平成11年12月10日
科学技術庁原子力安全局
核物質防護対策室

「核物質の防護に関する条約」の見直し状況について

(1)条約の概要
 「核物質の防護に関する条約」(Convention on The Physical Protection of Nuclear Material)(1987年2月発効)は、前文と本文23条及び二つの付属書からなる国際条約である。我が国は、1988年11月に同条約に加入した。
 この条約は、大別して二つの目的を持っている。
 その一つは、締約国に対して、平和利用に使用される核物質で、国際間を輸送されている核物質については、条約の付属書に規定されている防護措置を採ること等を義務付け、核物質の不法な取得や使用を防止することである。
 第2の目的は、核物質に対する犯罪を特定し、締約国に対して裁判権の設定、容疑者の引き渡し、検察当局への付託、締約国間相互での通報等を義務付けることである。

(2)見直しの状況
 本条約の見直しについては、同条約第16条に則り、発効の5年後の1992年に再検討会議が開催された。同会議の最終宣言では、本条約が核物質防護に関する国際協力等に有効であることを認め、特に改正の必要性については言及しなかった。
 1998年、米国政府は現在の国際情勢に鑑み、国際的核物質防護活動の強化の必要性を認識し、関係国政府に、米国としてIAEAが核物質防護条約を改正するための専門家会合を開催することを支持する用意がある旨を伝えた。その後米国から特にフォローアップアクションはなかった。
 本年6月、IAEAより条約の改訂に関する非公式専門家会合の開催について通知があった。本会合は11月15〜17日、IAEA本部において開催されたが、会合の概要は別紙のとおりである。

(3)国内の対応措置
 現在本条約の改訂については、IAEAにおいて専門家による検討が行われている。
 科技庁としては、今後ともIAEA及び関係各国の状況の把握に努めるとともに、関係省庁と緊密な連絡をとりつつ対応を図ることとする。


別紙

「核物質防護条約改訂」非公式専門家会合の概要

1.日時1999年11月15日〜17日

2.場所IAEA本部(ウィーン)

3.出席者 日本:栗原核物質管理センター理事(科学技術庁参与)
  参加国 米、英、仏、独、露、加、豪、中、ベルギー他(38カ国)

4.議題
 会議冒頭、議長が各国参加者に発言を求めたところ、大多数の国が、条約改正を検討する前に「英、仏等5カ国提案」に基づき核物質防護に関する国際的な現状の調査から開始すべきとの意見であった。このため、本会合は、以下の「英、仏等5カ国提案」の内容を検討することとなった。
  (1)核物質防護に関するIAEAの活動レビュー
  (2)加盟国の核物質防護に関する援助計画の調査
  (3)核密輸の現状に関する分析

5.結果及び今後の予定
 本専門家会合の下部機構として、ワーキング・グループ(WG)の設立が合意された。WGは、今後18ヶ月以内に検討を終了し、その報告と勧告を本専門家会合に報告することとなった。 WGの検討範囲は以下のとおり。
  (1)援助と訓練計画の目標の設定
  (2)これらの計画の拡大
  (3)新しい方式の援助計画の示唆
  (4)核物質防護条約加盟国拡大の方策
  (5)IAEAの勧告INFCIRC225に関する総会決議の有効性の検討
  (6)核物質防護条約改訂による問題の解決
  (7)その他核物質防護の効果的実施の知識・信頼性を向上させるための施策の検討

 なお、本WGは、2000年2月及び4月にIAEA本部で開催されることとなった。