長期計画第六分科会(第1回)議事概要
1.開催日時:1999年9月10日(金)14:00〜16:30
2.開催場所:機械振興会館6階66号室
3.出席者
委員:
下山座長、田中座長、相澤委員、青木委員、草間委員、栗原委員、千野委員、十市委員、長瀧委員、日浦委員、松浦委員、真野委員、渡邊委員
原子力委員:
遠藤委員、依田委員
科学技術庁:
興原子力局長、中野国際協力・保障措置課長
通商産業省:
古谷原子力産業課課長補佐
外務省:
南科学原子力課首席事務官
4.議題
(1)予備的検討に関する調査報告書について
(2)国際協力推進の理念について
(3)第六分科会の検討の進め方について
5.配布資料
資料1
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画の策定について(平成11年5月18日 原子力委員会決定)
資料2
長期計画策定会議の分科会について(平成11年7月2日 長期計画策定会議)
資料3
長期計画策定会議第六分科会構成員
資料4
第六分科会の検討の進め方(案)
資料5−1
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月24日 原子力委員会決定)
資料5−2
原子力平和利用国家としての国際貢献と核不拡散体制維持・強化への主体的な取組み(平成6年6月22日 原子力委員会長期計画専門部会第三分科会)
資料6−1
原子力研究開発利用長期計画の予備的検討に関する調査報告書(平成11年3月 (社)日本原子力産業会議)
資料6−2
原子力研究開発利用長期計画の予備的検討に関する調査報告書(資料編)(平成11年3月 (社)日本原子力産業会議)
資料7−1
原子力政策円卓会議における意見の整理(平成8年4月〜平成11年8月)−中間とりまとめ−(平成11年9月 原子力政策円卓会議事務局)
資料7−2
原子力政策円卓会議資料集(平成8年度)(平成8年10月 科学技術庁原子力局)
資料7−3
平成10年度 原子力政策円卓会議 論点と提言(平成11年4月 原子力政策円卓会議事務局)
資料8
原子力国際協力のあり方及び方策について−新たな展開に向けて−(平成10年9月7日 原子力委員会原子力国際協力専門部会)
6.議事の概要
(1)開会について
下山座長より、策定会議の那須座長の指名によって、田中座長とともに共同座長に就任した旨の発言があった。
(2)座長挨拶
(下山座長)
30年以上原子力発電にどっぷり漬かっているため、長計分科会の座長には望ましくないかもしれないが、反省もこめて座長を引き受けることとなった。是非座長をお願いしたかった田中座長が共同座長を引き受けて下さることとなり、新しい視点から原子力の国際問題を考える。他にも岡本委員、舛添委員等原子力の外側からご意見をいただけると期待している。
6つの分科会を見ると第一から第五までは自己完結しているが、第六分科会で議論する国際協力はそれぞれの分科会に関連する。また、国際協力は相手のある話でもあり、自分の思い入れだけでは何もならない。また、本部会の着地点については、私としてはノーアイデアである。私の役目は座長であって分科会長ではない。如何に原子力の国際協力を活性化するか、皆さんの意見を誘発したく、自由に闊達な意見交換をできるようにお手伝いをすることと思っている。
事前に(一週間前を目途)資料を配布するので、この場では議論を重視したい。配布資料にあるように、過去何度か原子力の国際協力の委員会があり、問題点は既に言い尽くされている。1つでも2つでも良いから、具体的に何が出来るかをこの分科会の議論の中から生みたいと考えている。とりまとめ、着地点を意識せず発言して欲しい。 (田中座長)
座長をお引き受けしたが、前々から日本の国際社会への参加の仕方には色々欠落があると考えていた。今の軍事情勢からも日本を取り巻く環境は危ういと考えている。国民にも外国の人にも何らかの形で日本が国際社会に貢献していることを見えるようにする必要がある。
感じていることは2つあり、いわゆる保守派と革新派の発想の中に問題があると考えている。
いわゆる保守派は日米安保ガイドラインの改定で我々の安全は高まっていると考えている。しかし、北朝鮮の核疑惑では、ガイドラインではなく、米朝の結果を待つこととなった。迎撃ミサイルの開発に時間がかかるとすれば、北朝鮮のミサイル問題が新たな軍拡を引き起こす。手っ取り早くは核弾頭の数を増やす方向に行く。中国の核弾頭数は伸びていき、更に複数核弾頭の開発に進むと予想される。米国の軍事筋でも北朝鮮のミサイルがアジアの軍拡に結びつくと警戒している。日米安保だけではこれらの日本の周辺ですらも対応困難である。
もう一つ議論すべきは、革新派の核廃絶のみを目的とする考え方である。核廃絶と並んで核拡散をいかに防止するかが重要であり、この点の日本の国際社会への貢献は目に見えない。
日本では役所が国際社会に対応しており、国民には下りてこない。例えば外務省は日本の安保常任理事国入りが最重要案件となっているが、北朝鮮の核疑惑について、中国と組んで阻止することも出来ず、インド・パキスタンの核実験についても何も出来なかった国が、金を出しているからと常任理事国入りすべきであるというのは全くの誤りである。金銭的貢献が大に付き常任理事国の席が欲しいというのは何かかけ違いがあり、周辺国から冷淡に見られている。
国際社会への対応を役所にまかせるのはではどうにもならず、役所に依存しないことが必要である。我が国には原子力発電等人材も豊富と考えており、蓄積された人材、技術を新しい視点から編成し直して周辺国から見える形で結実させることが必要である。
周辺の現実を見て原子力の世界に、新しい窓を開けるという議論が行われ、何かが出来ればよいと考えている。今回座長を引き受けたのは、この視点から日本・周辺の原子力・核のあり方を勉強してどのような形があり得るのか考えるためである。具体的にどのような貢献が出来るのか定かではないがよろしくお願いする。
(3)原子力委員挨拶
(遠藤委員)
この分科会に希望するのは、
新しい国内、国際情勢を踏まえ、お経でない、使えるガイドラインを示す。
この分科会は他の分科会の国際協力関連事項が関係する横断的な分科会であり、他の委員会での議論との重なりを気にせず議論して欲しい。また、自分としても参加者の一人として議論に参加したい。
(4)新しい長期計画策定に係る概要説明
興原子力局長より、資料1及び資料2に基づき、策定会議及び分科会の設置の経緯及び長期計画の策定に当たっての基本的考え方について説明があった。また、事務局より、配付資料についての説明があった。
(5)予備的検討に関する調査報告書について
下山座長より、資料6-1「原子力研究開発利用長期計画の予備的検討に関する調査報告書」、資料6-2「原子力研究開発利用長期計画の予備的検討に関する調査報告書(資料編)」を基に、下記の説明があった。
(下山座長)
予備的検討に関する調査報告書では、国際協力の論点の整理をした。参加者の頭にあったものは、国際協力専門部会の報告書、前回長計第三部会の報告書で課題、問題点は殆ど網羅しているが、もう少し重要なポイントをしぼり、またタブーを置かず問題を議論する必要があると考えた。そのための現状認識としては、例えば、
解体核弾頭の高濃縮ウラン、プルトニウム処理処分は対応しなければならない現実の問題である。
地域の状況の把握が必要であり、「地球温暖化→原子力」の図式のみではダメ
アジアに対する贖罪的原子力協力は本当にその意味があるのか
国際協力、国際貢献という言葉には何か違和感がある。協力とは、やりたくないが断れないからやるといった発想があり、いっしょにやっていこうという考え方がない。・原子力には、エネルギー問題、環境問題もあるが、より重要な問題として核不拡散がある。従来の、核不拡散は国がやること、自分が軍事利用しないこと=軍事利用に無知で良い、という考え方は反省しなければならない。
高濃縮ウラン、Puをいかに燃焼させるか、これにも民間原子炉が関連してきている。国民全体が考えなければならない。ロシアの核物質をどうするのかという問題について、日本は金を出すばかりでなく、汗もかくべきである。
第六分科会のみで議論出来るものは、核不拡散と核燃料の国際輸送であろう。その他は他の分科会での議論に関係するもので、例えば使用済み燃料の取り扱い等は他の分科会の議論を良く見極める必要がある。また、ここでまとめきらなかったものに研究開発がある。余剰プルトニウム、高濃縮ウランをいかに燃していくかの研究開発も核不拡散上重要な問題だという指摘もある。
もう一つの論点は、地域的特徴をベースとした国際取り組みであり、本報告書では、地域それぞれの問題を記載している。この中で特にアジアにおける国際協力が重要という認識がある。
単純な輸出振興論はないが、資源エネ庁での議論では、一方で何故核拡散につながるプラント輸出を行うのか、との意見があったが、他方で日本が輸出しなくても欧米が売り込みを行い、事故等何かあれば日本に影響があるのでどうせやるなら日本がやるべきとの意見も強かった。
最近では、国内発電所の新規建設の停滞への対応として、技術力維持のための海外輸出論というのもあるが、中国での原子力発電計画の遅れなどを見ても、どの程度効果があるか疑問。
原発の新規の計画はなくとも、米・欧との協力は基軸だとの指摘は重要だと思う。
(6)国際協力推進の理念について
遠藤原子力委員より、国際協力推進に関して、下記の発言があった。
(遠藤委員)
原子力の国際協力と他の国際協力との違いをまとめると、
核不拡散に代表される軍事的側面
特に発電分野については、安全性の問題が他より遥かに大きな要素であり、直接的、間接的にも大きな影響を与えること。例えばチェルノビルやTMIは、日本には直接放射能の影響は与えていないが、大きな問題となっている。
官と民の関係が密接であり、日本側の対応者が「民」でも相手国の対応者が「官」ということもある。特に途上国は官の力が強い。
核不拡散についていうと、米ソの冷戦終結以降その重要性は増している。核不拡散は日本では関心の低い分野である。20年前のNPT批准の際の国会の議論でも核拡散に対する議論は薄い。我々自身は日本は核兵器を作らないと思い込んでいるが、日本がプルトニウムを使うのに、対外的説明として長崎、広島、非核3原則だけで通じるのか。究極的な核廃絶は核軍縮と核不拡散の両方が必要であり、核軍縮は日本は核を持っていないということで説明となるが、核拡散についての議論は余りない。
次に地域による原子力協力形態の違いについては、
米国については、日米協定により日本は核不拡散の面で規制を受けているが、ポジティブな協力はようやく始まろうとしており、今後どうするのか。
西欧については、現在使用済み燃料の再処理を委託をしているが今後の協力をどうするのか。
東欧については、ロシア炉の安全性支援を今後も続けるかどうか。
ロシアについては、チェルノビル後遺症関連、ロシア原発の安全性支援がある。また、解体核については、現実となると資金の問題と軍事的な領域に入っていくこととなり、平和的な利用への検認を行う必要がある。
アジアでは、原子力利用の段階が多種多様であり、原子力利用の伸びている中国の原子力発電については、日本は一つも主契約をとれていない一方、原子力利用がこれからの東南アジアに対してどうするかという問題がある。
最後に国際機関について言及すると国際機関を国際社会及び日本のために利用するという観点があってもよいと思うが一向に進んでいない。
以上のような観点を議論して原子力委員会にガイドラインを示して欲しい。
(7)各委員からの御発言
本格的な審議を進める前に、各委員より自己紹介を兼ねて御発言があった。
我が国の原子力平和利用、エネルギー政策、環境政策、核不拡散の観点から核燃料リサイクルの確立がサイクル機構の目標と考えている。
日本のプルトニウム利用への懸念が海外で強い。我が国がプルトニウム利用を進めるには情報の透明性と米国との情報交流が不可欠である。従前は高速炉も含め協力があった。米国内での動きと調和しながら動くことが必要である。我が国が核不拡散抵抗性のある技術の開発を目指すべき。
地域の動向も踏まえ参考となる資料は出していきたい。
核燃料物質、放射性廃棄物の輸送について、海外からは、核物質輸送の安全性、核拡散の心配がいわれるが、日本として、資源のない国として、核燃料リサイクルを推進すべきであり、そのことについて常々理解を得るよう努力し続けることが重要。
核不拡散については、プルサーマルの推進が核不拡散に役立っていることを理解してもらうべき。
従来原子力は自己完結であったが、これからは国際分業、国際調達である。国際市場での競争性が電力でも求められている。海外との協力が推進され、海外調達が避けて通れない時代では、円滑な輸送は不可欠である。日本が国際社会に貢献するための具体的な方策を見出すことが大切である。
原子力安全に対する視点が薄い。我が国が協力出来るのは安全問題。
原子力国際協力専門部会は地域に着目していたが、今回は対象についてとりまとめるとよい。どういう視点でまとめるか対象を絞ってまとめるとよい。
官と民の話が出たが、大分にいると県民の多くはエネルギー問題は国の問題と認識しており、日本国内でも地域差がある。
冷戦後、核不拡散では問題が山積みである。日本は核兵器開発に向かっているという意見がいくつか海外で聞かれてた。この問題は一気には解決出来ないが努力する必要がある。
21世紀に向けて核不拡散は、多重防護、多元主義が重要。多重防護とは、@核不拡散条約、核物質防護条約、カットオフ条約、包括的核実験禁止条約等の国際条約。Aユーラトム、ABACC、非核兵器地帯などの地域協定。B二国間協定。C主権国家を差し、多元主義とは、一つの枠組みだけではカバーできないが全体でカバーするというものである。
原子力には関係ない一般市民の立場で参加する。国際報道の観点から日本がどう見えるかを念頭において議論する。
去年までの報道で難しかったものがインド・パキスタンの核実験の報道である。NPT、核廃絶、インド、パキスタンの立場などを踏まえ、どう取り扱うか難しかった。
また、台湾と韓国の原子力発電の視察を行い、台湾の廃棄物が深刻な問題であった。
専門家ではないが、ジャーナリストとして現場の声を本部会に入れたい。
エネルギー、地球環境の観点から、日本が原子力を進める理由を国内外に発信する必要がある。原子力は化石燃料が足りなく、石油価格が高い時代には説得力があったが、今は状況が変化し、海外の人を説得出来ない。
原子力はエネルギーのoneofthemと考えるべきである。エネルギーの自由化、競争などを通じて原子力利用の意義、今後の民間と国の役割分担をもう一度考える必要性がある。力のある民間が海外へ出るのに国が制度を整えるなどということは、原子力以外では普通に行われていることである。
国際協力について最初に申し上げたいのは、国際機関の放射線の防護・安全基準はすべて日本の被爆者の調査結果に基づいているということである。最近の世界の話題の低線量発癌性の閾値の議論も日本のデータが基本になっている。原子力の国際協力においてこの日本の研究成果の世界的な特殊性、重要性を視野に入れていただきたい。
先日のセミパラチンスク支援の国際会議で、田中座長のお話の日本では縦割りの役所が国際社会に対応していることを痛感した。この委員会では自由に発言できるとのことなので、日本の外務省主催の国際会議で放射線による奇形の子供達の映画が上映されていたが、原子力委員会はどうお考えになるか知りたいところである。
世界の被爆者の調査に誠意をもって対応している立場から見ると原子力についてはもっと社会にオープンにすべきであると感じている。
委員の中で唯一メーカー出身である。国際貢献で金を出すだけではだめだが、官だけでは埒があかないというのは正論である。
何故メーカーが海外に出られないかといえば、メーカーの力を超えるものがあるからである。輸出には2国間協定が必要であるが、アジアで原子力協定があるのは中国のみである。また、原子力損害賠償がKEDOで問題となっているように、原子力はリスクが大きく、全てメーカーでは出来ない。国、官の出番もあり、メーカーは外国勢に打ち勝つ努力をしている。今後どのようにやっていくか議論できればと思う。
原子力の特徴は放射線を伴う高密度のエネルギーであることと、資源の増殖が出来ることにある。食糧入手と比較してみると、人類が狩猟から農耕に移り、増殖が可能になって活動が拡大した事例と、木、石炭、石油等から原子力への移行は似ているとも考えられる。現在のガタガタしたところを乗り越えて、原子力の持つ文明論的な意義について世界に理解して貰うことが重要。
核不拡散、廃棄物の研究開発は、原子力のマイナス面をマイナスにするための研究開発であるが、こうした研究開発は評価されにくい。しかしながら地道な研究開発を続け、マイナス面をマイナスにすることでプラスの効果を生じることの意義について理解を得る努力が必要である。
長計は日本のエネルギーをどうするかという我が国の独立した計画であるが、一方で国際協力は相手があり、相手のニーズをどうするかという話であるため、その関係をどう考えるのか疑問がある。
日本のvulnerabilityをいかに消すか、原子力については、石油危機、エネルギー安全などから国内に関心が向いていた。このあたりの考え方が変わってきている。
(核兵器を)持っていない国という前提の範囲でインディペンデントプログラムが出来るのか、また、どのように国際的にengagementしていくのか。どうやって幅広く国際協力を考えて国内のプログラムに入れるのか、国内のプログラムを(海外に)発信するのかが問題であり、従来は国際問題は付け足しであったと思う。
1977年にカーターが核不拡散政策を打ち出し、日本の再処理が問題となった当時の議論として、日本は米国に対するナショナリズムをとるべきか、原子力に対するナショナリズムをとるべきかという問題があり、結果原子力を選んだ経緯があった。
本分科会の切り口は4つである。
原子力平和利用分野の国際協力
核不拡散
核軍縮(核不拡散と分けずに考えて日本が貢献すべし)
日本の核の政策を確立して国際的に明確に打ち出す。
日本はNPTを批准していて核を持たないとしていることは極めて重要であるが、例えば朝鮮半島が統一し核武装していたと言う場合、日本としてはどうするのか。
(8)第六分科会の検討の進め方について
中野国際協力・保障措置課長より資料4「第六分科会の検討の進め方」について説明があり、下山座長より、本日議論された内容を今後の審議の中で反映し、議論していく旨発言があった。
(9)閉会について
下山座長より、次回9/20の長計策定本会議に本日の審議を踏まえ、「第六分科会の今後の検討の進め方」を報告する旨発言があった。
事務局より第2回会合は、10月7日、場所は科技庁2F第二会議室で開催する旨連絡があった。
下山座長より、次回会合は「最近の国際情勢に関する認識」、「我が国の原子力分野における国際的対応の地域展開について」審議することとし、十市委員よりご発言をお願いする旨の発言があった。
以上