長期計画第六分科会(第2回)議事概要
1.開催日時:1999年10月7日(木)10:00〜13:00
2.開催場所:科学技術庁 第1、第2会議室
3.出席者
委員:
下山座長、田中座長、相澤委員、青木委員、岡本委員、栗原委員、黒澤委員、千野委員、十市委員、長瀧委員、日浦委員、松浦委員、舛添委員、松浦委員、真野委員
原子力委員:
藤家原子力委員長代理、遠藤委員、依田委員、木元委員
説明員:
宅間日本原子力産業会議常務理事
科学技術庁:
中澤審議官、中野国際協力・保障措置課長
通商産業省:
五嶋通商産業省原子力産業課企画官
外務省:
北野外務省科学原子力課長
4.議題
(1)開会
(2)前回欠席委員からの御発言
(3)最近の国際情勢に対する認識
(4)我が国の原子力分野における国際的対応の地域的展開について
(5)その他
(6)閉会
5.配布資料
資料1
長期計画策定会議第六分科会(第1回)議事概要
資料2
第六分科会第1回会合において指摘された論点の整理
資料3
原子力を巡る海外動向
資料4
原子力を巡る最近の国際情勢について
資料5
気候変動に関する国際連合枠組条約及び京都議定書 これまでの経緯と今後の見通し
資料6
核軍縮・核不拡散に関する政府の立場及び枠組み
資料7
アジア諸国との原子力協力の現状
資料8
アジア原子力協力に関する論点
資料9
長期計画の予備的検討において指摘された論点(抜粋)
資料10
第六分科会(新しい視点に立った国際的展開)の検討の進め方(改)
資料11
第43回IAEA通常総会等ついて(結果概要)
資料12
(株)ジェー・シー・オーの核燃料加工施設の事故について
6.議事の概要
(1)開会
下山座長より、本日の議題(最近の国際情勢の認識と、アジア地域の問題)の説明と、その審議に入る前に、JCOの事故の状況について事務局より説明し、本件に関する委員の発言を頂く旨発言があった。
(遠藤原子力委員)
JCOの事故は不幸にしておこったが、現在行政府と安全委員会で対応している。この事故は中・長期的に原子力委員会としてどのように原子力政策を進めるかという問題に影響する。現在審議中の長期計画にどのように組み込んで反映していくか、第六分科会の国際協力についても反映したい。本日は科学技術庁の説明をまず聞き、とりあえずのコメントをいただきたい。
資料12にもとづいて発生場所、被ばく者数、各省の対応、諸外国への対応、今後の対策などを説明した。
以下、各委員からの発言があった。
概要は今の説明の通り。私は12:30頃に通報を受けていた。当該施設で約20%の濃縮ウラン燃料を扱っているとは知らなかった。原研の那珂研究所で中性子線の測定ピークが観測されていたので、間違いなく臨界事故と判断した。すぐに東海研究所に最大限の助力をするように指示した。
今回の事故に係わる被ばく者数について記載する場合は、臨界停止のための水抜き作業に従事した作業員30余名についても記入すべき(正確には、作業中の被ばく者は24名。それ以外の被ばく者は69名)。
事故終息の後、強く感じたが、事故が東海村で発生したので関係専門機関間の連携がうまくいった。今後、他の場所で事故が発生したとしても、機関間の連携がうまくいくよう努力すべきである。
原子燃料工業(NFI)では、JCOから粉を貰って、機械・成形加工で燃料を作っている。現地で協力体制を組むのは必要である。原子燃料工業では、濃縮度3〜5%、形態は、JCOが化学処理、NFIは機械加工であり、きちっと計量管理が出来る体制である。また、NFIがルーチン作業であるのに対し、JCOはスポット的な作業であり、ヒューマンエラーが入りやすい。
防災体制については、NFIも直ちに科学技術庁中心に緊急の検査を受けている。神戸地震の経験を踏まえ、地震・火災について防災の見直しを行った。原子力ではいかなる災害が発生しても、周囲に影響を与える。事故は、周辺への連絡体制など外との関係が大きく、連絡・通信等を中心に、年2回は緊急事態の検討を実施している。今後は企業自身としても対応を考える必要がある。今後とも行政からのご指導をお願いしたい。
事故について、報道以上の情報は持っていない。事故の後の電気事業者の対応を紹介すると、現地への支援として、約670名を派遣するとともに、資機材の提供をおこなった。原子力産業全般の中での事故として、今後議論されていくと思うが、安全文化について、原子力産業の中で不揃いがあった。今後どう直していくか話し合いたい。電気事業者は改めて身の回りの安全管理を確認している。
事故時米国の甲状腺学会に出席していたが、すぐに学会として何か出来ないかという議論になり、要請により学会会場から日本の数カ所に電話して、日本は適切な処理を行っていると信ずると報告し、それが学会のホームページに発表された。学会の性格から放射性ヨウ素の放出はあったかと度々聞かれたが全く情報はなく苛立ちが感じられた。日本の責任有る情報の流通をもっと早く国際的に入手できると良い。
原子力発電所の安全規制は目に見える形でまとまってきたが、末端の加工事業者への目配りがなかったのではないか。ある新聞では、「開いた口が塞がらない」と形容した。当初から推察されていたことではあるが、何年にも渡って手抜き作業が行われていた。この間にうわさでもこのような作業が行われているらしいという情報も科学技術庁には何故伝わらなかったのか不思議である。申請通りやっているだろうとする信頼があれば良いがそれが成り立っていなかった事実を直視しなければならない。
アジアの原子力事情にも関わるが、木元委員と現場を見てきてこれでは危ないねと話していたが、日本が事故を起こして国際的な信頼性を失ってしまった。
国外への情報発信であるが、既公開分については、原子力安全局とIAEAとの間の取極に基づく報告義務のある事故ではないが、このネットワークでIAEAに流していた。これが、10月1日のIAEAのテクニカルミーティングの報告にも反映されている。また、国内公開資料は、外務省から在外公館に同時に流していた。科学技術庁のホームページでも掲載して、多数のアクセスがあった。
ウラン加工施設の指針の10、11を見ると、技術的に臨界が起こらないこととなっているが、人為的に悪意を持って行なった場合にどうするのかという問題が残る。今後同じくらいの重要度を持って新しい防災の設定を臨時国会で行なうこととなっているので加工施設についても厳しい基準が適用されるものと考えている。
今回判明したこととして、危機管理が出来ていないことがある。退避に5時間かかること、中性子の計測に5時間もかかることなど、市町村も含めて危機管理が必要である。対外的には情報の流通が遅れている。例えば資料12が公電から入手した情報しかないのは論外である。この程度の情報で有れば、インターネットでもっと早く入手が可能である。また、外国メディアを取り上げる場合、日本と同じような立場のフランスのマスコミの対応を記載しなければ資料としての価値がない。
フランスのTVで放映された現場技師の意見には参考となるものもある。今回の処理は、廃棄物の処理であり、いわゆる3K(汚い)作業である。汚い作業では、モラルの高い人がやらないのは当たり前であり、そこまで考えて対応すべきであると言っている。海外のマスコミには間違いもあるが、個人のレベルで1つ1つ直すのは困難。システムとして確実に指摘し訂正していく体制が必要である。
情報は報道でしか知らない。最初は怒りを覚えたが、だんだん救われない気持ちとなった。これは事故というよりも犯罪、それも個人のサボタージュではなく、組織ぐるみの犯罪ではないか。それでは、JCOのみが犯罪者であるかというとそうではなく、日本人全体が多かれ少なかれ持っているものではないか。破綻した金融機関も都合の悪いことはディスクロージャーしない。表に出さざるをえなくなると謝罪する。しかし、これは形式的なものであり、依然として隠し込む。日本の文化に入っているものがドラマチックに不幸な形で出たものがJCOの事故ではないか。
今後は規制のみではすまない。テクノロジーを支える人間が、ルールを守ることが出来なくなっている。会社ぐるみで守らないのであるからどうしようもない。安全保障で米国の核を見てきているが、米国では、学校でうそを言うのはいけない、人が見ていないからといってやってはいけないという倫理教育や、制度の元で一人一人がルールを守らなければならないというモラルを持っている。先ほど「開いた口が塞がらない」との指摘があったが、この事故をアジアにどのように説明するか。JCOが一つのエピソードならよいが、既に日本の破綻金融機関の先例を世界が見ている中で、日本人はルールを守らない、ルールを守れない日本人が原子力をやる資格があるのかという議論になる。行革が重なるので、テクノロジーと教育について、良く議論する必要がある。
1991年に関電のECCS初めて作動したときに、美浜原子力発電所では、マニュアル通りの作業がうまくいかず、手作業で作動させ、緊急事態を回避したという事例があった。今回の事故とは全く逆である。システム全体を理解している人がいれば、マニュアル通りにうまく動かないときにも対応することができるが、今回はどうか。関電はうまくいったのであるから、これと今回の事故を対比すべきである。
私は通産省で保安課長をしていたが、ルールを自分で作るという経験が日本人は少ない。いわれたからやる。出来上がったものを押し付けられているという感じでは真の遵法精神は育たない。現実に合わなくてもルールを変えることはやらないし、本当はこうした方がよいという提案がない。ルールを作ることに参加するという感覚が弱い。技術進歩や実体に即してルールに客観的な安全性評価を加え、改善していく自発的努力が必要である。
本件に関連して、今朝8時のTVの収録で、事前にTV局より科学技術庁が今度の事故の国際尺度を4から5に上げるとの情報があった。急いで確認したが、科学技術庁には24時間対応する場所がなく、規制課の人に調べてもらったがはっきりしなかった。ここで確認して貰いたい。
国際尺度をレベル4としたことについては、最終的には影響度評価委員会で決める話であるが、内外の諸情勢を踏まえて科学技術庁が暫定的に定めたもの。現在、科学技術庁がレベル5に変更するよう検討しているという事実はなく、また、方針を変更したという事実もない。
(2)前回欠席委員からの御発言
第1回分科会を欠席された委員より、前回分科会での他の委員の発言振り等も踏まえ、本分科会に臨むに当たって下記の発言があった。
原子力には門外漢である。平成9年度に、もんじゅの委員会で初めて参加した。米国でチャレンジャーが溶接の不備で事故を起こし、乗員全員が死亡したことがあったが、米国はその事故を乗り越えて研究開発を続けている。日本では原子力船むつもそうだが、もんじゅのナトリウム漏洩事故が、事故隠しはともかく、日本の原子力の発展を阻害してはならないという信念を持っていた。ただ、科学技術の発展というときに人智の発展とどのように整合性をとるべきか考えている。
日本のGNPは40年で40倍になったが、中国は当時の日本の成長を上回るスピードで成長している。中国の人口は12億5千万人といっているが、一人当たりの資源の消費量がGNPに比例すると仮定すると、今から40年後に40倍の資源を消費するとして、500億人分の新しい消費が発生することとなる。この新たな人口の消費に対応するための回答は、私は原子力しかないと考えている。このハイテクノロジーを支える教育、意識、民度が上がらないとアジアでの原子力は苦しい。
米国では、核に携わる人々は、厳しい職業意識を持ち、安全性の重視と厳しい教育の元に何重もの保障措置を受けている。経済発展に伴いアジアでの原子力利用が延びる時に、どうやってアジアに原子力を持ち込むのか、この分科会で議論を行ないたい。
前回の分科会では、核不拡散に多くの関心が集まっているが、現状のNPTは、いわばNPT屋さんと呼ばれる人々が、彼らの狭い世界の中だけで解決しようとしている。世界の中で一番日本がインドを激しく批判して、インドとの関係を悪くしてしまっている。NPT屋さんは、日本が核の被爆国だから当然と合理化するが、果たしてそれが本当に日本の国益となるのか。
日本の目的が究極的な核廃絶であれば、NPTというステップとしての必要悪は認めるとしても、NPTの擁護のためにインドをP-5(核保有国)以上に批判し、必要以上に攻撃するのは、合理的なのか。私は、東アジアに非核地域があっても良いと思っており、その時には核の傘から出ても良いと思っているが、そのためにはまず東アジアから核を全廃する必要があり、そのためには、北朝鮮の核だけでなく、中国の核の廃絶を要求する必要がある。それが実現すれば、日米安保の傘から出てもよいと思っている。
核不拡散は日本が何の国益を求めるかによるが、いたずらにNPTの外形的なことから外れたものをたたいていくだけでは日本の行く道ではない。
自分は核不拡散に長く携わってきたが、前回の分科会でも多くの方々が本件に関心をもっているようだ。核不拡散には技術的問題と政治的問題、日本が核兵器を保有しないというPassiveな面と世界的な核不拡散をどう進めるかというActiveな面があり、皆様の色々な意見をうかがっていきたい。
余剰プルをどう扱うか、プルサーマルは現状で進めるべきと考える。問題は使用済み燃料の処理である。当初の計画通りであれば、使用済み燃料は余らなかったのかもしれないが、今や使用済み燃料を再処理しないというオプションも考えられる。
高レベル廃棄物の処分などで国際協力により、人のいない所に処分することについても考える必要がある。
ドイツ、フランス、英国では、政権が労働党、社民党であり、緑の党を入れている。日本は欧州とアジアの中間にあるが、JCOの事故により、日本はアジアのリーディングカントリー足り得なくなった。エネルギー需要が急増するアジアで原子力をやりたいという国に原子力をやるなとはいえない。
立地PAについては、原子力にとどまらず火力についても難しくなっている。巻町長の対応を見てもわかるとおり、PAは困難であり、この対策は政治レベルも含めて解決不可能ではないかと考えている。この状況を国際協力で覆すことが出来るのかという点について、問題意識を持っている。
(3)最近の国際情勢に対する認識
遠藤委員より、原子力をめぐる国際状況について以下の説明があった。
(遠藤原子力委員)
原子力をめぐる国際状況について私見を述べる。まず一般論として原子力の軍事・安全保障の面では、以下の状況がある。
米露、特に露の核管理面での能力の低下。
米露の核弾頭の解体、特に露の核弾頭の解体。
インド、パキスタンの核兵器保有。1974年のインドの核実験では、インドは平和利用目的の実験と説明していた。今回は核兵器と認めている。これはNPTへの外部からの挑戦である。
NPT内部からの挑戦として、北朝鮮、イラクがある。イラクはほぼ問題なくなったと考えるが、一方で北朝鮮については、KEDOにおいて、主要な機器を入れたときに保障措置を完全に受け入れるとしているが、この「完全に受け入れる」の意味合いがはっきりしていない。
原子力の平和利用分野については、以下の状況がある。
西欧
EU統合でインフラ、送電の整備が進んでおり、フランスの電力の14%はイタリア、ドイツ、イギリスに輸出され、規制緩和に伴い統一市場が整備されつつある。
安い天然ガス利用が増大している一方、原子力は初期投資が高く、新規建設はない。
緑の党がキャスティングボートを握ることが多く、ドイツの原子力は昏迷状態。
スウェーデンの脱原子力もはっきりしない。
1990年のCO2排出量の8%削減をどのように達成するのか不明。
結局、西欧はエネルギー政策をもっていないように感じる。
北米
環境問題等の影響はなく、主として経済的な問題から、新規投資の高い原子力でなく、他の電源に向かっている。
CO
2
排出量の問題については、米国は露国から排出権を買うともいわれているが実体は不明
償却の済んだ原子力は利用を進めている。
DOEが中心で新たな原子力技術開発(NERI)が萌芽している。これをどのように評価するか。
露・東欧
露では核解体が進んでいる。
東欧では原子力への依存が高いが、旧ソ連型の原子炉について、今後どうするかという問題がある。
アジア
中国、韓国、台湾といった原子力利用国とベトナム、タイ、インドネシア、フィリピン等の将来導入を考えている国の両方が存在。
共産党独裁のベトナムがPA問題がないので早いかもしれない。
最後にIAEAでは相変わらず米露が中心となって核不拡散体制を動かしていることを紹介する。IAEA総会の演説で米国エネルギー省長官のリチャードソンは、「再処理が全てではない。既存のコミットメントは認めるが、兵器用Puを生み出す再処理は控える」との発言があった。
ロシアのアダモフ原子力大臣も公開の場で、米国と同じ論調の演説を行なった。私は、日本は核不拡散を大前提として再処理を実施するつもりであると考えているがどうか、と質問したところ、アダモフ大臣は問題なのは余剰Puであると説明していた。
先週ウィーンで参加した、IAEAの科学フォーラムでは、突然、使用済み燃料の国際貯蔵の動きをどう考えるかとの質問が出てきたが、私は次の3点について発言した。
@放射性廃棄物安全条約では、原則、廃棄物の発生国が廃棄物の面倒を見ることとしている。
A他国にゴミを預けるのは、倫理的に問題有り。
B仮に今、他国が廃棄物を受け入れたとしても、将来その国の政権が受け入れない場合、あるいは自分のものと主張する場合、問題が発生する。
(4)我が国の原子力分野における国際的対応の地域的展開について
続いて、十市委員より資料4に従ってエネルギー・環境問題の現状と今後の途上国への適用の説明があった。また、宅間説明員より、資料8に従ってアジア地域における原子力協力について説明があった。これに関する委員の御発言は以下のとおり。
アジアの原子力協力で日本の担う役割は大きい。35億人が住んでいて、エネルギー、食料を消費しており、将来、アジアのために世界が困窮する可能性がある。アジアで自己完結すべきであり、他の大陸に迷惑をかけるべきでない。リードする国は日本しかいない。人間の生活を豊かにしてきた科学技術の発展についてアジア諸国が世界に貢献した部分は少ない。原子力こそ日本の英知を結集してアジアの域内での協力体制を拡充してやっていくべきである。
アジア諸国は金がない。経済性が安全よりも優先する。これをどうとらえるか。アジア協力を進めるのは良いが、金をどうするのか。もう一つの整理点は、他にも波及することをどう考えるか。ロシアの軍事Puとの関係をどう捉えるのか。輸送問題、廃棄物の輸送問題への支援、他の原子力先進国がアジアに対しどう動くのか、これと協力するのか単独で行くのか等である。
これから原子力開発を進める国では研究者・技術者の育成が重要となってくる。日本の研究炉は原研・サイクル機構・大学が運営してきたが、その大半は老朽化しており、財政状況の厳しさ等もあって、このままでは縮小を迫られるであろう。この分野の研究者育成についての海外からの要望について今後どうするかを議論し、必要とされる研究炉を維持・管理できる枠組みを整備すべく方向付けしていく必要がある。
アジアの途上国は官が強いと言われているが、全ての分野の官が強いのではなく、概して開発部門は強く、規制部門は弱い。本来、この両輪はともにしっかり機能する必要があり、バイの協力の枠組み等を活用しつつ、日本が支援する必要があると考える。
研究者への支援、カルチャー醸成の支援協力の側面をどう考えるか。本日の委員会の(JCO臨界事故に係わる)議論の中で、日本の現状に対し随分悲観論もあったが、実態論として、我が国がアジア各国にとって有益なものを多く有している筈であり、セーフティーカルチャーの醸成に向けた助成など、シッカリと実施していく必要がある。かつて日本は米国の10年後を追っていると言われた時代があり、当時、米国から多くのことを学んで役立ててきた。アジアの途上国が日本の10年後を追っている時代であり、今度は日本がこれらの国々に必要な支援を行う番であろう。但し、先方が支援を希望する事項に再処理など国際的な協議が必要となる案件もあり、それらについては欧米主要国との協議・協調が、支援協力の前提となると考えるべきであろう。
原子力の枠を超えるとアジアとの協力の中で以下が議論となる。
二国間かマルチか
ASEAN等、既存のアジア協力の枠組みの中で原子力協力をどう位置づけるか。
我が国の外交政策の中でどう位置づけるか。ODAの中で環境エネルギーの地位は低い。
台湾への視察で民間レベルの交流はうまく言っているとの印象を得た。JCO事故で日本のクレディビリティは低下した。台湾と中国の関係がクリティカルである。我が国の国際協力活動全体の中で、原子力協力がどう位置づけられるのか、考えるべき。
健康について議論したい。アジアの或る国で原子力発電所ができるときのシンポジウムで原爆の健康影響を紹介した時、ノーベル賞受賞者にそれは被爆者のヒステリーである。科学的根拠が何処にあるかと質問された。被ばくの健康影響の科学的な研究は日本の科学者の義務として行動してきた。最近は緊急被ばく医療に関する研究会を立ち上げ、今年の研究会には、IAEA、WHOの代表、科学技術庁、厚生省の方も参加された。日本では、燃料再処理、燃料濃縮などの緊急被ばく医療対策が不備であると提言してきている。
アジアについては、原子力協力に際し、日本が世界で最高の水準にある放射線の健康への影響及び放射線防護に係る知識、技術もパックとして輸出すべきである。
アジアとの協力について、日本がどうかかわるかは、東チモール問題とも本質的に共通する。日本が東チモール問題にこれだけコミットしていながら、何故世界から失望されているのかというと、日本は相手の事情が分かるあまり、問題に深く踏み込めないことによる。相手に配慮するのは分かるが、安全については厳しく見ていくのが日本の役割である。原子力以外でも、インドネシアの森林火災についてASEANは共同で取り組めなかった過去がある。ASEANと日本は種々の枠組みで協力している。内政干渉として問題となるかもしれないが、安全は譲れないとして、厳しいスタンダードを構築すべきである。
協力の枠組みとしてどのような枠組みを考えるべきか。バイ、リージョナル、国際機関の一部を使うのか、従来の枠組みを使うのか等、協力の目的に応じて枠組みを考えるべき。
原子力平和利用には核兵器の危険が付きまとっている。冷戦構造の影響が最も残っているのはアジア地域である。朝鮮半島では、KEDOが核不拡散と平和利用を結びつけた例となっている。また、インドやパキスタンでは平和利用と核兵器開発を並行で行なっている。日本は原子力の透明性に貢献すべきである。
エネルギーについてAPECでは、政策対話を始めている。協力をどのように醸成するかが問題であり、原子力は扱われていない。石油の備蓄については、中国が問題視している。コストをどう考えるか、資金の不足から中国でもエネルギー開発に外貨が必要であり、ルール作りが重要である。原子力も外貨が入らないと出来ないので、APECの利用が考えられる。
昔、アジアは一つといった人がいるが、アジアは多様性があることを理解した。各国で受け入れやすい技術システムを持って協力する。
技術開発の進め方については、国際情勢のニーズ、制約に合わせて考えることもあり得るのではないか。例えば、アジアで重宝されるものとして、ワンススルーで安全でコストが低く、資源的にも長期に使える原子力システム等、技術開発の方向性について、当分科会より他の分科会に提案をすることも考えるべき。
協力する目的は何か、これで枠組みは変ってくる。原子力発電以外のニーズがアジア各国にあるのではないか。
原研における、今までのアジアとの研究協力は発電ではなく、放射線利用が殆どである。米国のUntold Storyによると1995年の米国のRI放射線利用の売り上げが331Billion US$であるのに対し、原子力発電の売り上げが90Billion US$であるとのことであり、アジアではRI放射線利用の比率はもっと大きくなるのではないか。アジアでは、近代技術システムとしてRI放射線利用を手伝うのは意義がある。
アジア協力における、原子力発電についてどう位置づけるか考えている。赤福餅を自分が作っているから、相手も食べろというのは如何か。97年のお話であるが、山火事が消えないことがあり、お金持ちは避難したが、山を焼くのを止めるのが先決であるということとなった。しかし、CO
2
を排出することがダメだからといって山火事を止めるのに「原子力」とはならない。科学技術庁は赤福餅を作っているところだから、アジアに赤福餅を食えというのはずれている。原子力発電はオプションの一つであり、下手すると押しつけと取られかねない。核不拡散は重要であるが、原子力発電でアジア協力は考えた方がよい。
アジア地域を含め世界全体のひとが、平和に、安全に、そして幸福に生活出来るというのが本来の目的。国の施策もそのためになされなければいけない。社会の中で、エネルギーというのは人間でいうと血液にあたる。ないとどうしようもない。その血液を確保するのに日本では原子力を重要な一部分であるという。それでその利用を進めるわけだが、その場合2つの保険をかけておくことが必要。1つは国内保険。これは原子力の安全性の確保で、これなくして施設の地元住民、ひいては日本国民の同意は得られない。もう一つが国際保険。これが核不拡散の担保で、このことが諸外国に理解してもらえないと日本の原子力開発が疑惑の目で見られ、うまくいかない。
原子力発電の経済性、立地、需要など自由な意見表明のある国ではいろいろな選択がある。アジアでは自由な意見が妨げられているが、そこで原子力がうまく行くのか。アジアでは通貨危機をきっかけに体制が崩れている。色々オプションのある中で、定着していないものを積極的に提供すると、とんでもないものを押し付けられたと思う人が多いのでは。
原子力発電をアジア協力でうち出すのは、国内で良く検討されたのか。アジアの経済協力として明確に位置づけられていないのではないか。
政府レベルの協力は、現状、人材育成等ソフトな協力が実体である。多国間協力を進めているが、RI利用等、非原子力発電の協力がメインである。原子力関連機器の資金面での助成、貿易保険の制度はある。
資料7の33ページに記載のあるとおり、アジアとは特定していないが、輸銀の融資制度、貿易保険等があり、原子力発電プラントについてOECDで金利などについての国際ルールがある。貿易保険については、商業ベースで判断する。かって総合エネルギー調査会原子力部会で議論を行い、プラント輸出については、輸出先国の安全性をチェックすることとした。ただし、安全の責任は最終的には各輸出先国にある。
発電分野の協力について、現状では、日本は泰山の圧力容器とKEDOの10億ドルがある。アジアの中では日本の意図とは関係なく、中国、ベトナム、インドネシア、タイが原子力発電を持つ意図を持っており、これに欧州、カナダが動いている。これを放置するのか否か、どうせなら日本が乗り出してゆくべきではないかとの議論もある。いずれにせよ議論して欲しい。
向こうから要請があれば、援助するという原則であればよいが、特別推進すべきテーマであるのかどうか疑問。
宅間説明員の資料は全て受け身であるが、第1回の分科会で、日浦委員より、原子力発電の協力を積極的に進めるためには、条件整備しないとだめとの発言があった。そのあたりを説明いただきたい。
中国、ベトナム、タイなどは、赤福餅を勧めなくても自分で食おうとしている。秦山一号では、自分で開発した圧力容器内で問題が発生している。安全に対しては、欧米に比べて日本の方が良く配慮しており、実績もある。日本は安全な機器を提供できる。先方は赤福餅を食べようとしている。基盤整備など相手のレベルを上げ、規制にも協力をすることが必要である。
協力は受け身であるべしという意志は込めていない。アジアで原子力発電が進めばよいと考えているが、原子力発電に特化すると権益が生まれてしまう。原子力に関する基盤が出来て、その結果として原子力発電が出来る、それを支援出来ればよい。
APECの第1回エネルギー閣僚会議を取材したが、アジアへの原子力協力、進出に、民間企業は積極的な印象を受けた。インドネシアでは、スハルト政権時代にムリア原子力サイトのF/Sが進んでいた。政権転覆で今はそれどころではないと思うが、取材を通じて念頭におくべきと思ったのは、原子力にはまだまだ、アカウンタビリティとトランスペアレンシーが欠けているということだ。
アジアをどうするか。アジアは多様であり、ASEANと中国では違う。本日は時間が足りなかったので、また次回も本件を少し議論したい。
(5)その他
事務局より、資料12の7ページ「別紙5」の記載、「JCO西側敷地境界近くにあるゴルフ練習場の建設現場で、」の文章から「ゴルフ練習場の」の記載を削除する旨発言があった。
(6)閉会
第3回会合は11月11日、場所は第2回と科技庁2階第1、第2会議室で開催する旨連絡があった。
下山座長より、発表委員の都合で第3回と第4回会合の内容を入れ替え、次回は黒澤委員、栗原委員に核拡散についてのPoint of Discussionをお願いする旨発言があった。
以上