2000年10月2日(月) 15:00〜18:40
青森グランドホテル(青森県青森市新町1-1-23)
福澤 定岳 | 僧侶(青森県) | |
小田切 明和 | 青森県生活協同組合連合会会長理事 | |
益田 恭尚 | 無職(神奈川県) | |
井上 浩 | 団体職員(青森県) | |
阿部 由直 | 弘前大学医学部教授 |
稲田 勝彦 | 無職(滋賀県) | |
平野 良一 | 核燃情報連絡会代表世話人 | |
岩谷 昭子 | 青森県交通安全母の会連合会副会長 | |
小林 正平 | 無職(千葉県) | |
蒔田 弘一 | 木村青森県知事代理※、青森県むつ小川原開発・エネルギー対策室長 | |
※木村知事は公務のため欠席。 | ||
(敬称略、意見発表順) |
福澤 氏小田切 氏
- 長計案のキーワードは「柔軟な対応」であると思われる。
- かつて原子力施設が嫌われる理由として、安全だと言い過ぎて危険性の認識が欠けている、周辺住民に対しお金で解決しようとする、情報公開しない、住民の意思を尊重しない、閉鎖主義の体質がある、議論をしない等が指摘されたが、これらはどのように変わったのか。
- 原子力ではJCO事故も含めて誰も責任を取ろうとしないが、責任は国策を推進してきた科学技術庁にある。
- 高速増殖炉の計画は遅れる一方であり、柔軟な対応としての廃止を求める。
- 核燃料サイクルは、技術的、経済的に破綻しているのは明らかである。
- 原子力関係の交付金を再生・自然エネルギーの開発普及に振り向けて欲しい。
- 原子力をなくしても廃棄物は残る。六ヶ所村は核のごみ捨て場ではない。
- 今回のような会も一度限りでなく、いろんな立場の人たちの意見を出し合う場を設けて全国的な議論を盛り上げて欲しい。それが原子力政策への不信感を解消する第一歩である。
益田 氏
- 六ヶ所再処理工場の建設は中止すべきである。
- 長計案では核燃料サイクルを堅持すると述べているが、高速増殖炉について、先進諸国では撤退が主流である。わが国においても「もんじゅ」の事故により商業用高速増殖炉の完成の見通しは明るいとは言えない。
- 大間に建設予定の新型転換炉も中止となった。加えてプルサーマル計画は、MOX燃料にかかわるトラブルにより、順調に進んでいない。
- 燃料電池や太陽光発電等の再生・新エネルギーの開発状況を見ながら、原子力開発路線の変更も必要ではないか。
- 新型転換炉の中止及びもんじゅの計画の見直しによって、現行長計で述べれられたプルトニウムの需給見通しは、バランスが崩れている。
- 長計案は「利用目的のないプルトニウムは持たないという原則をふまえて」としているが、これが守られるかが懸念される。
- 日本の電力は欧米に比べて価格が高いと言われるが、再処理によりこれ以上高くなる電力を、国際競争力の低下という犠牲を払ってまで日本の企業が利用するとは考えられない。
- 青森県民は国策の失敗によって大きな被害を受けてきた。県民の圧倒的多数は、核燃料サイクルの実施を望んでいない。
井上 氏
- 原子力発電所建設の停滞の理由は原子力関係の不祥事に起因する点も否定できないが、欧米諸国で自由化のもと大型投資という経済的デメリット、政治的配慮による原子力発電の低迷も見逃せない。今こそ50年、100年の視野に立ってエネルギー供給の姿を予測し、人類の将来の方向を見定めることが重要である。
- 石油は使いやすいが有限な資源であり、いつの日か異常な高騰に見舞われるであろう。また、大気中の炭酸ガス濃度が地球と人間が許容できる限度に近づくことが憂慮される。その時、石油代替えエネルギーに何を選べばよいであろうか。
- 太陽光や風力はエネルギー密度が低く、安定性の点でも大量発電に向かない。利用は進めなければならないが、補間的なエネルギーとして考えるべきだ。
- 自然エネルギーが化石エネルギーに代替えできなければ、人類の頼るべき基幹エネルギーは原子力以外ない。技術継承の点からも原子力開発の中断は許されない。
- エネルギー事情が厳しい日本が率先して原子力問題について深く考え、「世界がやらないからこそ日本がやらなければならない」のだと考える。
阿部 氏
- 前回の長計以来、原子力のさまざまなほころびが目立ってきたにもかかわらず、何の見直しもされていない。
- 原子力発電のデメリットを明らかにし、原発依存から真剣に撤退を考える時期ではないか。自然エネルギーや水素発電等の技術開発を進めるべきである。
- 国民からの声を聞き置くだけというのはやめて欲しい。
- 発電電力量の約3割を原子力が供給しているから基幹電源に位置付けるという議論ではなく、大間、もんじゅ、JCO事故等を踏まえ、原子力政策の方向性を変更する話を入れるべき。再処理の中断等を長計に求めたい。
- 再生可能エネルギーの活用をもっと拡充すべきであり、原発・プルトリウム利用への重点資金計画を改めるべきである。
- 再生可能エネルギーのポテンシャルは、全発電量の1/4を超えるものがあるため、この研究開発を誘導していく政策をとるべきである。
- 放射線の医療分野での有用性については多くの学生が納得するところであるが、医療以外の分野での有用性になると1/4の学生から否定的見解が得られた。
- 大学においても放射線教育の場は少なく、地域における教育の機会はもっと少ない。地域に根付いた放射線教育の拡充と整備などが必須である。
- 高度な放射線診断治療装置の設置がうたわれているが、現有の高度医療施設とのマッチングを含め、すべての国民に平等に機会が与えられなければならない。
- 放射線障害および治療法に関する研究の促進が案には盛られている。放射線医学に従事する人材確保、人材育成について具体策が必要である。
- 短寿命の放射性同位元素のみを使用している一般病院では医療放射性廃棄物の処置に苦労している。短時間でバックグラウンドレベルになるものは、いつまでも放射性廃棄物とするのではなく、必要であれば法改正も含め減量化を実施し、過剰管理を改めて欲しい。
《策定会議からの説明および質疑応答》
森嶌 座長代理
近藤第二分科会座長
- 策定会議委員に様々な人に入っていただき、できるだけ多様な意見を反映できるように心がけている。長計案でも「政策決定過程に対して国民の参加を促す」としている。
- 策定会議及び第一分科会において、地元住民はもとより電力消費地である都市住民も巻き込んだ広範な議論を行うべき、との様々な議論が行われた。
鈴木第三分科会座長
- 自然エネルギーについては策定会議でも委員の関心が高く、専門家の意見を伺った。その結果、再生エネルギーは量的・質的な特性を踏まえて最大限利用を推進していくこととしたが、現状では補助的役割を超える役割は期待できない、とした。しかし、原子力と同様、今後研究開発を進めていくことは重要である。
- 原子力はすでに我が国の電力の1/3を供給しており、安定性、経済性の面で寄与しており、地球温暖化対策にも資するので、適切な割合で維持するのが合理的と判断した。
- 電力自由化については、企業の自由な経済活動と公益性の担保を中心にかなりの時間を割いて検討した結果、22頁(国と民間の役割の基本)の第二パラグラフにあるような結論となった。
- 再処理の計画性、特にプルトニウムの使い方については、電力自由化の時代を迎えて、事業者が自己責任で活動し、国としてはその基本を押えつつ、意欲ある事業者の活動を側面支援する、という姿勢で臨むこととした。
- 医療放射性廃棄物について、基本は発生者責任であるが、国としては安全規制やクリアランスレベルの導入等、制度の整備を進めているところである。
久保寺第五分科会座長
- 原子力の必要性については、策定会議、第一、第二分科会で議論を行い、原子力発電を適切な割合に維持するとの前提のもと、第三分科会では核燃料サイクルの必要性について、安全性、廃棄物、経済性、将来への備え、という視点から討論がなされた。
- 技術的には、少資源国であること、核不拡散ということが重要な視点であり、高速炉サイクル技術が必要と考える。
- 他国では高速炉から撤退しているが、例えばアメリカでは原子力技術について再度構想を練っており、その中には高速炉サイクル技術の取組みが取り入れられている。
福澤 氏
- 初等、中等教育からきちんとした放射線教育が必要である。
- 放射線をむやみに怖がるのではなく、正しく理解していただくこと、またどこで、どのように放射線が使われているか、被ばく国であることを踏まえて、どのように放射線を管理し使ってきたかを念頭において議論してきた。
- 放射線を利用した高度先進医療を普及していくために、産官学が協力して進めるとともに、国の支援が更に必要である。
- 放射線障害及び治療の研究、特に低線量被ばくの研究を促進すべきであること、高線量下で被ばくした場合の緊急医療体制について検討が行われた。
井上 氏
- この場で議論した内容はどのように長計に反映されるのか。
- 六ヶ所村でもJCOのような事故が生じた場合、どのような対応がとられて、責任は誰がとるのか。
神田 委員
- 鈴木委員の発言によると、第三分科会は、第一及び第二分科会で原子力を推進するという答えが出る前提で議論されたのでないか。
- 「もんじゅ」が止まったことにより核燃料サイクル路線をどうするのかについて答えをだすものと思っていたが、FBRサイクルは技術課題、六ヶ所サイクルは当然の推進として議論されたように思える。
近藤 委員
- 原子力防災に対しては、JCO事故を踏まえた結果、原子力災害対策特別措置法ができており、最終責任は総理にある。
- 事故の可能性は100%排除できないという前提に立って、防災に取組み始めており、今までの長計と比べて踏み込んだ記述になっている。
吉岡 委員
- 核燃料サイクルについては、短期的、中期的、長期的な要素があり、高速増殖炉を使うことのメリットを追求することは長期的な取り組みであり、プルサーマルについては、短期的に可能な技術として取組むこととした。
西澤 委員
- 意見の反映方法については、各委員が意見を踏まえた提案をすることで反映させることになろう。
- 原子力の代わりに自然エネルギーの研究に投資をまわすべきという決定権は、策定会議にはない。また、民間が行う再処理に対して、本会議で中止すべきなどと路線変更を示す権限はないのではないか。
鳥井 委員
- 今現在国内で挑戦できる技術として、「もんじゅ」を早期再開し、利用するのが良いと考えている。
- もんじゅを再開しなければ、世界的に信用をなくしてしまう。しかし、運転を再開してそのまま走るということではなく、場合によっては廃炉ということも有り得るのではないか。
石川 委員
- 専門家も原子力の危険性を認めるという流れに代わってきた。
- 周辺住民に対して金で解決しようとしているというのは、逆の面でみると地方自治体から要求があるということである。
- 核物質防護など国際条約に関するものは除き、情報公開もかなり進んできている。
- 国民の意見を取り挙げるべき、との意見については、円卓会議、放射性廃棄物シンポジウムなどさまざまな場で国民と議論し、意見を取りこむ努力を重ねている。
- 原子力の問題は安全性に尽きるが、JCO事故が起きたあと消費者はエネルギー消費を節約したか。減らせなかったのは地元でも消費地でも同じであり、そうであるとすれば、危険とともに生きるしかないのではないか。
稲田 氏平野 氏
- JCO事故など、原子力関連の事故が国民の原発不信に拍車をかけ、その後各地でプルサーマル差止め仮処分申請、芦浜原発計画断念、新規立地計画縮小等、原発推進、エネルギー確保に支障をきたしている。
- 新聞記事で調査したところ、原発事故発生件数中約60%が配管亀裂による冷却水もれ、またはそれと思わしき内容であり、配管強化、亀裂防止対策が安全対策の主要な部分を占めるものと考えられる。
- 最も重要なのは、万一の事故発生時の正確な情報公開と、事故拡散防止策を周知徹底し、国民の不安を取り除くことである。
- 5年前の「もんじゅ」事故は、隠蔽主義から虚偽の事故発表が次々と暴露され、事業者の動燃が揶揄的川柳で皮肉られたのは残念であり、決してこの愚を繰り返してはならない。
- プルサーマルの実施については今後、安全性が高く質のよい国産MOX燃料が最善と考えており、青森県六ヶ所村の核燃料再処理施設の完成を期待している。
岩谷 氏
- 青森県六ヶ所村に核燃料サイクル施設の立地がすすめられて15年余を経過したが、依然として県民のなかには原子力行政への不信感、原子力施設の安全性への不安、放射性廃棄物最終処分場化への懸念が根強い。
- 口では安全重視を最優先として住民理解を求めつつ進めるといいながら、一貫して必要とする情報提供も、肝心な説明もないまま、施設操業という既成事実をおしつけてきたことへの反発の現れである。
- JCO東海臨界事故を契機に、ある種の「原子力安全神話」は放棄されたが、「安全文化」と名前を変えて「原子力神話」が隠れ蓑のまま存在している。
- 「一般のごみに比べて放射性廃棄物の量は一人あたりの排出量がとても少ない」というが、青森県には低レベル・高レベルの放射性廃棄物が大量に集められることになる。しかしながらこれらの状況について何の説明もない。
- 行政によるフォーラムやシンポジウム等が行われているが、これらは一般の勤め人や、主婦が参加できる時間帯に開催されていない。
- 意見を聴くならば、聴くことに徹して欲しい。
- 意見を募集する前に、長計案について説明する場を設けるべきではないか。その後、国民からの意見を聞き、それを持ち帰って再度討論するべきではないか。
- 六ヶ所村の住民は、核燃料サイクル施設等に対し言いたいことがあっても言えず、不満を感じている状況であることを充分承知して欲しい。
小林 氏
- これまでの原子力を巡る事故、特にJCO事故等の不祥事は、科学を信じていた国民にも原子力に対する不安不信を抱かせた。
- エネルギー資源の少ない日本では、地球環境問題、また経済性や技術開発からも安定的に品質の良いエネルギーを確実に取り入れていける原子力エネルギーは、今後とも必要と思う。
- 確実な安全確保や、廃棄物の安全処理が前提にあるのは当然のことであり、国民がより一層厳しい目でチェックすることも大切である。
- 関係者には原子力を国家的、国民的課題として捉え、県民の不安不信、危険を感じる先入観をなくす最大限の努力が課せられている。
- 地域の中で、疑問に思っている事を気軽に答えてくれる場、知りたい事を十分に得られる学習の場や、的確な分かりやすい情報公開等、信頼に応えるきちんとした姿勢を示すPR、PAの機会を希望する。
- 責任者から作業員に至るまでのすべての人々に安全に関する意識の徹底、信頼性の高い操作を行うためにも、安全を担う人材育成の強化を望む。
- 21世紀を担う子供達に、小さい時から教育の中でエネルギーや原子力問題を、正しく理解出来る総合的教育の推進を望む。
- 私達が生活していく上でエネルギーは必要不可欠であり、省エネルギー的生活を習慣化する様に努めるとともに、新しいエネルギーの開発を行っていく必要がある。
蒔田 氏
- 行政は「情報を公開する」ことだけで満足しているのではないか。その中身について十分吟味しなければならない。
- 社会的問題の全てはスピーディに変化し、拡大していく。そのため、問題に対しての目線、考え方、発想の仕方は従来のままではいけない。
- 電力の自由化がはじまり、発電所も拠点型から地域への散在化に向かう。
- 天然ガスをサハリンから日本へのパイプラインで運ぶという構想もあり、さまざまなエネルギー源のベストミックスを考える必要がある。
- 2007年以降、日本の人口は減少する。人口減少こそ21世紀の先進国であり、これはエネルギーの消費が減少していくという影響を与えるだろう。原発一辺倒から目線を転じていくべきである。
- 危険性があるものに対して対策を示すことは常にやっているが、大事なのは現場でどう行われているかである。
- 資源的、環境的な制約の中で我が国が将来にわたり経済社会活動を維持、発展させていくためには、国策として原子燃料サイクル事業を円滑に進めていく必要があるという現実がある。
- 原子力に対する国民、県民の信頼を得るためには、国、事業者、地元自治体が各々果たすべき役割を果たし、安全操業の実績を積み重ねることが不可欠。また、普段から様々な情報公開、情報提供を行い、また、教育の充実が必要である。
- 県では事業者と安全協定を結び、環境モニタリングや立ち入り調査を行い、県民に調査結果を公表している。国、事業者に対し、安全確保を第一義とする対応、県民の不安・疑問の解消や理解増進に努めるよう機会あるごとに要請している。
- 長計の策定にあたり、原子力の推進に賛成な方のみならず賛成でない方も含めて公開の場で議論を重ね、とりまとめられたことは評価できる。また、核燃料サイクル政策について変わりないこと、国、事業者がこれら政策を進めていく上で、なすべきことが明記されたことは重要と考える。
- 今回の長計は理念や政策を記載するとの編集方針とし、目標数値が一部記載されなかったものもあると承知している。国においては、編集方針は編集方針として説明に努めるとともに不信感が生じないよう毅然たる姿勢で原子力政策を進めていただきたい。
- 長計案の記述として放射性廃棄物の処分に関し、合理性の観点から検討が必要であることは理解するが、国民が応分の負担をすべきとの観点も重要と考える。県民の間で従来想定していなかった放射性廃棄物が六ヶ所村に埋設されるのではとの不安がある。
- 低レベル放射性廃棄物は性状が極めて多様多種でわかりにくいため、県民の疑問もつのってきていることから、低レベル放射性廃棄物に係るシンポジウムを青森県において早期に開催することを国に対して求めたい。
- 今後は、今回策定される長計の進捗状況について的確に把握し、場合によっては厳しく対応を求めるなど国としても政策実現に積極的に関与すべき。
《策定会議からの説明および質疑応答》
森嶌 座長代理
石橋 委員
- このような会の開催方法については、意見を踏まえ検討したい。
- 数値目標を掲げなかったことが指摘されたが、本長計案はこれまでの原子力開発を再検討し、理念と政策について国民の理解を求めつつ策定するという方針であり、国は方向性を示すものの、具体的な数値目標を一方的に掲げるのは控えた。
鳥井 委員
- 各位とも原子力への不安不信を述べているが、今回の長計案が従来と大きく異なる点の一つは、原子力と国民社会との関係を政策課題として取り上げたことである。第一分科会では情報公開についても議論した。
- 原子力に対する不安は不信にまで広がっているが、国民的合意の下に政策を進めなければならないことを長計案に盛り込んでいる。
- 長計案では、国民の視点に立った情報提供をすること、平常時、事故時において信頼性の高い情報公開をすること、国や事業者が明確な情報開示基準を作ることを求めている。
- 国民との間にリスクコミュニケーション、双方向コミュニケーションを取り入れることは重要な政策課題である。
- 今までの長計は、原子力事業計画というおもむきであった。原子力基本法は計画的遂行、民主的運営をうたっているが、本長計案では民主的運営に力点をおいている。
神田 委員
- 双方向のコミュニケーションの必要性は原子力のみならず、科学技術全体にとってその通りであり、科学技術がどうやって社会と対話していくのかは大きな課題である。別途、科学技術基本計画の審議が進められているが、その場でも同様な議論がある。
近藤 委員
- 「安全文化」とは、安全を最優先する気質、気概であると、国際原子力機関が定義した。
- JCO事故をきっかけに長計案では、事業者の責任を明確化した。
- 小・中高教育では、総合的な学習の時間が新設されることになり、エネルギー・環境の問題が着目され、先生方の学習会がはじまっている。一方、大学の方は、学力低下傾向にあり、大学の先生方は各々頑張っている。
- 放射性廃棄物シンポジウムの第1回を青森で行ったが、県の要望に合わせて第2回目のシンポジウムを11月11日(土)に行う。
石橋 委員
- 事業者が行っている原子力発電活動は、魅力ある事業として推進されており、それを裏付けるデータも得られている。
- 第二分科会では、日本の地理学・地政学的な事情を考慮したリスク管理が国の責任である。国として、適切な誘導、規制があるべきであると議論された。
- 自然エネルギーは、原子力と同様に最大限その可能性を追求すべきと考えている。
- 高レベル放射性廃棄物については処分実施主体を設立する等の内容の法律を制定し、近々、事業者が設立される。
- 事故については、さまざまな機関で原因を分析し、その結果適切な予防保全を講じるべきことが定められている。
- 安全については従来は事業者の自主保安とすることを強調していたが、今回のJCO事故を踏まえ、国の責任として、事業者が適切な能力と、設備を有していることを判断し、許可を受けた事業者は許可を全うすること、国は事業者を監査し、適宜国民に報告することとなる。国と事業者との間には常に緊張関係持つような制度を導入した。
平野 氏
- 長計案では、高レベル放射性廃棄物の最終処分場と地下の研究施設とは明確に区別するとしており、行政はこのことを重く受けとめてほしい。
神田 委員
- 地層処分について賛否の意見があったが、国民の意見を求めていく途中に法律が先にできてしまうのは、結論をだしてしまっているのに意見を求めているようで、とても不信感が先立つ。
- 46頁に発電原価の表があるが大間や東通原子力発電所の申請書類に記述された金額とは異なっている。いつも結論に近い資料のみが出されており、国民への配慮が非常に欠けた形で議論が進められている。
- 国策であることは理解するが、その遂行はどうするのかを長計案でも扱えるのではないか。
小林 氏
- 先に結論を導いた議論をしているわけではない。次の放射性廃棄物シンポジウムでご説明する機会を設けることができる。
森嶌 座長代理
- 長計案を策定会議で決定したら、政治の場に上げられるのか。
近藤 委員
- 策定会議で作成されたものは、原子力委員会で決定され、閣議に報告される。
吉岡 委員
- 通産省が算出した経済性のデータは40年間の平均単価であるので、事業者が出す数値とは違うものである。
- 廃棄物の量についての表現は誤解を招く恐れがある。書き足すべきものについては、ご意見を伺った上で検討する。
永宮 委員
- 教育の必要性に関する記述は、ぜひ取り入れるよう努力したい。ただし、原子力の肩をもつようなことのない、偏らない教育をすべきである。
鳥井 委員
- 原子力は問題もあるが、何もしなければつぶれてしまう。技術の伝承や、教育の問題、大学での原子力離れなど大きな問題がたくさんある。
- 原子力を維持するための問題(教育、人材)も多いので、それも国策に取り入れる必要がある。
稲田 氏
- 事故が起こった時、速報性を重視すると内容を訂正する必要に迫れることもあると思う。早さを重視すべきか、正確さを重視すべきか。
小林 氏
- 両方とも一理ある。素人が答えるのは無理であり、最善の方法を望む。
西澤 委員
- 原子力には発電だけでなく放射性利用もある。原発にこだわらず、原子力をトータルで考えて活かして行くべきではないか。
- 例えば、残留放射能等のデータが不備であり、研究者は原子力産業の使命を体得して、問題にあたって欲しい。
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