6.議事の概要
(1)開会について
○那須座長より、本日の審議事項について説明があった。
- 本日は、原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画案に対する各委員のコメントを踏まえ、森嶌座長代理に修正したものを用意いただいたので、御審議願いたい。
- その他の議題として、長期計画に対する意見募集と「ご意見をきく会」の実施方法について、御審議願いたい。
○ | 那須座長より、本日御欠席の澄田委員に代わり、原子力発電関係団体協議会の会長県の島根県から江口副知事に出席をいただいている旨、紹介があった。 |
(2)原子力研究開発利用長期計画案について
○那須座長より、審議の進め方について、発言があった。
- 長期計画案の構成が第1部と第2部に分かれているため、各々森嶌座長代理による各部の説明の後に、御審議をお願いしたい。
- 最後に冒頭の「はじめに」の部分及び巻末の資料を含め、長期計画案全般にかかわる御審議の時間をもうけたい。
①「第1部」について
○森嶌座長代理より、発言があった。
- 前回の長期計画案に対して、各委員からお寄せいただいたコメントについては、従来の議論の流れに必ずしも合わないものや、相互に相対するものがあり、できる限り長期計画案に入れ込むよう努めたものの、それが叶わなかったものも存在する。あらかじめ御了承いただき、お許しいただくようお願いしたい。
○ | 森嶌座長代理より、資料2に基づき、長期計画案の第1部について、前回の長期計画案との違いを中心に、説明があった。 |
○那須座長より、発言があった。
- 審議に当たり、各分科会の座長におかれては、関連する部分について、分科会での報告内容も踏まえ、積極的に応答をお願いしたい。
○主な質疑応答及び関連する意見は以下のとおりである。
(吉岡委員)
- 全体として、前回よりもさらに若干の改善がみられる。あまり私の意見は採り入れられていないようだが、一応評価したい。
- 第3頁の大量に生産された「モノ」との表現はやや品がないため、「工業製品」などとしてはどうか。
- 同頁の「原子力等の巨大科学技術や急速に進展する生命科学等に対して」との表現も不自然だ。巨大科学技術という言葉は20年ほど前に流行したが、現在はあまり使われておらず、「潜在的破壊力の強い原子力科学技術」などと修正してはどうか。
- 「株式会社ジェー・シー・オーの東海村ウラン加工工場における臨界事故」を「ウラン加工工場臨界事故」と略されていることについて、「ジェー・シー・オー」あるいは「東海村」といった固有名詞がないと、外国の方などには何を指すのか理解いただけない恐れがあり、どちらか固有名詞を加えることが適切である。TMI事故やチェルノブイル事故といった表現にも地名が含まれており、それらと並べるときにここだけ固有名詞がないというのは、非常に文体上良くないだろう。
(鳥井委員)
- 第3頁の「21世紀には発展途上国の・・・」との一文について、こうした様々な問題の鍵を握っているのはエネルギーであり、エネルギーが十分に確保されていればこれらは解決できると思われる。そうした観点から、エネルギーが鍵を握っているとの語句を入れることも、一つの方法であると感じる。
- 第13頁の「高度なウラン濃縮技術、・・・高速増殖炉、高レベル放射性廃棄物の分離変換技術等の核燃料サイクル技術」との部分で、核燃料サイクル技術の定義をしているが、高速増殖炉のみではなく、高速炉という考え方もあり得ると思う。括弧書きでもよいから、「高速増殖炉(高速炉も考え得る)」というような、高速炉をも含んだ表現を排除しない方がよい気がする。
(伊藤原子力調査室長)
- 第三分科会のタイトルでも高速増殖炉という言葉が使われているが、御指摘の部分ついても、基本的に第三分科会の表現に従って記述している。
(鳥井委員)
- 将来を考えると、常に増殖をした方がよいかというと、必ずしもそうでもないところもあるだろう。高速中性子を使った炉という概念が出てくる可能性もあり、例えば、ある時期になったら、もんじゅからブランケットを外そうという考えが出てくるかもしれない。そのようなことを考えると、広い概念の方が適切であるという感じがしている。
(鈴木委員)
- 第三分科会座長として、分科会での議論を踏まえて申し上げたい。鳥井委員あるいは他の委員の中にも、高速増殖炉の増殖性にこだわることは将来の可能性を損なうという御意見があることは承知しているが、そうした可能性を追求することが今後大切であるという考え方は、第三分科会としても、研究開発における柔軟性を強調するといった部分に既に含まれていると思う。そのような可能性を考えていくに当たっても、現在の実験炉「常陽」や原型炉「もんじゅ」における技術開発の成果が重要であり、高速増殖炉研究開発を着実に進めていくことが必要である。そうした意味では、高速増殖炉というものを日本は着実に進めていくと述べることが適切であると考える。
- 吉岡委員からウラン加工工場臨界事故との略語について指摘があったが、原子力安全委員会において同様な議論があり、結果的にこれはウラン加工工場臨界事故と一言で呼ぶこととなり、報告書にもそのように記載されている。そういう意味では、日本の政府、原子力委員会や原子力安全委員会が出す資料としては、「ウラン加工工場臨界事故」と表現を統一するのが適切ではないか。
(佐々木第五分科会座長)
- 第3頁の「人々はそのもたらす便益に対する期待と同時に不安も抱く」との表現について、便益に対する不安という記述はおかしく、例えば「危険に対する不安」などというように、不安の対象を一言入れた方が明解になろう。
- 同頁冒頭の「19世紀後半に科学と技術とが密接に結び付くことにより始まった科学技術は」という表現について、多少疑問に思うので発言させていただく。私の認識によれば、人間の知的な活動が神の意図から独立して活動するという意味での近代科学の成立は、19世紀の半ば以降であるというのは事実であるが、その時点での科学と技術は、例えれば自由人と奴隷であると言われるくらいに違ったものであった。そして、ものを作るという技術が次第に科学との距離を縮め、最近特にコンピュータの進歩により、やっと技術が科学に追いつき、あるいは、場合によっては追いこしていると言われるくらいに接近したのだろう。少なくとも教科書の受け売りでは、そのように考えられている。ただ日本だけは例外であり、19世紀の末に大学の中に工学部を設けることにより、技術を大学の中で教えるという意味で、技術と科学とが非常に近づいた。このように日本が世界に先駆けたという点はあるにしろ、それは19世紀末であり、いずれにせよ、この表現は少し気をつけた方がよいのではないか。
(佐和委員)
- 第3頁の「19世紀後半に・・・」との表現について、前回18世紀であったのを、私の指摘により19世紀に書き直されたのだと思うが、ただ今の御指摘のとおり、科学と技術が密接に結び付いたという話はどこにもない。もともとサイエンス&テクノロジーという表現が特殊で日本的であり、むしろ前回は科学というのが制度化されたのが19世紀後半であると申し上げたはずである。その意味するところは、まず科学者が職業になり、そして科学の有用性が社会的に認知されたということである。この部分は前置きであるので省いてしまい、いきなり「20世紀に入ると科学技術は飛躍的な発展を遂げ」とすればよい。現在の案でもよいかとも考えたが、特に冒頭の文章なのであえて申し上げた。
(鳥井委員)
- 第13頁の「我が国における核燃料サイクルの意義」との部分は、原子力発電が現在貢献していることを示した上で、核燃料サイクルを実現すればさらにより良いものになりますと述べているのである。そこで「高度なウラン濃縮技術、・・・高速増殖炉、高レベル放射性廃棄物の分離変換技術等の核燃料サイクル技術」との部分は、核燃料サイクル技術を定義しているという使われかたをしている。
- 先ほど鈴木委員には誤解があったかもしれないが、高速増殖炉を外せと言っているつもりは全くなく、括弧書きでよいから高速炉という考え方もあり得るとの記述を入れてはどうかと申し上げたつもりである。核燃料サイクル技術の定義において、高速炉という概念を外すというのは、少し行き過ぎだと感じる。
(鈴木委員)
- 鳥井委員の御指摘の「高速増殖炉」との部分について、限定されるのが好ましくないのであれば、いっそ「高速増殖炉」との言葉を削除してもよろしいのではないか。
(近藤委員)
- 文章の構成について、鳥井委員が申されるように「高度なウラン濃縮技術、・・・高レベル放射性廃棄物の分離変換技術等の核燃料サイクル技術」との部分は定義であり、「例えば、使用済燃料を再処理して」以降の部分に現行のビジネスの世界に近い記述があり、「また、高速増殖炉及び関連する核燃料サイクル技術」以降の部分で研究開発について記述がなされていると思われる。第14頁の高速増殖炉サイクル技術の説明に当たる部分の記述において、鳥井委員が御指摘の趣旨が読めないと申されるのならば、この部分に書き込むのが、むしろ合理的ではないか。
(秋元委員)
- 前回に高速炉と高速増殖炉と書き分けてくれと申し上げ、その後色々と議論をして発見したことであるが、今までの我が国の開発計画の中には高速炉というイメージがなく、高速炉を含めて、全てを高速増殖炉という言葉で表現していたようである。ところが一般の世界では、高速炉のイメージが広く、高速中性子を使えば全て高速炉であって、その中で最も理想的なものが高速増殖炉とされている。今さら全部言い直すのは混乱を招くので、やはり今まで使ってきた高速増殖炉という表現で、増殖をしない炉も含んでいると解釈するのが適切であると考える。定義の部分で、高速増殖炉、高速炉が全部落ちてしまうのは、燃料サイクルの要素が落ちるということになり、非常に不都合だと思う。
(森嶌座長代理)
- 「高速増殖炉及び関連する核燃料サイクル技術(以下、「高速増殖炉サイクル技術」という。)」の部分を、「高速炉・高速増殖炉及び・・・」とすれば、よいのではないか。さらによい修文案があれば御指摘いただければ有り難い。
(神田委員)
- 今回長期計画案の巻末に設けられた用語解説を活用し、そこに適切な説明を加えることで、この問題は解決できるのではないか。
(森嶌座長代理)
- 用語解説の内容について御意見をいただくとの件は後ほど改めてお願いするが、用語解説において「高速増殖炉」と「高速炉」の違いなどを明確にしていただけると有り難い。
(石橋委員)
- ここ数回の審議を経て、全般に分かりやすくまとまってきていることに敬意を表する。
- 今の議論について、第1部は、原子力の研究開発利用の方向性についての国民に対するメッセージであると思うが、原子力の専門家の間での議論というものが国民にどのように理解されるかということが考えられる。最近読んだリスクコミュニケーションに関する本によれば、専門的なことを一般の人に教えようとか、説得しようと思えば思うほど、逆にそっぽを向かれるということが書いてあった。したがって、森島座長代理が言われたように、多少解釈の違いがあるかもしれないが、なるべく分かりやすい書き方をお願いしたいと思う。
- 国民との関係について、省庁再編を迎えるに当たり、経済産業省、文部科学省、あるいは環境省なども含めた新体制において、行政として国民との関わりを担当する部署を設けることを検討していただきたい。また、原子力委員会におかれては、国民との関わりに関して、行政の実態や在り方について、今後指導、監督していただくよう期待する。
(佐和委員)
- 先ほどからの問題ついて、原子力の専門家ではないが、国語の専門家として申し上げると、鈴木委員の御提案で鳥井委員の意向も汲み取ることができると考える。「分離変換技術等の核燃料サイクル技術」と「等」が用いられていること、「高度なウラン濃縮技術、・・・高レベル放射性廃棄物」の部分に挙げられているのは、高速増殖炉以外は全て現存する利用可能な技術であること、また今後開発される技術である高速増殖炉については、「また、高速増殖炉及び関連する核燃料サイクル技術・・・」以降に改めて紹介されていることを考慮すれば、「高速増殖炉」との言葉は削除するのが適当であると考える。
(伊藤原子力調査室長)
- このような表現とした考え方について申し上げると、基本的には鈴木委員の御説明にあるような第三分科会での考え方に基づいている。様々な組成のものを燃やせるといった、いわば高速炉としての柔軟性についても、第三分科会において十分な議論をいただいたが、第三分科会のタイトル「高速増殖炉及びその関連する核燃料サイクル技術」とあるように、「高速増殖炉」とはそうした考え方を踏まえたものだと承知している。第三分科会及び本策定会議での議論に基づき、政策の表現としては、高速増殖炉というものを日本は着実に進めていく、と述べることが適当と考え、高速増殖炉という表現を用いている。
- 経緯のみ申し上げれば、前回提出した版では、項目を列挙せずに、単に核燃料サイクル技術としていた。第二分科会報告書には、本案にあるように具体的な項目を列挙しそれを核燃料サイクル技術と定義している。今回、分かりやすいようにと記述を加えた。
(森嶌座長代理)
- この問題はあくまで表現の問題であり、内容にかかわる重大な部分ではないため、再度事務局と図ることとして、御意見のあった委員に御相談の上、決定させていただきたい。
(村上委員)
- 同様の提案を申し上げようと思っていたが、より簡単にするため、冒頭分科会座長は積極的に対応するとの御指導があったことも踏まえて、座長代理と第三分科会座長である鈴木委員にお任せしてはどうか。お二人とも、本日出された御意見を聞かれているので、それらを踏まえて検討いただけるだろう。
(那須座長)
- この問題は各委員の主張に大差はなく、むしろ表現の問題であるので、私共に御一任いただくこととしたい。
(江口島根県副知事)
- 原子力発電関係団体協議会として、長期計画案に対して提出した意見については、概ね反映されていることに感謝している。
- 第12頁の「我が国のエネルギー供給における原子力発電の位置付け」について、この度、私共島根県は、島根原子力発電所3号機の増設計画について、増設を認める判断を明らかにし、電源開発基本計画への組み入れを了解する旨を連絡したところである。その判断を行う過程において、JCOの事故等による原子力発電の安全について非常に不安が高まる中で、なぜ原子力を選択するのかという県民の疑問に対して、理解を求めるのに非常に苦慮したところである。国においては長期エネルギーの見直しを検討中であり、また先日はドイツで原子力発電からの撤退について合意がなされたところである。このような状況の中での判断であったが、エネルギー供給における原子力発電の位置付け、省エネルギー、再生可能エネルギーの重要性が高まる中での基幹電源としての原子力発電の必要性について、国民に理解され、とりわけ立地地域の住民の理解と協力が得られるような、より分かりやすい記載が必要であると思う。そのような記載とともに、国民の理解が深まるような活動をお願いしたい。
(吉岡委員)
- 佐和委員の第3頁冒頭の「19世紀後半に・・・」との語句は削除せよとの御指摘については、同じ意見である。というのは、これを英語にすると何がなんだかわからなくなってしまう。科学技術と言う言葉自体が、1930年代に企画院技術部長の宮本武之輔が発明したものであり、英語にならないのではないか。
- 今後作成されるであろう英語版は審議の対象になるのか。ぜひ審議の対象としていただきたい。また、日本語版では多数意見であるので「ウラン加工施設臨界事故」との表現を認めるが、英語版では「東海村」などと記載されるよう希望する。
- 第8頁及び第27頁の「新しい価値観や制約」との表現は、熟さないものであり、「将来の社会的文化的な状況変化」などと修正していただきたい。
- 同頁の「経済不況等により省エネルギー投資の低迷が見込まれる」との表現は、経済不況によりエネルギー消費自体が産業部門で減ったとの記述が言外に含まれているが、この記述を補うと非常に奇異に感じる文章になる。抜本的に再検討を行い、「産業部門でも省エネルギーの進展が最近は進んでいない」などといった表現に置き換えるべきである。
- 第10頁に廃棄物の量を具体的に記載されたことは、大変に結構だが、施設のデコミッショニングに伴う廃棄物が含まれず、少ない値となっているのは問題である。
- 先ほどから問題となっている第13頁の「高速増殖炉」との記述についても、参考意見を提出の上、一任することとしたい。
- 第14頁の「我が国における核燃料サイクルの意義」の記述に関して、いわゆる核燃料サイクルの光と影、つまり将来の貢献の可能性と、課題・難題の書き分けであるが、前回指摘したにもかかわらず、相変わらず可能性ばかりが強調されて、課題・難題はわずか3行にすぎない。これらのバランスについては、国民意見の出具合を見ながら、最終的な調整を行っていただきたい。同じことは第27~30頁の記述にも言える。
- 第15頁の「新しいアイディアを取り入れる」との表現は弱く、「新しいアイディアを創造し世界に広める」などと大げさに書いた方がよいと思われる。
- 第18頁の「エネルギー政策については電力の消費者である国民の理解を求めつつ」との表現について、電力消費者であろうとなかろうと、エネルギー政策については国民が決めるのであり、「電力の消費者である」との語句は削除していただきたい。
- 最も重要な点であるが、第20頁の「21世紀に向けて」について、原子力の貢献から記述が始まるのは、特にこの国民的に核廃絶を祈る夏の時期に意見募集を開始することを考えると、適切ではないと思われる。核の時代は基本的に暗かったとの表現とすべきである。
- これも強く申し上げたいが、同頁の「グローバルな視点からエネルギーセキュリティを確保」との表現は変であり、私の案のように「世界のエネルギー長期安定供給を確保」と修正した方がよい。第三分科会においては、粟屋委員から、エネルギーセキュリティとの表現は一般の方には理解しづらく、また外国の方に聞いても理解されないとの指摘がなされ、報告書においてはほとんど削った経緯がある。エネルギーセキュリティについて、私なりの解釈をすると、エネルギー分野での安全保障であり、国家安全保障というものが全面に出てくる。例えば、1941年に戦争が起きたのは、エネルギーの長期安定供給に窮したからではなく、石油という特別の軍用に重要な資源の確保に窮したためである。エネルギーセキュリティとエネルギーの安定供給は意味合いが異なり、エネルギーセキュリティというと非常にきな臭い印象を受ける。
(佐々木第五分科会座長)
- 第11頁の原子力の安全性における「放射線は五感では感じることができないこと、健康への影響が分かりにくいこと、また、安全確保の仕組みが外から見えにくいことなど、一般の人々にとっては事故・トラブルが発生した場合の影響や危険の度合いが分かりにくいことに加え」との表現について、「健康への影響が分かりにくいこと」との表現は不適切であり、「健康影響については解明されていない部分があること」と修正すべきである。ここでは健康影響が分かりにくい原因を示すべきであり、健康影響については未だ十分に解明されていない部分があることが、その大きな原因なのである。
(佐和委員)
- 第11頁の原子力の経済性において、発電コストは一概に比較できないと述べておきながら、第8頁ではGDPあたりの最終エネルギー消費量を挙げて、日本ではこんなに省エネルギーが進んでいると述べている。これでは日本における発電コストが高いために、わざと示していないのだと勘ぐられる恐れがある。原子力の経済性についての記述を改めろとは言わないが、せめて第8項の記述について、何年の数字なのか、購買力平価に基づくのか、為替レートに基づくのかを、注意書きとして何らかの形で記載する必要がある。このままでは、未来永劫この数字であるのかということになり、どう考えても不適切である。
- 個人的には、GDPあたりの最終エネルギー消費量を記載すべきではないと考える。この値では、日本では購買力平価に比べて為替レートが高い、言い替えれば、円が高く評価されているため、たまたま日本が立派な国のように見えるだけであって、例えば、一人あたりでみれば日本は欧州より高いのである。こうした記述は、あまりに個別的というか、少しものを知った人間がみれば、都合のよいところだけを採用しているような印象を受ける。
(森嶌座長代理)
(草間委員)
- 第19頁の「政府及び事業者が、輸送の必要性と・・・」との表現について、今まで「国」してきたのに、いきなり「政府」となっている。国という表現で統一すべきではないか。
- 第11頁に対する佐々木座長の御指摘について、国民にとって健康影響が分かりにくい原因は、健康影響について解明されていない部分があるからではなく、国民に対して健康影響について分かりやすく伝えてこなかったのが一つの原因ではないか。むしろ、そうした趣旨を踏まえて、表現を修正すべきではないかと考える。
(佐々木第五分科会座長)
- 表現については、先ほど私が申し上げたものが必ずしも適切とは思っていないが、第五分科会においては、国民にとって健康影響が分かりにくい原因について、健康影響について解明されていない部分があるために、そうしたところが国民に対して十分にうまく説明されていないからだとの論旨で議論されたものである。それだけでないことは承知している。
(伊藤原子力調査室長)
- このような表現に至った経緯を申し上げれば、当初は国民の知識が十分でないため健康への影響が理解されにくいとの表現としていたが、佐々木座長から健康影響について未だ解明されていない部分があるからだとの御指摘をいただき、両方の意味が読めるように、「健康への影響が分かりにくい」との表現としたものである。
(江口島根県副知事)
- 第18頁の「政策決定過程への国民参加」について、私共が島根原子力発電所3号機の増設計画について判断を行う際には、県民の意見を聞く会を開催し、立地に賛成の方あるいは反対の方から様々な意見をいただいた。これらの意見は、増設を判断するのみではなく、今後の原子力行政を進めるに当たっての大きな参考になると考える。したがって「広く国民の声を汲み上げて、原子力政策に反映していくという観点から、原子力政策円卓会議に続く新たな意見集約の場の在り方を検討する。」との記述に加えて、原子力政策については、立地地域の住民をはじめとして広く国民に国が直接説明し、その声を政策に反映する機会を頻繁に設けるとの方向性を示していただきたい。
②「第2部」について
○ | 森嶌座長代理より、資料2に基づき、長期計画案の第2部について、前回の長期計画案との違いを中心に、説明があった。
|
○ | 主な質疑応答及び関連する意見は以下のとおりである。 |
(石橋委員)
- 第31~32頁の高レベル廃棄物の部分に、深地層の研究施設と最終処分場の計画を明確に区分するとあるが、これは高レベル放射性廃棄物処分懇談会でも問題となったもので、私はこの方針の法制化を求めてきた。今回の長期計画では取り入れられてはいないが、今後長期計画のこの文章を十分に配慮して、行政等は進めていただきたい。
- 同じく高レベル放射性廃棄物の部分で、前回の策定会議に提出された案では、「処分地の選定については、国が先頭に立ってこの処分の意義、安全性等について理解促進活動を行い、・・・」との7行にわたる文章があったが、今回は削除されているのはなぜか。
(森嶌座長代理)
- 現在検討中の「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」の趣旨に合わせているものであり、御理解いただきたい。
(石橋委員)
- アメリカ、フランス等では、まさに削除された文章のような方針で進めることになっていることを指摘したい。
- 第28頁のウラン濃縮について、ここで1,500トンSWUという数値目標が記載されているが、いかがなものか。前々回の会合において、太田委員からこの数字はなくともよい、また具体的数値はなるべく避けるべきとの御意見があった。その背景として、数値的なものについて総合エネルギー調査会で検討すべきものもあるとの近藤委員からの御指摘や、座長代理の今回の長期計画の性格についての御説明もあった。それらの考え方は、先ほどから審議されていた具体的、あるいは個別的な問題についても、十分に反映されているのではないかと思われる。
- 以前、吉岡委員から核燃料サイクルについての評価が十分でないとの御指摘があったが、第二分科会報告書のウラン濃縮の部分をもう一度読んでみた。私は青森から来ており、地元のことは言わないつもりでやってきたが、一度削除された数値目標が復活してきているわけである。ウラン濃縮事業について、これまでの議論は現状を踏まえたものではないと言わざるを得ない。報道によると、六ヶ所のウラン濃縮工場では、6,900台の遠心分離機が停止しており、処理能力は1,050トンSWUどころか、1,000トンSWUを割っている現状である。それについては、最近トラブルの原因の究明に乗り出したところであり、そうした状況を踏まえて、核燃料サイクル開発機構や国も十分な手当をしなければならないということになろう。現在1,000トン体制を割っているが、これは欧米の事業と比べて、二桁少ない事業規模である。それでどうして1,500トン体制ということが言えるのか。これは価格にも直結する問題である。現在日本が開発している高度化機が完成したとしても引き合わず、そこで次世代機の開発が議論されている状況である。こうした現状を踏まえることなしに、数値目標が出たり消えたりしているのはなぜか。前々回の議論では、削除することに何ら異論は出されなかったではないか。これは長期計画策定会議の独立性や権威、信頼にかかわる問題であると思う。
(森嶌座長代理)
- 今回の長期計画は、従来の長期計画のように何年までに何をといった具体的計画を示すのではなく、基本的な方向性を書くべきであり、その意味では、なるべく数値を出さないというのが全般的な考え方であり、そのように説明申し上げた。ところが、これに対して澄田委員から、また地元の御意見として、国の方針であるからには具体的な目標を示すべきだとの御指摘があり、何年までということではないが、一応の目処として1,500トンSWUという数字を示すこととした。今回の長期計画は一定の年限を設定しそれまでに何をやれというものではないが、今までの経緯から数値が示されているものもあり、委員の御意見や地元の御意見を反映する場合もある。これについては、削除すべきと言われた委員の方も御了承されて、御指摘を撤回なさっている。石橋委員御指摘の次世代機の問題もあるが、数字が復活した経過は以上のようなことである。
(河瀬委員)
- 全国原子力発電所所在市町村協議会の意見も、概ね取り入れていただき、感謝している。『共存共栄するという「共生」という考え方』との表現となされたことも、理解いたしている。
- 第33頁の原子力施設の廃止措置について申し上げる。敦賀市にある「ふげん」も廃炉になることが決まっているようであるが、「また、商業用発電炉の跡地は原子力発電所用地として、引き続き有効に・・・」との表現について、この部分には前提として地域社会の理解を得つつということが含まれていると理解してよろしいのか。発電所の跡地がまた発電所になるというのは、立地地域の住民にとっては非常に重大な問題である。含まれているのでなければ、明確な文言として「地元の理解を得て」との語句を追加していただきたい。
- 長期計画には難解な部分もあるが、長期計画は国民に対するメッセージでもあり、目安として中学2年生以上の方であれば御理解いただけるよう、何らの方法で分かりやすく周知していただきたい。前回は漫画や絵を入れた分かりやすい普及版の作成について提案させていただいたが、テレビや新聞、ラジオ、最近はインターネットなど様々なメディアのある中で、国でしっかりと議論していること、エネルギーの大切さを広く知らしめていただきたい。
- 私共立地地方自治体は、地域間競争の激しい中で、苦労しつつも国策に協力し努力している。努力する自治体が報われるのは当然であり、そのような政策をお願いするとの観点から、立地地域との共生について意見を述べさせていただいた。関係する皆様におかれては、引き続き御支援、御配慮をお願いしたい。今後とも「原子力発電所があって良かった」と言えるような町づくりに努めていくので、お力添えをいただきたい。
(森嶌座長代理)
- 発電所跡地の再利用の部分には、「地元の理解を得て」などの語句を追加して整理したい。
- 平易な普及版については、全体がまとまった時点で作成すると前回に申し上げている。
(神田委員)
- 第40~43頁にかけて、他の部分と記述のトーンが異なり、例えば、第41頁の「リーダーシップを発揮する」との表現、第41頁の「これまでのキャッチアップ重視の態度から、フロントランナーにふさわしい・・・」との難解な表現、第42頁の「高い科学技術のポテンシャル・・・」など、カタカナ言葉が非常に多く、またNPTやCTBTといった略語とその説明の書き方の整合性がとれていないように見受けられる。他の部分との統一性のとれた表現とすべきであろう。
(森嶌座長代理)
- 国際的な話だからカタカナ語が多くなったかもしれないが、国際協力については、こうした事項も追加してはどうかといった指摘はあったものの、ただ今のような表現に関する指摘がほとんどなく、第六分科会報告に基づく当初の書きぶりがそのまま残っている。もっともな御指摘であり、検討することとしたい。
(佐和委員)
- 第25頁「原子力施設の運転を通じて事業者と地域社会が相互に発展し」との表現は、日本語として誤りであり、「共に発展し」とすべきである。
- 同頁に「共存共栄」という言葉があるが、このような古い言葉をなぜ使われるのか。このような古い言葉を使うと誤解を招くことにもなる。共存共栄という言葉は、おそらく戦時中に作られて、今はなくなった言葉ではないか。
(森嶌座長代理)
- 「相互に」は「共に」と修正させていただく。
- 共存共栄との表現については、共生ではなく共存共栄とすべきとの河瀬委員からの強い要望を受けて、「共存共栄という共生」との現在の表現に調整させていただいた経緯があり、御理解を賜りたい。
(鷲見委員)
- 第11頁の経済性について、ここには経済システムについてのみ書かれているが、それ以外にも国により社会的要請の差異が存在するので、それについても記述していただきたい。例えば、中国などでは幾らNOxを出しても問題にはならないが、日本ではそうはいかない。それは社会的要請が異なるのである。
- 第13頁「高度なウラン濃縮技術」との表現は、ウラン濃縮技術だけが高度とあるのは適切ではないので、削除していただきたい。
(竹内委員)
- 先ほどウラン濃縮について濃縮された御議論があったので、当事者として申し上げたい。石橋委員も私と同じく青森にいらっしゃるが、当地ではこの長期計画の中で数字が消えた消えないということは、大変大きな話題となった。私自身はこの数値目標はぜひ記載していただきたいと考える。
- 第二分科会において、委員の一人として、ウラン濃縮の意義について紹介申し上げた。オイルショック以後多くの発電炉が建設されたが、その時に炉ができても濃縮ウランが買えない恐れがあるということからスタートしたのが、このウラン濃縮の始まりであり、旧動燃が一所懸命努力されてきたところである。現在は濃縮ウラン市場が緩和しているものの、今のウラン濃縮の大勢はガス拡散法という軍事から始まる方式であり、これらの施設は大分老朽化が進んできていることから、10年、15年先には一斉にだめになる可能性がある。その時に我々が進めている遠心分離法が活用されるであろう。この方式を進めているのは、世界でもわずかであり、日本以外ではウレンコのみである。石橋委員の御指摘された現状については、我々も反省しているが、国の技術として、ものづくりの日本として、本事業を進めるとの方針を決めていただきたい。
- 「SWU」という単位は分かりにくいが、具体的には1,500トンSWUという数字は、100万kWの原子炉が1年間に使うとして、12~13台分に相当し、現行の発電電力量の約2割程度を国内で賄うという意味である。これについては、私共の方で解説を作っている。私共も発奮させていただくので、ぜひ数値目標を示していただきたい。
(妻木委員)
- 原子力部会長でもある近藤委員もいらっしゃるので、第31頁の高レベル放射性廃棄物に関して、お尋ねしたい。処分地選定に当たり、「このため、国は政策の説明、地域共生方策に関する制度や体制の整備などを行うことが必要であり、電気事業者は廃棄物の発生者として国民の理解を得るための活動を進め、また、立地について多くの経験を有する立場から処分地の選定を実施主体と一体となって行うべきである。」とあるが、廃棄物処理においては、国、実施主体者及び電気事業者がいわゆる三位一体となって取り組むと私は解釈をしてきたが、この文面では、国は政策の説明を行うが、選定を行うのは実施主体者と電気事業者だというように読みとれる。国策である原子力発電のその発電所から出る廃棄物について、電気事業者が最後まで責任を持って処分しなさいと述べられているのか。こういう問題では、国が前面に出て諸施策を行うことで、初めて国民の安心が得られるものと考える。そのために電気事業者の組合の構成員である我々も、全面的な協力を行うべきと思っている。この部分について、内容の確認をさせていただきたい。
- 原子力発電全体をとってみると、現在は非常にアゲインストな状況である。江口副知事や河瀬市長のように御理解いただいておれば、私共も精一杯仕事をさせていただくが、20年30年とかかって立地を進めてきたものが、住民投票1回である日突然行えなくなるような社会状況では、生き甲斐を持って立地を含めて原子力を推進してゆけるかどうか、私共は大変心配している。水戸黄門の印籠とまではいかないまでも、今少し、私共に勇気を与えてくれるような文面が欲しかったとの気持ちがする。
(都甲委員)
- 第31頁「地層処分を行う廃棄物」の第1パラグラフは、高レベル放射性廃棄物と次にある高レベル放射性廃棄物以外の放射性廃棄物、おそらくTRU廃棄物だと考えるが、その両方にかかる文章だと思われる。だとすれば、「数百メートル以深の安定した地下に埋設する」の表現は、TRU廃棄物の処分方法が決まっていない現段階では、適切ではない。この部分は「人間の生活環境から十分離れた安定した地下に埋設する」との表現とすべきではないか。
(鳥井委員)
- 前回も申し上げたが、第35頁の高速増殖炉の実証炉の具体的な計画を誰が決めるのかとの問題に関して、評価をする、あるいは決定するということは、大変大きな責任を伴うものである。ところが従来はその責任が不明確なまま、多くの計画が取りやめられるようなことが行われてきた。それは決定者とその責任を曖昧にしてきたためではないか。現段階では決定者を明確にできないことは理解しており、文章についてはこのままでよいが、こうした点を今後きちんとしていくのだとの覚悟が、関係者に十分に存在しないとうまくいかないであろう。これは原子力委員会だけでなく、安全委員会にもかかわることかもしれない。そうした覚悟を、ぜひ今後は持ちたいと思う次第である。
(那須座長)
(鈴木委員)
- 都甲委員の指摘のように、第31頁「地層処分を行う廃棄物」の第1パラグラフは、高レベル放射性廃棄物、高レベル放射性廃棄物以外の放射性廃棄物及び分離変換技術の全てにかかる前書きである。そうであれば数百メートルというのは少し明確に書きすぎであるとの御指摘であるが、この構成は、廃棄物の処理処分は、基本的に深いところにする地層処分と、それほどでもない管理処分の二つに区分されるとしている。その考えに立てば、今回の法律で300メートル以深と定めたことにみられるように、ある程度深いということが重要な要素になっている。都甲委員の述べられたようにすると、その点が少し曖昧になって、全体のコンテキストが崩れる恐れがあり、原案の方がよいと思う。
- 御指摘の点については、高レベル放射性廃棄物以外の放射性廃棄物の全てが、そういう形態の処分を行うとは限らないが、高レベル放射性廃棄物以外にも、そのような処分を必要とするものがあるのだということを明確にしていると、私は理解している。分離変換技術についても、同様であり、分離変換技術がうまくいけば、深いところに処分するものが相当減る可能性があることを示していると考えられる。
- 第31頁に対する妻木委員の御指摘について、原子力部会の委員として理解しているのは、立地に関しては、基本的に実施主体と電気事業者、官以外の民間でやるということである。ただ御指摘は非常に重要であり、ここでは「国は政策の説明、地域共生方策に関する制度や体制の整備などを行う」として、地域共生方策に関する制度や体制の整備が、立地に当たって国が担うべき役割であることを示していると理解している。
(森嶌座長代理)
- 鈴木委員と同様の説明が事務局からもあり、全部が全部深いところに処分するとの誤解を招かぬよう、事務局にて表現を検討、整理することとしたい。
(吉岡委員)
- 第25頁の原子力に関する教育の部分で、「教員、科学館、博物館、原子力関係事業者、学会等を繋ぐネットワークの整備・・・」と書かれている。原子力に関する教育は重要であるが、原子力関係事業者が入っているのに、批判的な調査機関が抜けているのは、教育の中立性の観点からも問題である。「調査研究機関」を追加するとともに、「ネットワーク」を「国際的なネットワーク」として、より中立性の高い記述にするとともに、実際にもそのようにすべきである。
- 石橋委員などが御指摘の1,500トンSWUとの数値について、数値目標を書くことには反対であるが、書くとしてもこの数字はおかしいであろう。虚構的な数字を記載して、その側から崩れていくのは問題である。今の計画では450トンSWUを増設するとなっているが、それを作っても、旧いものの大部分は止まっており、合計しても1,500トンSWUには及ばない。記載するのであれば、「450トンSWUの増設を目指す」、あるいはもっと抽象的に「従来の計画に基づいて」といった表現にしないと、嘘を書くことになり、我々の責任が問われることになる。
- 高レベル放射性廃棄物について、第31頁の「30年から50年間程度冷却のための」との表現は、最近冷却期間30年では十分でないとの新聞報道もあったが、適切であろうか。意見募集に回すからには説明責任を伴う。30年について納得していない人達や、全く知らない人達に対しても、説明できるようにしていただきたい。
- 第34~35頁のもんじゅの再開について、第三分科会の報告では、円卓会議の提言を踏まえて、もんじゅの所期の目的であるナトリウム取り扱い技術を確立するために運転再開を行うが、この所期の目的の以外にも活用を図るべきか否かについては今後改めて判断するのが適当とされている。ところが全体会議の案にはそうした観点が抜けており、他の開発課題もやるかのように読みとれる。本日の案では、「はじめに」のところに、もんじゅ運転再開後の選択肢等について円卓会議の提言を踏まえるとの表現があり、若干改善がみられるものの、本文中にも記載すべきである。この点について、検討あるいは回答をいただきたい。
(江口島根県副知事)
- 先ほどから石橋委員などより御指摘のある、第28頁の六ヶ所村のウラン濃縮工場の目標値であるが、これについては青森県の記載して欲しいとの強い意向があり、島根県知事の名前で意見を提出したものである。本日の資料に理由も合わせて示されており、立地地域の意見として、御理解いただきたい。
- 立地地域としては、大変努力もし、また苦悩もしている。第25~26頁の「立地地域との共生」において、「国においては、このような地域の新たな発展の方向を有効に支援するような振興策を検討することが重要である」とあるが、さらに踏み込んで「発展の方向を有効、かつ積極的に支援する」ような姿勢を示していただきたい。
(秋山委員)
- 第37頁の研究環境の整備について、前回より文章的にも内容的にも充実させていただいたことを評価している。研究用原子炉についても、「その役割に照らしながら」との語句を追加していただいたが、この報告書だけで内容が明確に理解されるために、研究炉の役割について、研究、教育、医療、RI生産、社会的な理解増進などのキーワードを、幾つか付け加えていただけるとさらに有り難い。
- 同頁には社会的ニーズから始まり詳細に記載がなされているものの、これは現役の大学の先生に伺っていただいた方がよろしいが、大学の役割については、より焦点を絞って記載されることが望ましい。例えば、第22頁では国の役割としての人材の育成が挙げられ、その役割を担うのが大学であると読める。また、第43頁では、人材確保における大学の役割が述べられており、「先端的研究開発施設における最先端の研究開発の実務を含めた教育訓練」との表現があるが、ここには施設の一層の充実や大学の厳しい研究環境の改善との趣旨が含まれていると考える。この部分は、もう少し明確に言葉を加えていただきたい。
- それらを踏まえて、第37頁に戻り、「研究用原子炉については・・・」との文章の前に、大学の役割を整理して、幾つかのキーワードを用いながら記述していただきたい。
- 「社会のニーズに応えるよう・・・」から始まる段落において、大学、研究機関などが、それぞれの持てるポテンシャルを生かしつつ、連携、協力して強化していこうとの趣旨は読みとれるが、この部分ではオリジネーターとしての大学の役割をもう少し強調できないものか。近藤委員などに御意見をいただきながら、検討していただきたい。
(神田委員)
- 秋山委員に大学の役割について御指摘いただき、幸せである。本長期計画について、大学の先生方に意見を聞くと同じような考えであった。原子力の世界で研究炉の果たしてきた役割は大きく、この程度の記述にで済ませるのではなく、せめて幾つかのキーワードくらい盛り込むよう忘れずに言ってこいとも指摘された。第7章が設けられたのは大変有り難いが、もう少し踏み込んで書かれるとさらに位置付けが明確になるだろう。
(近藤委員)
- 高レベル放射性廃棄物処分については、先ほど鈴木委員から懇切丁寧な説明があったが、そのとおりであると理解している。ただ、処分地の選定における国の役割が「地域共生方策に関する制度や体制の整備」といった表現で、やや淡々とした書きぶりであり、事業者の役割に関する記述とのバランスが欠けているような印象を持たれたための御指摘であろう。また、第二分科会報告では、「国が先頭に立って」との表現があったが、そうしたニュアンスが若干読みとれないということを申されたのではないか。スペースの問題もあるが、再度関係の基本方針と照らし合わせ、基本方針は必ずしも確定したわけではないが、御指摘の趣旨を反映できる部分があれば、反映するように努めることとしたい。
- ウラン濃縮については、先ほど座長代理が説明されたように、期限が固定されたわけではなく、数値目標を示す表現にすることが関係者の励みになるのであれば、吉岡委員共々責任をとって、書くことに賛成するということではないか。
- 研究環境の整備に関する記述について、秋山委員から名指しで知恵を出せと言われたことについては、努力したいと思う。確かにさらっと書いてあり、随所に言外に大学をイメージさせるような表現がなされてはいるものの、わかる人だけわかるような表現にするのではなく、やはり読者の存在を踏まえて、大学の社会的な役割、責任が明確になるよう多少の修文を行いたい。
(那須座長)
- 策定会議の開始に当たって、今回の長期計画について、どちらかといえば、従来の長期計画は各5年間の予算作成のための基本立てをやってきたようなものだが、今回はしっかりと哲学を確立しようと申し上げたと記憶している。
- したがって、数字的なものは出来るだけ記載を控えるとの方針となされたと思う。ところが、巻末の図表でよいから具体的な数字が欲しい、数字がないと実感が得られないとの委員の御意向があり、また、地方から同様の御要望もあった。
- そこで検討の結果、今ある計画の数字については、明確に出した方がよいであろうと判断した。努力目標にすぎないとの指摘もあるが、目標に終わらせないよう努力するのだとの各委員の御指摘もあった。
- 先ほどまでの各委員の御発言から、以上のような趣旨は概ね御理解いただけたように思う。石橋委員におかれても、こうした趣旨を御理解の上、ウラン濃縮の部分に数字を記載する件については、座長の判断に御一任いただきたい。
③「長期計画案全般」について
○ | 森嶌座長代理より、資料2に基づき、長期計画案冒頭の「はじめに」及び巻末の資料と用語解説の部分について、以下のとおり説明があった。 |
- 用語解説については、現在の段階では未だ不正確な部分が存在する恐れがあり、そうした御指摘については事務局まで文書にて提出いただきたい。また、用語解説に採用すべき用語で欠けているものがあれば、併せて御指摘いただきたい。締切は8月16日とさせていただく。
- 副題を付けるか否か、また、付ける場合にはどのようなものにするかについては、意見募集やご意見をきく会といったプロセスが終了した後、国民の方々の御意見を踏まえて、改めて御議論いただくこととしたい。
○主な質疑応答及び関連する意見は以下のとおりである。
(鳥井委員)
- 用語解説については、プルトニウム、高レベル放射性廃棄物、核燃料サイクル、高速増殖炉といった用語が見あたらず、バランスを欠いているのではないか。意見募集に参加なされる方が専門家ばかりとは限らないが、用語解説は最終段階で付けることとして、何を用語解説に取り入れるかについては、もっと時間をかけて検討することを提案したい。
(伊藤原子力調査室長)
- 意見募集の段階で用語解説があった方が親切であろうとの判断で作成した。全体がまとまるまでに完全なものにしたいと考えていた。
(森嶌座長代理)
- 用語解説については、現段階はあくまで初案であり、今後充実させる旨を明記しつつ、付けることとしたい。締切については、すぐに冊子とするわけではないので、それ以降にいただいた御意見についても、適時反映させていただく。
(近藤委員)
- 第1頁の「原子力委員会についても、・・・その重要な任務は、我が国の原子力研究開発利用が平和の目的に限って計画的に遂行されるよう」との表現について、原子力基本法によれば、「計画的な遂行」には「国の施策の」との語句がかかっていたのではないか。細かいことで恐縮であるが、確認していただきたい。
(長見委員)
- 一文が5~6行にわたる箇所もみられるが、せめて2行程度で区切っていただかないと理解しにくいのではないか。
(森嶌座長代理)
- 試みてはみたものの、2行におさめるのは困難である。ただ、5行を超えるような文章は好ましくないだろう。文章を区切るとすれば接続詞をどうするかといった問題も出てくるが、改めて努力することとしたい。どうか御理解いただきたい。
(吉岡委員)
- 第2頁に「原子力政策円卓会議での議論や、同会議が取りまとめたエネルギーとしての原子力の位置付けをめぐる議論の重要性や」との表現があるが、取りまとめたのは議論ではなく、提言ではないか。修正していただきたい。
- 用語解説については、十分にこなれていない部分も多く、追って詳細なコメントを提出したい。
○本日の審議を受けて、那須座長より発言があった。
- 本日の御議論の長期計画案への反映については、座長に一任いただき、森嶌座長代理と相談の上取りまとめ、これに対して国民の御意見を伺っていきたいと思うが、御異議はないか。
○那須座長の提案について、各委員より了承があった。また、那須座長より発言があった。
- 長期計画案を取りまとめしだい、私の方から原子力委員会へ報告の上、国民からの意見募集等に入りたい。
- 国民の御意見を伺い、修正すべき点は謙虚に修正することとしたい。
○事務局より、今後のスケジュール等について説明があった。
(3)その他(長期計画案に対する意見募集と「ご意見をきく会(仮称)」の開催)について
○ | 事務局より、意見募集と「ご意見をきく会」の開催について、資料3に基づき説明があった。また那須座長より、発言があった。
|
- 説明にもあったように、「ご意見をきく会」では、委員の方々にも御出席いただき、策定会議における審議の過程等について説明いただくなど、御協力をお願いしたい。
- 日時、場所については、決定次第、事務局から御連絡をさせていただきたい。
(4)閉会について
○那須座長より、発言があった。
- 次回の策定会議は、ご意見をきく会などが終了した後に開催したいと考えている。