我が国の高速増殖炉開発に関する意見

○氏名   :中村 融

○ご意見の内容:

①「もんじゅ」の試運転は基本的な設計の欠陥を窺わせるトラブルか続き、発電試験はタダの三十分で、過熱器は使わないと言う変則的なものでした。「もんじゅ」の試運転は順調に進捗していたといったことを言っている方々もいますが、これは事実と遊離した意見と考えざるを得ません。
②また、地元自治体へのリスクコミュニケーションがまともに行われた場合には、もんじゅは『廃炉』以外の合意は生まれないと考えます。
③「もんじゅ」は原型炉ではなくなってしまっていることから考えると、高速増殖炉の商用化や実証炉についての目標を立てたとしても、もんじゅからでは如何なる目標にも到達する事は不可能な事とは眼に見えています。
④また、実証炉の仕様についても、トップ・エントリー型が消えて、どの様な設計の実証炉が可能なのか疑問である。とても『もんじゅ』からの実証炉へのブレークスルーが不可能な事は『平成11年度第1回原子力政策円卓会議』で詳細論議されています。
⑤「建設体制」「実証炉の建設スケジュール」「国際協力」といった議論も全く『絵空事』です。先に指摘した円卓会議では日本の核燃サイクルの権威、鈴木篤之東大教授が『FBR開発は50年の課題』と明言されています。
「何が何でももんじゅを動かしたい」といった意見の方もおられますが、切実さは良く伝わって来ますが、現実から遊離した夢想を述べているとしか受け取れません。もんじゅを改造したり、更に運転したりする事は更なる莫大な資金をドブに捨てる事になります。今迄に得られたデーターで満足してもんじゅは此処で廃炉にするべきです。もっと地に足の付いた議論をして貰いたいものです。敬具。