平成12年1月17日

第五分科会における審議項目の追加について(補足)

日本原子力研究所 前田 充

 

●第5回で審議が予定されている「放射線の健康影響」においては、長期的な原子力利用に伴い平常時あるいは事故時に環境中に放出される放射性物質の人体及び環境への影響は重要な視点であり、「原子力利用に伴う放射性物質の環境影響」を論点の一つに加えることを提案いたします。

 

 原子力が豊かな国民生活の実現に貢献していくためには、国民の健康確保と環境保全を前提に、自然環境や社会と調和した形で利用が図られねばならない。一方、先のJCO事故では大量の放射性物質の放出は無かったが、原子力利用に伴う放射性物質の環境影響に対する国民の関心の高さが改めて示された。

 国民の理解を得つつ原子力の平和利用を進めるため、利用に伴って放出される放射性物質の環境影響について、より一層深い理解とより系統的な分析調査が必要である。また、21世紀はアジア地域等での人口増加や経済成長を背景にしたエネルギー需要の急激な増加に伴う原子力利用のグローバル化が予想され、地球規模での放射性物質の環境影響も検討する必要がある。

 そのためには、環境中での放射性物質の移行・循環機構の解明及び生態系への影響を主対象に、原子力における環境科学としての取り組みが必要である。その際、この研究分野のフロントランナーとして日本が世界をリードしていくためには、適切な研究の分担と協力のための全日本的な研究体制作りが必要である。

(以上)