H.12‐3‐10(金)
長計第六分科会報告書取りまとめについて
日本原子力研究所 松浦 祥次郎
- 1. 全体構想について
2. 盛りこむべき施策
(1) 今回の長計策定の議論は、全体的なおもむきがこれまでの長計と相当に異なっているように見える。
これまでの長計は、まさに国の原子力政策の大網として、事業計画的観点から、報告書は、「何を、誰が、どのような方法と段階を経て、何時までに実施するかを指示すもの」であったと見られる。(2) 今回の長計は、そのようなスタイルから脱皮することを求められているように考えられる。「計画」という語に適合するには「対象、目的、手段、手順、実施者」を示すべきであるが今回のものは、それ以前に全般的に
@現在及び将来何が問題か、
Aその故に、どの方向に舵を取るべきか、
B今、眼前の問題にどう対処するか
の3点が特に強く問われているのではなかろうか。(3) @とAは関連をもって議論できるが、@・AとBを統一的に、論理整合性をもって文書化するのは、視点、立脚点が違いすぎて困難かも知れない。しかし、そこを工夫するのが今回長計報告書のキーポイントでもある。 (4) 第六分科会は「国際協力」を主題とすることになっているので、「何について」、「何処と」、「どのように」、「誰が」「協力するか」を示すことを期待されているのであろうが、上記(2)のような視点に立つと、まず示すべきことは、以下の3点と考えられる。
@「我が国の原子力を巡る現代及び将来における国際的問題は何か」
A「それに対して、どのような準備をして、どう対処するか、もしくは、し得るか」
B「現時点の国際的課題は何で、将来への動向を予測したとき、どのような選択があり得るか」従って、分科会報告書のタイトルも「国際協力」的なものではなく「国際的課題と取組み」的な意味合いのものの方が適切のように思われる。
- 分科会のこれまでの論議で、考慮すべき課題はほぼカバーされていると考えられる。 問題はそれらをどのような視点で整理して示すかである。
(例) 問題「A」
- 「A」は、我国にとって何時、どれほどの大きさの問題になるか。その根拠は何か。
- 「A」は、a,b,c...国で何時どう言う問題になるか。
- 「A」についての我が国と他国との問題の質・量はどう異なるか。
- 「A」への対処のオプションは何と何とがあるか。
それは時間的にどう変わると予想されるか。- 「A」 としては、例えば次のようなものが重要と考えられる。
- エネルギーセキュリティー ・安全確保/国際規準
- 核拡散防止 ・核燃料輸送
- 放射性物質輸送(特にHLW) ・R&Dの共同推進
- 人材育成 ・地政的位置
- 地域差/産業振興 ・輸出入
- 技術力保持/原子力退潮
- 特に、核燃料物質(Pu)とHLWの輸送についての国際的困難については、その根に国による当該事項のリスク/ベネフィットの大きい不一致があると考えられる。これは「安全であるから受入れよ」ではとうてい済まない問題を含んである。この解決のためのオプションを示すことは今後の重要課題と考えられる。
(以上)