長期計画策定会議第二分科会

「エネルギー政策の中の原子力利用の在り方」に関する報告書骨子(案)

 

−成熟化社会における原子力エネルギー利用の展望−

 

平成12年3月13日
レポーター内山洋司


1 現代社会とエネルギー

 1.1 エネルギーに依存する現代社会と転換期にある日本社会
 1.2 エネルギー供給が満たす条件

2 21世紀のエネルギー問題

3 わが国のエネルギー需給問題とその対応

 3.1 省エネルギーの可能性
 3.2 各種電源の選択にあたり考慮すべき点

4 将来の電力需要と原子力の位置付け

 4.1 将来の電力需要と電力自由化
 4.2 原子力の位置付け

 (1) 短期的視点:
 (2) 中期的視点:
 (3) 長期的視点:

(添付資料)再生可能エネルギーへの期待と課題

 (1) 再生可能エネルギーへの期待
 (2) 再生可能エネルギーへの課題
 (3) 再生可能エネルギー導入に向けた取組


1現代社会とエネルギー
1.1エネルギーに依存する現代社会と転換期にある日本社会

(1)エネルギーの消費は社会や経済の発展と密接に関係。大量生産は多くの人を物質的に豊かにしたが、それらはエネルギーの大量消費に支えられている。
(2)近年人々の生活も電力依存型となり、エネルギーの電力シフトが進んでいる。
(3)わが国の一人一日あたりの一次エネルギー消費量は、アメリカの半分、イギリスとほぼ同じ水準。
(4)わが国の経済構造はエネルギーに依存して発展する構造であり、省エネルギーのための様々な対策が図られているが、現時点では実効ある結果は得られていない。
(5)一方、わが国では社会基盤施設と耐久消費財が一通り行き渡り、物質的豊かさを充足していく発展に翳りが出始め、右肩上がりの成長型社会から成熟化社会へ移行しつつある。
(6)情報化や少子化など、成熟化社会における国内のエネルギー需要の伸びは総体として鈍化するものと考えられる。

1.2エネルギー供給が満たす条件
(1)安定、安価かつ平等なエネルギー供給は、生活や産業を支える上で不可欠な基本サービス。
(2)エネルギーの安定供給を支えるため、技術の信頼性と安全性の維持、運転員の訓練や教育が必要。
(3)エネルギーが満たすべき望ましい条件は以下の通り。エネルギーを供給する立場にある事業者は、エネルギー供給が以下の諸条件を満たすことを理解し、維持する責任があり、国民の信頼はその達成度合いにかかっている。
  @セキュリティ:エネルギーを長期に安定的に供給するために具備すべき条件として、自給率や備蓄率の向上、供給国やエネルギー源の多様化とともに、エネルギー供給施設の立地に対する理解などがある。
  A信頼性:年々増加するエネルギー需要に対応する安定供給、場所や時間で変動する負荷への適応性、また、電気の場合には、電圧や周波数など品質の確保。
  B経済性:安価で安定した価格を長期に維持できること。
  C環境性:環境への悪影響をできるだけ小さくすること。
  D安全性:最近の原子力に対する不安の高まりを踏まえ、安全対策については万全の措置を施し、また、規制や監視、正確な情報を迅速に伝達するシステムを構築することなど。

2 21世紀のエネルギー問題
(1)石油危機を契機に、各国は石油備蓄と代替エネルギー開発を積極的に推進、脱石油と中東依存からの脱却をエネルギー政策の重要課題としてきた。わが国では原子力発電を積極的に開発、現在も電力の安定供給に対し大きな役割。
(2)その後、石油が再び安定供給されるようになると、世界の石油消費量、中東依存度も上昇。しかしながらわが国ではエネルギー確保に対する意識は次第に希薄に。
(3)石油価格は最近1年間に3倍以上上昇した。従来、専門家の多くは、先進国のエネルギー消費の鈍化などを背景に、石油をいつでも十分に入手可能な日用品(コモディティ)として認識し、その供給が危機的な状況にまで発展する心配はないと判断してきたが、このような多数説も再検討が必要で、エネルギー戦略構築の重要性が一層顕著になった。
(4)開発途上国の開発型の経済発展によりエネルギー需要は増大し、人口増加がそれを加速。21世紀のエネルギー確保は人類社会全体の問題となることが予想される。
(5)特にアジアは、一人あたりの化石燃料の確認埋蔵量が最も乏しく、人口も急増しており、21世紀のアジアのエネルギー確保は深刻になると予想される。アジア地域のエネルギーの安定的確保は、同時に日本のエネルギーセキュリティにかかる課題でもある。
(6)(財)社会経済生産性本部のアンケート調査(1999年11月実施)では、エネルギー専門家の約6割がわが国のエネルギーセキュリティに不安を抱いている。また、エネルギー供給に対する不安要因も、従来からの中東諸国での紛争の他、アジアの経済発展や人口増加、近隣地域での国際紛争、原子力関連施設の事故、地球温暖化問題など多様化している。
(7)また、地球環境問題については、温暖化防止の京都会議において、わが国は2008〜2012年までに温室効果ガスの排出量を1990年レベルよりも6%削減する目標を掲げた。政府は、目標を達成するためには、省エネルギーに加え、原子力発電の4800億kwhの導入(16〜20基の増設に相当)、CDM(クリーン開発メカニズム)などの海外施策を実施しなければならないとしている。

3 わが国のエネルギー需給問題とその対応
 今後のわが国におけるエネルギー需給を考えるに当たっては、社会構造の変革をも視野に入れた省エネルギーや新エネルギーの可能性、成熟化社会、電力自由化という社会経済環境の変化等を十分考慮する必要がある。その際に検討すべき課題と対応は以下の通り。
(1)エネルギー確保問題に関する課題と対応
  @短期のエネルギー価格変動への対応:石油価格は社会情勢により短期的に上昇する可能性があり、価格変動への対応をすべて市場に任せることは国民の不安感を増大する。石油備蓄や輸入国の多様化、石油依存度を下げるなどの対策が考えられる。
  A石油依存および中東依存からの脱却:わが国の一次エネルギー総供給に占める石油の割合は54%と他の先進国に比べて高い。また、わが国の石油の中東依存度は86%と際立って高く、エネルギー供給構造が脆弱。石油依存を脱却する方策の1つとして天然ガスへの依存を高めることが考えられるが、世界のエネルギー供給の状況から6000万トン(現在5360万トン)程度が限度。
  Bアジア地域のエネルギーセキュリティ問題:アジア経済は中国を中心に急速に拡大する可能性があり、特に石油を中心とした化石燃料消費の急増が懸念される。将来、石油の奪い合いや抱え込みが、世界レベルあるいは地域レベルで発生する恐れがある。
  C長期にみた資源枯渇への対応:21世紀中葉までに良質の石油・天然ガスが供給不足に陥る恐れがある。この不足を補うエネルギー源として、質の悪い石油・天然ガス、石炭、原子力、再生可能エネルギーが考えられる。
(2)地球環境問題に関する課題と対応。
  @削減目標の短期的視点からの実効性:国内での具体的な対応策として、省エネルギー、規制強化、税制見直し、産業構造の変革、燃料転換、再生可能エネルギー、原子力、CO2回収・投棄などがあるが、現時点の諸状況から、これらの対策による削減目標の達成はかなり難しいと判断される。
  A対策も海外依存:国内だけの施策では短期的な目標達成は困難であることから、排出権取引き、共同実施、CDMなど、海外に依存する施策が必要であるが、その具体的対応策は未定であり、安易に海外依存することの是非については議論のあるところ。なお、概略計算では、排出権取引きだけで現在のCO2排出量を削減目標の排出量にまで低減した場合、その費用負担は原油輸入額の13.5%に相当。
  B長期的視点からの対応:地球温暖化問題は長期的に対応すべき課題であり、省エネルギーと脱化石燃料が基本。長期の温暖化対策として考えられるCO2の回収・投棄は、経済性、環境性などの課題が未解決。また、我が国における再生可能エネルギーの供給ポテンシャルには限界がある。

3.1省エネルギーの可能性

(1)省エネルギーは、再生可能エネルギーの開発とともにエネルギー政策の重要課題であり、官民を挙げて最大限の努力が必要。政府の2010年までの省エネルギー目標は、石油換算で5,600万キロリットルであり、現在の家庭部門の総エネルギー消費量に相当する膨大なもの。
(2)産業部門では石油危機を契機に積極的に省エネルギー対策が取組まれた結果、わが国の対GDPあたりの一次エネルギー消費量は世界で最も進んでいる。また、リストラや経費削減が進められている最近の産業情勢を鑑みると、省エネルギーのために新たな設備投資や雇用確保が実施できるような状況になく、産業界が政府の目標を達成できるかは短期的には難しい状況にある。
(3)民生部門と運輸部門では近年エネルギー消費が著しく伸びている。住宅や建物の断熱と交通対策により政府目標の28%、トップランナー方式の導入により中期的には目標の17%の省エネルギーが期待されている。
(4)わが国の社会は、現在、好むと好まざるとにかかわらずエネルギーに依存して発展していく経済構造となっており、私達の生活や雇用はそれに支えられている。今後更なる省エネルギーを図るには、長期的視点から思い切った産業の構造改革やライフスタイルの変革が必要になるが、経済的・社会的活動と調和を図りつつ進めていくことが大切である。
(5)省エネルギー実行には、技術的解決のための膨大な費用負担、人々の意識改革など長期的に解決すべき多くの問題がある。省エネルギーの基本は大量生産−大量消費社会を根本的に改めることであり、時間をかけた地道な努力が必要。

3.2各種電源の選択にあたり考慮すべき点
(1)各種電源の選択にあたっては、地球環境等の観点以外にも、以下の特徴を考慮することが必要。
  @供給能力:エネルギー密度が高く、貯蔵可能な燃料を用いる火力発電と原子力発電は、電力を安定かつ大量に生産する点で優位。
  A供給信頼性:自然に左右される太陽光発電や風力発電は、クリーンであるが電力供給の変動が大きい。また燃料電池やマイクロガスタービンも含めた分散型電源は、需要家の負荷変動への追従が困難。これらを改善するためには大型系統電源のバックアップが必要であり、相互の協力によりエネルギー供給のベストミックスが可能。
  B経済性:原子力の発電コストは、再生可能エネルギーよりも安価で、火力発電と比べても遜色はない。また発電コストに占める燃料費(フロントエンドコスト)の割合が10%程度と小さく、ウランの価格変動の影響を受けにくい。
(2)ウランは6gのペレット1個で石油300kgに相当するエネルギーを生産することが可能。エネルギー密度が大きい火力発電所と原子力発電所は、太陽光発電や風力発電に比べて1/500以下の敷地面積で済むため、国土の狭い日本では有利。
(3)一方、化石燃料には、燃料の価格変化や供給途絶への不安、酸性雨や地球温暖化といった環境問題が、原子力には、事故への不安、放射性廃棄物の処分問題、核拡散への配慮といった課題がある。すべてに万能なエネルギー源は存在しないが、それぞれの問題点を解決し、各エネルギー源の特徴を生かしながら、社会へ電気を安定、安心、安価に供給していくことが重要。
(4)再生可能エネルギーのわが国における供給ポテンシャルは、水力、地熱、森林を除くと、10%以下と考えられ、わが国で消費するエネルギーの大半は化石燃料や原子力といったエネルギー源に依存せざるを得ないが、化石燃料には先に述べた地球温暖化上の問題がある。再生可能エネルギーを最大限に活用していく努力は重要であるが、そのポテンシャルは国内よりもむしろ海外に大きく、国内においてその技術を培うことで、開発途上国などへそれらを移転し、国際的な貢献を果たすことも可能。

  (再生可能エネルギーの特徴に関する詳細な記述は、添付資料参照。)

4将来の電力需要と原子力の位置付け
4.1将来の電力需要と電力自由化

(1)わが国は物質的豊かさの充足において成熟化段階に入りつつある。また、社会の情報化や少子化の流れから、今後のエネルギー需要の伸びは小さいものと予想される。一方、産業のサービス化や高齢化の影響により、エネルギーの電力シフトがさらに進む可能性がある。
(2)産業用エネルギー需要の年平均伸び率は、過去10年間で1.9%(20年間では0.6%)。一方、電力需要の伸び率は過去10年間の平均で3.8%、5年間で2.8%。
(3)既に物質面で成熟化段階にあるわが国の社会を考えると、今後の電力消費の伸び率は先に成熟化段階に入っている欧米とほぼ同じ1.5〜2.5%程度で推移する可能性がある。電気事業連合会(1999年)の予測では、1997〜2008年度の電力需要の伸び率は年率1.9%。
(4)ダイナミックな市場活動を経済の活性化に活かす観点から今後電気事業においても自由化が進むとみられるが、その過程では電気事業が供給する電力需要は少なくなり、また、エネルギーの供給コスト削減競争が激化する可能性もある。その結果、エネルギー産業は短期指向の経営を余儀なくされ、投資リスクを伴う長期投資を控える可能性があり、原子力発電への新規投資に厳しさが増すことが予想される。

4.2原子力の位置付け
(1)短期的視点:
  @この時期における原子力活動は、省エネルギーの推進、新エネルギーの開発を含めた総合的なエネルギー利用を推進するなかで、市場自由化を含めたさまざまな社会的、経済的な状況変化について戦略的に対応することが求められる。
  A現在、原子力発電による電気は、わが国の電力需要の36.8%(平成10年度実績)を供給しており、その着実な運転実績の積み重ねが重要。原子力発電は、地球温暖化やエネルギー確保対策として、負荷追従運転をほぼ必要としないベース負荷で発電可能な45%まで増やすことが一つの目安となるが、その可能性は将来の電力需給や立地問題など総合的に検討しなければならない。現在の電力施設計画では、短期的にみて、1999〜2008年度までの原子力発電所の建設基数は10基となっており、エネルギー確保の観点から、着実な建設努力が重要であるが、立地問題、電力需要の低成長、規制緩和などの影響で、実際にはそれを下回るものと予想される。
  B原子力発電の利用に当たっては、安全確保を大前提に、技術的には既存技術の高度化を図りつつ、リスクコミュニケーション等人文社会科学領域にも関連する知見を援用し、社会における原子力の位置付けを再確認することが必要。具体的には、

(2)中期的視点:
  @この時期は、エネルギー供給を支えるインフラの高経年化により、大型火力発電所および原子力発電所のリプレースが本格化する「新たなインフラ形成」の時期。また、アジア地域のエネルギー供給安定性の問題が顕現する時期。この時期を念頭に置いた活動は、わが国一国の事情のみならず、世界の情勢を視野に入れ、新たな社会的、経済的環境の出現に対応すべく、供給安定性が高く、高性能で市場が受け入れることが可能な程度に安価な技術開発に裏付けられた成果獲得を目指し、国と民間が緊密な協力体制を確保しつつ実施することが必要。特に、エネルギー供給の経済性向上努力の中で、地球温暖化防止に係る国際約束遵守を目指すことが重要。
  A計画から運転開始まで約15年以上を要する原子力発電については、既存の原子力発電所のみならず火力発電所の更新時期、その発電所が運転開始できる時期のエネルギ−供給の安定性確保さらには温暖化などの環境問題対応等の公共的観点を考慮して、計画を検討、着実に実施していく必要がある。
  B2005年頃から、初期の火力発電が次第に老朽化し更新の対象となるが、耐用年数を40年と仮定すると、その累積設備量は2010年には累積で3000万kW程度、2030年には約1億kw。中長的にみて、CO2排出量の削減が強化されると、代替電源として原子力発電の開発が重要になる可能性がある。
  C電力市場の規模縮小と自由化の流れにより、今後の原子力活動はエネルギーセキュリティの観点だけで成り立っていくことは難しい。今後は、小型の発電炉や熱供給炉、あるいはRIの積極的な産業利用など、原子力が持つ特性を生かして多様な社会ニーズに応える競争力ある技術開発の必要性が増している。
  Dエネルギー確保のかかる原子力の研究開発が重要。特に、今後の循環型社会においては、資源の有効利用に加え、廃棄物の減容化や廃棄物利用が必要であり、原子力についても、再処理によって得られるプルトニウムの燃料利用に加え、環境負荷低減の観点から低レベル廃棄物の一層の減容化を図るとともに、高レベル廃棄物の産業利用(熱、殺菌)など思い切った対策が求められる。
(3)長期的視点:
  @世界人口の伸び、人々の成長願望を考慮すれば、今後、人類社会が公平性の実現を目指し、環境制約を満たしつつ循環型社会に移行するには、現在利用可能な技術と資源だけでは、エネルギー供給面で大きな制約が生じる恐れや、南北間に実現不可能なほどの資源の移転が必要になる恐れがある。こうした制約を軽減するためには、循環型社会にふさわしく、地球環境問題を悪化させることのない大規模エネルギー供給技術を実現する研究開発に、想像力と冒険心をもって挑戦して行くことが必要であり、これは人類全体のセキュリティにかかる先進国の責任。
  Aこの研究開発投資に関しては、評価基準となる期待利益が、当該技術のみならず太陽エネルギー技術等の研究開発の進展や、経済社会の将来みとおしによって変化すること、開発の進展によって、民間の開発努力に待つべき段階に移行することが適切となる場合があることから、国は定期的に研究開発計画を再評価していくことが重要。


(添付資料)

再生可能エネルギーへの期待と課題

(1)再生可能エネルギーへの期待
  @化石燃料への大量依存は、地球環境問題、エネルギーセキュリティの点から問題。政府は、化石燃料への依存を2010年には75%にまで削減する目標を掲げており、再生可能エネルギーと原子力が期待されている。
  Aわが国の再生可能エネルギー利用は水力発電が最も多く、その一次エネルギー総供給に占める割合は1996年現在で3.4%。他の再生可能エネルギーを含めるとその割合は4.7%。政府は2010年までに7.5%に高める目標を掲げている。
  B再生可能エネルギーには、水力、風力、太陽熱、太陽光、海洋、地熱、温度差エネルギー、バイオマス(廃棄物を含む)などがあり、@賦存量が多く資源枯渇の心配がない、A環境にクリーン、B高い安全性、途絶の心配がないなど、多くの利点がある。

(2)再生可能エネルギーへの課題
  @自然に左右される太陽光発電、風力発電、波力発電による電力供給は、地域性が強く不安定であり、電力系統の電圧や周波数を変動する原因となる。不安定電源が系統の最低負荷容量に対して10%以上の場合は安定装置が必要。また、エネルギー密度が小さく設備費が高い。年間稼働率と発電コストは導入地点の特性に大きく依存する。
  A水力、地熱、バイオマスは、貯蔵可能なエネルギーであり供給の不安定さは小さい。水力と地熱は賦存資源量が豊富だが、残された立地可能な地点は、環境および立地上の制約、送電線の敷設など経済的制約のあるところが多く、今後の大量普及はあまり期待できない。
  B黒液・廃材や廃棄物によるエネルギー供給施設は、水力や地熱のような立地制約はないが、有害物質の発生や悪臭などの問題が残されている。また化石燃料に比べてエネルギー特性が劣っており、資源量も限られていることから、供給力には限界がある。
  C再生可能エネルギーを利用する上での技術課題や経済性は地域で異なり、例えば風力発電の場合、経済的な設置には風況調査が不可欠であると同時に、周辺への騒音や電波障害、渡り鳥への影響なども確認することが必要。

(3)再生可能エネルギー導入に向けた取組
  @わが国の地形は複雑であり風が不安定であるため、ウインドファームとして大量に導入できる地点が少なく、立地点までの資材搬入、送電線の敷設、維持補修なども経済性に大きな影響を与える要因。この対策として、経済的に導入可能な地点の風況調査を精査に実施すると共に、風車の単機出力を1000kw程度に大型化することも望まれる。
  A太陽光発電の大量普及を図るには、今後、家庭や公共施設などへの導入が不可欠。最大の課題は経済性の向上であり、太陽電池の効率化と製造コストの低減といった技術開発の他、設置工法の工夫も経済性を高める上で重要。しかし発電コストが高い現状では、補助金やグリーン料金といった助成策が必要。
  B今後、水力発電は環境保全を重視する中小規模の開発が求められている。地熱発電に関しては、高温岩体のような革新的な技術の開発により、供給力を高めることが期待される。
  Cバイオマス資源として、わが国の森林をすべてエネルギーとして利用すると、一次エネルギー総供給の約10%に相当するが、経済的問題および森林の生態系への影響から、当面は間伐材などの利用が現実的。また、わが国で一年間に廃棄されている一般廃棄物約5000万トン、可燃性の産業廃棄物約2500万トンをすべてエネルギーに利用することにより、一次エネルギー総供給の約4%に相当。循環型社会においても、リサイクルできない廃棄物についてはエネルギーとして積極的に利用していくことも大切。