどうしても必要か?』『もんじゅは廃炉にすべきではないか?』『もんじゅからで高速増殖炉は開発可能なのか?』『実用化出来る増殖能力を持つ炉は他の方法で開発津可能なのではないか?』等々『フェーズⅠ』を前提にして『フェーズⅡ』をどう進めるかと言う事が既に前提になってしまっています。
(Ⅲ)核燃サイクルの審議のように『全量再処理ーMOXープル・サーマル』と言う現政策の基本から問い直しがなされた様に、高速増殖炉研究開発も、もんじゅ廃炉の是非とか増殖炉開発の高速炉やもんじゅや鉛冷却炉に依らない古川和男氏提唱の『大電流陽子加速器増殖炉等第三の開発の道を論点にするという事がどうしても必要な事と思われるし、今求められている事ではないでしようか?
(Ⅳ)現状認識の整理の②に『高速増殖炉開発の技術的可能性を確認する事が出来た』とありますが、他の随所に書かれている『広範な可能性』『柔軟な目標』『増殖以外の核廃棄物の減容の可能性』等等の記述と整合せず、この可能性の根拠も示されていません。この様な『もんじゅからの高速増殖炉開発の技術的可能性』は平成11年度第1回原子力政策円卓会議の審議からは『絵空事』で到底その可能性か在るとは考えられないのです。 (Ⅴ)「前回策定会議の説明のポイントの②もんじゅの位置付けと役割」に書かれている「もんじゅは中核」「有効活用」「高速中性子を提供する場」と言う記述はコストや実用化の観点からはもんじゅにそれに値する増殖能が無いと言う周知の事実をカバーして「それでもこうして利用できるのだ」と叫んでいるようなものですが、本当に客観的に見れば利用価値など有り得ないと言わざるを得ないものです。
 要するに、残念ですが、何度、どう考え直して見ても゜この資料は論議以前の前提を改めて「論点」として表に出して書き直さなくては審議の資料には成り得ないものと考えざるを得ません。
 どうかこの意見を次回の策定会議の資料として戴ければと思います。どうか宜しくお願い致します。敬具。