「もんじゅ」はFBR開発に全く役立たないから「廃炉」以外の選択肢は無い

○氏名   :中村 融

○ご質問の内容:

大寒を迎えて冷え込みは厳しいですが、陽光は生気を取り戻して「陽春」の気配を漂わせて「冬来たりなば春遠からじ」と「春への希望」を湧かして呉れます。
委員各位並びに近藤議長&事務局の皆様ご苦労様です。
第17回策定会議のテーマが『FBRに付いて』と言うテーマなので、特に私の意見を会議に間に合うようにお届けして審議に役立てて貰いたくてこの意見をお送りします。
判り易い様に簡略に箇条書きします。
①もんじゅはFBR開発の原型炉では無い事が明らかになっただけではなくて、金沢高裁判決で「安全性の審査の妥当性」か否定された炉であり、『常陽』と言う試験炉が在るので試験炉としても使用する必要が無く、核兵器用の99.9%以上と言う特殊な高純度のPu、燃料としては全く役立たないが核兵器用としては極めて貴重なPuを生み出して日本の核武装のオプションを用意する事の出来る炉である。
②平成11年度第1回原子力政策円卓会議で『核燃サイクルに付いて』と言うテーマで、日本の核燃サイクルの権威鈴木篤之東大教授をチューターとして審議された中で『もんじゅの炉型・冷却方式・燃料総てが基本から見直される必要があり、FBR開発は50年掛かる開発課題である』と確認されています。
③今迄もんしゅ開発に投じられてきた莫大な資金はドブに棄てるに等しい無駄になるが、それでも日本の核武装を招き兼ねない危険を招かない為にも、そしてこの上更なるより莫大な資金の無駄遣いを防ぐ為にも、今迄に得られた基礎データーを生かす事で以って廃炉にする『決断』を選択するべきである。
参考
①「安全性」に付いては、もんじゅの兄弟炉であるドイツのカルカー炉(NSR300)の安全審査資料を参照すれば、巷間宣伝されている様な経済的理由からカルカー炉は『廃炉』になったのでは無くて『炉心崩壊事故の起こる確率が有意に認められて否定出来ない』からであった事か明らかである事は識者には夙に良く知られている事実である。
このことは「炉心構造のそっくり同じであるもんじゅ」にもそのまま当てはまる事である。
②もんじゅの『ブランケット』は随時取り出し自由であり、適切な時期を選んでもんじゅの試運転中に取り出された『ブランケット』から純度99.99%以上のPuが再処理によって得られたと言う事は、西宮で私が主催したシンポに原文振講師として派遣された能沢氏からシンポの会場で直接私が(勿論シンポ参加者全員が)確認して事実である。
③NSR300では「炉心崩壊事故」対策として炉心の下に『コア・キャチャー』なる「溶融炉心」を受け止める為のいわばお皿(冷却装置つきのお皿)を設けている。しかし『コア・キャチャー』は「炉心崩壊時に無効である」とNSR300の安全審査で確認されている。
笑うべきは、このコア・キャチャーが無効と言う情報が得られてからもんじゅでは冷却装置の無いコァ・キャチャーのまがい物を無駄か判っているのに尚設置している事実である。一例であるが如何にもんじゅが無秩序な設計でつくらたものかを明瞭に物語っていると言える一例である。