6.議事の概要
(1)開会
○座長より、第五分科会報告書を中心に討論する旨の発言があった。
○事務局より、配布資料の確認があった。
(2)第五分科会報告書(案)について
○事務局より、報告書(案)(資料2)について、以下のとおり説明があった。
- 5月17日の第8回会合以降に全ての委員からコメントをもらった。当該分野の専門の委員には直接、相談して報告書(案)をまとめた。構成は、前回とかわっていない。
- 第T章は、原子力と放射線について若干説明を補足した。
- 第U章は、線源について修正を加えた。
- 第V章は、11ページのBと12ページのFを追記し、17ページに牛肉の放射線照射について追記した。
- 第W章の「1.放射線の生体への影響」と「2.健康リスクと放射線安全の確保」は、武部委員、小佐古委員、甲斐説明員と相談し、その他の委員のコメントを反映した。
- 第W章の「5.規制法と運用の在り方」は、Bに運用の在り方を追記した。
- 第Y章は、土肥委員、山下委員からのコメントを反映した。
- 第Z章は、ここを読むだけで報告書の内容がわかるようにした。
- 48ページに山下委員の意見を追記した。
○事務局より、図表のイメージについて、説明があった。
○事務局の説明について、以下のような議論があった
- 放射線の利用と社会とのつながりを社会の人に理解してもらうためには、量的な視点からの情報提供が必要。俗に言えば「人」、「もの」、「金」である。「金」については、経済規模として定量的に情報提供がされている。「人」と「もの」については、記述が少し足りない。「もの」は、放射線を取り扱っている施設の数である。この数が多いことを明らかにすると、放射線利用が社会に浸透していることがわかる。「人」は、資格や資格をもつ人数などのデータがあるとわかりやすい。
| ○ | 座長より、進め方として、最初に「提言」について議論し、その後で本文その他について議論する旨の発言があった。
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(2−1)報告書(案) 第Z章について
| ○ | 第Z章の「おわりに」と「1.国民生活への貢献を目指して」について、以下のような議論があった。 |
- 食品照射では国際間で輸出入に対して取決めがあり、国際整合性の観点から、国際的な規約に基づいて国内浸透を図るという主旨をここか、又は国際関連に加えたい。
- 最初から各論が入ってきているが、前文として10行程度でも、我々は何をして何に基づいて以下の提言を述べるのかといった、明確な方針を示す必要があるのではないかと思う。つまり、ここだけ読んでわかるという主旨なら、ここだけで目的、現状認識、将来の見通しをまとめるべき。後の文章にもないし、本文の48ページに示されている山下委員の意見のようにキーワード的なものを最初に示した方がよい。
(遠藤原子力委員)
- 「(医療分野における応用・利用による生活の質の向上)」の最初のパラグラフの主語は誰か。関係する機関か。もしそうだとすればどこか。
(座長)
- 関係機関が協力して努力する意味であり、関係機関には、おそらく、医療現場や学会、関連研究機関が含まれる。更に、国民も含んでいる。
(遠藤原子力委員)
- 国民も含んでいるとすれば、関係する機関だけでは明確でないので、表現を検討すべきである。
- この報告書は国民に向けたメッセージか、策定会議に向けた提言かで、主語や発信のスタンスがかわる。
- 「進めるためには」という表現は、まず国が進めることが前提のように読める。例えば、食品照射では、国がそれを位置づけて進めるという発想より、むしろ、国民が受け入れる、あるいは自由な選択の中で食品照射を選んでいくという視点での記述が重要ではないか。
(座長)
- 各項目に主語を正確に入れるのは難しい。前文に、このような人々にこのようなことを求めます、とまとめていえれば便利だが、それも難しいであろう。
- 「誰に提案するのか」という意見に関してはどう考えるべきか。報告書は、広く国民を含めた関係者、特に専門家以外の関係者を含めて広く読んでもらう観点でつくってきたつもりであり、最後の提言の相手は、焦点を絞ることは難しい。
(事務局)
- 報告書は、全体的に、かなり詳しく説明調で書かれており、主として国民を意識した書き方となっている。提言は、国民へのメッセージということが基盤にはあるが、策定会議に向けたメッセージという意味合いが強く出ている。そのために、例えば、食品照射に関する書き方が、国民に向けたメッセージになっていない。
- この提言は、行政に反映して欲しいというメッセージと思っていたので、前回も、提言についてはできる限り具体的にして欲しいと述べた。おそらく、この提言に基づいて、いろいろなことが行政に反映されるのであろうと考えると、できるだけ具体的に簡潔に書いた方が、提言としては力があろう。提言は、行政に反映されるべきものであり、単に議論で終わることは許されないだろう。
(座長)
- 「おわりに」をもう少し膨らませて、武部委員からの明確な方針を示す必要があるという指摘や、誰に向けてのメッセージかといった観点を盛り込み、策定会議への提言という章を、「おわりに」の中ではなく、別に設けることを提案する。
- むしろ「おわりに」ではなく、第T章「はじめに」の分科会設置の目的に提言の位置づけなどを書いておくと、つながりがよいのではないか。
(座長)
- 「おわりに」の中に、以下の提言を長期計画策定会議に提案し、原子力長期計画の中に盛り込んでもらいたいという主旨を明確にすることで了承願う。
(原子力委員長代理)
- 受け止める側は、提言する側の立場を明確に理解しているので、自由に表現してもらってよい。
- 46ページの「(工業・環境保全への利用による新産業創出)」の内容は基盤研究と技術開発を産学官で協力して推進すべきという意味と思うが、捉えにくいので文章の見直しが必要。もう少し詳細に書いてもよい。
| ○ | 第Z章「2.安心につながる安全を確保するために」について、以下のような議論があった。 |
- 今回のウラン加工工場臨界事故(JCO事故)を含めて、国民の放射線問題に対する不信感、不安感の根底には、安心、安全をいい過ぎてきたことへの批判があると反省している。従って、このような書き方では、国民に理解を求めることはできない。むしろ、放射線とは基本的に危険なものであるが、それを国や実際の機関が正しく管理し、可能な限り安全を目指して努力しているという姿勢を示す必要がある。こうすれば安全という、何か既にでき上がっているような書き方では、この時点で国民に対して支持を求めることは難しいと考える。これは、タイトルを含む第Z章2.の全体に対する意見である。
(座長)
- 重要な指摘であるが、その意見を入れて書くのはやさしくないであろう。
(事務局)
- 具体的なイメージを示して欲しい。
- イメージとしては、現時点における放射線の人体への影響の理解をもとに、どこまで実際に危険性があるかを把握し、それにより現在の法体系並びに運営の体制を整備し、今後の放射線の利用計画を検討・策定し、より国民に安心してもらえる方向を目指すということである。この文章では、既に安全なものがあるから、それをわかって欲しいという精神があるように思える。
- 人体影響で説明したように、放射線の人体影響は絶対にある。どこから下は安全であるといった議論があり、JCO事故では、テレビ、新聞などで安全限界の何倍もの放射線を浴びたという、納得できない表現があった。
- 本文に書かれている人体影響と、その後に続くリスク論とは矛盾がある。少なくとも50mSvまでは人体影響に関するデータがあり、事実として説明できる。しかし、50mSv以下は全くデータがなく、リスク論で推定するしかないと明確に説明したつもりである。しかし、この文章では高い線量まで全てリスク論で議論できるような誤解を与える。最後の提言でリスク論が出てこないのは賛成である。
- 国際的組織がこのように述べていると記述するという意見には反対である。むしろ、提言を国際社会が無視できない、それに基づいてICRP(国際放射線防護委員会)が何らかの改訂をせざるを得ないくらい力のあるものを出せるのは日本しかないという姿勢をぜひ示したい。
- 前回の会議には小佐古委員や武部委員が欠席であり、その矛盾点が出てくることは予測された。そのために、事実とリスク論をどう考えるかを、両委員に十分相談するよう事務局に要求していた。
- 第T章の総論では一歩踏み込んで、原爆の過ちに立脚した光と影の書き方から、非常に読みやすい。第W章の「安心につながる安全を確保するために」という言葉はまさに正しく、放射線を怖がることの裏返しである。正しく怖がるということは、国民に対してこれまでいい尽くされてきたことだが、いかに安心を放射線に与えるかをいわないと、利用促進にはつながらない。リスクの考え方について更に整合性をとる必要があるが、安心につながる安全を確保するということは、残しておきたい。
- 最初に「正しく理解し正しく怖がる原子力」というキーワードを入れてはどうかという提案があったが、そういう部分が抜けているから違和感をもつのではないか。
- 低線量放射線の生体への影響とリスク論の話には、いくつかのコンセプトといくつかの研究分野の研究内容が混在している。放射線の生物影響、すなわち放射線が当たった時にDNAや細胞がどうなるかといった研究分野があり、それとは異なる分野として疫学的な研究がある。これは放射線影響のメカニズムなどの本質に迫るのではなく、起こった事実を並べていくという学問である。更に、異なる分野として、実際に放射線を使う時に、実用的な基準は必要かという分野があり、これは放射線防護の分野である。
- 放射線防護の分野で低線量の影響はわからないと書くと、わからないものを使うのは困るというのが普通の意見であろう。それを避けるために、わかっていることを総合して、実際に使える防護基準をICRPがつくっている。ICRPの中でも第1委員会は生物影響を議論してきた。第4委員会などは防護基準を生物影響とは違うベースで議論している。
- 生物影響と防護基準が議論される時、その両者の考え方がいつも混乱し、はっきり分けて書かないと収拾がつかない。低線量影響では、50mSvなどの低いところはわからない。生物影響においてはそれでよいが、わからないを強調し続けると、危険度のわからないものが使えるのかといわれる。そのために、これ以上悪いことが起こらないように、このような仮定をおいて、こういう防護基準をもてば、十分に放射線を制御して使え、あらゆることに対して合理的説明がつくし、生活の中で便利さを享受できるというのが防護基準の主旨である。そこを整理して書かないと議論が混乱する。
(座長)
- 「2.安心につながる安全を確保するために」の全体の姿勢に対する意見について、もう少し焦点を絞った、具体的な修文の指摘はあるか。修文案を急いでつくってもらうことは可能か。
- 微量の放射線の影響は量的に小さいことを指摘した。しかし、リスク論では、いくら低線量でも危険であることだけが強調されている。その矛盾を明確にしなければ、リスク論だけでは国民に不安を与えるだろう。
- 意に叶うものができるかどうかわからないが、文案を出す。
(座長)
- 委員の立場で書いてもらいたい。
- 「2.安心につながる安全を確保するために」における表現は、委員の合意が必要であろう。例えば、ダイオキシンなどの化学物質のリスクから安全を確保する上では、防護の基準などわからないものが後にわかってきたときにも、耐えられる仕組みをもつ必要がある。現在の分子生物学などにおいて、細胞レベル、臓器レベル、人のレベルでどうなるか、決定的にいえない場合、直感的にはそんなことは起こらないであろうということをそのまま防護の基準に持ち込むことは不可能であろう。我々が社会の中で放射線を使うとき、生物学的影響研究や疫学的研究の知見と防護の基準をはっきり分けて議論しないと、我々の感覚からこれくらいならよいというのでは、防護の基準としては耐えられるものではないであろう。このことを了解しておく必要がある。
(座長)
- この案では、放射線の生体影響の考え方と次の健康リスクとは分かれている。その間のつながりや考え方が矛盾しており、理解しにくいという指摘と思っている。
- 指摘のとおりと思っており、生物学的な意味での放射線影響と防護基準の考え方を明確に分けるべきである。科学的な事実としてどこまでわかっているか、その限界に基づいて現実に防護基準を設定すると、ある線を引くこと自体が矛盾をもっていながら、現実に線を引かざるを得ないことを私は心配している。
- 車が50km/h制限のところを50km/h以上で走ったら、100%事故が起こるとは誰も思っていない。つまり、放射線防護上の安全基準という線を車の50km/hのようなものだということを、どうやって国民に理解してもらうかが重要である。このことが理解されないために、安全基準の何倍という議論がいまだに出ている。
(座長)
- 健康リスクにかかわる放射線防護の考え方は私自身わかりにくいと思っており、修文願うことにする。
(遠藤原子力委員)
- 「(被爆体験を踏まえた医療におけるわが国の役割)」では国内のこともいっているが、主体は国際協力に思える。国際協力は「4.国際協力と国際環境との調和に向けて」で再度出てくる。ここでは座りがよくないのではないか。
- 提言が別章になるならば、被ばく者対策の国際協力について、1つの問題点として担当省庁が必ずしも統一されていないことが指摘されているので、「関係省庁が一体となって」などの言葉を入れてはどうか。
(座長)
- 提言の扱いについては、「おわりに」をきちんと書いて全体的なことを提言の中に入れれば、体裁は今のままでよいと思っていたが、今の意見はこれだけ別に取り出すという意見か。
(座長)
- 策定会議への提言というように直し、全体はこのままでよい。
(座長)
- 遠藤原子力委員の指摘については、最後の「4.国際協力と国際環境との調和に向けて」と関連するので整理する。
- 「(被爆体験を踏まえた医療における我が国の役割)」は、「4.国際協力と国際環境との調和に向けて」と重複しているところがある。提言としてはもう少し明確にし、国内の問題と国際協力に関して分けた方がよい。
- 「(環境への影響を理解するために)」や「(被爆体験を踏まえた医療における我が国の役割)」の中で原子力という言葉が出てくるが、違和感を感じるので検討願う。
○第Z章「3.放射線利用の促進に向けて」について、以下のような議論があった。
- 「(国民に受け入れられる放射線利用を目指して)」の第4パラグラフに「原子力・放射線」の表現があり、43ページは「放射線/原子力」、また、10ページでは「原子力や放射線」の表現があり、原子力と放射線はどう違うのかという思いが残る。原子力と放射線が別々に受け取られないようにするのであれば、記述を統一すべきである。
(座長)
- 前回議論のあったところであり、のちほど、どう表現するか議論する。
- 「(国民に受け入れられる放射線利用を目指して)」の第5パラグラフで、教育の中にPA(パブリックアクセプタンス)とコミュニケーションが入っており、違和感を感じる。もし、PAとコミュニケーションという言葉を活かすのであれば、教育とはかかわりなく入ってくる方が自然であろう。第1パラグラフに「対話の場を持ち、相互の理解を」とあるので、このパラグラフは削除してもよい。
- 第2パラグラフの「正確な情報」を「正確なわかりやすい情報」としたい。
(座長)
(木元原子力委員)
- 「教育においては」のパラグラフを削ってもよいのではないかという意見は、そのとおりと思うが、教育の場で正確な情報が提供されていない、また、放射線や原子力を特別視している現状があるので、このパラグラフは残しておいた方がよい。しかし、「PA以上に」の記述は不要。また、「教育においては」ではなく「教育の場においては」であろう。
- 「日頃から放射線に慣れ親しみ」は「日頃から放射線について正確な知識をもち」という表現の方がよい。できれば、専門家とその知識を共有して、コミュニケーションを図り、理解が深まればよいと思っている。その意味でこのパラグラフは残したい。
- 第4パラグラフの「中高等教育用教科書」に関する部分は教育のところに移した方が一貫性が出る。また第4パラグラフの「中立的」という表現を「正確」という表現を用いて直したい。
(座長)
- 最後のパラグラフは、「教育の場においては、日頃から放射線についての正確な知識をもち、専門家と知識を共有するためのコミュニケーションが重要です」として残す。
- 「中高等教育用教科書」は第5パラグラフに移すことにしたい。
- 「中立的な立場で」は「正確に」と直す。
(座長)
- 「中高等教育用教科書」についてで1つのパラグラフになり、次のパラグラフと一括にしなくともよい。順番は逆になることはある。
- 第3パラグラフの「今後充実させることが必要」とあるが、啓発活動などはこれまでもかなりの予算をもらって行ってきたので、「今後更に、・・・」としたい。
- 啓蒙啓発あるいは理解を深めることを目指して、20年以上、様々な活動を続けてきたが、立地も進まず、RI施設もつくれないなど、現状は厳しい。これらの活動に何ら評価の指標がなく、また、評価の指標はすぐに出てくるものではないが、活動を改善する仕組みが必要であろう。単に講習会を年に何十回行ったというだけでは問題と思う。
(座長)
- 例えば、「コミュニケーションが重要です。また、その成果を評価する体制の整備が重要です。」ではどうか。
(座長)
- そのような主旨でよい。その成果を評価する、又はその活動を反省してその質を高めていくといった姿勢である。
- 文部省の定義では、中等教育というのは中学校及び高等学校の教育を指し、高等教育は大学などにおける教育で、教科書については一切関知しない立場である。従って、高等教育を入れたのでは、言論統制につながり、憲法違反になる。本来であれば、初等中等教育とすべきと思う。初等教育は小学校における教育である。また、一般の出版物に対して、原子力・放射線が正しく理解されるように記述することなどを要望するのは自由である。高等教育に使われる教科書についても、我々、研究者が努力するという姿勢が望ましい。
(原子力委員長代理)
- 現行の原子力長期計画の策定でも、この議論は1つの焦点であり、その中では指導要領という言葉で置き換えて入れた。しかし、結果的にはその提言は反映されていない。教科書の著者をつくれなかったのが原因と思っている。従って、実行するためにはこの表現だけでは不十分と思っている。しかし、原子力長期計画の中に、自ら教科書を書く努力をするといった明確な表現は難しいことも存じている。
(座長)
- 教科書を書いて欲しいと他人に頼むのではなく、自ら書くというニュアンスが必要ということを、修文の段階で伝えられるようにしたい。
- 高等教育は入れるべきか。
- 高等教育の自由を守る意味から、高等教育は入れない方がよい。
- 2002年(平成14年)からの教科書の学習指導要領は1999年(平成11年)に完成し、今後10年間かわらない。むしろ、それを弾力的にどうするかの問題である。
- 「(国民に受け入れられる放射線利用を目指して)」の第2パラグラフの「生産者」と「消費者」は、突然で異質な感じがする。
- 情報の開示とは何なのか、単に紙の上の数字の開示なのか、あるいは施設や様々なものを可能な限り開示してみてもらうことなのか。JCO事故の後、東海村の私の関連するRI施設を、一般の人が立ち入れる限界ぎりぎりまで開放して、市民の方にみてもらった。また、数値的な意味でのあらゆる情報を開示して、安心であることの納得を得る努力をした。しかし、効果はなかったことを参考に述べておく。
(事務局)
- タイヤなど工業製品への放射線利用があっても、生産者側は積極的にそれをいわない。そうであれば、放射線の利点であるこういう性質をこういう利用に使っていることをいってもらうだけでも、利用実態を踏まえた放射線に対する国民の理解が進むのではないかという主旨で「生産者」と「消費者」という言葉を用いた。
- 工業利用の説明であればわかる。しかし、放射線利用が医療であれば、「生産者」という言葉は理解できない。限定的な表現であればよい。
(座長)
- 放射線を利用した製品の提供者とその利用者など、表現については更に検討する。
(座長)
- 「3.放射線利用の促進に向けて」の「(利用を支える人材の育成)」で、「周辺技術に必要な人材の層」を「周辺技術に必要な人材の質と層」にしてもらいたい。
- 理解が進まない原因の1つに、マスコミの報道がある。どんなに放射線を理解する土壌をつくっても、名の売れた有名な人が発言すると、それで全てがかわってしまうことがある。そのようなマスコミの報道を規制することはできないが、頻繁に担当がかわっていく報道関係者、特に原子力の水際で取材される社会部の記者などに正しく理解してもらえるような仕組みが、利用を促進させる上では必要でないか。
(座長)
- この問題は重要であるが、この分科会で十分議論をしていない。しかし、第一分科会でこの議論を取り上げている。
(座長)
- 第一分科会で議論され、報告書に入っているのであれば、それでよい。
| ○ | 第Z章「4.(国際協力と国際環境との調和に向けて)」について、以下のような議論があった。 |
- 国際協力については、44ページや33ページで詳細に述べられており、特にセミパラチンスクの医療支援では、長崎大学の遠隔医療支援などの具体的項目が取り上げられているが、提言になると非常にぼやけた書き方になっている。本文の具体的な項目が提言に入ってしかるべきであり、この提言は前書きのような形で本文の文章に入れてもよい。
(座長)
- 「4.国際協力と国際環境との調和に向けて」を更に具体的事例を挙げて書けという指摘であったが、抽出したエッセンスとしてこのような表現となったが、座長と事務局でもう少し検討するが、文案があればもらいたい。
- 提言の最初にキーワードを含めて全体的なことを書き込むという提案に対して意見はあるか。
- これがあれば放射線利用は促進されるということを短い言葉で書いてはどうかと思い、意見を出した。
(座長)
- 山下委員の提案に「ここまで来た放射線利用の最前線」というキーワードが例としてあるが、医療利用などは最先端の話があったが、全てが網羅されているわけではない。このように書くと、再度、最先端のものを全部拾う必要があるのではないか。
- これは例であり、そのようなつもりはない。
(座長)
- できるだけわかりやすいキーワード的なものを盛り込むという主旨であり、既にそうなっているところもあると思うが、再度、見直す。
- 提言を独立させ、目次で提言がわかるようにすべき。そのために、提言としての序文が必要と述べた。
(座長)
- 第Z章を「おわりに」で第[章を提言とする。
- 48ページの「(規制法のあり方)」の「今後、共通の理解に基づき」という表現では、誰と誰にとって共通かわからない。
(座長)
- 提言については、これまでの議論を踏まえて修文する。
(2−2)報告書(案) 第T章から第Y章までについて
○第T章「はじめに」について、以下のような議論があった。
(座長)
- 原子力と放射線の議論を踏まえて書き直した。
- 原子力と放射線については表現が難しいので、この程度でよい。
- 2ページの「(原子と放射線)」で「最初に発見されたX線は原子核の周りの軌道電子のエネルギーの状態が変化するときに出る放射線です」とあるが、最初に発見されたのは、陰極線をターゲットに当てて出てくるX線であった。それが現在、医療に使われており、重要である。より正確に書いて欲しい。
(座長)
- そのように修文する。
- ここでいいたいのは、原子核から出てくるものだけではないということである。
- 原子力と放射線は一体として記述しないと具合が悪いので、「原子力と放射線」、「原子力・放射線」、又は、「原子力/放射線」のいずれかに統一した方がよい。
(座長)
| ○ | 第U章「放射線について」について、以下のような議論があった。 |
- この分科会は、JCO事故と時期が重なり、それについて真剣に議論した。国民が不安感をもっている理由として、スリーマイル島原子力発電所事故、チェルノブイリ原子力発電所事故とJCO事故があったという厳然たる事実と、それに対して我々がどう認識し、どう反省を含めて今後の放射線利用を進めるかについて、議論した記録としても、最初に記述するのが望ましい。
(座長)
- ここでは原爆のことしか書かれていないが、「原子力利用の光と影」の影の部分にもう少し具体的に事故のことも含める。
| ○ | 第V章「国民生活に貢献する放射線利用の拡がりと将来展望」について、以下のような議論があった。 |
- 医学利用における放射線治療は京都大学の平岡先生のプレゼンテーションが中心であったが、我々の行っている骨髄移植では、分割照射で10Gyや12Gyを照射して治療に使うこともあり、これを記述したい。文案をつくる。
(座長)
- 挿入箇所についても意見を願う。
- 放射線治療医が非常に少ないことを記述しておくべきであり、14ページの第2パラグラフの「我が国の放射線診療の現場には、医学物理士や専属薬剤師」を「我が国の放射線診療の現場には、放射線治療医や医学物理士、専属薬剤師」としたい。p.39の人材育成にも同様に入れたい。
- 放射線治療を行っているセンター、病院は約300あり、機械は約1000台あるが、フルタイムで放射線治療を専門に行っているところは、500内外であろう。機械が1000台あって治療医が500人というアンバランスを何とかしなければならないことを、学会でもいっている。診断医も多くはないが、治療医に比べれば診断医は約7倍である。治療医が非常に少ないことが放射線治療の制約因子の1つであることを強調したい。その対策としては、放射線腫瘍学の講座を大学に設置することや、保険点数を改善することがある。そうすれば、放射線治療医の増加につながると思う。
- 17ページの第3パラグラフの「また、牛肉に由来する大腸菌O−157によって、何人もの人が亡くなったのは記憶に新しいことです」とあるが、我が国においては、O157の原因が牛肉に由来しているということは明確になっていない。また、多くの患者が出たことは事実であるが、亡くなった人はそれ程多くなく、印象は大きかったが、事実ではないように思う。牛肉につなげたいのであれば、米国ではO157が原因となって多くの患者が出ていることから、牛肉につなげてはどうか。
- 「サルモネラ、クロストリジウムの殺菌」について、クロスロリジウムは低線量では殺菌できないので、「クロストリジウム」を削除して「サルモネラ等」としてはどうか。そうすれば、その中にサルモネラとかエルシニアなどいろいろなものが入ってくるだろう。
- O157についてのコメントはそのとおり。
(座長)
- クロストリジウムを削除しても文章はつながるので省くこととする。
| ○ | 第W章「安心につながる安全を確保するために」について、以下のような議論があった。 |
(木元原子力委員)
- 「1.放射線の生体への影響」について、日常的に受けている放射線は何ら健康には問題がないことを最初に記載すべき。いきなり怖い話が書かれていると、それだけで放射線について不安感を抱き、躊躇して読みたくなくなる。
- 26ページの「C低線量放射線被ばくに対する生体の適応応答」で、広島・長崎の場合を挙げてあるが、表現に注意すべきだろう。例えば、白血病などは低線量で期待値より少ないこともあるが、ICRPの第1委員会の委員の元放射線影響研究所の馬淵晴彦氏によれば、放射線の影響をみるために差し引くバックグランド調査に、低い線量の被ばく者を対照群とした。しかし、広島・長崎の市外にいる人を対照群として引くと、実は、低線量での過剰発生数は期待値より低くならない。その場合、白血病では25mSvまで増加が認められるという議論もある。対照群を大阪にしても、似たような傾向にある。現在の知見で、低線量でがんの発生数が期待値より下がっているからホルミシス効果であると書くのは適切ではない。そのような議論もあり得るということであり、前の報告書案どおりの方がよい。
- ホルミシスは、議論はあるが、いろいろな研究がされているという観点から、そのような効果があることもぜひ取り上げて欲しい。
- そのような効果をホルミシス効果と考えようということである。
- Cの文書の全面削除を提案したい。この箇所を残すとすれば、前半の広島・長崎に関する最初の4行の記述の削除を提案する。これは指摘のとおりであり、広島・長崎でも意見が分かれており、対照群をどう設けるかは長年、議論しており、対照群を設定すること自体、意味がないなどの意見があることも承知している。
(座長)
- ホルミシスという言葉を使うこと自体、専門家の間で議論のあるところであり、これを書くこと自体が不適切という意見と、ぜひ入れるべきという意見がある。難しいところは理解している。
- Cは「低線量の放射線に対する生体の適応応答効果を挙げる人もいます」から始めるとしてよいか。ここは大事なところである。
- ホルミシス効果に似たことで全く逆のことが、最近、内分泌かく乱物質で起こり、その真偽のほどなどが、いろいろ議論されている。ホルミシスは、ここに書き込むにはまだその信頼性の上で自信がないと思う。
(座長)
- いくつかのわかっている事実だけを挙げるのはどうか。例えば、中国やインドなどのバックグランド(自然放射線の線量)の高い地域で暮らしている人の疫学調査や、三朝温泉で肺がんが増えるといわれながら、3代にわたって調査したところ、実際には増加はみられなかったことなどを挙げてはどうか。少しの放射線でも絶対に悪いと主張される人に対して、事実を羅列し、高バックグランド地域の人々の状況などでもよいが、何か入れることが大切であろう。
- 疫学研究では、統計のとり方や人口などが議論になる。中国の例についてもそうである。インドの場合は正確という人もいる。
- 普通はどんな低線量でも、悪影響を及ぼしたり、がんの発生が増えると一般には考えられているので、ここにはその疫学調査のデータを紹介し、低線量であればがんの発生率が低くなるとはいえないにしても、少なくとも高くはならないことは事実として書いてもよい。
(原子力委員長代理)
- 「C低線量放射線被ばくに対する生体の適応応答」の記述がどういう影響をもつか関心がある。このようなことを原子力長期計画の場で議論したことは、おそらく初めてであろう。必要なことは、低線量影響の問題に今後積極的に取り組むべきという提言につながるものとして出すことである。現段階でホルミシスなどという言葉を使うことの危険性を気にしている。
- 低線量影響は、研究しても答えが出ないことを申し上げたかった。私自身がショウジョウバエ136万匹を使った実験に実際に参加した経験から、技術が進み、放射線による影響の検出しやすい細胞や遺伝子を使い、大規模な研究体制で多くの費用と時間をかけても、明確な答えは出ないと思っている。そのことは、10mGyの遺伝的影響をみるにはマウスが9億匹必要という、米国の推定から考えても明らかである。「D今後の展開」に低線量の研究が大切とは書かれているが、現実にはそうはいえないと考えている。
(原子力委員長代理)
- ここ1、2年、低線量影響を整理しようという研究が進んでいる。少なくとも、米国のDOE(エネルギー省)もこの問題に取り組もうとしている。低線量影響を確認できる限界やしきい値の有無の問題などを整理して、学会などで定説を早くつくり上げていくべきと考えている。リスク論かしきい値論かはわからないが、もう少しみえる形にする努力が必要であろう。
- 実験的に証明することはおそらく不可能であろう。疫学調査は、ラドンの被ばく調査など、広範囲に大きな費用を使って実施されている。また、広島・長崎の寿命調査で示された、低線量での固形がんの過剰発生数が期待値より41人少なかったこともデータとして出ている。それを統計的に考えれば、正しいとはいえないかもしれない。そこは疑問もあるが、疫学調査から、少なくとも増えるというデータは出ていないということはいってもよい。9億匹使わなければ、ポジティブなデータが出ないということは、逆にいえば、実際的にはほとんど無視できるといってよい。
- 議論が高まっているという事実を専門家として整理して伝えるべきであろうが、ホルミシス効果があると結論づけるようなレベルにないことも1つの情報であろう。
(座長)
○図表について、以下のような議論があった。
- 図16の粒子線のがん治療を身近な放射線利用の例として挙げてあるが、X線・γ線治療の方が粒子線治療に比べて圧倒的に多く、少なくともX線を入れるべき。「粒子線による」を「放射線による」に直せば、全て含まれるのでそれでよい。そして、その下部に「X線、粒子線」とする。X線は粒子線には含まれない。
- 図16に「燃焼排煙からのSOx、NOx除去と肥料化」とあるが、ここに書くほど実用に供されているのか。
- 身近な例が普及などを意味するのであれば、指摘のとおりであろう。現在、中国や東欧において、パイロットプラント(試験用施設)ないし実用規模の施設が運転中又は建設中である。NOxやSOxを除去するための非常に有力な手段としてではなく、身近な存在として紹介した。
- 大量に使われているなどの量的概念が常に大切と思っており、その意味で意見をいった。
(木元原子力委員)
- 身近といえば、ジャガイモの放射線照射の方が身近であり、それとかえてもよいのではないか。
(座長)
○原子力委員長代理より、以下のような発言があった。
- 第五分科会は新しい領域を切り拓くということで、各委員の努力によって立派な報告書がまとめられたことにお礼申し上げる。
- 原子力委員会が取り組んでいる原子力長期計画は、21世紀に人類と原子力のかかわりをどうするのかに基本を置いている。その意味では、海外では、"comprehensive nuclear science and engineering"(包括的核科学技術)という名前でこの問題に対応している。同時に、そのようなことを考えていく上で重要なことは、1896年以降のまさに原子力を20世紀の原子力という位置づけでどう受け止めるのか、あるいは、我が国にとって昭和30年以来の原子力の研究開発と利用をどのように評価していくのか、ということである。
- 日本の原子力の原点は、明らかに原爆反対と平和利用である。これはまさに原点として、我々の避けて通れないことであるが、残念ながら、日本社会において、この2つが必ずしも融合したものではなく、対立した構造をもっていた。
- 従来、この分野は第四分科会の中で、先端技術と放射線利用という受け止め方をしてきた。その範疇においては、放射線を無機質の分野で捉え過ぎたきらいがあったと思い、ぜひ、有機質の分野を特出する必要から、この分科会をお願いし、生活に身近な利用を審議してもらうよう申し上げた。有機質の分野だけで括れるかと思ったが、専門部会から、工業分野も含めるべきという意見が出た。工業利用は先端技術として、第四分科会で扱うかこの分科会で扱うか難しいところであった。工業利用は、この報告書の中でみると、座りがよい。問題に対する表現の割り振りがうまくできており、その意味で見事にまとめられたと思っている。
- 今後、この報告書をどのように原子力委員会が積極的に受け止め、対応していくかが重要であろう。この問題について、原子力長期計画の策定が終わった段階で、原子力委員会自ら、どういう受け止め方をし、どうやって社会に積極的につなげ、具体的な政策につなげていくか考えたい。そのためにも、この報告書を真正面から受け止めて対応したい。
(3)今後の進め方
○事務局より、今後の進め方について、説明があった。
- 本報告書は6月5日に座長から策定会議に報告する。その前に最終的な調整を行うため、5月31日までに報告書本文あるいは図表について意見をもらいたい。
(4)閉会
(座長)
- 6月5日には報告書を提出するが、特に提言が重要であり、策定会議では提言を報告する。
- 委員が集まる会合は、原則として、これが最後であり、長期間にわたり議論をいただき感謝する。
以上