長計第六分科会報告書とりまとめにあたっての意見
舛添政治経済研究所所長
舛添要一「◆プルサーマル
関西電力や東京電力は、1999年中にもプルサーマルを開始するように着 々と準備を進めていたが、9月14日、関西電力は、高浜原発3号機用のMOX燃料について、製造委託先の英国燃料会社(BNFL)による品質管理検査のデータに捏造があったことを明らかにした。MOX燃料は1本の被覆管(ジルコニウム合金製)にペレット約300個を入れて、約3.9メートルの燃料棒になる。MOX燃料のペレットの寸法が、指定されたものより大きいと被覆管を圧迫し、小さいと内部で振動を起こし、最悪の場合には被覆管が割れて燃料が漏れだし、安全性に影響を及ぼすことも考えられるのである。
関西電力は、イギリスに調査員を派遣し、詳細な調査を行っていたが、その結果3号機用のMOX燃料193ロット(1ロットはペレット約3000個)のうち少なくとも22ロットについて、測定データ捏造の疑いがあることが明らかになった。しかし、9月の調査段階ですでに輸送中であった高浜原発4号機用のMOX燃料については、データ捏造がないことを確認している。
BNFLのデータ捏造の報告を受けた東京電力も、MOX燃料製造元のベルギーのベルゴニュークリア社に職員を派遣し、問題がないかを調査した。その結果、「ペレット外形測定データについては、測定したデータが直接コンピューターに取り込まれるシステムとなっており、作業員の転記による不正は生じえないものである」ことを確認している。
「もんじゅ」の事故によって、高速増殖炉(FBR)の実用化が遠のいている現状で、プルサーマルはプルトニウムの利用手段として、大いに期待が高まっていたときに、このデータ捏造問題である。ヨーロッパでは30年以上にわたりプルサーマルの実績があり、安全性にも問題がないことが明らかになっているが、今回のような問題によって当初の計画が遅れるのは残念である。
日本で核燃料サイクルが完成していない以上、プルトニウムの再処理などを海外に依存しなければならない状態は続いていく。核燃料サイクルの確立という目標に向かって努力を続けるとともに、余剰プルトニウムの削減を優先させるべく、多様な政策選択肢を持つことを考えるべきであろう。(完全図解 日本のエネルギー危機(舛添要一著、東洋経済新報社刊)より、149頁〜150頁を抜粋)」「傍線の部分」の意向が反映できれば幸甚です。