| @ | 原子力発電は世界のエネルギーの7.4%、電力の17%を供給している。我が国では石油危機後エネルギー供給の経済性とセキュリティを確保する観点から、そして1990年代に入ってからは地球環境問題への対応の観点からも、原子力発電の利用が進められ、1998年には約53基のプラントがエネルギーの13%、電力の36%を供給している。これらはエネルギー供給源の多様化、エネルギー供給に係る温室効果ガス放出量の低減に役立っている。また、この技術は近年にはプルサーマルの実施計画も進められ、循環型社会に相応しい特性を備えようとしている。 |
| A | しかしながら国民は、「もんじゅ」事故やJCO事故の影響もあって、原子力発電の必要性は認めるものの、その安全性に対しては高い不安を示し、さらに高レベル放射性廃棄物の確実な管理体制の実現を求めている。したがって、国及び産業は原子力開発利用活動全般にわたりこうした国民の不安と希望を踏まえて再点検し、所要の制度整備を進める必要がある。 |
(2)中期的視点:新しい環境下における原子力利用のあり方
| @ | 今後20年程度の各国の原子力発電計画を展望すると、原子力発電規模はアジア地域で少しずつ増大するものの、世界全体としては変化せず、従ってエネルギー供給や電力供給に占める原子力の割合は低下していくとの見方が大勢である。この背景としては、世界のエネルギー市場が自由化し、グローバル化し、国境、エネルギー間を超えた再編が起こりつつあることが指摘できる。 |
| A | 注目すべきは、アジア地域では、経済成長率が高いこと、域内における資源賦存量が少ないことから、エネルギー自給率が低下しつつあること、世界各国で自然エネルギーの利用が進められているものの、その規模は小さく、これがCOP3における国際約束遵守の切り札にはなっていないことである。 |
| B | 今後のわが国のエネルギー政策は、この状況を踏まえ、わが国経済の国際競争力を維持するために経済性の観点からエネルギー市場の自由化を進めつつ、セキュリティを確保し、地球温暖化防止に係る国際約束を遵守することを目指して推進される必要がある。 |
| C | ところで、自由化されたエネルギー市場においては、特定のエネルギー技術の実現規模は市場の選択に任せ、政策として決定されるべきではなく、市場において考慮されない可能性が高い環境問題等の公益の確保は、炭素税に代表される税制により市場を通じてなされるようにすべきであり、政府の責任は安全規制に限定されるべきという意見がある。 一方、エネルギー市場の自由化がセキュリティ向上にリンクしている米国と違ってわが国では、セキュリティ確保の観点は、自由化された市場におけるプレーヤーの意志決定には反映されない。そこで原子力や自然エネルギーというセキュリティ確保の観点から自給率の向上に有用なエネルギー源に関しては、省エネルギーの推進、炭酸ガス放出抑制の目標達成をも考慮に入れつつ、供給目標を定め、実現のための政策展開を行うことは政府の責任に属するとする意見もある。 |
| D | この後者の考え方をとるとしても、発電所建設等の民間の投資活動を政府目標に整合させる手段として、現行の電源開発特別会計や石特会計に基づく原子力を含む代替エネルギー開発利用促進に係る諸施策を今後とも推進すべきとする考え方と、電気事業が自由化されることが決まっていることから、このことを前提にした新しい政策体系を打ち出すべきとする考え方とがある。いずれにしてもこうした政策誘導を行う場合には、原子力発電のみならず、省エネルギー、自然エネルギー利用についてもそれらの供給特性について国民の理解を十分に得て、それらに基づく適切な民間投資が行われるよう誘導することが必要である。 |
(3)長期的視点:新しいエネルギー供給技術の準備のための研究開発活動
| @ | 世界の人口の伸び、人々の成長願望を考慮すれば、今後、人類社会が公平性の実現を目指し、環境制約を満たしつつ循環型社会に移行するには、現在利用可能な技術と資源だけではエネルギー供給の面でつよい制約が生じるおそれや南北間に実現不可能なほどの資源の移転が必要になるおそれがある。こうした制約を軽減するには循環型社会にふさわしく、地球環境問題を悪化させることのない大規模エネルギー供給技術を実現する研究開発に、想像力と冒険心をもって挑戦していくことが必要であり、これは人類のセキュリティに係る先進国の責任でもある。 |
| A | この研究開発を推進するに当たっては、各技術候補に対して、その実用化可能性とそれがもたらす利益の関数である期待利益の大きさに応じて研究開発資源を配分すべきである。この観点に立てば、現在は高速増殖炉技術(再処理技術を含む)や核融合技術はこの趣旨に添った有力な候補であるから、大きな研究開発資源が配分されるべきである。勿論、これら以外にも市場拡大につながる小型炉等の革新的アイデアの追及を忘れてはならない。 |
| B | ただし、これらへの投資は、評価基準となる期待利益が当該技術のみならずバイオマスを含む太陽エネルギー技術等競合技術の研究開発の進展や経済社会の将来見通しによって変化すること、開発の進展によって、民間の開発努力に待つべき段階に移行することが適切な場合もあるので、国は定期的なチェックアンドレビューを通じて、それぞれの技術の期待利益を再算定して、研究開発計画をリストラクチャリングしていくことが重要である。 |
第二分科会における「新エネルギーとの比較等エネルギー政策の中の原子力利用の在り方」に関する審議状況の概要について
○「米国のエネルギー戦略と日本の選択」(寺島委員)
○「リスク評価の現状」(飛岡委員)
第3回策定会議で配布された以下の資料の要約版も配布。
○「太陽光発電の現状と将来展望」(策定会議稲盛委員)
○「風力発電の現状と将来展望」(関和市東海大学教授)
(3)第3回会合(11月17日)
○前回の内山委員の発表に関する質疑応答
○また、その他に
(4)第4回会合(12月13日)
(発表後の議論)
○前々回の寺島委員の発表に関する質疑応答
○「エネルギー政策としての原子力を考える」(佐和委員)
○「21世紀のエネルギー戦略」(榎本委員)
○「エネルギー政策と原子力のあり方」(内山委員)
また、事務局より以下について説明/紹介。
(これらの発表後の議論)
(5)第6回会合(2月17日)
○「エネルギーデータ解説」(藤目委員)
(6)第7回会合(3月13日)